調査計画で最も重要なことは まず、‘調査ありき’ではだめ 調査の目的を明確にすること 調査目的を明確にするとは • 工事を計画,設計,施工,維持管理するに はどんな情報が必要か? • 工事規模⇒調査深度や調査の密度 • 工事の内容⇒支持層確認,沈下や変形特 性の把握,斜面安定,地下 水情報,振動特性など • 現在どんな地盤情報が得られているか, 予想されるか 必要な情報を一度の調査で得る ことは“困 難” • 段階ごとに密度や精度を高めることが有 効 • 予備調査 • 本調査(補足調査) • 施工管理,維持管理調査 調査をうまくこなすめには 調査計画が重要 現場ごとに状況が異なることに注意 調査計画・調査時の留意点 • 資料収集とその有効活用,調査への反映 • 進捗状況に合わせて段階的に進める • 発注者と受注者がよく打ち合わせしながら 施工 • 調査中の結果に対する的確な判断(手戻 りや変更を恐れるな) • 実施計画書で受注者のレベルは評価でき る 主な地盤調査 • 地表地質踏査,現況調査(概ねすべての調査、 特に山地部) • 機械ボーリング(概ねすべての調査) • サウンディング(浅い深度にやわらかい、緩い土 層が分布するとき) • 物理探査(切土、トンネル、地下構造物など) • 各種検層(橋梁、地中構造物、港湾施設など) • 現位置試験 • 室内土質試験 • サンプリング(粘性土、緩い砂,岩盤など) 機械ボーリング ・ボーリング機械 パーカッション式 ロータリー式(一般の調査) ・調査ボーリングの機械 ハンドフィード型 ハイドロリックフィード型 ・土質ボーリングと岩盤ボーリング 孔内状況変化をどうして知るか • ハンドフィード型はレ バーの動きと感触で • 油圧フィード型は各種 計器の針の動き • 共通事項 機械の振動、発生音 エンジン負荷の状況 ポンプ圧の変化 循環水の量と色調 スラスムの量,形状等 コア,貫入試験試料 主なサウンディング • 標準貫入試験 • 静的コーン貫入試験 • 動的コーン貫入試験 標準貫入試験 • 地盤調査につきものと言って良いほど 頻繁に実施される試験 • 簡便 • 成果が多岐に活用できる(N値) • 土質試料が得られる • 土を直接肉眼で観察できる • 土質試験試料(撹乱試料)として利用で きる 静的コーン貫入試験 • オランダ式二重管コーン貫入試験 qu=(1/10∼1/15)qc (kgf/cm2) • ポータブルコーン貫入試験 qu=1/5qc(kgf/cm2)(単管式) • 電気式静的コーン貫入試験 • スウェーデン式サウンディング qu=0.0045Wsw+0.0075Nsw(kgf/cm2) 動的コーン貫入試験 • • • • 簡易動的コーン貫入試験 鉄研式大型動的コーン貫入試験 オートマチックラムサウンディング 大型貫入試験 物理探査 • 弾性波探査 • 電気探査 • 音波探査 検層 • • • • 速度(PS)検層 電気検 密度検層 地下水検層 主な検層と結果の利用 検層名 適用土質 地下水検層 飽和地盤 電気検層 全地盤 (孔内水 要) 速度検層 密度検層 全地盤 全地盤 適正孔径 得られる情報 結果の利用 地下水の比抵抗 の変化 地盤中の地下水 の流動区間把握 地すべり土塊判 定 66∼116mm 地盤の比抵抗分 布 帯水層の区分 挟在地層の把握 86∼116mm 地盤の弾性波速 度 耐震設計 地震応答解析等 地盤の密度 土層判定の補助 資料 86mm以上 (66) 66∼116mm 現位置試験 • ベーンせん断試験:軟弱粘性土の非排水せん断 強さ • 孔内水平載荷試験:変形係数 • 現場透水試験:透水係数 • 揚水試験:透水係数 • 湧水圧による透水試験:透水係数,間隙水圧 • 平板載荷試験(地盤,道路):支持力,変形係数 • 現場CBR試験:CBR値 • 現場密度試験:土の密度 • 現場せん断試験:せん断強さ 注) 現在、ベーンせん断試験、孔内水平載荷試験は サウンディングとされています。 主な室内土質試験 • 物理試験(密度、含水、粒度、液性限界・塑性限 界、湿潤密度試験) • 突き固めによる土の締め固め試験 • CBR試験 • 透水試験(変水位,定水位) • 圧密試験 • せん断試験(一面せん断、一軸圧縮、三軸圧縮、 リングせん断試験、繰り返しせん断試験) 物理試験 • 土の状態と性質を求め,特徴を明らかにして、土 を分類すること(主目的) • 土粒子の密度試験(間隙比、飽和度、粒径 の計算等) • 含水比試験(乾燥密度、間隙比、飽和度、 土の状態や種類の概略判定) • 粒度試験(粒度構成、ふるい分析と沈降分 析) • 液性限界・塑性限界試験(大まかな土の工学的 な性質) • 湿潤密度試験(単位体積重量) 液性限界・塑性限界 土粒子の粒径が小さくなると同一体積における表面積が大きくなり液性 限界・塑性限界は大きくなる。この傾向は液性限界の方が著しい。 含水比 増 土の状態 模式的 状態 液状態 コンソメスープ 状 塑性態 適当な型さの バター状 半固態 減 固態 チーズ状 ビスケット状 コンシステン シー限界 液性限界 塑性指数 塑性限界 収縮指数 収縮限界 限界の 定義 塑性を示す最 大含水比、流 状態となる最 小含水比 塑性を示す最 小含水比 乾燥しても体 積変化を生じ ない最大含水 比 締め固め試験 • 最大乾燥密度と最適含水比 • 最大乾燥密度と最適含水比はその土固有 の定数ではない • 締め固め仕事量の増加に伴い最大乾燥 密度は増加し、最適含水比は減少する • 現場における締め固めの指標として利用 締固め試験結果の一般的傾向 • 最大乾燥密度が高いほど最適含水比は低い • 粒度のよい砂質土ほど最大乾燥密度は高く、締 め固め曲線は鋭い • 砂でも粒度の悪いものは最大乾燥密度が低く、 締め固め曲線が平らで最大値が明らかでないこ とが多い • 火山灰質粘性土は極端に最大乾燥密度が低く、 最適含水比が高い 圧密試験 • 沈下量と沈下時間の予測に使用 • 得られる試験結果・・・e−logp曲線、Cc圧 縮指数、Pc圧密降伏応力、Cv圧密係数、 mv体積圧縮係数 • e−logp曲線、Cc圧縮指数、mv体積圧縮 係数:沈下量の計算 • Pc:これまでに受けた圧力 • Cv:沈下速度の計算 せん断試験 • 土のせん断定数C,φを知る • 一軸圧縮試験:原則としてφu=0とみなせ る粘性土に摘要。Cu=0.5・qu • 一面せん断試験:C,φが得られる。試料 が少なくてよい、操作が簡単、排水条件を 制御できない。砂質土、粘性土 • 三軸圧縮試験:C,φ ,E50が得られる。す べての土に摘要可。 サンプリング • 不撹乱試料と変状土試料 • 不撹乱試料採取 ボーリング孔を使用した採取 と使用しない採取 • ブロックサンプリング • 標準貫入試験 • 固定ピストン式シンウォールサンプラー • ロータリー式二重管サンプラー(デニソン) • ロータリー式三重管サンプラー(トリプル) • ロータリー式スリーブ内臓二重管サンプラー 固定ピストン式シンウォールサンプラー • • • • • 試料径:D=7.5cm 試料長:L=80cm 削孔径:Db=86mm N値4以下の粘性土 N値10以下の砂質土 ロータリー式二重管サンプラー • • • • 試料径:D=7.5cm 試料長:L=80cm 削孔径:Db=116mm N値20∼30以下の粘性土 ロータリー式三重管サンプラー • • • • 試料径:D=3∼5cm 試料長:L=100∼180cm 削孔径:Db=116∼600mm N値10∼15以上の砂(一部礫も可能) N値の長所と短所 長所 ・試料が採取できる ・試験結果の利用法が 確立されている ・データの蓄積が多い ・装置が簡便である 短所 ・操作する人により結果 が変化することがある ・試験結果の確認方法 がない ・利用法が試験法の持 つ限界を超えた所に まで及んでいる N値と土質定数 粘着力:C=(0.6∼1.0)・N (tf/m2) 内部摩擦角:φ=15+√15・N など 変形係数:E0=28・N (kgf/cm2) 平均せん断弾性波速度:Vs=100・N1/3 (粘性土),Vs=80・N1/3(m/s) • 液状化の判定 • 基礎の支持力計算 • • • • N値と経験的な支持力度 • • • • 砂質土:qa=(0.8∼1.0)・N(tf/m2) 沖積粘性土:qa=(1∼1.2)・N(tf/m2) 洪積粘性土:qa=(2∼5)・N(tf/m2) 関東ローム:qa=3・N(tf/m2) 内部摩擦角φと粘着力C • 土工構造物や基礎を設計するときにC,φ を知りたいが、土ではいくつかのC,φが 定義されている • 全応力法と有効応力法 • 排水強度と非排水強度 • ピーク強度と完全軟化強度,残留強度 土の特性 • 土は土粒子と空気と水から構成されている • 土に作用した荷重は土粒子と水が受け持つ • 地盤内の間隙水圧は静水圧と一致しているとは限 らない(静水圧より大きな水圧を過剰間隙水圧と 言う) • 土はせん断時に体積変化する(ダイレイタンシー) • 土はせん断時に緩い土は密に、密な土は緩くなる 全応力法と有効応力法 • 全応力法はせん断時の間隙水圧が不明 なときに採用 • 有効応力法はせん断時の間隙水圧が推 定できるときや過剰間隙水圧が作用しな いと考えられるときに採用 せん断試験法 • 非圧密非排水試験(UU試験) • 圧密非排水試験(CU試験)(間隙水圧を測 定するときCU試験) • 圧密排水試験(CD試験) • UU、CU試験は粘性土を対象に行うことが 多い • CD試験は砂質土を対象に行うことが多い • 供試体の直径は最大粒径の5∼20倍 安定計算に用いる強度定数 検討時期 全応力法 有効応力法 透水性 低い 施工直後 透水性 高い 透水性 低い 施工後長 期間後 透水性 高い Cu,φu,U0 ,Ur C’,φ’,U0,Ur, UA C’,φ’,U0 Cd,φd,U0 Ccu,φcu,U0 C’,φ’,U0,UA Cd,φd,U0 C’,φ’,U0 ピーク強度、完全軟化強度、残留強度 • ピーク強度:最大のせん断強さを発揮する ときの強度 • 完全軟化強度:せん断時に体積変化が発 生しないときのせん断強度(正規圧密時の 強度) 概ねCs=0 • 残留強度:せん断変形が進み、せん断面 の土粒子が再配列したときの強度 概ね Cr=0 切土部の調査目的 • • • • 岩区分、土質区分 想定すべり面 各種物性値 地下水状況等 切土を計画・施工するときに注意が必要な地山 弾性波探査の目的 • • • • 表土、崖錐層等の厚さ 風化層の厚さ 岩盤の割れ目の状態 断層・破砕帯の概略位置、規模、性状 弾性波探査実施の注意点 • V字谷や急斜面、硬い岩体・巨礫の突出する斜 面では深さを誤認することがある • 下層に低速度層があるときは検出不能 • 中間層が薄いときは見出せないことがある • 測線長は探査深度の5∼6倍は必要 • 低速度帯の層厚が3m以下では検出不能 • 複雑な地質構造では解析困難 • 地下水の存在で速度値は異なる • 地質観察を考慮した解析が必要 岩盤法面に対する試験 • 単位体積重量試験 • 強度試験(一面せん断、一軸圧縮、三軸圧 縮試験) • 超音波測定試験及び動弾性係数測定 • 安定性試験、岩の乾湿繰り返し試験 • 土壌硬度試験ゃpH測定 地すべり調査の目的 • • • • • • 地すべりタイプの把握 地すべり範囲とブロック特性の把握 すべり面位置の把握 すべり面、移動土塊の土質特性の把握 地下水位とその分布の把握 地すべり発生後の危険度の把握 地すべり調査 • • • • • • • • 地表地質踏査、現況調査 物理探査(弾性波探査、電気探査) ボーリング調査 すべり面調査(パイプ歪計、孔内傾斜計、多層 移動計など) 地表変動計測(伸縮計、傾斜計、移動杭など) 地下水調査(地下水位測定、間隙水圧測定、地 下水検層、地下水追跡など) 現位置試験(貫入試験、孔内水平試験など) 室内土質試験(液性限界・塑性限界試験、粒度 試験、せん断試験など)
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