五島手延うどん 島原手延そうめん フランス・メニューフェア実施報告

メニューフェア 実施状況報告
JEXPO
1.実施レストラン一覧
レストラン名
(シェフ or 担当名)
店舗概要
L'arc en ciel Bordeaux
(ボルドー)
横山耕二
ニース2つ星レストラン等で修業後、
日仏フージョンのレストランを独立開業。
30席。客は、店舗近郊のフランス人のみ。
Pramil
(パリ)
Alain PRAMIL
前職物理学者のシェフ。
日本料理に造詣。
SAZANKA
(パリ)
猪原美香
和メニューも登場するカフェ。高級住宅地。
抹茶パフェや和軽食も登場するが、
サンドイッチやパティスリーメインのカフェ
オーナー日本人。料理人日本人もいる
客はフランス人大半
40席。一日を通してカフェ・軽食利用できる
夜での提供を検討。和食を出すフレンチスタイルビストロ。
TSUBAME bistrot japonais 新しい店の多いエリアオーナーフランス人。
(パリ)
料理人はフレンチのシェフだが和食材を多く紹介している(ランチは和食)
客はフランス人、30席。
Le Bistrot du Maquis
(パリ)
Le Letty
伝統的フランス料理にモダンさを加えている
Le LettyはTour d'Argent, Tallevent Sous-Chef, Crillon Chef出身。
Joel Robuchonと仲がいい
モンマルトルの静かな住宅地。常連客・観光客の利用。
日本でのイベントなど日本との関係も深い。
地方の完成度の高い農産物や食品を大事にし活用するシェフとして有名。
椎茸・酒・和牛などにもチャレンジしている。38席
Restaurant Agapé
(パリ)
Mathieu Sagardoytho
フレンチ高級レストラン。ミシュラン1つ星。高級住宅地。高級フレンチ
オーナーフランス人。料理人フランス人だが和食材の扱いに関心がある
客はフランス人、45席。
La Ferrandaise
(パリ)
元田勇
こだわりを持った生産者をクローズアップしたフレンチ
オーベルニュの食材を使った料理を得意としている
サンジェルマンデプレ地区。90席
こだわりを持った生産者の食材に限定し、活用をテーマとしている。
最高のビストロ賞受賞歴もあり、ミシュランでも好評価を安定して得ている。
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2.実施要領
1)実施目的
現地フランスのレストランのお客様に、実際に、うどん・そうめんを食べていただきたます。また、レストラ
ンでは、メニューに「五島手延うどん」、「島原手延そうめん」の名称を明示してもらったり、食材・製法・産
地について説明してもらったりすることなどにより、フランス人の両食材に対する理解を深め、ブランドイメ
ージづくりをすすめます。
さらには、うどん・そうめんが、現地レストラン等において、どのように調理されるか(同じ皿に盛り付ける
他食材とのコンビネーション、一食事のなかでの構成<アントレかメインか>、レストランメニューのライン
ナップとの親和性など)を明確にするとともに、現地食習慣に適したレシピづくりのアイデアを集めます。
また、現地シェフやレストラン客の指摘事項やニーズをヒアリング等を通じて調査し、うどん・そうめんの
改善点を整理します。
これらの結果をふまえ、今後うどん・そうめんを売り込んでいくターゲット(レストラン種別、客層、空間、
メニュー構成など)を明確にしていきます。そして、将来は、日本のうどんとそうめんの文化が広くフランス
の方に知られるようになり、ひいては、五島手延うどんと島原手延そうめんが、フランスの方々に愛される
食材になってほしいと願って実施いたします。
2) メニューフェアの実施条件等
実施期間
2015 年 3 月~2015 年 4 月
・各店舗 原則3週間以上
・提供する食材を完売した場合は、早期終了可
(5/8 現在、ほぼすべてのレストランで終了しています)
3)実施要件
・食材(うどん1種類 200 食分、そうめん2種類 180 食分)を無償で提供いたしました。
・「五島手延うどん、島原手延うどん」が食事のメイン(あるいは複数のメイン料理のひとつ)となるメニュー
(Suggestion du jour など)を提供すること。オリジナルメニュー歓迎。
・メニュー書き(テーブルメニュー・板書等)に、「五島手延うどん、島原手延うどん」の名前を入れること
・フェアの様子(調理中・調理後・店内等)を写真で記録し、データ提供すること。動画撮影やWEB
(facebook 等SNS、ブログ等)公開ができれば、なお可。
・メールで送付するヒアリング用紙に回答すること(A4 3枚程度)
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3.店舗・メニュー等の写真
1)L'arc en ciel Bordeaux
焼きうどん、七面鳥の低温調理カルボナーラのエスプマ
360 年の伝統を誇る島原手延べ素麺を用いて 素麺 Bo Bun カンボジア風
現地トピック
・カンボジア風(ナンプラー風)に仕上げるため、味付けに鮎から作った醤油「魚醤」(大分県産)を使用。
・麺の味、長さ、太さ、コシ、触感良し。ふだん提供しているメニューとの相性よし。
・来店客からたびたび、
「うどんって何?」、
「そうめんって何?」と聞かれた。
・1日平均20食。最大35食提供。ワインといっしょに食べるお客さん多数。
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2)TSUBAME bistrot japonais
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ゴマだれ、オリーブのタプナードソース、キノコのクリームソース
現地トピック
・ごまダレに、シソの葉、キュウリの千切り、ネギ、ゴマで食べる冷やしうどんが人気。
・そもそも日本的な料理を求める客層のレストランなので、ゴマだれ、オリーブのタプナードソース、キ
ノコのクリームソース のほうが注文が多い。実際、日本的な料理の方が、実際お店でウケる。
・30代~40代の男女。
「おいしかった」
、
「また食べたい」とフェアー期間中のリピート客も現れた。
・とりの唐揚げ、日本酒といっしょに注文する客多し。
・うどんは完売。
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3)Bistrot du Maquis
Udon fondue de poireaux
ポロネギのうどんフォンデュ
Filet de truite de mer à la plancha, crème cresson
マスのフィレ クレソンクリーム(そうめん添え)
Soupe de nouilles ( Shimabara Tenobe Somen ) à la poutargue et brocolis
ブロッコリーとカラスミをからめた島原手延そうめんのスープ
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アン肝とアボカドの島原手延そうめんサラダ、シトロンとバジリコのオリーブオイル
Salade de nouilles (Shimabara Tenobe Somen) au foie de lotte et avocat, huile d'olive citron et basilic
Hudon morilles à la crème(アミガサダケのクリーム仕立てうどん)
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Facebook 上で前日に材料だけを予告しておいて、翌日レストランで提供
前日予告
翌日提供
Facebook 上の横山耕二シェフのそうめん(冷やし)を見て、翌日冷やしそうめんの新メニューにチャレンジ
横山シェフの facebook 投稿
Bistrot du Maquis さんの新メニュー
Nouille somen,blanc de seiche ,bouillon au poivre pamplemousse
イカとあわせたブイヨン仕立てです。
グレープフルーツの香りを思わせるというネパールの胡椒入り
現地トピック
・今回のメニューフェアーの主旨に賛同いただき、リアルタイムで facebook でメニュー提供されるため、「楽し
んで取り組んでいただけいる様子」がとても感じられました。
・また、リアルタイムの報告を観察していると、最初は、ゆで具合など、不安定な印象を受けますが、それがさ
すがシェフ、だんだんと安定した仕上がりになってきている印象を受けます。
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4)SAZANKA
うどんアラビアータ
豆乳うどん
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カレーうどん
めんたいうどん
鴨なんばんうどん
豆乳そうめん
梅そうめん
現地トピック
・もともと、「茶そば」が人気のサロン・ド・テ。
・現在は、特にフランス人からはうどん、そうめんのオーダーは出ず、ほとんど茶そばとのこと。
お客さんが自分でメニューを選べるタイプので、知らないものだとオーダーされにくいとのこと。
・スタッフ皆さんには大好評で茶そばより美味しいと言っていただいている。
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5)Pramil
Coquilles Saint Jacques, morilles, ail des ours et somen de Shimabara
ホタテ貝、アミガサダケ、ail des ours (ラムソン)の島原そうめん
現地トピック
・島原手延そうめんが「春のメニュー(CARTE DE PRINTEMPS)」で定番化
(WEB サイトにも固定メニューとして案内)
・あわせて島原手延そうめんを ARTISANALES「職人技」として表現いただいています
・CARTE DE PRINTEMPS「春のメニュー」なので、しばらく継続してお店に出していただけます。
・350 年の歴史や雲仙の源泉から作られていることなどの紹介もあわせて。
・メニューでは Plats の筆頭に記載。
・アミガサダケを使ってクリーム仕立てにするのは、Le Bistrot du Maquis さんの
先日の五島手延うどんに続き2軒目。
・うどん・そうめんとフレンチとのコラボでの鉄板になりそうな予感
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6)La Ferrancaise
ムールとタコマリネそうめんサラダ。ランチとディナーの前菜
現地トピック
・シェフにもオーナーにも、主旨に賛同いただきスタート。
ところが、シェフがいざ試作の料理を作ってみると
なかなかフランス人オーナーさんに認めてもらえなかったそうです。
・スタッフにも「麺=チープなアジアの食べ物」という意識の方はいらっしゃって、
「フレンチらしいフレンチでお客に出すには抵抗がある」とも言われたとのこと。
・しかし、ゆで具合、しめ方、もちろんご存じのシェフは
何度もオーナーにトライいただき、ようやくメニューとして実現していただきました。
・お店にとっては、お客さまに提供するもの、真剣勝負です。
レシピを考案し、スタッフと調理法・給仕法を共有するのもとても忙しい毎日のなかで行います。
・ですから、ふつうであれば、PRのチャンスは1度きりです。
最初のプレゼンで失敗すれば、それっきりです。
2度とチャンスはありません。
日本からの販路開拓は、最初のワンチャンスに、どれだけ周到に準備できるか、にかかっています。
・ [シェフ感想]そうめんに関しても、うどんに関してもフランス人は扱い方を知らないのが普通。パスタ
はゆでて温かいまま調理するが、うどんやそうめんは使い方によっては冷たい水でしめる必要があり、そ
の行程を知らなければ美味しい食べ方にもたどり着けない可能性がある。ゆで加減を知らず、さらに温か
いまま味付けをしてしまい、それがうどん・そうめんの実力と誤解されてしまう可能性がある。
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7)Agapé
oeuf de somen frit au sésame pour l'apéritif
そうめんの卵ごま油揚げ、アペリティフに
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Udon pochées au bouillon de crustacés, morilles, salicorne et pousses pieds pour l'entrée
甲殻類、アミカサダケ、アッケシソウのブイヨン。うどんポシェ。アントレに
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un riz au lait avec les premieres fraises et un granite estragon
そうめんを使ったデザート。
ひとつぶのお米。牛乳と一番採りのいちご、グラニテエストラゴン添え
現地トピック
・
「そうめんの卵」というネーミングとともに、揚げて卵状の立体に仕上げるという斬新な発想。調理手順
も公開いただきました。さすがに星付きレストラン。今回メニューフェアに参加の他のシェフも、脱帽と
の声をいただきました。
・今回のメニューフェアでは、初めて、そうめんをデザートに採用。そうめんの小さな塊を「ひとつぶの
お米」に例える着想と仕上げも見事としかいいようがありません。
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4.その他所感等
・実店舗でメニューとして提供してもらうことで、著名なレストラン等で実施するようなイベント性・
お披露目性の強い取組とは違ったさまざまな発見があった。とくに、実際にレストランに提供できる
品質の食材として、シェフがどう考え、どうアレンジするかが、とてもよく見えた取組だった。
・そもそも、メニューフェアを実施してもらうためのレストランとの交渉段階に、非常に意義があった。
シェフやスタッフが、うどんやそうめんで、集客できるメニューに仕上げられるかについて真剣に取
り組んでいただけたことが大きかった。
・複数のレストランで同時並行したした意義は大きい。複数のシェフが同じアレンジを選んだり、他の
シェフのレシピを別のシェフが参考にしたり、とかいう取組が見られた。
・現地の取組を、facebook 等 WEB 配信することで、リアルタイム性が増し、日本の方への認知も広ま
った。日本在住の日本の女性から、
「わたしはフランス旅行に行くたびに、Pramil さんに行ってます!」
という投稿があったり。フランス現地のフランス人から、
「今ランチで TSUBAME にいるが、メニューフ
ェアやってないぞ、と問合せがあったり(実際には、ディナーでしか実施していなかった)
。
・五島在住の方は、フランスへの取組の様子をご存知ない方が多かったらしく、「五島列島支援プロジ
ェクト公式コミュニティ」の facebook ページに、本取組を掲載したところ、非常にたくさんの五島関
係の方から、激励のメッセージ等をいただいた。
・今後は、
「レストランで食べてもらう」から、
「フランス人が自宅で五島手延うどん、島原手延そうめ
んを自分で作って食べてもらう」が大きなテーマになると思う。リアルの店舗等でのプロモーション
と WEB コミュニティを活用した拡散が、その実現のポイントになると思う。
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