JSN-ASNA Joint Workshop 開催報告 会議名: 日本神経学会・ASEAN

JSN-ASNA Joint Workshop 開催報告
会議名:
日本神経学会・ASEAN 神経学会共催ワークショップ
開催地:
Suntec Singapore Convention & Exhibition Centre
開催日:
2015 年 7 月 30 日(木)・31 日(金)
日本神経学会側演者:
宇川義一、高橋良輔、阿部康二、寺尾安生、西野一三(敬称略)
1.背景
日本神経学会(JSN)としてアジア域の神経内科医療向上に寄与すべく、昨年度初めて、
インドネシア神経学会(ISN)との共催で、ハンズオン形式の JSN-ISN 共催ワークショッ
プを 2015 年 3 月 24 日・25 日にジャカルタにおいて開催した。日本側からは 4 名の演者が
派遣され、講演だけでなく、患者診察や脳波所見読影など臨床の実戦に役立つ内容であっ
た。開催後、インドネシア側から今後の定期的な開催を強く希望されるなど、大きな成功
を収めたと言える。この成功を基に、今後、アジア域での同様の共催ワークショップを継
続的に開催していくにあたり、隔年で開催される ASEAN Neurological Association
(ASNA)学術会議との協力関係が確立できるかどうかを探るべく、今年度は、シンガポール
で開催された ASNA 隔年学術会議に含める形で共催ワークショップを開催するとともに、
ASNA 役員会に出席して、JSN と ASNA との共催ワークショップについて議論を交わすこ
ととなった。
2.開催概要
第 11 回 ASEAN Neurological Association (ASNA)隔年学術会議と第 16 回 ASEAN
Congress of Neurological Society 隔年学術会議が合同で ASEAN 2015 Neuroscience とし
て 2015 年 7 月 30 日・31 日の両日、シンガポールで開催された。またこれに併せて、7 月
29 日にシンガポール各地で 6 つのプレコングレス・ワークショップが開催された。ASEAN
2015 Neuroscience は、2 日間で、3 つのプレナリーセッション, 16 のシンポジウム、2 つ
のランチョンで構成されていた。今年度は、本学術会議の概要が既に決定されていたこと
もあり、日本神経学会との共催ワークショップを独立した形で行うことは困難であり、
JSN-ASNA 共催ワークショップは、JSN 側の演者が学会プログラムに組み込まれる形で開
催された。JSN からの演者が講演を行ったセッションは、下記の通りである。
7 月 29 日(水)
・Electrodiagnostic and Neuromuscular Workshop (Precongress Workshop)
“Basics in Muscle pathology” 西野一三
7 月 30 日(木)
・Symposium 4 – Stroke
“Neuroprotection and Stem Cell Therapy for Ischemic Stroke” 阿部康二
・Symposium 5 –Movement Disorders
ement Disorders”
“Video-based Appro ach to Move
7月3
31 日(金)
寺尾
尾安生
y 3 – Latestt Treatmentts in Parkin
nson Diseasee
・Plenary
“Parkinsson Disease Treatmentt: Current Perspectives
P
s and Futurre
Directionss” 高橋良輔
輔
・Sympossium 9 –Neu
uroscience Training
T
in ASEAN
“Can we collaboratee with Japanese Society of Neuroloogy on Thiss Project?”
宇川義一
この中で、特に Symposium
m 9 において
ては、ASEAN
N 各国での神
神経内科を中
中心とする医
医療の
現状が
が報告され、
、ASEAN 域内での診療
域
療水準格差が極めて大きいことが明 らかにされた
た。例
えば、
、人口 650 万人のラオス
万
スでは神経内
内科医は 2 人しかおらず
人
ず、人口が 55500 万人のミ
ミャン
マーで
では 30 人し
しか神経内科
科医がいない
い(図 1)
。この
のような現状
状を踏まえ、JSN として
ては、
今後 ASEAN 地域
域内での神経
経内科医療水
水準向上に寄
寄与する意思
思があること
とが宇川委員
員長か
明された(図
図 2)
ら表明
図 11 図 2 2
3.A
ASNA 役員会
会への参加
ASN
NA 役員会にゲ
ゲストとして
て、高橋代表
表理事、宇川
川委員長、西
西野が招かれ
れ、日本神経
経学会
と AS
SNA との共
共催ワークショップについ
いての審議が
が行われた。西野が昨年
年度開催され
れたイ
ンドネ
ネシア神経学
学会との共催
催ワークショ
ョップを含む
む経緯を報告
告するととも
もに、今後、日本
神経学
学会が ASE
EAN 域内での
の神経学向上
上に寄与する
る意思がある
ることを表明
明した。ASN
NA 側
からは
は提案を歓迎
迎する旨が伝
伝えられたが
が、各国での
の事情が異な
なることもあ
あり、具体的な事
項に関
関する決定に
については持
持ち越された
た。一方、A
ASNA 側でも
も、シンガポ
ポール・マレ
レーシ
アを中心とするボ
ボランティア
アチームが独
独自の活動と
として ASEA
AN 域内の神
神経学後進域
域に出
て診療水準向
向上に務めて
ていることが
が報告された
た。
向いて
4.当面の方向性
ANSA 役員会で得られた情報などを踏まえ、JSN としては、将来的な ASNA との連携の可
能性も含め、当面は下記のようなスキームで共催ワークショップを開催する方向で進めて
いくのが望ましいのではないかと考えられた。
z
ASNA 隔年学術集会開催
―
学術集会に併せて、現地神経学会との共催ワ
ークショップを開催
z
ASNA 隔年学術集会非開催年
―
ASNA チームとともに ASEAN 域内の神
経学後進地域に JSN からも神経内科医を派遣し、現地神経学会との共催ハン
ズオン・ワークショップを開催
次回 ANSA 隔年学術集会は、2017 年にフィリピンで開催されるが、フィリピン神経学会か
らの代表は上記の案に対して極めて肯定的であった。また、2016 年については、ASNA の
ボランティアグループがミャンマーに出向き、Movement Disorder を軸とするハンズオ
ン・ワークショップ開催を計画しており、国際対応委員会としても密に連絡を取り、連携
していく方向である。
3.総括
第 2 回の JSN 国際共催ワークショップを ASNA 隔年学術集会の一部として行った。JSN
から派遣された 5 名は主催者側より歓待を受け(図 3:懇親会での様子)、各講演は何れも
好評であった。ASEAN 域内での神経学の水準には大きな格差があることが明らかとなった。
JSN からのハンズオン・ワークショップ開催の提案は前向きに大きな期待を持って受け止
められているが、当面は隔年学術集会を主催する現地神経学会と個別に共催についての打
診を行っていくことが必要と考えられる。
図 3 文責:宇川義一、西野一三