金融版「学問のすすめ」 リテラシー元年先取りした日本の取り組み(時事

金融版
「学問のすすめ」
リテラシー元年先取りした日本の取り組み
「身に才徳を備えんとするには物事の理を知らざるべからず。物事の理を知らんとするには字を学ば
ざるべからず。これすなわち学問の急務なるわけなり」(福澤諭吉「学問のすすめ」)
、すなわち「識字」は英語のリテラシーに相当し、単に読み書きができ
福澤諭吉の言う「字を学ぶ」
るだけでなく、内容を理解し、物事について的確な判断を下す能力を指している。近年、頻発する金融
た経験をしている。またその後、多
きであるという、「金融リテラシー」
に関する議論が国際的に高まってきた。経済協力開発機構(OECD)
向上のための取り組みを進めてきた。
一方、わが国ではこうした国際的
な流れに先んじて、金融リテラシー
全年齢層を対象とする「金融リテラ
OECDのイニシアチブと相まって、
強 化 に 取 り 組 ん で き た。 こ れ ら が
預金の払い戻し(ペイオフ)といっ
中で、戦後初めて金融機関の破綻や、
わゆる「護送船団」方式を転換する
な金融危機を経験し、それまでのい
わが国は、グローバル金融危機に
先駆けて1990年台後半に本格的
に結実することになった。
分は、筆者の私見である。
ととしたい。文中、意見にわたる部
歴史的な経緯を踏まえて概観するこ
テラシー向上の取り組みについて、
本稿では、中央委が中心になって
行っている金融教育の促進、金融リ
とを期待されていると言えよう。
ついて世界のロールモデルになるこ
の中でも早く訪れた日本は、本件に
ーの向上を必要とする事態が先進国
少子高齢化問題同様、金融リテラシ
はじめとする金融犯罪が頻発した。
重債務問題に関連する取り立てをめ
の意味で、 年を「金融リテラシー元年」と位置付けることも可能だ。
年度を「金融教育元年」と名
興に関する戦後の長い積み重ねの上
に、
筆者が所属する金融広報中央委員会
シ ー・ マ ッ プ 」( 後 述 ) の 作 成 な ど
金融広報中央委の活動
(以下「中央委」
)は、金融教育の振
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2015.11.12[木] 金融財政ビジネス 第 3 種郵便物認可
金融広報中央委員会会長
吉國眞一
よしくに・しんいち 一橋大経
卒、 年日銀入行。
国際通貨基金
(IMF)へ出向後、
国際局次長、
ロンドン駐在参事。 年7月国
際 決 済 銀 行( B I S )入 行 、同 行
アジア太平洋総代表等を経て、
年 月 新 光 証 券( 現 み ず ほ 証
券)シニア・アドバイザー、 年
1月みずほ証券リサーチ&コン
サルティング理事長を歴任。
年7月から現職。
01
が主催する金融教育についての国際的ネットワーク(INFE)が2012年に作成した「金融教育の
10
ぐるトラブルや「振り込め詐欺」を
危機や、金融犯罪を背景に、金融の分野においても、基本的な知識や知恵を一般の市民が身に付けるべ
13
15
73
06
)ロスカボス・サミットで承
ための国家戦略に関するハイレベル原則」は、同年の カ国・地域(G
20
認され、その原則に沿って金融リテラシー向上のための取り組みを積極化させることが合意された。そ
20
付け、高校生以下の学校教育の支援
05
12
説
解
が源であり、郵便制度の創設者、前
治維新直後に創設された
「郵便貯金」
貯蓄運動はさらにさかのぼれば、明
奨 励 運 動 と し て 始 ま っ た( 図 表1)
。
り、わが国の戦後の金融教育は貯蓄
中央委の前身は1952年に設立
された「貯蓄増強中央委員会」であ
家計管理のための「家計簿」の無償
具体的な貯蓄運動は、利率引き上
げ等の預金優遇措置と共に実施され、
のが、貯蓄増強中央委員会であった。
に取りまとめ機関として設立された
の民間主体の運動を後押しするため
委員会の前身であり、こうした各地
都道府県に設けられている金融広報
見直されていった。これが現在、各
れた貯蓄推進委員会が主導する形へ
形を変え、各地域で自発的に組織さ
自主的に取り組むべき国民運動へと
実施されたが、早い段階で、国民が
された。当初、政府が主導する形で
方を基本とする貯蓄奨励政策が実施
に貯蓄を行うべきだ」といった考え
の中でも一層倹約を重ねて、自発的
立復興のために、国民は貧しい生活
部門に対して「国家の経済安定、自
内の資本蓄積を促進するため、家計
を企業部門に重点的に割り当てて国
わち、インフレを抑制しつつ、資金
重要な一翼を担うことになる。すな
世界大戦後の日本経済復興において
いる。この貯蓄奨励運動は、第2次
のプロジェクトとしてスタートして
で も 百 科 」) の 刊 行 を 開 始 し た。 こ
で「 貯 蓄 百 科 」( 現「 金 融 商 品 な ん
央委ではそうしたニーズに応じる形
必要が生じ、金融商品に関する正確
一方、生活が豊かになったことに
伴い、個々人が金融資産を選択する
在に至っている。
融広報中央委員会と名称を変え、現
央委員会も、貯蓄広報さらには、金
なった。こうした中で、貯蓄増強中
取り組みの基本に据えられるように
めに『家計管理』や『生活設計』を
ン の 下、「 よ り 良 い 生 活 の 実 現 の た
をえらぶことである」とのスローガ
は現在の消費の代わりに未来の消費
に「貯蓄は消費と対立しない。貯蓄
その後、国民生活が豊かになった
段 階 で は、「 勤 倹 貯 蓄 」 か ら、 新 た
法の原型とも言うべきものが早くも
制度の開始など、現在の金融教育手
地 区 と し て の「 貯 蓄 推 進 実 践 地 区 」
こうした流れの中で、中央委では、
2005年度を「金融教育元年」と
法の一つとして続けられている。
の実例と知識を具体的に提示できる
師や保護者に公開することで、授業
研究結果を公開授業の形で多くの教
実際の授業例が蓄積されるとともに、
実践・研究を委託するものである。
標に、小・中・高等学校に研究費と
物に対する健全な価値観の涵養を目
に関する正しい知識の習得や金銭、
銭教育研究校制度)は、金融・経済
研究校制度(現在は、金融教育・金
か、金銭教育研究校制度を開始した。
配布、指導者向け教材等の作成のほ
日」を制定したほか、ラジオ・テレ
さらに、この時期、学校における
ビを利用した知識提供にも着手した。 金銭教育の重要性が認識され始め、
見られている。広報面でも「貯蓄の
位置付け、高校生以下の学校におけ
を増やしていく」といった考え方が、 参考資料等を提供して、金銭教育の
しっかり行い、その結果として貯蓄
る金融教育支援の強化に乗り出した。
いる。
等も利用しつつ、引き続き行われて
物のほか、最近ではインターネット
うな金融に関する情報提供は、刊行
1952 貯蓄増強中央委員会発足
1988 貯蓄広報中央委員会に改名
2001 金融広報中央委員会に改名
2005 「金融教育元年」
宣言
2007 「金融教育プログラム」
(
「年齢層別の金融教育内容」
を収録)
公表
2012 OECD
「金融教育のための国家戦略に関するハイレベル原則」
2014 「金融リテラシー・マップ」
公表
2015 「学校における金融教育の年齢層別目標」
(
「年齢層別の金融教育内容」
を改訂)
公表
金融教育元年から、
リテラシー・マップへ
ため、現在でも金融教育の有益な手
かんよう
児童・生徒向けに「こづかい帳」の
島密が自ら音頭を取り、国家レベル
配布、金融機関職員が小学校に出張
れは、「正確な金融経済知識の提供」
具体的には、金銭教育研究校活動の
こ う し
な情報提供へのニーズが高まる。中
し、銀行業務を体験させる「こども
の嚆矢とも言えるものだが、このよ
2015.11.12[木] 金融財政ビジネス 第 3 種郵便物認可
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銀 行 」、 各 地 に お け る 運 動 の モ デ ル
〈図表1〉
金融広報中央委員会の歩み
果も得られているそうだ。しかし、
企業の将来に対して、投資家さらに
ム 」 を 刊 行 し た。
「金融教育プログ
り、それらを調整すると、欧米との
後生活への不安や、高齢者を狙った
まり、国内では少子高齢化による老
金融教育に関する国際的な機運が高
体制整備も行っている。ただ、こう
的な金融教育活動を推進するための
ローチは行っていなかった。しかし、 での連続講義を行うなど、関連団体
このように、学校における金融教
育が体系化される一方、社会人・高
した取り組みはまだ緒に就いたばか
前記OECDのハイレベル原則など、 と連携を高めるとともに、より効果
齢者向けについては、体系的なアプ
りであり、今後は老後に向けた資産
他の金融教育推進団体と共同で大学
トを作製して、広く配布した。また、
た社会人、大学生向けのパンフレッ
に関するセミナーなどを積極的に開
銀行業界などが、リスクマネー投資
始される。こうした中で、証券業界、
子ども対象のジュニアNISAが開
策を打ち出してきた。来年からは、
資非課税制度(NISA)などの施
への投資を促進するとして、少額投
( 図 表2) を 変 革 し、 リ ス ク マ ネ ー
に偏重した家計の金融資産選択行動
へというスローガンの下に、預貯金
れのリスクやコストについても明確
いての知識を提供する中で、それぞ
じて株式、債券などの金融商品につ
ガイドラインにおいては、年齢に応
中央委の作成するさまざまな教材や
進的でも抑制的でもない)である。
投資そのものについても中立的(促
の宣伝を意図したものではないし、
ており、特定の金融商品や金融機関
活 動 は、「 中 立・ 公 正 」 を 原 則 と し
差はそれほど決定的なものではない
金融詐欺の急増を背景に、社会人向
形成ツールとして、重要な役割を果
催している。内閣府の調査によれば、
に説明するとともに、投資における
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2015.11.12[木] 金融財政ビジネス 第 3 種郵便物認可
年に報告書
ラシー・マップの高校生以下の部分
は国民一般の信認が高まることであ
育を広げていきたいと考えている。
( 事 務 局・ 金 融 庁 ) が
との整合性も確保されている金融教
る。日本の家計の資産選択行動にお
リスクマネー投資を促進する決定的
育プログラムを基本に、引き続き、
けるリスクマネー投資の低調さにつ
なお、高校生以下については、既に
を作成・公表した。
教育活動を推進していく。
を発表し、これを受けて金融経済教
拡充、教員向けセミナーの実施のほ
この金融リテラシー・マップでは、
「 国 民 一 人 ひ と り が、 よ り 自 立 的 で
か、文部科学省や金融庁等と協力し
安心かつ豊かな生活を実現する」た
という最新の研究結果がある。金融
な要因は、あくまで日本経済や日本
ラ ム 」 で は、
「年齢層別の金融教育
め、「 金 融 教 育 プ ロ グ ラ ム 」 に 含 ま
広報・教育の促進による、金融リ
テラシーの向上は、国民一人ひとり
教育現場に定着しており、金融リテ
内容」として、小学校低学年、同中
れていない大学生、社会人・高齢者
育推進会議(事務局・中央委)が、
学年、同高学年、中学生、高校生と
の部分をも包括しており、わが国で
リテラシーを高めることが直ちにリ
けの金融教育の充実が強く求められ
たすこととなる確定拠出年金関係の
金融リテラシーの高い層ほどリスク
「自己責任」の原則を踏まえた判断
年 に「 金 融 リ テ ラ シ ー・ マ ッ プ 」
いう五つの年齢層別に、金融教育と
の、より自立的で安心かつ豊かな生
スクマネー投資を促し、日本経済の
に関する体系的なプログラム作りに
して教えるべき内容が具体的に示さ
初めて大学生以上の年齢層に対して、
活を実現することを目的としている
活性化をもたらすというのは、やや
年に「金融教育プログラ
れたほか、学校教育における金融教
金融教育の具体的な学習項目を示す
ものであるが、これを「日本経済再
性急な議論であろう。
着手し、
育の狙いや目標、多くの具体的な授
ものとなった。
生」という視点から考えてみよう。
いても、統計的、制度的な要因があ
業案も収録されており、学校で金融
ア ベ ノ ミ ク ス は、「 貯 蓄 か ら 投 資 」
るようになった。こうした状況下、
チャンネル等、さまざまなチャンネ
マネー投資に積極的であるという結
日本再生と金融リテラシー
教育を行う際の基本的な資料として、 金融リテラシー・マップの完成を
受け、中央委では、マップに基づい
金融教育を推進する諸団体や官庁、
ルを開拓して、社会人向けの金融教
教育現場で活用されている。
有識者でつくる金融経済教育研究会
14
ながら、学校教育における金融教育
13
一方、中央委および各地の金融広
報委員会が行う金融広報・金融教育
07
な判断力と金融商品への
「目利き力」
テラシーの向上は、こうした合理的
力の育成を目的としている。金融リ
イフ・バラン
「 ワ ー ク・ ラ
の課題である、
って真に喫緊
日本経済にと
を養うことが、
「自立する力」
「生きる力」
な目的である
教育の基本的
それは、金融
考えている。
ではないかと
化に資するの
本経済の活性
別の意味で日
シーの向上が、
一方、筆者
は金融リテラ
言えよう。
まっていると
性は一段と高
融教育の重要
味において、アベノミクスにより金
にとって重要な条件である。その意
った点で、リスクマネー投資の促進
ラブルや犯罪を未然に防止するとい
境の下でしか成立しない特殊なライ
ば、高度成長時代の日本のような環
夫婦子ども2人、妻は専業主婦と
いうのは、一部の高所得者層を除け
だ。
業主婦の割合は大幅に減少したそう
ついては、履修後のアンケートで専
に関する連続講座を履修した学生に
最も多かった。ところが、この金融
して「専業主婦」を選択する学生が
象のアンケートでは、将来の目標と
ケートを行っているが、女子学生対
向けに自らの将来像についてのアン
なっている。同大学では別途、学生
プランの見直しを行うという構成に
い、最後にそれらを踏まえてライフ
った業界団体による各論の講義を行
全国銀行協会、日本証券業協会とい
ラン」の作成を指導する。その後、
人生の各段階を考慮した「ライフプ
携して、進学、結婚、出産といった
ナンシャル・プランナーズ協会と連
続講義」では、中央委が日本ファイ
同で実施しているある大学での「連
この点について興味深いエピソー
ドがある。中央委と関係諸団体が共
あるのではないかということだ。
の実現」につながっていく可能性が
金融教育は主に社会科、家庭科の教
第一は、教える側のリテラシーの
問題だ。例えば、中学・高校の場合、
期待されるのである。
ついての国民の意識が変わることが
日本経済が抱えるさまざまな問題に
経済リテラシーを高めることにより、
ている。女性の地位に限らず、金融・
意識が劇的に変わり得ることを示し
上記の大学での経験は、ライフプ
ランを自ら描いてみれば、そうした
いるのではないか。
ルにあるといった状況を生み出して
社会的地位が国際的にみて低いレベ
比率の低さなどにつながり、女性の
果として女性の労働参加率、管理職
意識している向きが多い。それが結
に専業主婦モデルをデフォールトと
唱えられつつも、いまだに男女とも
男女共同参画といったスローガンが
日本においてはダイバーシティーや
ールト(初期設定)としてさまざま
では、女性が一生働くことをデフォ
100
90
80
70
60
50
40
30
20
10
0
その他計
(2.5%)
(8.3%)
債券
(4.4%) 投資信託
(21.8兆ユーロ)
保険・年金準備金
(33.1%)
株式・
出資金
(17.9%)
現金・預金
(33.8%)
ユーロ
エリア
その他計
(2.8%)
債券
(4.4%)
(69.8兆ドル)
保険・年金準備金
(32.1%)
株式・出資金
(34.3%)
投資
信託
(13.2%)
現金・
預金
(13.2%)
米国
その他計
(4.3%)
投資信託
(5.7%)
(1,717兆円)
保険・年金準備金
(25.8%)
現金・預金
(52.0%)
日本
*
金融資産合計に占める割合
(%)
「その他計」
は、
金融資産合計から、
「現金・預金」
「
、債券」
「
、投資信託」
「
、株式・出資金」
「
、保険・年金準備金」
を控除した
残差
(出所)
日銀調査統計局
「資金循環の日米欧比較」
(2015年9月)
日米は15年6月末、
ユーロエリアは3月末
る。
しかし、金融広報・教育の促進に
は、幾つか克服すべき課題が存在す
今後の課題
な制度設計が行われている。しかし、
を養い、金融商品の勧誘におけるト
ス」や「男女
フモデルであり、ほとんどの先進国
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共同参画社会
債券
(1.5%)
株式・出資金
(10.6%)
〈図表2〉
家計の資産選択行動の日米欧比較
実際、スマホ決済や、仮想通貨「ビ
をフォローするのは容易ではない。
る教師でも、最近の金融革新の動き
融についてかなりの知識を有してい
師は敬遠しがちになる。さらに、金
ついて一定以上の知識を持たない教
師が担当することになるが、金融に
アップデートに努めている。
ども通じて、金融教育手法の改善、
師、アドバイザー同士の意見交換な
の研修を積極的に開催しており、教
活動を草の根的に行っている)向け
学校や公民館などで各種の金融広報
央委会長からの委嘱を受け、各地の
の教師や金融広報アドバイザー(中
育に利用されるという不幸な経過を
フィヒテの教育論には、民族主義
的な色彩があり、戦前の軍国主義教
べきであること。
学校は「経済教育」を行う小さな
「経済国家」のモデルであろうとす
は、経済教育に関するものだった。
の提案を行っている。その4項目目
うに、その本質は国民の独立精神の
たどったが、南原繁等が指摘したよ
ットコイン」のような、ITと結び
付 い た 最 新 の 金 融 手 法
金融教育、次の 年に向けて
「我慢する」「コツコツお金をためる」
をすぐに買ってもらえるようになり
の6人からかわいがられ、欲しい物
で、1人の子どもが両親と両祖父母
困難である。一方、少子高齢化の中
概念を実感を持って理解することが
「貯蓄における複利の力」といった
利がゼロという時代に育っており、
世代は、物心がついて以来、預金金
ていることだ。現在の大学生以下の
第二は、金融情勢、経済情勢の変
化で、従来の常識が通用しなくなっ
ケースもしばしば見られる。
のと考えるべきだ。
にあり、現代人にとって不可欠のも
力 」「 自 立 す る 力 」 を 涵 養 す る こ と
識や知恵を通じて、国民の「生きる
育の真の目的は、お金についての知
根強く残っている。しかし、金融教
などすべきでない」といった意見が
育について「小学生に金もうけの話
る一方、教育界の一部には、金融教
する社会の関心は一段と高まってい
融危機などを背景に、金融教育に関
が経過した。この間、グローバル金
冒頭述べたように、 年に中央委
が金融教育元年を宣言してから 年
金融リテラシーの向上を通じて、国
同改訂に向けた要望書を9月4日に
記した基本的な考え方を盛り込んだ、
開始されている。中央委は、本稿で
中高校の学習指導要領改訂の議論が
折から中央教育審議会においては、
2020年ごろの実施を念頭に、小
ろうか。
という精神とも重なるのではないだ
〈1891〉 年 慶 応 義 塾 で の 演 説 )
こ れ を 卑 し む べ か ら ず 」( 明 治
が唱えた「金銭は独立の基本なり。
た彼の言葉は、その意味で福澤諭吉
涵養を通じた「文化国家」の建設を
といった習慣が身に付かなくなると
〜 世紀のドイツの哲学者フィ
ヒテは、ナポレオンの欧州支配にお
民の「生きる力」の涵養に貢献する
と生徒のリテラシーが逆転している
(FinTec) に つ い て は、 教 師
い う 傾 向 が 見 ら れ て お り、
「シック
ののくドイツ人を鼓舞するための
ことができるよう、金融教育の振興
19
文部科学省に提出したところである。
24
目指すものだった。経済教育を訴え
スポケット」問題といわれている。
「ドイツ国民に告ぐ」と題した有名
に引き続き注力してまいりたい。
10
な演説の中で、教育に関する6項目
05
10
中央委では、以上のような問題に
対処するため、小学校から大学まで
18
18
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