GPS、RFID情報を安定性の高いPHSで連携 全国の貨物駅でのコンテナ

AX420S 導入事例
GPS、RFID情報を安定性の高いPHSで連携
全国の貨物駅でのコンテナ荷役作業をIT化
日本貨物鉃道株式会社 様
http://www.jrfreight.co.jp/
コンテナの行き先などの
情報は紙に印刷して
コンテナに
取り付けられていた。
「物流の新しい流れ」をめざしコンテナ輸送には最新の貨物管理システムが導入されている。
日本貨物鉃道株式会社(JR貨物)は全国120の貨物駅で8,800両の貨車、約80,000個のコンテナ
全ての位置情報をリアルタイムに把握することにより時間通りで正確な貨物輸送サービスをお客さまへ
提供している。このサービスを支えている最新の貨物管理システムがIT-FRENS&TRACE*である。
コンテナの駅構内での位置情報を取得して荷役作業を管理するのがTRACEシステム。全てのコンテナ
車やコンテナにはRFIDタグが装着され、高精度のGPSで計測した位置情報はコンテナの上げ下げをす
るたびにフォークリフトに装着されたセンサーからIT-FRENSサーバーへ無線通信網で送信され、フォ
ークリフトやトラックのドライバーへの作業指示システムに反映される。広大な構内の無線通信網構築に
コンテナの情報はRFID化。
GPSシステムとの連携で
PCの作業指示画面に反映。
あたり無線LANとPHS通信を併用することで過大な投資、運用コストの問題をクリアし、正確な貨物輸
送と同時に荷役業務効率の改善を達成した。
(*注釈/FRENS=FREight Imformation Network System
(*注釈/TRACE=Truck and RAil-way Combinative Efficient-system)
■JR貨物における利用状況
全国のJR貨物のIT-FRENS端末
GPS
JR貨物開発の通信ユニットに
データカードを搭載
ウィルコム網
専用線
I-TEMセンター
インターネット
IP−VPN
RFIDタグ
ID読み取りセンサー
AX420S
IT-FRENSサーバー
駅構内トラック
導入機種
全国の利用運送事業者のIT-FRENS端末
AX420S
導入の経緯
本格的なIT化による業務改善の取り組みスタート
I-TEMセンターは、IT-FRENS&TRACEシステムの運用管理のほか保守や受発注のコールセンター業務、業務分析ま
でを担うJR貨物のいわば「営業戦略」部門で、2008年に設立された。それ以前は、たとえば荷役管理業務では、
コンテ
ナの行き先などはコンテナに貼り付けた紙で情報管理していた。
「トラックやフォークリフトのドライバーは広大な駅構内
を、
この紙の情報を見ながらコンテナを探して積み替え作業をしていました。荷役作業にはコンテナを探す作業も含まれ
効率的とはいえない状況でした。またドライバーの作業習熟度により業務効率には大きな差も発生していました」
(I-TEMセンター所長代理 又多啓之氏)。IT-FRENS&TRACEはこれらの業務課題を改善するためにスタートし、同時
にインターネットを使ったサーバーシステムを仲介して利用運送事業者にも使いやすいシステムとして構築された。現在
では既に当初の業務効率改善目標を大きく上回る改善実績を達成している。
I−TEMセンター所長代理 又多啓之氏
PHS導入のポイント 通信の安定性、
シンプルな運用、コストのメリットで選択
利用運送事業者のトラックドライバーは貨物駅に着くと登録の磁気カードをドライバーシステムに読み込ませ、持ち込ん
だコンテナの情報を登録する。同一の情報は構内のフォークリフトのオペレーターもPCのモニター画面にて共有してお
り、作業指示に従いコンテナを貨車へ積み替える。構内のコンテナ位置情報取得には数10cmの誤差範囲と精度の高い
GPSシステムを採用した
(コンテナの2段積みでも正確に計測できるよう配慮されている)。PC画面に表示される作業
指示の通りにコンテナの移動を完了すると、自動的にサーバー送信され、作業指示項目が消去される
(移動場所を間違え
ると再度修正作業指示が表示される)ので、
ドライバーは常時通信されている端末によって、
リアルタイムで駅内の情報、
トラックの情報、他のフォークリフトがおこなった作業の進捗まで把握ができ、効率よく業務ができる。
「このTRACEシス
テムでの情報通信には無線LANでの運用を検討しましたが、全ての駅で無線LANでの複雑な通信網を構築するには莫
コンテナ、貨車の位置情報と連携した「作業指示
画面」を見ながら荷役作業をスムーズに進める。
大な通信設備の投資コスト、
メンテナンスコストが発生するため、通信システム構築がシンプルで、通信の安定性での信
頼度が高く、投資コスト・運用コストも安価なPHS通信との併用を選択しました。全国の約75%の駅でのPHS導入を決
定しました」(又多所長代理)。
今後の展開
さらにスピーディーで正確な貨物管理システムをめざして
IT-FRENS&TRACEシステムの導入により列車の運行情報、出荷、着荷の情報はインターネット回線で利用運送事業者
とも共有できるようになった。これにより利用運送事業者はIT-FRENSのオープンサーバーへアクセスしてJR貨物への
輸送予約ができるほか、列車やコンテナの位置情報の提供などのサービスも利用できる。
I-TEMセンターでは、さらにこのシステムの運用メリットを発展させるための取り組みも始まった。
「次の通信システム
改善計画の中では、全回線を無線LANから通信速度の速い次世代PHSであるXGPへの切り替えも検討しています。
屋外で作業するフォークリフトなどのハードな作業に使用するため、無線LANでは一般的な屋内使用と比べ故障も多
く発生します。その点でもメンテナンスが簡単で、災害時にもインフラ確保がしやすいPHSのメリットを評価していま
す」
(又多所長代理)。
ユーザープロフィール
日本貨物鉃道株式会社
事業内容 / 年間輸送量約3,300万トン(平成20年度実績)のわが国唯一の鉄道
貨物事業者として日々の暮らしと経済を支えると同時に、CO 2 排出量が営業ト
ラックの約1/7と環境負荷の少ない輸送機関としても注目されている。
(写真は、東京ドーム6個分の広大な隅田川駅。
I-TEMセンターはここから全国の情報ネットワークを管理している。)
*掲載の内容は2010年5月の取材に基づくものです。
*掲載の会社名、製品、サービス名は各社の商標または登録商標です。
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