「科学の力でアイスクリームを作るぞ!」・ 「マイナス 196℃の世界」

4.3 出前講座「科学の力でアイスクリームを作るぞ!」・
「マイナス 196℃の世界」実施報告
石田
豊
【はじめに】
函館高専では本校 HP に出前講座や出前授業の実施テーマ一覧を掲載している。さらに実施テー
マ一覧をパッケージ化し、共有しやすい(だれでも実施可能)ようにしているため、担当教員の都
合が悪くても代理の講師を調整しやすい。そしてその結果、平成 26 年度は 72 件(2 月末現在の予
定含む)の出前講座を実施している。
技術教育支援センターでは出前講座のパッケージ・共有化によって今まで担当していなかった出
前講座テーマを実施することができた。ここでは、出前講座「科学の力でアイスクリームを作る
ぞ!」・「マイナス 196℃の世界」の実施状況を報告する。
【準備】
(1)マニュアル・DVD の確認
出前講座の講師を引き受けた段階でマニュアルや DVD を貰う。これらは出前講座のパッケージ・
共有化に協力できる教員が各担当テーマについてまとめたものである。マニュアルの様式は担当教
員によって様々だが、出前講座の一連の流れがわかる内容である。また、参加者に配布する資料や
パワーポイント資料、予備実験などを記録した DVD もある場合がある。これらを確認することによ
り、短時間で実施内容を理解でき、イメージすることができた。
(2)試作・レクチャー
マニュアル等で内容を確認した後、担当教員のレクチャーを受ける。「科学の力でアイスクリー
ムを作るぞ!」では実際に作ってみて、時間を把握し当日の予測を立てたり、作業をしながら失敗
例の話を聞き対策を考えることができた。
「マイナス 196℃の世界」では実際に予備実験を行いなが
ら安全対策の確認、やり方のアドバイスを受けた。
(3)消耗品の確認・発注
レクチャーと同時に道具類や消耗品の確認をおこなった。一通りの内容はレクチャーを受けた通
りだが、当日実際に作る量(アイスクリームの場合)、実験内容の選定(マイナス 196℃の場合)は
講師の裁量である。そのため、参加者の年齢層や時間を考慮に入れ購入する消耗品(材料)を決定
し、発注した。さらに、アイスクリーム作りに使用する氷(氷に塩を混ぜて温度を下げる)につい
ては大量に使用するので校内の製氷機から氷を持っていくことにした。
「マイナス 196℃の世界」で
使用する液体窒素については、校内の NMR 室にある液体窒素製造装置から 10L 持っていった。
【
「科学の力でアイスクリームを作るぞ!」実施内容】
講座実施日の前日に使用する氷の準備をおこなった。校内の製氷機から氷を集め、1 回の作業分
の 450g を量り二重にしたポリ袋に小分けした。参加者(小学 6 年生)は 19 名とその兄弟で 1 回当
たり 25 袋必要であり、1 人 2 回作るので予備も含め 60 袋作った。また、使用する計量スプーンや
計量カップを洗った。当日の氷の運搬には学校のレク用品のクーラーボックスを借用して利用した。
講座はまず、オレンジジュースでシャーベットを作ることか
ら始めた。用意した氷を袋ごとハンマーで細かく砕き、容器に
移した後塩を混ぜて温度を下げる。その中にアルミトレイを置
き、オレンジジュースを少量ずつ入れてかき混ぜていくとシャ
ーベット状になる。
オレンジシャーベットを作った後、パワーポイントのスライ
ドで物質の状態変化、塩で温度が下がる仕組みを説明した。
最後に再度氷を配り、アイスクリームを作った。材料は牛乳、
生クリーム、グラニュー糖、卵黄、バニラエッセンスである。
図 1 アイスクリーム作り風景
時間の関係で氷は予め小分けしていたが、アイスクリームの材料は各自に量ってもらった。図 1 は
作業風景である。
【「マイナス 196℃の世界」実施内容】
「マイナス 196℃の世界」は液体窒素を使った実験の観察である。液体窒素を使った実験は数多
くあるが、今回行った実験は以下の通りである。
(1)やかんに液体窒素を入れて常温でも沸騰することを確認する。
(2)液体窒素の中に花を浸けて凍らせてから砕く。
(3)液体窒素の中にゴム製のパイプを入れてパイプの先から液体窒素を飛び出させる。
(4)液体窒素でスーパーボールを冷やして、跳ね方の違いを見る。
(5)膨らませた風船を液体窒素に中に入れて萎ませる。液体窒素から出すと膨らむ。
(6)口に風船を付けたフラスコを液体窒素に入れて萎ませる。
(7)フィルムケースに液体窒素を含ませたティッシュを入れてフタを飛ばす(フィルムロケット)。
(8)液体窒素を床に撒く。
(9)液体窒素の中にマシュマロを入れて凍らせて食べる。
(10)コーラに液体窒素を入れてシャーベットを作って食べる。
実験は 1 つのテーブルに参加者を集めて見てもらった。時間
は 30 分程度で終了した。図 2 は実験風景である。
【おわりに】
図 2 実験風景
2 件の出前講座を実施して、実施マニュアルが非常に助けに
なり有効であった。実施マニュアルは技術教育支援センターの出前講座であるスーパーボール工作
でも非常に有効である。特定の技術職員のみが実施するのではなく、他の技術職員、教員、学生で
も短時間で習得できることが理想である。今後は DVD 動画も含めて実施マニュアルの整備を進めて
いきたい。