改正次世代育成対策推進法「行動計画」策定のための手引き(改訂版) ~仕事と家庭の両立支援の取り組みを、さらに一歩進めよう~ 改正法を背景に、制度と環境を獲得しよう 計画の策定および取り組みの進捗管理は労使協議で行おう! 1.はじめに 2003 年に成立した次世代育成支援対策推進法は、次の世代を担う子どもたちが健やかに 生まれ育つ社会を実現するため、国、地方公共団体、事業主、国民が担う責務を明らかに し、2005 年 4 月より 10 年間をかけて集中的かつ計画的に取り組まれてきました。 本法律の施行により、企業・団体における仕事と子育ての両立支援の取り組みが進展し、 両立支援に係る制度の整備や利用は進んできています。しかし、依然として出産や育児の ためにやむを得ず離職する女性は 6 割にのぼり、男性の育児への参画は諸外国に比べて遅 れています。そのため、仕事と子育ての二者択一が迫られるような状況を解消し、男女が ともに仕事と子育てが両立できる雇用環境の改善・充実が求められているとして、改正次 世代育成支援対策推進法(以下:改正次世代法)が 2014 年 3 月に成立し、取り組み期間が 2025 年 3 月までの 10 年間延長されることが決まりました(2014 年 4 月 23 日公布。法律期 限の延長については、同日施行。行動計画策定のための具体的な内容については、2014 年 11 月 28 日に省令・指針・通達が交付された)。 改正次世代法では、期間雇用者などを含む全従業員の仕事と子育ての両立を図るために 策定する「一般事業主行動計画」および「特定事業主行動計画」 (以下:行動計画)の策定・ 届出等を、常時雇用する従業員が 101 人以上の企業、および団体に義務づけています。法 律期限が延長されたことにより、従業員が 101 人以上の企業、および団体においては、引 き続き 2025 年 3 月 31 日まで行動計画の策定・届出を行う義務が生じるため、2015 年 4 月 1日施行にあわせ、多くの企業・団体が行動計画を策定することが想定されます。 連合は、労働組合が行動計画策定に積極的に関与し、実効性の高いものとするため、改 正次世代法の改正内容を反映した取り組みの手引きを策定することとしました。 構成組織、加盟組合におかれましては、行動計画策定に関する労使協議等に本手引きを ご活用いただき、仕事と子育ての両立に関する取り組みの促進のため、本手引きをご活用 ください。 連合 1 総合男女平等局 2.次世代育成支援対策推進法とは (1) 法律の概要 ○「次世代育成支援対策推進法」は、次代の社会を担う子どもが健やかに生まれ、育 成される環境を整備するために、国、地方公共団体、企業、国民が担う責務を明ら かにし、2005 年(平成 17 年)4月1日から施行されています。 ○この法律において、企業は、従業員の仕事と子育てに関する「一般事業主行動計画」、 国・地方公共団体は「特定事業主行動計画」を策定することとなっています。 常時雇用する従業員が 101 人以上の企業は、この行動計画を策定し、その旨を都 道府県労働局に届け出ることが義務とされています(100 人以下の企業は努力義務)。 特定事業主(国・地方公共団体)は行動計画を策定し、公表することが義務づけ られています。 ○企業の自発的な次世代育成支援に関する取組を促すため、行動計画に定めた目標を 達成したなどの一定の基準を満たした企業は、申請することにより、厚生労働大臣 の認定(くるみん認定)を受けることができます。さらに、認定を受けた企業が、 より高い水準の取組を行い一定の基準を満たすと、特例認定(プラチナくるみん認 定)を受けることができます。※それぞれくるみんマーク、プラチナくるみんマー クを名刺や広告、商品などに記載することができます。※一般事業主のみ ○特例認定を受けた後は、行動計画の策定・届出義務が免除される代わりに、 「次世代 育成支援対策の実施状況」について公表を行う必要があります。※一般事業主のみ ○認定・特例認定を受けた企業には、税制優遇制度があります。※一般事業主のみ (2) 事業主行動計画の策定について ①一般事業主行動計画とは ○企業が、次世代法に基づき、従業員の仕事と子育ての両立を図るために策定する計 画のことです。 ○企業は、従業員の仕事と子育ての両立を図るための雇用環境の整備や、子育てをし ていない従業員も含めた多様な労働条件の整備などに取り組むにあたって、行動計 画に以下の内容を定めます。 ①計画期間(2年から5年の範囲で設定するのが望ましいとされています) ②目標 ③目標を達成するための対策の内容と実施時期 ○常時雇用する従業員が 101 人以上の企業には、行動計画を策定・届け出るとともに、 一般への公表、従業員への周知が義務付けられています(100 人以下の企業は努力 義務)。 2 ②特定事業主行動計画とは ○国・地方公共団体が、次世代法に基づき、従業員の仕事と子育ての両立を図るため に策定する計画のことです。 ○一般事業主行動計画と同様、行動計画に以下の内容を定めます。 ①計画期間(一定の期間を区切って計画実施することが望ましいとされています) ②目標 ③目標を達成するための対策の内容と実施時期 ○行動計画の策定・公表、職員への周知が義務付けられています。 (3) 改正のポイント 【次世代法の主な改正ポイント】 現行 改正後 法律の有効 期限 2005 年4月1日~2015 年3月 31 日 2015 年4月1日~2025 年3月 31 日まで (10 年間の時限立法) (10 年間延長) 行動計画策 定指針 下記の内容を踏まえ、行動計画を策 左記の内容に加え、 定するよう指針に定めている。 ①非正規雇用の労働者が対象であるこ ■基本的な視点 と ①仕事と生活の調和、②仕事と子育 ②働き方の見直しに資する取り組みを ての両立、③企業全体での取り組み 進めることが重要であることが行動 等、④企業の実情を踏まえた取り組 計画を策定するための指針にあらた み、⑤社会全体による支援 に明記されました ■行動計画の内容に関する事項 ○仕事と家庭の両立支援のための雇 用環境の整備 ○働き方の見直しに資する労働条件 の整備等 新たな認定 行動計画を策定・届出し、一定の要 現行の認定基準(くるみん認定)に加え、 基準の創設 件を満たすと、厚生労働大臣から認 既にくるみんマークを受けた企業のう 定(くるみん認定)を受けることが ち、特に次世代育成支援対策の実施状況 できる制度 が優良な企業に対する新たな認定(特例 認定)制度が創設される(P11 参考資 料④参照) 。 特例認定の 基準と実績 値公表の義 特例認定を受けた場合、行動計画の策 務 の公表を義務付ける。 定・届出義務に代えて、毎年少なくとも 1回、次世代代育成支援対策の実施状況 3 3.労働組合の取り組みの要点 改正次世代法における行動計画の策定、届出(公表)を主体的に実施することは、企業・ 団体の責務ですが、行動計画の内容をより実行性のあるものとするために、労働組合が行 動計画策定に積極的に関与していくことが求められます。労使で行動計画を策定していく ことを企業・団体に働きかけましょう。 労働組合が、行動計画策定に関与する際の取り組みの要点は以下の通りです。 (1) 計画の策定を要求する 改正次世代法では、常時雇用する従業員が 101 人以上の企業、および団体には、行動 計画を策定・届け出るとともに、一般への公表、従業員への周知が義務付けられていま すが(特定事業主は行動計画策定と公表が義務付け)、仕事と家庭の両立の観点から、企 業規模に関わらずすべての企業で行動計画を策定するよう労働組合から事業主に求めま しょう。また、行動計画策定にあたっては、組合が組合員のニーズを把握した上で、積 極的に策定過程に関与できる体制を作ることが重要です。 (2) 労使協議による計画策定 改正次世代法の行動計画策定指針では、労働者の意見を反映するための方法として、 労働組合等に対するアンケートや意見聴取等が示されています。組合員が利用しやすい、 現場のニーズを踏まえた実効性のある計画を策定するために、計画策定段階から労使協 議を行うことを要求しましょう。 (3) 企業内のすべての労働者を対象とした計画策定を 今回の法改正では、行動計画策定指針に「非正規労働者も対象である」旨が改めて明 記されました。行動計画策定にあたっては、均等待遇の観点から、有期契約労働者やパ ートタイム労働者を含めたすべての労働者を計画の対象に含めるよう労働組合から会社 へ働きかけをおこなうことが重要です。 (4) 行動計画の内容を協定化 策定した行動計画の内容で、雇用労働条件に関する内容については、労働協約を締結 するよう企業へ要求しましょう。また、行動計画や協定の内容について、労働者にきち んと周知がなされるよう、会社に働きかけをすることが大切です。 (5) 計画の進捗管理 行動計画の策定はもとより、その後の進捗管理が計画の実効性を高めるうえで重要で す。労使で定期的に取り組みのチェックを行うための仕組みを設け、計画が円滑に進ん でいない場合には、早めに原因を究明し、計画の見直しを図るなどの検討が必要です。 なお、行動計画が予定通り実施できた場合には、さらなる改善にむけた新たな行動計 画を策定することを企業・団体に働きかけましょう(一般事業主については、今回新た に創設された特例認定制度の取得も視野にいれた行動計画策定を働きかけましょう)。 4 4.行動計画策定の流れと労働組合の具体的な取り組みのポイント 行動計画の策定から認定までの流れについて、各段階における法律の規定や、労働組合 の取り組みポイントを下記にまとめました。このチェックシートを活用し、労使で協議を 進めていきましょう。 別表1)計画策定の手順 手順 企業の計画策定の流れ 法律・省令・指針の規定 【指針】人事労務担当者、労働者 1.計画策定の体制づくり 代表等を構成員として行動計画の 担当部署の設置 策定および実施のための社内委員 (詳細はP6参考資料① 会の設置等が望ましい(一般事業 計画策定 A参照) 主のみ) の準備 2.職場の実態・現状や従 【指針】労働者のニーズ踏まえるこ 業員のニーズの把握 とが重要。労働者や労働組合など (詳細はP6参考資料① に対するアンケート調査や、意見聴 B参照) 取等による労働者の意見反映。 【指針】非正規雇用の労働者や非 3.計画内容の検討・決定 正規職員等も取り組みの対象であ ①取り組みの対象 ることを認識して取り組みを進める ことが重要 労働組合の取り組みのポイント ○労使協議による計画策定を要 求し、労使委員会等などによる計 画策定を求めていますか? ○計画策定に複数の女性の参画 を求めていますか? チェック ○企業とは別に労働組合独自の 調査を行い、交渉等に向けた準備 をしていますか? □ ○すべての労働者を計画の取り 組み対象としていますか? □ ○計画期間を2年程度に設定し、 3.計画内容の検討・決定 【指針】一般事業主は2~5年、 計画の評価や改善を可能にする。 ②計画期間の設定 特定事業主は一定期間に区切った 機関を短くすることが難しい場合 (詳細はP8参考資料① 計画の策定が望ましい は「必要な場合見直す」ことを計画 C参照) に規定していますか? ○男性も含めた働き方の見直し (長時間労働削減など)をはじめと 3.計画内容の検討・決定 する、仕事と子育ての両立に関連 行動計画策定指針に基づき、仕事 ③目標の設定 する具体的目標(数値目標が望ま と子育ての両立支援や働き方の見 計画策定 (詳細はP8参考資料① しい)を計画に盛り込んでいます 直しに資する計画をつくる と周知等 C参照) か? *計画項目の具体例は別表を参 照のこと □ □ □ □ □ 4.計画を達成させるため 同上 の対策を立てる ○法定以上の制度を盛り込むよう 努めていますか? 5.策定した計画の公表お 【法律】計画の公表及び労働者へ よび労働者への周知 の周知措置は義務 ○計画された制度の労働協約の 締結を要求していますか? ○計画の意義について組合員に 周知していますか? ○企業に管理職教育の実施を求 めていますか? □ □ □ ○表面化した課題の対策検討して いますか? ○労使によるPDCAサイクルの確 立していますか? □ □ 6.計画の届出 7.計画の進捗管理 (詳細はP8参考資料① D参照) 【法律】一般事業主は計画の届け 出が義務付け、特定事業主は計画 の公表が義務付けられている 【指針】各種取り組みを評価・点検 し、その結果や対策を計画に反 映。PDCA(計画、実行評価、改 善)サイクルの確立が重要。 ○残った課題を抽出しています か? 計画の進 捗管理と 8.次の計画策定 認定制度 の利用 9.認定の申請 (詳細はP8参考資料① D参照) 【指針】PDCA サイクルの中で、実 効性のある対策の実施や計画の 見直し等を 行うことを通じて、認定や特例認定 の取得に至ることが期待される。 (一般事業主のみ) ○調査・確認を通じて次の計画を 検討していますか? 例:不利益取り扱いがないかを確 認する。制度の利用状況を点検す る。職場の雰囲気を点検する ○認定がされた場合には、次回計 【法律】認定を申請する際には都道 画策定にあたって特例認定制度 府県労働局へ届け出(一般事業主 の取得を見据えた計画の策定が のみ) されるよう企業に求めています か? 5 □ □ □ 【参考資料①】 P5「4.行動計画策定の流れと労働組合の具体的な取り組みのポイント」に関する詳細説明 A.計画策定の体制づくり 1.責任体制の明確化・経営者の認識が重要 計画の策定と計画の実施を円滑に進めるために、計画の策定と実施の責任体制を明確に する必要があります。また、計画の確実な実行のためには、企業・団体全体の理解を得る 必要があり、その意味で経営者が計画の社会的な価値や長期的な観点から見た企業・団体 内外への影響の重要性を十分認識していること大事です。 2.担当部署の設置と労働組合・女性の参画を 計画が着実に進捗するよう、担当部署や委員会などを設置し、課題の調査や計画の策定、 計画に基づいた取り組みの推進を行うことが重要です。組合員が利用しやすい、実効性の ある計画が策定・推進されるよう、計画策定段階から労働組合が参画することを要求しま す。また、女性の就業継続の観点を踏まえ、担当部署や委員会には女性を複数名配置する などの対応を企業・団体に求めることが重要です。 B.現状把握のための実態調査(意識調査) 計画策定に先立って、働きながら妊娠・出産や子育てをするために必要な環境の整備状 況や、男性の育児参画が進むための課題等について調査を行うことも、労働者のニーズ・ 実態を把握する手段として有効です。 労働組合は、実態をしっかり把握するため、調査の実施を会社に働きかけ、さらに、調 査方法や調査項目についても、必要な情報が得られることを求めます。また、企業・団体 が実施する調査とは別に、組合として組合員の意向等の調査をし、行動計画策定時に意見 反映していくことが重要です。なお、事業所内におけるすべての労働者を対象とする行動 計画策定を念頭におき、調査の対象は、有期契約労働者やパートタイム労働者を含むすべ ての労働者とします。 調査結果の評価・分析にも、労働組合は積極的に関与して、実態に即した対策が講じら れるよう働きかけましょう。 ●調査の目的 調査の目的は、育児休業等、子どもを育てるために必要な制度や、働き方の見直し等に よる家庭と仕事との両立を可能にするための職場風土醸成に向けて、きちんと実態を把握 することにあることを労使で共有することが大切です。 6 ●調査の柱 調査では、 ①既存の制度のあり方 ②制度の実施の状態 ③制度への良い評価・不具合(運用面・人的側面も含め)の指摘 ④必要となる制度 ⑤仕事と家庭の両立を阻害している要素(長時間労働削減など働き方の見直しに関する 項目を)を柱に、性別・役職別に実施します。 ●調査の協力者に対する不利益が無いように 調査に際しては、帳票による場合もヒアリングによる場合も、組合員(回答者)が、回 答内容によって不利益な扱いを受けないよう、チェックする必要があります。 ≪調査項目例≫ ①基礎調査項目(属人項目) ・・・年齢・家族構成(未婚既婚・子の有無・要介護家族の有無) ・勤 続年数・職種・契約形態・勤務時間帯・管理職であるか・変形労働時間制度が適用されているか など ②育児休業取得希望の有無と理由 希望する期間・条件(希望しない場合はその理由)、育児休業をとりにくい雰囲気の有無 ③短時間勤務希望の有無と理由(希望する期間・条件) ④賃金補償への意向 ⑤育児等支援制度への希望 フレックスタイム制度、 時間外労働・深夜労働・休日労働への規制 保育所整備(会社で・会社周辺で・自宅周辺で) 、ベビーシッターへのニーズ、 子どもの看護休暇、家族の看護休暇、休業中の教育訓練(職務遂行能力の維持向上) 、 休業中の情報提供(職場復帰時の不安を取り除くため)、休業後の職場復帰(制度と実態)、出産 を理由とした退職者の再雇用制度、子育てに関する情報提供 ⑥その他育児をしながら仕事を続けるために必要なこと(職場環境など) ⑦男性の育児休業取得のために必要なこと ⑧産休や育児休業の取得に対する批判の意見 ⑨労働時間の実態と労働時間削減のために必要なこと ⑩既存の制度の利用しやすさ、休暇の取りやすさ ⑪保育所、学童保育など地方公共団体の施設や支援制度に関する会社からの情報提供等について 7 C.計画期間・目標の設定 1.計画期間は短めに設定しましょう 行動計画策定指針では、計画策定の期間の目安を2~5年と示していますが(特定事業 主については、一定期間に区切って計画すると指針に示されています)、行動計画が現場の 実態に即した効果的なものとなっているかの検証や、また新たな課題への速やかな対応の 観点から、計画期間はおおむね2年程度を目安とし、短めに設定することが効果的です。 5年計画を策定して、3年目に計画の見直しを実施することを計画に盛り込むという方法 もあります。 2.具体的・明確な数値目標を設定しましょう 計画全体の「目的」は、「社員・職員の仕事と子育てを両立できる環境を整備するため」 などと概括的な表現でも差し支えありませんが、各対策の目標は、抽象的な表現ではなく、 具体的に、可能な限り数値で示すことが重要です。 例えば、 「1日最大2時間まで就業時間を短くできる短時間勤務制度を、2015年度中 に導入する」など、計画達成のために何が必要か、誰にでも具体的にわかるような表現に しておくべきです。 3.策定した行動計画を労働者に周知しましょう 行動計画を策定するだけではなく、企業・団体で働く労働者のために、どのような両立 支援策があるのか、きちんと周知することが必要です。また、制度を取得しやすい職場風 土をつくるためには、管理職や職場における理解促進が欠かせません。労働組合から、企 業・団体に対し、管理職や労働者に対する研修を実施するよう働きかけを行いましょう。 D.計画の進捗管理と認定制度の利用 1.PDCAサイクルを確立し、次の計画策定につなげましょう 策定した行動計画がきちんと実行されているか、もしされていないのであれば課題がど こにあるのかをチェックし、企業・団体に改善を求めていくことも労働組合の役割です。 行動計画期間内における組合員への意識調査やヒアリングなどを実施することも効果的で す。把握した課題を解決するための対策を、次回の行動計画策定時に反映していましょう。 2.認定制度を活用しましょう (一般事業主のみ) 認定制度は、認定を取得した企業の社会的なイメージ向上が見込まれるものです。労使 でその有用性を認識し、積極的に認定を取得するように取り組みましょう。なお、改正次 世代法では、現行の認定制度に加え、優良な取り組みを行う企業に対する特例認定制度が 新設されました。すでにくるみんマークを取得している企業では、特例認定基準を満たす 計画を労使で策定しましょう。 8 【参考資料②】行動計画策定の際の具体的項目例その①~働き方・母性保護関連~ 施策種類 労働時間の短縮 項目 法・指針などに基づく具体例 労働時間は、一週間40時間以上労働 させてはならない 一日八時間を超えて労働させてはな らない ノー残業デーの導入 ノー残業デーの拡充 すべての労働者の所定外労 フレックスタイム制度の導入 働時間の短縮 フレックスタイム制度の拡充 年次有給休暇の取得促進 各種休暇制度の導入 働き方の見直し 労働組合の取り組みにおける チェックポイント 労働基準法に基づき、労働時間に関する 社内制度や実態を点検し、法の遵守を求 める 全社的な制度への理解と認識を促進する パートタイム労働者などへも適用させる 賃金不払い労働にならないよう点検 パートタイム労働者や派遣労働者にも適 用させる 個人別の実就労時間補足システム導入 賃金不払い労働禁止の規定を作成・ 周知 36協定による時間外労働の上限時間 年間150時間以内にする 引き下げ 勤務間インターバル規制の導入 隔日勤務制度の導入 数値目標を立てて取り組む 年次有給休暇取得促進 取得による不利益取扱い禁止を徹底する スキルアップ休暇 制度が利用しやすい環境を整備すること 制度の周知及び利用しやすい環境を整備 リフレッシュ休暇 すること 原職との均等待遇を前提に、制度の周知 短時間正社員制度の導入 及び利用しやすい環境を整備すること 利用者を男女別に把握すること 多様な働き方に関する制度の 導入 テレワークの導入 全ての労働者に対する情報提供及び 仕事だけを優先させようとする 研修の実施 意識の啓発 見方の転換や固定的な性別 全ての労働者に対する情報提供及び 役割分担意識の見直し 研修の実施 厚生労働省「両立指標」による 両立指標の活用 達成度点検 妊娠23週まで:4週間に1回 妊娠24~35週まで:2週間に1回 ★健康診断への通院休暇制 妊娠36~出産まで:1週間に1回 度の拡充 産後1年:医師・助産師の指示による 回数 指針:勤務時間の軽減(つわり)、休業 ★つわり休暇制度の拡充 (妊娠?) 指針:時差出勤(30~60分)、勤務時 ★通勤緩和措置の拡充 間短縮(30~60分) 指針:休憩時間の延長 ★妊娠中の休憩制度の拡充 指針:休憩時間の回数を増加 労働時間の管理等、労働基準法を厳守す ること 利用者が一方の性に偏らないようにするこ と 管理職教育を要求すること 管理職教育を要求すること 有給・2週間 有給・1日1時間(遠距離者の場合は1時間 30分) 休憩時間の延長 休憩時間の回数の増加 捕食時間の確保 母性保護に関する ★妊産婦の時間外・休日労働 妊産婦から請求を受けた場合時間外 時間外・休日労働の免除(変形労働時間 施策 の制限 休日労働を禁止 制の場合も所定内労働時間の範囲内で) 妊産婦から請求を受けた場合深夜業 ★妊産婦の深夜業の制限 深夜業の免除 の禁止 ★妊産婦の危険有害業務の 女性労働基準規則に定める危険有害 危険有害業務につかせない 制限 業務について禁止 ★軽易な作業への転換制度 妊産婦から請求を受けた場合他の軽 転換を契機とした不利益取扱いを起こさせ の拡充 易な業務へ転換 ないようチェックする ★産前産後休暇制度の拡充 産前6週(多胎妊娠14週)・産後8週 産前8週・産後8週 不利益取扱い禁止 産前産後休業申出・取得後の復帰プログ (通達)基本的に休業申出・取得と不 ラムを策定し、労働協約に規定する。不利 ★産休後は原職へ復帰 利益取り扱いは、時間的な近さをもっ 益取り扱いが行われた際の救済措置も明 て、法に抵触か否かが判断される。 記する。 ★は法律で定められていることです 9 【参考資料③】行動計画策定の際の具体的項目例その②~育児支援関連~ 施策種類 項目 ★育児時間 休業申出・取得による降格・配 転など不利益取り扱いの禁止 搾乳ができる設備準備 ★子どもの看護休暇制度 育児休業制度の拡充 休業後の配置・処遇は事前 に協定化 育児休業等に関す る施策 ★育児を行う男女労働者の深 夜業の制限 ★育児短時間勤務制度の拡 充 その他 労働組合の取り組みにおける チェックポイント 1日2回各30分 男女労働者を対象に、1日90分の育児時 不利益取扱い禁止 育児休業申出・取得後の復帰プログラム (通達)基本的に休業申出・取得と不 を策定し、労働協約に規定する。不利益取 利益取り扱いは、時間的な近さをもっ り扱いが行われた際の救済措置も明記す て、法に抵触か否かが判断される。 る。 プライバシーが守られる設備(カーテ ンの仕切りなど) 冷凍冷蔵庫の設置 小学校入学前の子を養育する男女労 小学校修了までの子を養育する男女労働 働者を対象 者を対象・有給・年間10日間 1歳未満の子を養育する 保育所に入れない等特別の事情があ 3歳未満の子を養育する男女労働者を対 る場合は6ヶ月を上限として延長する 象 特例*2 最初の6ヶ月は67%給付(および社会 全期間最低60%賃金保障 保険料免除?)その後は50% 分割取得も可能な制度とする 休業中の教育訓練制度 休業中の仕事の情報提供システム 男性が育児休業を取得しやすい制度(男 性は延長可能な期間が1ヶ月を加算する、 育児休業が昇進昇格に影響を及ぼさない ことを証明する考課基準の公開 (通達)基本的に休業申出・取得と不 利益取り扱いは、時間的な近さをもっ 育児休業後は原則原職復帰 て、法に抵触か否かが判断される。 小学校入学前の子を養育する労働者 12歳未満の子を養育する男女労働者を対 を対象 象とする 労働者が請求した場合午後10時から 午後10時~午前5時までの間は就労させ 午前5時までの労働禁止 ない 3歳未満の子を養育する男女労働者 を対象 法・指針などに基づく具体例 「1日の短時間勤務制度」、「フレックス 2時間以上の短縮を可能にする タイム制」、「時差出勤制度」、「時間外 労働の免除」、「企業内託児施設の設 育児短時間労働者には時間外適用させな 置等」のいずれかの措置を義務付け い ★育児等による退職者の再雇 用制度 妊娠・出産、育児、介護を理由とした 退職の際再雇用の希望を申 退職者の再雇用の努力義務 し出る 子どもの出生児の父親の休暇 制度導入 タバコの煙への対策 10 育児等の退職の理由が消滅した時期に再 雇用 対象期間:3~6年程度 有給・5日間(暦日7日間) 受動喫煙に留意し、完全分煙の実施 ★は法律で定められていることです 【参考資料④】改正次世代法の改正認定基準および特例認定基準 改正認定基準・特例認定基準 改正認定基準 1 雇用環境の整備について、行動計画策定指 針に照らし適切な行動計画を策定したこと 2 行動計画の計画期間が、2年以上5年以下 であること 3 策定した行動計画を実施し、計画に定めた 目標を達成したこと 4 平成21年4月1日以降に策定・変更した 行動計画について、公表および労働者への周 知を適切に行っていること 5 計画期間において、男性労働者のうち育児 休業等を取得した者が1人以上いること <労働者数 300 人以下の企業の特例> 計画期間内に男性の育児休業等取得者がいなか った場合でも、①~④のいずれかに該当すれば基 準に満たす ① 計画期間内に、子の監護休暇を取得した男性 労働者がいること(1 歳に満たない子のために利 用した場合も除く) 。 ② 計画期間内に、子を育てる労働者に対する所 定労働時間の短縮措置を利用した男性労働者が いること。 ③ 計画の開始前 3 年以内の期間に、育児休業等 を取得した男性労働者がいること。 ④ 計画期間内に、小学校就学前の子を育てる男 性労働者がいない場合において、子育てを目的 とした企業独自の休暇制度を利用した男性労働 者がいること。 特例認定基準 1 雇用環境の整備について、行動計画策定指 針に照らし適切な行動計画を策定したこと 2 行動計画の計画期間が、2年以上5年以下 であること 3 策定した行動計画を実施し、計画に定めた 目標を達成したこと 4 平成21年4月1日以降に策定・変更した 行動計画について、公表および労働者への周 知を適切に行っていること 5 男性の育児休業等取得について、次の①又 は②を満たすこと ① 計画期間において、男性労働者のうち、配 偶者が出産した男性労働者に占める育児休業 等を取得した者の割合が13%以上であるこ と ② 計画期間において、男性労働者のうち、配 偶者が出産した男性労働者に占める育児休業 等を取得した者及び育児休業等に類似した企 業独自の休暇制度を利用した者の割合が3 0%以上であること 6 計画期間において、女性労働者の育児休業 等取得率が、75%以上であること <労働者数 300 人以下の企業の特例> 計画期間内に男性の育児休業等取得者又は育児 休業等に類似した企業独自の休暇制度の利用者が いなかった場合でも、①~④のいずれかに該当す れば基準を満たす。 ① 計画期間内に、子の看護休暇を取得した男性 労働者がいること(1 歳に満たない子のために利 用した場合を除く) 。 ② 計画期間内に、子を育てる労働者に対する所 定労働時間の短縮措置を利用した男性労働者が いること。 ③ 計画の開始前 3 年以内の期間に、育児休業等 を取得した男性労働者の割合が 13%以上である こと。 ④ 計画期間内に、小学校就学前の子を育てる男 性労働者がいない場合において、子育てを目的 とした企業独自の休暇制度を利用した男性労働 者がいること。 6 計画期間において、女性労働者の育児休業 等取得率が、75%以上であること <労働者数 300 人以下の企業の特例> 計画期間内の女性の育児休業等取得率が 75% 未満だった場合でも、計画期間とその開始前の 一定期間(最長 3 年間)を合わせて計算したと きに、女性の育児休業等取得率が 75%以上であ れば基準を満たす。 7 3歳から小学校就学前の子を育てる労働者 について、 「育児休業に関する制度、所定外労 働の制限に関する制度、所定労働時間の短縮 <労働者数 300 人以下の企業の特例> 計画期間内の女性の育児休業等取得率が 75% 未満だった場合でも、計画期間とその開始前の 一定期間(最長 3 年間)を合わせて計算したと きに、女性の育児休業等取得率が 75%以上であ れば基準を満たす。 7 3歳から小学校就学前の子を育てる労働者 について、 「育児休業に関する制度、所定外労 働の制限に関する制度、所定労働時間の短縮 11 措置又は始業時刻変更等の措置に準ずる制 度」を講じていること 7 3歳から小学校就学前の子を育てる労働者 について、 「育児休業に関する制度、所定外労 働の制限に関する制度、所定労働時間の短縮 措置又は始業時刻変更等の措置に準ずる制 度」を講じていること 8 次の①~③のいずれかを具体的な成果に係 る目標を定めて実施していること ①所定外労働の削減のための措置 ②年次有給休暇の取得の促進のための措置 ③短時間正社員制度、在宅勤務、テレワークそ の他の働き方の見直しに資する多様な労働条 件の整備のための措置 措置又は始業時刻変更等の措置に準ずる制 度」を講じていること 7 3歳から小学校就学前の子を育てる労働者 について、 「育児休業に関する制度、所定外労 働の制限に関する制度、所定労働時間の短縮 措置又は始業時刻変更等の措置に準ずる制 度」を講じていること 8 次の①~③すべてについて取り組むととも に、少なくとも①又は②について数値目標を 定めて実施し、達成していること。ただし、 所定外労働時間については一定の条件を満た すこととする。 ①所定外労働の削減のための措置 ②年次有給休暇の取得の促進のための措置 ③短時間正社員制度、在宅勤務、テレワークそ の他の働き方の見直しに資する多様な労働条 件の整備のための措置 ※一定の条件:次のア又はイを満たすこと ア計画期間終了前直近 1 年間の平均週労働時間 が 60 時間以上の労働者の割合が 5%以下である こと イ計画期間終了前直近 1 年間の平均月時間外労 働時間が 80 時間以上である労働者が 1 人もい ないこと 9 次の①又は②を満たすこと ①計画期間において、子を出産した女性労働者 のうち、子の1歳誕生日に在職(育休中を含 む。)している者の割合が90%以上であるこ と。 ②計画期間において、子を出産した女性労働者 及び子を出産する予定であったが退職した女 性労働者のうち、子の1歳誕生日に在職(育 休中を含む。 )している者の割合が55%以上 であること。 9 法および法に基づく命令その他関係法令に 違反する重大な事実がないこと <労働者数 300 人以下の企業の特例> ①又は②のいずれにも該当しない場合でも、 計画期間とその開始前の一定期間(最長 3 年 間)を合わせて計算したときに、①又は②を 満たせば基準を満たす。 10 育児休業等を取得し又は子育てをする女 性労働者が就業を継続し、活躍できるよう、 能力向上やキャリア形成のための支援などの 取組の計画を策定し、これを実施しているこ と 11 法および法に基づく命令その他関係法令 に違反する重大な事実がないこと 12 【参考資料⑤】改正次世代育成支援対策推進法に基づく行動計画策定指針新旧比較表~ 【行動計画策定指針 URL】 http://wwwhourei.mhlw.go.jp/hourei/doc/hourei/H141128N0060.pdf 【指針(新旧対照表)URL】 http://wwwhourei.mhlw.go.jp/hourei/doc/hourei/H141128N0061.pdf 以上 13
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