t e m p l e Y e n - z o u H i s t o r y 圓蔵寺縁起 ◎歴史◎ 千二百年におよぶ歴史を誇る 名刹・福満虚空蔵尊圓蔵寺。 いにしえの昔より霊験あらたかとし て人々の厚い信仰を広く集め、会津 では親しみを込めて﹁柳津の虚空蔵 さま﹂と呼ばれてきました。 圓蔵寺の福満虚空蔵菩薩は、千葉 県天津小湊町・清澄寺の能満虚空蔵 菩薩、茨城県東海村・日光寺の大満 虚空蔵菩薩と共に、日本三大虚空蔵 菩薩に数えられています。 御本尊である福満虚空蔵尊は弘法 によれば、延暦二十三年︵八〇四︶ 大師の御作と伝えられており、縁起 いにしえより続く人々の厚い信仰 弘法大師が三十一歳にて唐に渡り、 あ じゃ り 歴史の流れに消えることなく 青龍寺の慧可阿闍梨に謁して修行を え か 柳津の地に時空を越えて響く祈りの心 積み帰国の際に三鈷と霊木を授けら れました。帰国の途中、日本におけ る仏法興隆有縁の霊地を求めて三鈷 と霊木を海に投じると、不思議にも 三鈷は紀伊国︵和歌山︶に流れ着い たため、その地に真言宗総本山高野 山金剛峰寺が建立されました。一 方、霊木は、紀伊国那智の浦に漂着 したのを巡錫中の大師が見つけら れ、元・中・末に三断して再度海に 投じられました。後日、元木は安房 国 天 津浦に流れ着いて能満虚空蔵尊 が刻まれ、中木は常陸国村松に至り大 満虚空蔵尊が刻まれました。末木は、 越後の海より川を遡って柳津に至り、 土地の漁翁に拾い上げられました。霊 さいかいもくよく いっ 木が漂着した知らせを聞いた大師は、 とうさんれい 大慈大悲の願いを込めて斎戒沐浴し一 刀三礼されて虚空蔵菩薩の尊像を刻ま れました。これが霊験は比類するもの なきと言い伝えられている福満虚空蔵 尊であり、圓蔵寺は大同年間に法相宗 の大僧徳一によって開創されたと伝え られています。 寺の難工事を手伝った赤牛の話 や、七日堂裸まいりにまつわる話な ど、虚空蔵尊圓蔵寺に由縁の伝説も 多く、弘法大師が虚空蔵菩薩を刻ま れた際に出た木屑を只見川に投じた ところ、たちまち無数のウグイに変 じたと伝えられており、現在も魚淵 に群生するウグイは霊魚として厚く 保護され、昭和十五年には天然記念 物に指定されています。 10 11 約
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