10.44 それぞれの化合物の隣の数字は教科書の参照ページを示す。 OH p. 247 信じ難い誤答として p-メチルフェ p. 322 ノールを書いたものが数名いた。 1) LiAlH4 2) H2O O O OCH3 p. 324 1) NaOH OH O CH3OH / HCl 2) CH3I OCH3 p. 324 SOCl2 O Cl p. 323 10.59 設問のアルコールはいずれも 3 級アルコール(ヒドロキシ基が結合している炭素に、 三つの炭素置換基(R1、R2、R3)が結合しているアルコール)である。教科書 332 ページにあ るように、エステルと Grignard 試薬との反応では、1 モルのエステルに対し 2 モルの Grignard 試薬が反応するので、R1、R2、R3 のうちの二つは Grignard 試薬に由来するはずである。(反応 メカニズムは最後の問題のオリジナル問題の解答を参照) (a)目的のアルコールには、プロピ ル基と二つのメチル基がある。 従って、以下の方法で合成でき る。脱離してしまうので、エス テルのアルコキシ基(OR)は 何でもよい。ここで使用する Grignard 試薬であるが、原料のハロゲン化アルキル(CH3−X)で X=I のヨウ化メチルが使 い易い。塩化メチルや臭化メチルは共に室温でガス状であり、扱いにくい。これに対しヨウ 化メチルは室温で液体で扱いやすく、また Grignard 試薬を調製する際にも反応性が高く極め て容易に Grignard 試薬が調製できるため有機合成では多く用いられる。 (b) 目的のアルコールには、メチル 基と二つのフェニル基がある。従 って、以下の方法で合成できる。 脱離してしまうので、エステルの アルコキシ基(OR)は何でもよ い。 10.60 エステルの合成法としては、1)カルボキシレートアニオンと一級ハロゲン化アルキル を用いる方法(教科書 324 ページ)、2)多量のアルコールとカルボン酸を酸触媒と共に加熱す る方法(Fischer エステル化法) (教科書 324 ページ)、 3)酸塩化物とアルコールを3級アミ ン存在下で反応させる方法(教科書 323 ページ)等がある。 (a) KOH C C I CH2CH3 OK O OH 1 4 O C OCH2CH3 O SOCl2 C Cl HO CH2CH3 4-メチルペンタン酸エチル Et3N O 大過剰のエタノールと共に加熱 (b) KOH C OK I CH2 O O O O CH2 OH SOCl2 C O Cl HO CH2 酢酸シクロペンチルメチル Et3N オリジナル問題 酢酸ブチルに臭化フェニルマグネシウムを反応させたときの生成物は? 10.59 と同種の問題であり、以下の 2 段階の反応で 1,1−ジフェニルエタノールが生成する。 1)酢酸ブチルのカルボニル基に Grignard 試薬(臭化フェニルマグネシウムのフェニル基)が求 核攻撃し、正四面体中間体を生成する。この中間体にはブトキシ基(OBu)という良い脱離 基があるので、これが脱離してカルボニル基が再生され、アセトフェノン(ケトンの一種) となる。 2)アセトフェノンのカルボニル基にもう1分子の Grignard 試薬が求核攻撃し、正四面体中間 体を生成する。この中間体にはもはや良い脱離基が無いので、このまま存在し、最後に酸 で処理すると 1,1−ジフェニルエタノールとなる 10.59 の(b)とほぼ同じ問題であるにもかかわらず、こちらが出来ていないものが多かった。(解 答集の丸写しは意味がないことを自覚して欲しい。
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