資料4-2-2 宮崎県長伐期施業技術指針(スギ収穫表)

資料4-2-2 宮崎県長伐期施業技術指針(スギ収穫表)
はじめに
本県の森林資源は、スギを中心とした人工林の過半が主伐期を迎える等、着実に充実して
きているが、その一方、スギ人工林は7~9齢級(31~45年生)が全体の約53%を占め、
齢級構成に大きな偏りが見られる。
林業や山村の活性化を図るためには、今後齢級構成の平準化に取り組みながら、持続的
な林業経営の推進や県産材の安定供給、収益性の向上、森林の公益的機能の維持増進を図る
必要がある。
また、皆伐による齢級構成の平準化を行った場合、植栽未済地の増加や、木材価格の下落
等が懸念されることから、高齢級間伐による伐期の延長による平準化を行う必要がある。
一方、森林に対する県民のニーズは、国土の保全や水資源のかん養に加え、地球温暖化
の防止や癒し機能など、ますます多様化してきており、そのためにも造林から下刈、除伐、
間伐等の保育に加え、人工林における「長伐期施業」や「複層林施業 」、「針広混交林施
業 」等の立木の密度管理による健全で多様な森林づくりを推進していくことが必要である。
特に、京都議定書において、わが国が認められている、地球温暖化防止のための森林に
よる吸収の上限である1,300万炭素トンを達成するためにも、高齢級人工林を含めた、適
切な施業を実施する必要がある。
これらのことから、長伐期化した人工林を放置することなく、地位や傾斜等の地理的条
件や、林内路網や高性能林業機械等の生産基盤の整備状況等を勘案しながら、間伐等によ
る密度管理を行い、中間収入の確保を図りながら、公益的機能の高度発揮と利用価値の高
い木材生産を志向する、通常の概ね2倍の伐期で主伐を行う長伐期施業の導入を推進する
必要がある。
しかしながら、長伐期施業を推進するに当たっては、長伐期施業の技術体系が十分確立
されていないことや、本県に長伐期施業の実例が少ないこと等から、長伐期施業の十分な普
及・定着化が図られていなかった。
また、昭和50年代に調製された林分収穫表は、短伐期施業を前提として調製しているこ
とから、現実林分と乖離し、高齢級林分の成長量や収穫量の予測、またこれらをもとにし
た、長伐期施業に対応した施業方法や経営計画の決定等が困難であった。
そのため、長伐期施業の普及・定着化を図るため、林分収穫表の調製を行い、長伐期施業
の技術体系や実施事例を掲載した技術指針として取りまとめた。
本指針が、長伐期施業の導入に向けての検討や、長伐期施業の実施に当たっての一助に
なれば幸いである。
目
次
第1章 長伐期施業の必要性
1 長伐期施業とは
2 長伐期施業のねらい
(1)森林資源上からのねらい
(2)林業経営上からのねらい
(3)公益的機能上からのねらい
3 施業タイプの選定
4 長伐期施業による木材生産
(1)大径材の材質
(2)大径材の利用方法
(3)大径材生産と長伐期経営との関係
(4)今後の課題
・・・・・・・・・・・・・・・1
・・・・・・・・・・・・・・・1
・・・・・・・・・・・・・・・1
・・・・・・・・・・・・・・・1
・・・・・・・・・・・・・・・2
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・・・・・・・・・・・・・・・4
・・・・・・・・・・・・・・・4
・・・・・・・・・・・・・・・4
・・・・・・・・・・・・・・・5
・・・・・・・・・・・・・・・6
・・・・・・・・・・・・・・・6
第2章 導入に当たっての基本的な考え方
1 木材生産目標の設定
(1)皆伐施業と非皆伐施業
(2)標準伐期施業と長伐期施業
(3)一般的施業と集約的施業
2 導入箇所の選定方法
・・・・・・・・・・・・・・・7
・・・・・・・・・・・・・・・7
・・・・・・・・・・・・・・・8
・・・・・・・・・・・・・・・8
・・・・・・・・・・・・・・・9
・・・・・・・・・・・・・・・9
第3章 長伐期施業の在り方と課題
1 施業体系と技術
(1)長伐期施業に向けた施業技術
(2)施業体系
(3)今後の課題
2 大径木の伐倒
(1)伐倒前の準備
(2)足場の設置
(3)退避場所等の確保
(4)根張り切り
(5)伐倒の方法
(6)受け口切り
(7)つる
(8)かど切り
(9)追い口切り
(10)くさび切り
(11)その他
3 高齢級林分の保護管理技術
(1)台風被害等自然災害への対応
・・・・・・・・・・・・・・
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15
15
15
20
22
22
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23
23
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24
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26
26
26
26
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27
(2)病虫獣害への対応
(3)根株腐朽病
(4)スギ葉枯症
・・・・・・・・・・・・・・ 29
・・・・・・・・・・・・・・ 30
・・・・・・・・・・・・・・ 30
第4章 県内の主な長伐期施業実施事例
・・・・・・・・・・・・・・
1 高千穂町(飯干福重氏)
・・・・・・・・・・・・・・
2 高千穂町(工藤謙一氏)
・・・・・・・・・・・・・・
3 延岡市(藤仲林材株式会社)
・・・・・・・・・・・・・・
4 延岡市(池田宣弘氏)
・・・・・・・・・・・・・・
5 美郷町(A氏)
・・・・・・・・・・・・・・
6 美郷町(B氏)
・・・・・・・・・・・・・・
7 諸塚村(社団法人家代青年会(家代公民館))・・・・・・・・・・・・・・
8 諸塚村(黒木虎代氏)
・・・・・・・・・・・・・・
9 椎葉村(C氏)
・・・・・・・・・・・・・・
10 椎葉村(D氏)
・・・・・・・・・・・・・・
11 西米良村(濵砂堯敬氏)
・・・・・・・・・・・・・・
12 木城町(木城町)
・・・・・・・・・・・・・・
13 宮崎市(E氏)
・・・・・・・・・・・・・・
14 宮崎市(兵庫県在住 阿部正助氏)
・・・・・・・・・・・・・・
15 小林市(F氏)
・・・・・・・・・・・・・・
16 えびの市(立石林業株式会社)
・・・・・・・・・・・・・・
17 都城市(山路柳助氏)
・・・・・・・・・・・・・・
18 都城市(清水勝彦氏)
・・・・・・・・・・・・・・
19 日南市(石山 薫氏)
・・・・・・・・・・・・・・
20 南郷町(永倉 勲氏)
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33
34
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50
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52
53
第5章 その他
1 スギ林分収穫表の調製
(1)はじめに
(2)林分収穫表の調製
(3)林分収穫表の取り扱い上の留意点
2 林分密度管理
(1)林分密度管理図
(2)林分密度管理の考え方
(3)林分密度管理に当たっての留意点
3 長伐期施業に関するアンケート調査の結果
(1)調査方法
(2)調査内容
(3)調査結果
(4)まとめ
55
55
56
61
62
62
65
71
72
72
72
72
77
・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・
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・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・
第6章 おわりに
1 補助事業
2 引用・参考文献
・・・・・・・・・・・・・・ 79
・・・・・・・・・・・・・・ 79
・・・・・・・・・・・・・・ 80
参考附表
・・・・・・・・・・・・・・ 82
一口メモ
1 丸太の呼称
2 木材の強度
3 造作材・構造材・指物材
4 CAD/CAMシステム
5 スギの品種
6 細り(ほそり)・梢殺(うらごけ)
7 地位級・地位指数曲線
8 樹冠長・樹冠長率
9 形状比
10 見え掛り材
11 収量比数
12 高性能林業機械
13 もめ・目回り
14 開放性距離
15 主林木・副林木
16 材積比
17 地位係数・立木度
18 密度効果
19 形状高
20 参考文献
・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・
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・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・
85
85
86
86
86
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88
88
88
88
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90
90
90
90
90
91
91
91
第5章
その他
1 スギ林分収穫表の調製
(1)はじめに
特定の樹種について、成長条件が同一の地方において、同齢単純林により同様の方
法で施業された林分のha当たり本数や材積、成長量等を、主林木・副林木別や林齢ご
とに表示した表を林分収穫表といい、通常は地位別に作成されている。
主な用途は、林分の将来の成長量や収穫量の予測であり、これらをもとに施業方法
や経営計画の決定、地位の判定等に利用される。
林分収穫表の例を図5-1に示す。
地位
主林木
林
平均
平均
齢
樹高
胸高
副林木
主副林木合計
平均
本数
幹材積
本数
幹材積
胸高
直径
年
m
cm
胸高
総収
本数
断面積
幹材積
穫量
本/ha
m2/ha
m3/ha
m3/ha
直径
本/ha
m3/ha
本/ha
図5-1
m3/ha
cm
林分収穫表の例
また、現実林分の簡易な林分収穫表を収穫予想表という。収穫予想表の例を図-8
に示す。
地
林
平均
平均胸
ha当たり
位
齢
樹高
高直径
本数
幹材積
材積
本数
連年
総
(m)
(cm)
(本)
(m3)
(m3)
(本)
(m3)
(m3)
図5-2
要間伐
成長量
成長率
平均
(%)
(m3)
収穫予想表の例
現在本県で用いられている林分収穫表は、スギについては昭和56年に 1)、またヒ
ノキについては昭和58年に 2)調製(整え作ること。)されたものである。
本県は成長が早いという地域特性を活かした短伐期施業が主体であったため、これ
らの林分収穫表で示している伐期齢は、スギでは28~60年、ヒノキでは40~80年と、
現在の長伐期施業に対応していない。
また、これらの林分収穫表の多くは、解析の中で徒手法が使用されたため、不明点
が見られる。
よって、今回の調製では、最新のデータを利用することにより、120年生まで対応
を可能とするとともに、すべてに統計的解析を利用し、併せてその方法を明らかにす
ることとした。
上 層木 平均樹高
)
(2)林分収穫表の調製
林業技術センターの試験研究及び環境森林
課の調査業務で得られた、県内全域の林分調
査データ470件を用い、以下の手順により調
整を行った 3)。
上層樹高(Ht)
上位樹高の10%の平均値をH t とした。林
齢(t)ごとのH t の分布については、図5
-3に示すとおりである。
また、成長関数についても検討を行い、最
図5-3 林齢ごとの上層樹高の分
も当てはめのよかったMitscherlich関数によ
布
りHtを算出し、(1)式を得た。
(m
①
Ht=34.09879×(1-exp(0.00606-0.0284×t))
②
r2=0.75252
(1)
地位区分
各林分のHtと( 1)式で得られた算出値の差を求め、齢級ごとの標準誤差(H σ)
を算出したのち、HσをMitscherlich関数に当てはめ、(2)式を得た。
Hσ=3.50824×(1-exp(-0.37305-0.04129×t))
r2=0.4517
(2)
さらに 、(1)式で求めた中心線からH σ の±2倍を上界・下界とし、その中を3
等分することにより地位を決定した。
なお、H±2H σ の範囲から外れた16件のデータについては、以後の調整から除外
した。
③
資料の吟味
以下について資料の吟味を行い、93件のデータを除外した。
○ 主林木胸高直径に対するha当たり主林木本数
○ 林齢に対する主林木平均直径
○ 林齢に対する断面積合計
○ 林齢に対するha当たり幹材積
○ 林齢に対するha当たり主林木本数
④
主林木の構成数値の決定
主林木の平均樹高(H)については、Htとの関係を求めた結果、(3)式を得た。
H=0.922833×Ht-0.75442
r2=0.9591
(3)
ここで、既知のHtを( 3)式に代入し、tごとのHを表5-1のとおり算出した。
このことから、40年生次のHは以下のとおり
表5-1 地位別平均樹高
算出される。
林齢
地位Ⅰ:24.3m
地位Ⅱ:20.5m
地位Ⅲ:16.8m
また、以上の手法で得た地位指数曲線を図
5-4に示す。
10
15
20
25
30
35
40
45
50
55
60
65
70
75
80
85
90
95
100
105
110
115
120
地位
Ⅰ
9.5
12.8
15.7
18.3
20.6
22.5
24.3
25.8
27.1
28.2
29.1
29.9
30.6
31.2
31.7
32.2
32.5
32.9
33.1
33.3
33.5
33.7
33.8
地位
Ⅱ
7.2
10.1
12.7
15.0
17.1
18.9
20.5
21.9
23.1
24.1
25.0
25.8
26.5
27.0
27.5
27.9
28.3
28.6
28.8
29.1
29.3
29.4
29.5
地位
Ⅲ
4.7
7.4
9.7
11.8
13.7
15.3
16.8
18.0
19.1
20.1
20.9
21.7
22.3
22.8
23.3
23.7
24.0
24.3
24.6
24.8
25.0
25.1
25.3
備考
Hと主林木の平均直径(D)の関係について、地位ごとにべき乗式H=a×D bに
当てはめ、(4)~(6)式を得たのち、D=(H/a) 1/bでDを算出した。
地位Ⅰ
地位Ⅱ
地位Ⅲ
H=2.48171×D0.641181 r2=0.8434 (4)
H=2.072564×D0.67765 r2=0.8184 (5)
H=1.581376×D0.719916 r2=0.8476 (6)
主林木の単木平均材積(v)については、Dとの相関が高く、またHとの相関も見
られることから、v=a×Db×Hcを用いて行った結果、(7)式を得た。
v=0.000106×D1.67038×H0.985
r2=0.9962
(7)
このことから、40年生次のvは以下のとおり算出される。
地位Ⅰ:0.934m3
地位Ⅱ:0.620m3
地位Ⅲ:0.409m3
主林木のha当たり本数(N)については、直径階ごとに求め、指数式に当てはめた
結果、(8)式を得た。
N=3928×exp(-D+0.5651)÷16.8928+212.5389
r2=0.98836
(8)
このことから、40年生次のNは以下のとおり算出される。
地位Ⅰ: 682本
地位Ⅱ: 840本
地位Ⅲ:1006本
40年生次の主林木のha当たり材積(V)は、Nとvを乗じて求めたところ、以下の
とおり算出される。
地位Ⅰ:637m3
地位Ⅱ:520m3
地位Ⅲ:411m3
⑤
副林木の構成数値の決定
副林木のha当たり本数については、Nの齢階差とした。
また、副林木の平均直径(D’)については、Dとの直線式
D’=0.6731×D0.2582
(9)
に主林木の平均直径を代入し、D’を算出した。
副林木の平均樹高(H’)については、Hとの直線式
H’=0.855455×H-1.53456
(10)
に主林木の平均樹高を代入し、H’を算出した。
主林木及び副林木のha当たり断面積合計(G)については、直径との関係をべき乗
式
主林木:G=6.876×D 0.6365 (11)
副林木:G=0.10717×D’ 1.0423 (12)
に主・副林木の齢階ごとの平均直径を代入して求めた。
副林木のha当たり材積(V ’)については、主林木算出時に得られた関係式にD’
やH’を代入することにより算出した。
以上の手法で得た林分収穫表を表5-2~5-4に示す。
表5-2
主林木
林
平均
平均
齢
樹高
胸高
林分収穫表(地位Ⅰ)
副林木
幹
本数
材積
本数
主副林木合計
幹
平均
材積
胸高
直径
年
m
本数
胸高
幹
連年
総収
断面積
材積
成長
穫量
直径
3
cm
本/ha
m /ha
3
本/ha m /ha
cm
量
本/ha
2
m /ha
3
3
3
m /ha
m /ha
m /ha
15
12.8
12.9
1,991
229
614
23
9.6
2,605
36.8
252
16.3
252
20
15.7
17.9
1,543
326
448
38
13.4
1,991
45.0
364
14.0
387
25
18.3
22.7
1,218
416
325
48
17.3
1,543
52.5
464
12.5
525
30
20.6
27.3
980
497
238
53
21.3
1,218
59.2
550
10.8
659
35
22.5
31.3
808
571
172
54
25.2
980
65.2
625
9.4
787
40
24.3
35.1
682
637
126
51
29.2
808
70.6
688
7.9
904
45
25.8
38.3
591
697
91
46
32.9
682
75.4
743
6.9
1,010
50
27.1
41.4
524
751
67
40
36.8
591
79.7
791
6.0
1,104
55
28.2
44.0
475
800
49
34
40.2
524
83.5
834
5.4
1,187
60
29.1
46.3
440
843
35
27
43.3
475
86.9
870
4.5
1,257
65
29.9
48.3
414
882
26
23
46.0
440
89.9
905
4.4
1,319
70
30.6
50.0
395
916
19
18
48.4
414
92.6
934
3.6
1,371
75
31.2
51.6
382
947
13
13
50.4
395
94.9
960
3.3
1,415
80
31.7
53.1
372
974
10
11
52.2
382
97.0
985
3.1
1,453
85
32.2
54.2
365
998
7
8
53.7
372
98.8
1,006
2.6
1,485
90
32.5
55.2
359
1,019
6
7
54.9
365
100.5
1,026
2.5
1,513
95
32.9
56.0
356
1,038
3
4
55.8
359
101.9
1,042
2.0
1,536
100
33.1
56.8
353
1,055
3
4
56.6
356
103.1
1,059
1.9
1,557
105
33.3
57.7
351
1,070
2
3
57.7
353
104.3
1,073
1.8
1,575
110
33.5
58.2
349
1,083
2
3
58.1
351
105.2
1,086
1.6
1,591
115
33.7
58.7
348
1,095
1
1
58.7
349
106.1
1,096
1.3
1,604
120
33.8
59.3
347
1,105
1
1
59.3
348
106.9
1,106
1.3
1,615
表5-3
主林木
林
平均
平均
齢
樹高
胸高
林分収穫表(地位Ⅱ)
副林木
幹
本数
材積
本数
主副林木合計
幹
平均
材積
胸高
直径
年
m
本数
胸高
幹
連年
総収
断面積
材積
成長
穫量
直径
3
cm
本/ha
m /ha
3
本/ha m /ha
cm
量
本/ha
2
m /ha
3
3
3
m /ha
m /ha
m /ha
15
10.1
10.4
2,254
144
616
13
8.0
2,870
30.7
157
14.3
157
20
12.7
15.0
1,791
236
463
23
11.6
2,254
38.3
259
12.8
272
25
15.0
19.2
1,444
319
347
31
15.0
1,791
45.0
350
11.4
386
30
17.1
23.3
1,183
393
261
37
18.5
1,444
51.0
430
10.0
497
35
18.9
27.1
987
460
196
39
22.0
1,183
56.2
499
8.6
603
40
20.5
30.3
840
520
147
39
25.3
987
60.7
559
7.5
702
45
21.9
33.4
730
573
110
37
28.6
840
64.7
610
6.4
792
50
23.1
36.2
647
621
83
33
31.9
730
68.1
654
5.5
873
55
24.1
38.6
585
663
62
29
34.8
647
71.1
692
4.8
944
60
25.0
40.7
538
701
47
25
37.6
585
73.7
726
4.3
1,007
65
25.8
42.4
503
734
35
21
39.8
538
75.9
755
3.6
1,061
70
26.5
44.2
477
763
26
17
42.2
503
77.8
780
3.1
1,107
75
27.0
45.4
457
789
20
14
43.9
477
79.5
803
2.9
1,147
80
27.5
46.7
442
812
15
11
45.6
457
80.9
823
2.5
1,181
85
27.9
48.0
431
832
11
9
47.1
442
82.1
841
2.3
1,210
90
28.3
49.0
423
849
8
7
48.5
431
83.1
856
1.9
1,234
95
28.6
49.8
416
865
7
6
49.3
423
84.0
871
1.9
1,256
100
28.8
50.5
412
878
4
4
50.2
416
84.8
882
1.5
1,273
105
29.1
51.1
408
890
4
4
50.9
412
85.4
894
1.5
1,289
110
29.3
51.6
405
901
3
3
51.6
408
86.0
904
1.3
1,303
115
29.4
52.1
403
910
2
2
52.1
405
86.5
912
1.0
1,314
120
29.5
52.6
402
918
1
1
52.6
403
86.9
919
0.9
1,323
表5-4
主林木
林
平均
平均
齢
樹高
胸高
林分収穫表(地位Ⅲ)
副林木
幹
本数
材積
本数
主副林木合計
幹
平均
材積
胸高
直径
年
m
cm
本数
胸高
幹
連年
総収
断面積
材積
成長
穫量
直径
3
本/ha
m /ha
3
本/ha m /ha
cm
量
本/ha
2
m /ha
3
3
3
m /ha
m /ha
m /ha
15
7.4
8.4
2,549
88
644
7
6.7
3,193
26.6
95
11.4
95
20
9.7
12.6
2,057
166
492
13
10.0
2,549
33.9
179
10.5
186
25
11.8
16.5
1,681
236
376
20
13.2
2,057
40.4
256
9.6
276
30
13.7
20.3
1,393
301
288
25
16.5
1,681
46.1
326
8.8
366
35
15.3
23.6
1,174
359
219
28
19.6
1,393
51.1
387
7.6
452
40
16.8
26.6
1,006
411
168
29
22.6
1,174
55.4
440
6.6
533
45
18.0
29.3
877
458
129
28
25.5
1,006
59.2
486
5.8
608
50
19.1
31.8
779
500
98
26
28.3
877
62.4
526
5.0
676
55
20.1
34.2
704
537
75
24
31.1
779
65.2
561
4.4
737
60
20.9
36.1
647
571
57
21
33.5
704
67.6
592
3.9
792
65
21.7
37.8
603
601
44
18
35.6
647
69.7
619
3.4
840
70
22.3
39.2
570
627
33
15
37.4
603
71.4
642
2.9
881
75
22.8
40.7
544
651
26
13
39.4
570
72.9
664
2.8
918
80
23.3
41.7
524
672
20
10
40.7
544
74.2
682
2.3
949
85
23.7
42.7
510
690
14
8
41.9
524
75.3
698
2.0
975
90
24.0
43.7
498
707
12
7
43.1
510
76.2
714
2.0
999
95
24.3
44.5
489
721
9
5
44.1
498
77.0
726
1.5
1,018
100
24.6
45.2
483
734
6
4
44.9
489
77.7
738
1.5
1,035
105
24.8
45.8
478
745
5
3
45.6
483
78.3
748
1.3
1,049
110
25.0
46.3
474
755
4
3
46.2
478
78.7
758
1.3
1,062
115
25.1
46.8
471
764
3
2
46.7
474
79.1
766
1.0
1,073
120
25.3
47.3
468
771
3
2
47.3
471
79.5
773
0.9
1,082
(3)林分収穫表の取り扱い上の留意点
林分収穫表の取り扱いに当たっては、現実林分がどの地位に該当するかを判定する
必要がある。
前述のとおり、平均樹高は立木密度などの影響を受けにくいため、通常は林齢と主
林木の平均樹高をもとに、地位指数曲線から地位を求めるが、現実林分から求めた地
位が地位指数曲線上にない場合(ある地位指数曲線と別の地位指数曲線の間にある場
合)は、比例修正により補正する。また、地位が等しく(平均樹高が同じ 。)でも、
施業履歴等が異なるため、立木本数や材積等に差異がある場合は、材積比により補正
する。
期間成長量の推定は、以下の式による。
現在の材積
期間成長量=
×
同一地位・林齢に対応
する林分収穫表の材積
(将来林齢に対する)
林分収穫表材積+表中 - 現在の材積
の期間中の副林木材積
材積比
なお、林分生産係数を以下の式により求め、材積比に代えてもよい。
林分生産係数=地位係数×立木度
現実林の主林木平均樹高
=
現実林の ha 当たり主林木胸高断面積合計
×
林分収穫表の主林木平均樹高
林分収穫表の ha 当たり主林木胸高断面積合計
本指針で示す林分収穫表は、オビスギを主な対象としており、県南西部に多いサツ
マメアサや、県北部に多いニシウスキアオについては、推定精度が悪くなることが予
想される。
このような場合は、関係機関に照会し、これらの品種に対応している林分収穫表を
求めるとよい4)。
2
林分密度管理
成長に伴って林木は大きくなり、より広い生育空間が必要になる。
森林を除間伐等の保育をせずに放置しておくと、林木は生存に必要な生育空間を求め
て個体間の競争が激しくなる。
競争に負けた林木の成長は衰え、やがては枯死に至るが、一方、競争に勝ち残っても、
形状比が著しく高いモヤシ状の林木となるため、風害を始めとした気象害に弱くなる。
通直で完満な林木に仕立てるとともに、気象害等に強い森林を造成するため、間伐に
より生育段階に見合った林分密度に調節し、林分を適切に管理することを林分密度管理
という。
(1)林分密度管理図
林木の成長に関する密度効果の法則等を応用し、生育段階に応じた密度(ha当たり
本数)と材積等の関係を表したものを林分密度管理図という。
主な用途は、林分の密度管理や収穫量の予測であり、これらをもとに施業方法や経
営計画等の決定に利用される。
林分密度管理図5)を、図5-5に示す。
等平均樹高
曲線
最多密度線
等収量比数
線
等平均直径曲線
図5-5
自然枯死線
林分密度管理図5)
林分密度管理図は、以下の5種類の線により構成されている。
①
等平均樹高曲線
ある上層樹高(H )(被圧木、枯損木を除いた立木の平均樹高のこと。立木密度の
影響を受けにくい 。)におけるha当たり本数(N)と幹材積(V)の関係を表した線で
あり、以下の関係式が成り立つ。
V=(0.068509×H-1.347464+2658.2×H-2.814651÷N) -1
(13)
なお、林分密度管理図においては、平均樹高(H)とHとの関係は、以下の式のとお
りとしている。
H=0.994270+1.000626×H-0.040745×N0.5×H÷100
②
(14)
自然枯死線
競争によって立木が自然に枯れて、本数が減少する経過を植栽本数ごとに表した線
である。植栽本数n 0に対する自然枯死線は 、(15)式で求められる平均単木材積 vの
関数である(16)式で表すことができる。
v=(0.068509×H-1.347464×n+2658.2×H-2.814651)-1 (15)
1
=
n
v
1
-
n0
(16)
3.47089×106 ×n 0-0.9184
v:任意の上層樹高における自然枯死線上の平均単木材積
n:任意の上層樹高における自然枯死線上のha当たり本数
n0:ha当たり植栽本数
③
最多密度線
自然枯死線は、植栽本数が違っていても、生育が進むとやがて1つの直線に収束し、
その線上をたどっていくようになる。この直線を最多密度線といい、それぞれの等平
均樹高線ごとに限界のha当たり本数を示している。最多密度線は以下の関係式で表す
ことができる。
logVRf=5.9637-0.9184logNRf
(17)
VRf:最多密度におけるha当たり幹材積
NRf:最多密度におけるha当たり本数
なお、VRfとNRf、Hとの関係は以下の関係式で示すことができる。
VRf=(0.068509×H-1.347464+2658.2×H-2.814651÷NRf)-1
logNRf=5.3083-1.4672logH (19)
④
(18)
等平均直径曲線
ある上層樹高とha当たり本数のときの平均胸高直径を示した線であり、以下の関係
式で表すことができる。
d=-0.048940+0.989370×dg-0.034814×N0.5×H÷100 (20)
d:平均胸高直径
dg:断面積平均直径
dgは以下の関係式で求める。
dg=200×(G÷(π×N))0.5
G:ha当たり断面積
(21)
HF:林分形状高
なお、G及びHFは以下の式で求める。
G=V÷HF (22)
HF=0.791213+0.353895×H+0.244012×N0.5×H÷100
⑤
(23)
等収量比数線
平均樹高が同一の林分において、最多密度における林分材積に対する割合を示して
いる。そのため、最多密度線と平行となる。収量比数(Ry)は以下の関係式で表すこ
とができる。
Ry=V÷VRf
(24)
(2)林分密度管理の考え方
下層間伐よる間伐量は、間伐前のha当たり材積(間伐前の上層樹高とha当たり本数
に対応する材積をいう 。)と、間伐後のha当たり材積(本数間伐率や管理基準として
定められた収量比数等から求めた残存本数と、間伐前の上層樹高とに対応する材積を
いう。)の差として求められる。
このとき、林分が過密にならないよう 、密度管理は収量比数0.6~0.9の範囲で行う。
なお、一般には、収量比数0.9~0.8で管理する方法を密仕立て、0.8~0.7で管理する
方法を中庸仕立て、0.7よりも低く管理する方法を疎仕立てという 6)。
また、間伐を実施すると、林分密度が低下し、それに伴い収量比数も低下するが、
強度の間伐などにより急激に収量比数を低下させると、風害などに対する抵抗力が低
下するため、1回の間伐で動かす収量比数は0.15以下とする。特に、風害等の恐れの
あるところにおいては、形状比が極端に大きくならないよう留意する。
また、調査対象林分の面積が大きく、生育状態(上層樹高やha当たり本数)にばら
つきがある場合は、林相区分を行い、各区分ごとの上層樹高やha当たり本数を用いて
算出した値に、区分面積と全面積との比を重みとして、ha当たり材積や平均胸高直径
を求めるとよい。
ここで、表5-5に
表-5.5 施業体系の例(1)
示す施業体系により施
作 業 種
林齢 上層樹高 ha 当たり本数 本数間伐率
業を行った場合におけ
(m)
(本/ha)
(%)
る密度管理の例を以下
除
伐
11
9
2,250
10
保育 第1回
16
11
2,000
20
に示す。
間伐 第2回
23
14
1,605
20
第1回保育間伐(下
第1回
30
17
1,286
20
層間伐)においては、
利用 第2回
40
21
1,026
20
間伐前の林分は上層樹
間伐 第3回
50
24
821
20
高11m、ha当たり本数
第4回
60
27
654
20
主
伐
70
29
526
100
が2,000本であるので、
ha当たり幹材積は( 13)
式により、
V=(0.068509×H-1.347464+2658.2×H -2.814651÷N) -1
=(0.068509×11-1.347464+2658.2×11-2.814651÷2000)-1
=234.492544・・・・≒234m3/ha
となる。
次に、林分形状高は(23)式により、
HF=0.791213+0.353895×H+0.244012×N0.5×H÷100
=0.791213+0.353895×11+0.244012×20000.5×11÷100
=5.884438323・・・・≒5.884
また、ha当たり断面積は(22)式により、
G=V÷HF=234÷5.884=39.76886472・・・・≒39.769
となるため、断面積平均直径は(21)式により、
dg=200×(G÷(π×N))0.5=200×(39.769÷(π×2000))0.5
=15.91154667・・・・≒15.9cm
また、平均胸高直径は(20)式により、
d=-0.048940+0.989370×dg-0.034814×N0.5×H÷100
=-0.048940+0.989370×15.9-0.034814×20000.5×11÷100
=15.51078076・・・・≒15.5cm
となる。
これらの結果から(19)式により、
logNRf=5.3083-1.4672logH=5.3083-1.4672log11=3.780368652・・・・
となるので、最多密度におけるha当たり本数は、
NRf=103.780368652・・・・・・=6030.712875・・・・≒6,031本/ha
となる。
また、最多密度におけるha当たり材積は(18)式により、
VRf=(0.068509×H-1.347464+2658.2×H-2.814651 ÷NRf)-1
=(0.068509×11-1.347464+2658.2×11-2.814651 ÷6031) -1
=310.2129946・・・・≒310m3/ha
となるので、収量比数は(24)式により、
Ry=V÷VRf
=234÷310=0.7548387097・・・・≒0.75
となる。
ここで、本数間伐率20%の間伐(間伐後の本数を1,605本/haとする 。)を行うと、
上層樹高は11mであるため、ha当たり幹材積は(13)式により、
V=(0.068509×H-1.347464+2658.2×H -2.814651÷N) -1
=(0.068509×11-1.347464+2658.2×11-2.814651÷1605)-1
=215.1549216・・・・≒215m3/ha
となる。
次に、林分形状高は(23)式により、
HF=0.791213+0.353895×H+0.244012×N0.5×H÷100
=0.791213+0.353895×11+0.244012×16000.5×11÷100
=5.7577108・・・・≒5.758
また、ha当たり断面積は(22)式により、
G=V÷HF=215÷5.758=37.33935394・・・・≒37.339
となるため、断面積平均直径は(21)式により、
dg=200×(G÷(π×N))0.5=200×(37.339÷(π×1605))0.5
=17.21071378・・・・≒17.2cm
また、平均胸高直径は(20)式により、
d=-0.048940+0.989370×dg-0.034814×N0.5×H÷100
=-0.048940+0.989370×17.2-0.034814×16000.5×11÷100
=16.8150424・・・・≒16.8cm
となる。
ここで、上層樹高は変わらないので、最多密度におけるha当たり本数及び材積は先
に求めた値のとおりとなるため、収量比数は(24)式により、
Ry=V÷VRf=215÷310=0.6935483871・・・・≒0.69
となる。
これらの結果から、ha当たり間伐材積は、
310-215=95m3/ha
間伐により変動した収量比数及び形状比は、
間伐前の収量比数-間伐後の収量比数=0.75-0.69=0.06
間伐前の形状比-間伐後の形状比=11×100÷15.5-11×100÷16.8
≒71.0-65.5=5.5
となる。
以上の計算を林分密度管理図を用いて行うと、図5-6に示すとおりとなる。
間伐前については、横軸に示されている2,000本/haの線と11mの等平均樹高曲線と
の交点(点A)の位置を、縦軸に示されているha当たり幹材積で読むと234m 3/ha、
また点Aは16cmの等平均直径曲線の近くにあるので、平均胸高直径は15.5cm、収量比
数は等収量比数線との関係から0.75であることが読み取れる。
ここで、本数間伐率20%の間伐を行うと、間伐後の林分は、上層樹高11m、ha当た
り本数が1,600本となるので、点Aを11mの等平均樹高曲線に沿って1,600本/haまで
下げた位置(点B)を縦軸に示されているha当たり幹材積で読むと215m 3/ha、また
点Bは17cmの等平均直径曲線の近くにあるので、平均胸高直径は16.8cm、収量比数は
0.69であることが読み取れる。
A
B
図5-6
密度管理の例(1)
林分密度管理は自然間引き現象を基礎としているため、劣勢木や欠点木から間伐す
る下層間伐においては全面的に利用することが可能であるが、上層間伐等では推定精
度が悪くなる。
なお、列状間伐を始めとした、間伐木を機械的に決定するため、間伐前後における
林分の平均個体の大きさがほとんど変わらない場合においては、材積ガイド線(右上
がりの傾き45°の線のことである。平均個体の大きさが概ね一定のときの本数密度と
材積の関係を示している。)を引いて求めるとよい 7)。
例えば、表5-6に
表-5.6 施業体系の例(2)
示す施業体系により施
作 業 種
林齢 上層樹高 ha 当たり本数 本数間伐率
業を行った場合におけ
(m)
(本/ha)
(%)
除
伐
11
9
2,250
10
る密度管理は以下のと
保育
第1回
16
11
2,000
20
おりである。
間伐 第2回
23
14
1,605
20
第1回利用間伐(列
第1回
30
17
1,286
20
状間伐)においては、
利用 第2回
40
21
1,026
20
間伐前の林分は上層樹
間伐 第3回
50
24
821
20
第4回
60
27
654
20
高17m、ha当たり本数
主
伐
70
29
526
100
が1,286本であるので、
横軸に示されている1,286本/haの線と17mの等平均樹高曲線との交点(点C)の位置
を、縦軸に示されているha当たり幹材積で読むと451m 3/ha、また点Cは23cmの等平均
直径曲線の近くにあるので、平均胸高直径は22.7cm、収量比数は等収量比数線との関
係から0.81であることが読み取れる。
ここで、点Cを通過する材積ガイド線に沿って間伐後の本数(1,026本/haとする。)
まで下げた位置(点D)の値を読み取るとよい。
これらの作業を、林分密度管理図を用いて行うと、図5-7に示すとおりとなる。
C
D
図5-7
密度管理の例(2)
(3)林分密度管理に当たっての留意点
以上によって求められた数値は、あくまでも平均的な値であり、個々の林分につい
てはかなりの誤差を伴うものと思われるため、平均胸高直径かha当たり断面積が実測
されているときは、以下の算式により補正するとよい。
VC=V×(実測した平均胸高直径÷林分密度管理図等で推定される平均胸高直径) 2
V C=V×(実測したha当たり断面積÷林分密度管理図等で推定されるha当たり断面
積)
VC:補正した材積
V:(13)式で求めた材積
3
長伐期施業に関するアンケート調査の結果
森林所有者の長伐期施業に対する意識を把握し、技術指針の参考資料とするとともに、
今後の普及指導の参考とするため、長伐期施業に関するアンケート調査を行った。
(1)調査方法
森林所有者の選定については、1普及指導区当たり25名以上を目途に、各普及指導
区に依頼した。
また、調査の実施及び調査表の回収は普及指導区に依頼した。
(2)調査内容
以下について質問した。
○ 調査対象者の年齢・後継者の有無(50代以上のみ)
○ 所有森林の面積、人工林率及び人工林の樹種別内訳
○ 所有森林の団地としての集約の有無
○ 長伐期施業の周知状況及び実施の有無
○ 伐期の設定状況(長伐期施業を実施していると回答した者のみ)
○ 今後の長伐期施業の導入の有無(長伐期施業を実施していないと回答した者の
み)
○ 伐期の設定予定の有無(今後長伐期施業を導入すると回答した者のみ)
○ 木材搬出のための作業道等の有無(伐期を設定する予定と回答した者のみ)
○ 作業道等の開設予定の有無(木材搬出のための作業道等がないと回答した者の
み)
○ 長伐期施業に必要な林内路網密度
○ その他
(3)調査結果
① 回答の状況
所有規模別の回答者につ
いては、表5-7に、また
人工林率毎の回答者数につ
いては、表5-8に示すと
おりである。
本調査では、251名から回
答を得ることができた。
表5-7
区
普
及
指
導
区
分
西臼杵
東臼杵北部
東臼杵東部
諸 塚
椎 葉
児 湯
中 部
西諸県
北諸県
南那珂
合 計
所有規模別回答者数
所 有 規
10~20
20~50
20
13
15
12
14
13
8
9
3
11
9
9
1
2
6
2
6
6
9
8
91
85
模 (ha)
50以上
合 計
6
39
7
34
10
37
9
26
10
24
8
26
7
10
5
13
5
17
8
25
75
251
表5-8
区
普
及
指
導
区
分
西臼杵
東臼杵北部
東臼杵東部
諸 塚
椎 葉
児 湯
中 部
西諸県
北諸県
南那珂
合 計
20未満
0
0
3
1
0
0
0
1
1
2
8
20~40
4
2
3
3
1
3
1
0
0
0
17
人工林率毎の回答者数
人 工
40~60
4
4
9
2
5
9
3
0
0
0
36
林 率 (%)
60~80
80~100
12
14
8
10
13
9
8
12
11
7
4
10
1
3
3
6
4
1
3
12
67
84
100
4
10
0
0
0
0
2
3
10
8
37
無回答
1
0
0
0
0
0
0
0
1
0
2
また、団地化の有無については、図
5-8に示すとおり、全体の55%に当
たる139名が、団地として集約されてい
ると認識している。
②
長伐期施業の周知及び実施の状況
長伐期施業の周知状況については、
図5-9に、また実施状況については、
図5-10に示すとおりである。
「知っている」と回答した者は111名
(44% )、また「名前は聞いたことがある」と回答した者は、79名(32% )、合計190
名(76%)と多く、長伐期施業は比較的知られていることがうかがえた。
また、「実施している」と回答した者は、全体の25%に当たる63名であった。
次に、所有規模別における、長伐期施業の周知状況については、図5-11に示すと
おりである。
「知っている 」、または「名前は聞い
たことがある」と回答した者は、10~20
ha(91名)では、36名(40%)と28名
(31% )、20~50ha(85名)では、32名
(38%)と31名(37% )、50ha以上(75
名)では、43名(57%)と20名(27%)
であった。
また、所有規模別における、長伐期施
業の実施状況については、図5-12に示
すとおりである。
「実施している」と回答した者は、10
~20haでは15名(17% )、20~50haでは
22名(26%)、50ha以上では26名( 35%)
であった。
これらのことから、所有規模が大きい
森林所有者ほど、長伐期施業を知ってい
る者や実施している者が多いといえる。
団地化の有無による、長伐期施業の周
知状況については、図5-13に示すとお
りである。
「団地として集約されている」と回答
した者(139名)のうち、
「知っている」、
または「名前は聞いたことがある」と回
答した者は、70名(50%)と36名(26%)、
また「団地として集約されていない」と
回答した者(104名)のうち、「知ってい
る」、または「名前は聞いたことがある」
と回答した者は、37名(36%)と42名
(37%)であり、大きな差は見られなか
った。
また、団地化の有無による、長伐期施
業の実施状況については、図5-14に示
すとおりである。
「団地として集約されている」と回答
した者のうち 、「実施している」と回答
した者は41名(29% )、「団地として集約
されていない」と回答した者のうち、
「実
施している」と回答した者は18名(17%)であった。
これらのことから、団地として集約されていると回答した森林所有者ほど、長伐期
施業を実施している者が多いといえる。
③
伐期の設定状況
長伐期施業を実施している63名におけ
る、伐期の設定状況については、図5-
15に示すとおりである。
「設定していない」と回答した者が29
名(46%)と最も多かった。
また 、「設定している」と回答した者
は31名(49%)であるが、そのうち伐期
を標準伐期齢の概ね2倍である、70年以
上と回答した者は21名(33%)と少なかった。
次に、所有規模別における伐期の設定状況については 、「設定していない」と回答
した者は、10~20ha(15名)では9名(60%)、20~50ha(22名)では9名(41%)、
50ha以上(26名)では11名(42%)と、所有規模が大きい森林所有者ほど少なかった。
また、
「 設定している」と回答した者のうち、70年以上の伐期を設定している者は、
10~20haでは4名(27% )、20~50haでは7名(32%)、50ha以上では11名(42%)
と、所有規模が大きい森林所有者ほど多かった。
団地化の有無による、伐期の設定状況
については、図5-16に示すとおりであ
る。
「団地として集約されている」と回答
した者( 41名)のうち、
「設定している」
と回答した者は19名(46% )、また「団
地として集約されていない」と回答した
者(18名)のうち 、「設定している」と
回答した者は10名(56%)であるが、70
年以上の伐期を設定している者は 、「団地として集約されている」と回答した者につ
いては13名(32% )、また「団地として集約されていない」と回答した者については
8名(44%)であった。
④
長伐期施業の導入及び伐期設定の予定の有無
長伐期施業を実施していない181名に
おける、長伐期施業の導入予定について
は、図5-17に示すとおりである。
「わからない」と回答した者が96名
(53%)と最も多く 、「実施したい」と
回答した者は44名(24%)に留まった。
「実施したい」と回答した主な理由と
して 、「再造林ができない」等の森林管
理への不安や 、「後継者がいない」等の後継者問題が多かったが、その一方、林業経
営の安定や良質材の生産、生産基盤の整備等により長伐期施業の実施に目処がついた
などの理由も見られた。
「実施したいとは思わない」と回答した主な理由として 、「将来にわたって木材価
格が保証されているわけではないから」や「木材価格が上がり次第売りたい」等の木
材価格への不安、森林所有者の高齢化、後継者問題が多かった。
また 、「わからない」と回答した主な理由として 、(
「 長伐期施業の)内容がわから
ない」や「長伐期施業にメリットはあるのかわからない」等の長伐期施業に関する情
報の不足、
「木材価格の先の見通しがわからない」等の木材価格への不安が多かった。
次に、今後長伐期施業を実施する予定があると回答した44名に係る、伐期設定の有
無については、図5-18に示すとおりである。
「設定しない」と回答した者が11名
(25%)と、既に長伐期施業を実施して
いるものと比べて少なかった。
また 、「設定したい」と回答した者の
うち、伐期を70年以上と回答した者は11
名(25%)と、既に長伐期施業を実施し
ているものと比べて少なかった。
④
作業道等の開設状況
長伐期施業を実施する予定あ
表5-9 作業道等及びその開設予定の有無
ると回答した30名に係る、木材
回
答
数
作
業
道
等
を新た
搬出に必要な作業道等とその開
区
分
に開設する予定
設予定の有無については、表5
はあるか
-9に示すとおりである。
ある
ない
木材搬出のた ある
21
21名(70%)が「作業道等が
めの作業道等
ない
7
7
0
ある」と、また、7名(23%)
はあるか
無回答
2
が「現在作業道等はないが、今
合計
30
7
0
後開設する予定がある」と回答
している。
次に、長伐期施業に必要と考えられる林内路網密度については、図5-19に示すと
おりである。
前述のとおり、効率的な搬出作業システムとするためには、架線系作業システム及
び車両系作業システムにおいては、作業
ポイントからの集材距離が200m程度と
なるよう、50m/ha程度のトラック走行
が可能な作業道の整備が必要とされる。
また、車両系作業システムにおいては、
作業道等からの集材距離が50m程度とな
るよう、200m/ha程度のフォワーダ走行
が可能な作業道等の整備が併せて必要と
されている。
145名(58%)が、長伐期施業に当たっては50m/ha以上の林内路網密度が必要であ
ると認識しており、特に長伐期施業を実施している者については、73%と高かった。
しかしながら、200m/ha以上と回答した者は、28名(11%)と少なく、長伐期施業
を実施している者についても18%に留まった。
次に、長伐期施業を実施していない181名における、長伐期施業の導入予定別の、
長伐期施業に必要と考えられる林内路網
密度については、図5-20に示すとおり
である。
「実施したい」と回答した者について
は、50m/ha以上と回答した者は73%、
200m/ha以上と回答した者は18%と、既
に長別期施業を実施している者と同様で
あった。
(4)まとめ
① 「長伐期施業」という言葉そのものは、多くの森林所有者に知られており、特に所
有規模が大きくなるほど知っている者が多かった。
また、所有規模が大きくなるほど長伐期施業を実施している者が多かった。
②
長伐期施業を実施している者については、伐期を設定していないと回答した者が46
%と最も多く、伐期を70年以上と回答した者は33%に留まった。
また、長伐期施業を実施したいと考えている者については、伐期を設定しないと回
答した者は25%、伐期を70年以上としたいと回答した者は25%と、既に長伐期施業を
実施しているものと比べて少なかった。
③
長伐期施業を実施している者については、73%が50m/ha以上の林内路網密度が必
要であると認識しているが、200m/ha以上と回答した者は18%と少なかった。
また、長伐期施業を実施したいと考えている者については、50m/ha以上と回答し
た者は73%、200m/ha以上と回答した者は18%と、既に長別期施業を実施している者
と同様であった。
④
長伐期施業を実施したいと回答した主な理由として、森林管理への不安や後継者問
題が多かったが、その一方、林業経営の安定や良質材の生産、生産基盤の整備等によ
り長伐期施業の実施に目処がついたなどの理由も見られた。
長伐期施業を実施したいとは思わないと回答した主な理由として、木材価格への不
安や森林所有者の高齢化、後継者問題、また「わからない」と回答した主な理由とし
て、長伐期施業に関する情報の不足や木材価格への不安が多かった。
⑤ 以上のことから 、「長伐期施業」という言葉そのものは広く知られているが、理解
されているとはいい難く、いわゆる「主伐の先送り」と混同している森林所有者が少
なからず存在するものと思われる。
その一方、設問に対して「わからない」との回答や無回答が散見され、また「長伐
期施業の内容やメリットがわからない」等の意見も多く見られた。
これらのことから、長伐期施業への理解が進んでいない背景として、長伐期施業に
関する情報が不足していることが挙げられる。