2015.10.15 経営課題アンケート調査結果について

平成27年9月
青森商工会議所
経営課題アンケート調査結果について
■実施目的
■実施期間
■実施方法
企業を取り巻く経済環境が変化する中、会員企業が抱える経営上の課題等を把握し、今後
の会議所活動に活かすことを目的として実施。
平成27年6月17日(水)~7月3日(金)
会議所議員、部会幹事、青年部、振興委員、マル経利用事業所等を対象に、FAX又は郵
送により調査票を送付、FAXにて回答をいただいた。
依頼事業所数
回収事業所数
686社
255社
(回収率37.2%)
【業種構成】
サービス
24.3%
その他
0.0%
製 造
8.6%
建 設
16.5%
宿 泊
2.7%
金融保険
4.3%
卸 売
11.0%
情報通信
2.7%
運 輸
3.1%
小 売
21.6%
飲 食
5.1%
【従業員規模】
51人~
18.8%
0~5人以下
33.7%
21~50人以下
16.5%
11~20人以下
16.9%
■調査内容
6~10人以下
14.1%
・年間売り上げの推移について
・経常利益の推移について
・直面する経営課題について
・課題に対する対応策について
・現在望まれる経営支援について
・事業承継について
・会議所事業の中で、より一層の強化を希望すること
・会議所活動全般に対する意見・要望について
-1-
【調査結果の概要】
(1)26年度(平成26年4月~平成27年3月)の売上と前年度の売上比較
前年度(平成25年4月~平成26年3月)との比較では、売上が増加したとの回答が32.9%、
減少したが49.4%となっており、減少したとの回答が16.5ポイント上回る結果となった。
昨年度の同様の調査では、増加したが44.9%、減少したが34.1%で、増加したとの回答が
10.8ポイント上回ったものの、26年度は、増減割合が逆転して、景気の厳しさがうかがえる
結果となった。
また、売上が増加したと回答した企業の増加割合は、1割未満の増加が57.1%、1割以上2
割未満が25.3%、減少したと回答した企業の減少割合は、1割未満の減少が54.0%、1
割以上2割未満の減少が25.4%を占める結果となった。
26年度の年間売上の比較(対前年度)
減少した
49.4%
増加した
32.9%
2割以上
3割未満
6.0%
30割 増加割合
以上
7.1%
1割未満
57.1%
1割以上
2割未満
25.3%
不
変
17.6%
2割以上
3割未満
1.6%
30割 減少割合
以上
4.0%
1割未満
54.0%
1割以上
2割未満
25.4%
■業種別
業種別では、増加したとの回答が多かっ
たのは、情報通信業の71.4%、次いで
金融・保険業の63.6%、宿泊業の42.
9%、サービス業の40.3%となってお
り、減少したとの回答が多かったのは、小
売業の72.7%、次いで卸売業の57.
1%、製造業の50.0%となっている。
全業種
製造業
建設業
卸売業
小売業
飲食業
運送業
情報通信
金融・保険
宿泊業
サービス業
32.9
17.6
49.4
27.3
22.7
50.0
38.1
21.4
40.5
28.6
14.3
57.1
12.7 14.5
72.7
30.8
23.1
46.2
37.5
25.0
37.5
71.4
0.0 28.6
63.6
9.1 27.3
42.9
14.3
42.9
40.3
19.4
40.3
0%
50%
増加
-2-
不変
100%
減少
(2)今年度(平成27年4月~平成28年3月)の売上見込は、26年度と比較してどうか。
今年度の売上見込は、26年度(平成26年4月~平成27年3月)と比較し、増加するとの回
答が29.4%、減少するが39.2%であり、減少するとの回答が9.8ポイント、上回る結果
となっており、依然として厳しい見込となっている。
また、増加すると回答した企業の増加割合は、1割未満が65.3%、1割以上2割未満が21.
0%となっており、減少すると回答した企業の減少割合は、1割未満が65.3%、1割以上2割
未満が30.1%を占める結果となった。
増加割合
今年度の売上見通し
30割
以上
6.7%
2割以上
3割未満
3.2%
増加する
29.4%
1割以上
2割未満
21.0%
減少する
39.2%
1割未満
65.3%
減少割合
不
変
31.4%
2割以上
3割未満
9.6%
30割以上
3.0%
1割以上
2割未満
30.1%
1割未満
65.0%
■業種別
業種別では、増加するとの回答が多かった
のは、金融・保険業の45.5%、次いで宿泊
業の42.9%、サービス業の40.3%であ
り、減少するとの回答が多かったのは小売業の
58.2%、次いで宿泊業の57.1%、卸売
業の46.4%、製造業の45.5%となって
いる。
29.4
31.4
39.2
27.3
27.3
45.5
23.8
42.9
33.3
32.1
21.4
46.4
18.2
23.6
58.2
23.1
53.8
23.1
25.0
50.0
25.0
28.6
28.6
42.9
45.5
27.3
27.3
42.9
0.0
57.1
40.3
33.9
25.8
全業種
製造業
建設業
卸売業
小売業
飲食業
運送業
情報通信
金融・保険
宿泊業
サービス業
0%
20%
増加
-3-
40%
不変
60%
減少
80%
100%
(3)26年度の経常利益は、前年度(平成25年4月~平成26年3月)と比較してどうか。
26年度と前年度と比較して、経常利益が
増加したとの回答は31.4%、減少したと
の回答は45.9%となっており、減少した
との回答が14.5ポイント上回る結果とな
った。
要因としては、前述の売上減少に加え、仕
入れ価格の高騰による利益率の低下や人件費
等の経費負担の増加等により、経常利益の減
少に繋がったものと推察される。
26年度の経常利益
減少
した
45.9%
増加
した
31.4%
不 変
22.7%
(4)今年度の経常利益の見込は、26年度と比較してどうか。
今年度の経常利益の見込は、26年度と
比較して、増加するとの回答は23.5%、
減少するとの回答は36.9%となっており
減少するとの回答が13.4ポイント上回る
結果となった。
今年度の経常利益の見込についても、前年
同様、厳しいものとなっている。
減少
する
36.9%
今年度の経常利益の見通し
増加
する
23.5%
不 変
39.6%
(5)現在、貴社が直面している経営上の課題は何ですか。
直面している経営課題としては、人材の確保・育成との回答が46.7%、次いで売上不振が40.
4%、価格競争の激化が38.0%、原材料価格の高騰が36.0%となっている。
人財の育成・確保について、業種別では、飲食業が76.9%、建設業が71.4%、宿泊業が5
7.1%、金融・保険業が54.5%と高い結果となっている。
50.0
45.0
40.0
35.0
30.0
25.0
20.0
15.0
10.0
5.0
0.0
46.7
40.4
38.0
36.5
31.4
17.3
10.2
14.9
10.6
8.2
2.4
-4-
(6)直面する課題に対し、どのような対策を講じていますか。
直面する課題に対する対策としては、経費の削減が54.1%と最も高く、次いで新規取引の開拓
が44.3%、人材育成が42.4%と高い結果となっている。
54.1
60.0
50.0
44.3
40.0
42.4
28.6
30.0
18.8
20.0
8.6
10.0
7.1
5.9
5.1
1.2
0.0
(7)現在、望まれる経営支援について
現在、望まれる経営支援については、人財確保・育成支援が36.5%と最も高く、次いで経
営安定・金融支援が33.7%、販路開拓・マーケティング支援が24.7%となっている。
40.0
35.0
30.0
25.0
20.0
15.0
10.0
5.0
0.0
33.7
36.5
24.7
19.6
18.4
15.3
10.6
9.4
5.5
-5-
2.4
1.6
(8)事業承継について
(8)-1.代表者の年齢について
今回の調査結果では、49歳以下が24.1%と最も高く、次いで50~59歳が23.3%
と60歳未満の経営者が全体の47.4%を占める結果となった。
青年部の回答割合が全体の14.9%だったことも要因としてあるが、企業の世代交代も進んで
いるものと考えられる。
24.1
25.0
23.3
20.1
17.3
20.0
15.0
8.0
10.0
4.8
5.0
2.4
0.0
49歳以下
50~59歳
60~64歳
65~69歳
70~74歳
75~79歳
80歳以上
(8)-2.後継者の予定について
後継者の予定については、後継者は決まっていないが後継者候補はいるとの回答が39.9%、
後継者が決まっており事業を承継するとの回答が28.8%、自分が若いので、後継者を決める必
要がないとの回答が18.5%となっている。
39.9
40.0
35.0
28.8
30.0
25.0
18.5
20.0
15.0
10.0
5.0
5.3
2.5
4.9
0.0
一方で、当所取扱いのマル経利用事業者221社(H24年~26年)への調査では、代表者の
年齢が65歳以上では、70.5%が後継者無しとみなされており、また平成26年度に県が実施
した商店街実態調査でも、商店街が抱える問題点として、
「経営者の高齢化による後継者問題」が、
55.0%と最も多くなっているなど、中小・小規模事業所にとって事業承継問題が、今後の大き
な課題となっていることが伺われる。
-6-
(8)-3.事業承継における課題について
事業承継における課題については、後継者の育成との回答が20.1%と最も高く、次いで特
に課題はなしとの回答が15.3%、取引先との関係維持が12.3%、借入金・債務保証の引
継ぎが11.7%、株式・事業資産の譲渡が11.1%、承継後の事業計画10.3%の順とな
った。
25.0
20.1
20.0
15.3
15.0
12.3
11.1
10.0
11.7
10.3
9.2
6.7
3.1
5.0
0.3
0.0
(9)商工会議所事業の中で、より一層の強化を希望する事業について
最も高かったのは、魅力あるまちづくりの推進との回答が26.2%、次いで経営支援の強化が2
4.2%、観光振興の推進が17.0%、行政等への要望活動が14.2%の順となっている。
30.0
26.2
24.2
25.0
17.0
20.0
13.1 14.2
15.0
10.0
5.0
8.6
8.4
8.9
5.6
10.0
5.6
1.9
3.1
0.3
0.0
-7-
(10)会議所事業・活動に対する意見・要望
【経営支援】
・金融支援の更なる強化。
・中小企業向けの融資制度の緩和、助成金の強化。
・新分野の開拓について、個々の企業に合った方向性を相談できる機会が欲しい。
・域外からお金を稼いでくる業種への支援の強化。
・色々な業種のコラボや、新商品の開発は一企業では限界があり、初期段階での支援が必要。
・経営相談・人材確保・金融支援の窓口を広げて欲しい。
【商業・産業振興】
・プレミアム商品券の発行事業は、利用者からの反応が早く、結果も出やすい事業だと思うので今後
も継続するよう検討して欲しい。
・消費者の購買意欲を喚起するような事業を実施して欲しい。
・青森をより活性化させ、景気回復を図って欲しい。
・雇用を維持、発展させることが、人口対策であり、街づくり、税収対策他、全ての基本だと思う。
・青森市は、弘前・八戸に比べてかなり遅れている。交流人口を増やす工夫が必要。
・活性化が成功している地域事例を視察・研修し、青森市への活用を図るべき。
・地域の人口が減少し続けるなら、縮小するマーケットを奪い合うだけで、地域経済は絶対に振興出
来ない。人口増加を図る以外に、地域経済の振興策はない。
【観光振興】
・消費拡大の為にも観光客の誘致に力を入れて欲しい。
・北海道新幹線開業を活用した、新しい観光素材の発掘。
・北海道新幹線開通に伴う、新しい観光誘客策に取り組んで欲しい。
・伝承料理を盛り上げ、新しい食文化等で観光客の誘致を図ることも一つの方法だと考える。
・新幹線はいずれ通過駅になるので、それに頼らず、車で来るお客様への対応(高速道路料金の割引
等)をお願いしたい。
・青森県にあるものと言えば、
「自然と農業」であり、これを活かすべき。
・広告、広報にインパクトが無く、何がやりたいのか方向性が見えない。青森のPRに本腰を入れて
欲しい。
【中心市街地活性化・街づくり】
・青森駅を中心とした中心市街地活性化に向け、アウガ、サンフレンドの活用、市役所の移転等によ
り賑わいを取り戻すことが必要。
・新駅舎、アウガ問題を先延ばしするのではなく、市に対し早期の決断を促すべき。
・強力な街づくりの推進が必要だと考える。コンパクトシティはこれからどうなるのでしょう?
・人口減少に対する対策。若者が暮らせる街づくりの推進。
・中心市街地の商店街の衰退を止める方法は、駐車場を無料化することだと思う。
・駐車券の発行等について、売上金額に応じて、ポイントが蓄積するカードを発行するなど、商店街
全体の店が公平な負担で参加できるシステムを作り、利用者が安心して来られる魅力ある街づくり
に知恵を出してもらいたい。
・青森市として魅力を持ち、県外の人が観光として来てもらえる街になれば、街は活性化する。小手
先の振興策も有りだが、市内だけの消費力には限界がある。
-8-
【会議所活動】
・商工会議所活動が魅力的であること。魅力ある事業を行うこと。
・会議所のメリットがよく説明できない。
・会議所活動がわかりづらい(見えない)
・職員を増やして、会員事業所を訪問し、事業近況等の話しを聞く回数を増やすこと。企業の営業活
動と同じで、通年継続するべきだと考える。
・会議所の活動全般を見ても本気度が低い。
・新入会員の交流会に実施した、企業の1分間PR等の事業を是非実施して欲しい。
・情報の共有化を図ることで、会員間の横の繋がりが広がるのでは。また、近隣市町村との連携があ
まり無いように感じる。
・建設業の業績が悪いので、行政等への要望活動を強化して欲しい。
●今後の対応について
当所では、平成27年度事業計画の基本的考え方として、会員事業所の声を反映させ、観光をはじめと
した地域経済の振興と中小企業の活力強化を行うとともに、将来を見据えた魅力あるまちづくりの実現に
向け、
「魅力ある街 青森の力 結集・実行 更なる躍進」のスローガンのもと積極的に取り組むこととし
ている。
このため、中小・小規模事業者の経営の改善を図るため、需要開拓や事業承継等の事業者が抱える経営
課題に対し、事業計画の策定や着実な実施等を事業者に寄り添った伴走型の支援を行うとともに、人材育
成、販路拡大など企業経営に資する講習会・セミナーの開催、金融支援、巡回・窓口相談の強化など、経
営支援により一層努める。
観光振興については、来年3月の北海道新幹線開業に向けて青函の連携をはじめとした広域連携事業に
積極的に取り組むとともに、観光客誘客による交流人口拡大のための事業に磨きをかけ、多様な観光商品
の造成と情報発信を行う。インバウンドについては、7月31日、国際会議観光都市に認定された青森市
並びに青森観光コンベンション協会と連携し、スポーツコンベンションやインセンティブツアーなどのM
ICE誘致を推進する。
また、魅力あるまちづくりを推進するために、ソフト・ハードの両面から中心市街地並びに市内商店街
の賑い創出に向けた取り組みを支援するとともに、AOMORI春フェスティバル事業や、バル街事業、
市内5大学と連携して実施する「まちなかキャンパス」事業など、中心市街地活性化や商店街振興に積極
的に取り組む。
さらに、県・市との重点課題に関する懇談会開催など、行政等との情報共有を図り、会員の意見・要望
を取りまとめ、効果的な要望活動を積極的に展開するとともに、より多くの商工業者の意見を反映させ、
組織エネルギーを結集した事業展開や政策提言活動の充実を図るため、議員、部会、青年部、女性会、事
務局が一体となった会員増強活動を実施する。
以
-9-
上