「地方法人税」にまつわるエトセトラ

月次重点項目シリーズ No.14
平成 27 年8月号
「地方法人税」にまつわるエトセトラ
①
②
③
26 年 10 月1日以後開始事業年度からスタートすることをご存知ですか?
法人住民税の法人税割の税率の変更に対応しましたか?
損金の繰戻し還付・留保金課税等への影響を確認しましたか?
結果的に名古屋市では、合計 16.685%(19.765%)から
9月決算から本格スタート
16.815%(19.895%)に微増します。
地域間(地方自治体間)の税源の偏在性を是正し、
財政力格差の縮小を図ることを目的として、法人住民
税の法人税割の一部を「地方法人税(国税)
」として分
ける改正が平成 26 年度税制改正で行われました。
この改正は、平成 26 年 10 月1日以後に開始する事
業年度から適用されるため、一般的には9月決算から
「国税」の納付書で別途納付!
「復興特別法人税」も法人税と同様に国税の納付書
で納付していましたが、ようやく対象期間が終わりま
した。
しかし、新たに創設された「地方法人税」も法人住
各税率が変更されます。
民税から分かれたとはいえ、国税ですので、法人税と
は別に、国税の納付書で納付する必要がありますので、
改正前後で税率の合計は大きく変更なし
納付漏れがないよう注意しましょう。
税率(カッコ内は制限税率)は、下表のとおりですが、
具体的には各自治体がこの範囲内で税率を決定しま
国税になったことによる留意点
す。
H26.9.30 以前
H26.10.1 以後
左表のように税率自体は改正前後で税負担はほぼ
開始事業年度
開始事業年度
同額ですが、法人住民税の法人税割と異なり、次のよ
5.0%
3.2%
法人税割
(6.0%)
(4.2%)
①
欠損金の繰戻し還付の対象となる点
法人市民税
12.3%
9.7%
②
留保金課税の対象となる点
(14.7%)
(12.1%)
③
連結納税制度の損益通算の対象となる点
―
4.4%
17.3%
17.3%
(20.7%)
(20.7%)
法人県民税
法人税割
地方法人税
合
計
うな点に注意が必要です。
社会福祉法人・学校法人の留意点
社会福祉法人や学校法人などの中には、収益事業に
そのため、税率表で新しい税率を確認する必要があ
ります。
例えば、名古屋市では、平成 24 年度から市民税の
よって所得を得た場合でも、その 90%以上を社会福祉
事業や学校経営に充てている場合には、法人住民税が
免除されるときがあります。
5%減税を実施していますが、地方法人税の創設によ
しかし、法人税は原則として課税されるため、これ
り 、 法 人 市 民 税 部 分 は 11.685%(13.965%) か ら
を課税標準とする地方法人税が課され、改正前より増
9.215%(11.495%)に減ります。
税となる可能性があります。