第5回被爆二世臨床調査科学倫理委員会

第5回被爆二世臨床調査科学倫理委員会
日 時: 2015年5月14日(木)
場 所: 公益財団法人 放射線影響研究所
〒 732-0815
広島 講堂
広島市南区比治山公園5番2号
TEL: 082 (261) 3131
FAX:082 (263) 7279
議事次第
14:00 ∼ 14:05
開会挨拶
ショア副理事長
14:05 ∼ 14:10
委員紹介
児玉主席研究員
14:10 ∼ 14:15
委員長の挨拶
島尾委員長
14:15 ∼ 14:40
被爆二世臨床縦断調査の進捗状況
大石臨床研究部長
14:40 ∼ 15:00
質疑
島尾委員長
15:00 ∼ 15:10
休憩
15:10 ∼ 15:35
予備集計結果報告
立川副主任研究員
15:35 ∼ 15:55
質疑
武部副委員長
15:55 ∼ 16:20
総合討論及びまとめ
島尾委員長
16:20 ∼ 16:25
閉会挨拶
児玉主席研究員
以 上
被爆二世臨床調査科学倫理委員会メンバー
(五十音順・敬称略)
2015 年 4 月 1 日現在
委員長
島尾 忠男
(公財)結核予防会 顧問
副委員長
武部 啓
京都大学 名誉教授
委 員
上島 弘嗣
滋賀医科大学アジア疫学研究センター 特任教授
川本 隆史
国際基督教大学教養学部哲学・宗教学デパートメント 教授
木村 晋介
木村晋介法律事務所 弁護士
佐々木 英夫
安田女子大学家政学部管理栄養学科 教授
スティーブ ウイング
ノースカロライナ大学公衆衛生学部疫学科 准教授
田島 和雄
三重大学医学部附属病院 病院長顧問
朝長 万左男
長崎大学 名誉教授
野村 大成
大阪大学 名誉教授
早川 式彦
広島大学 名誉教授
福嶋
信州大学医学部遺伝医学・予防医学講座 教授
義光
振津 かつみ
兵庫医科大学遺伝学 講師
丸山 英二
神戸大学大学院法学研究科 教授
2015 年 5 月 14 日
第 5 回被爆二世臨床調査科学倫理委員会
1. 被爆二世臨床調査:第 2 健診サイクルの進捗状況について
[背景]
2002-06 年の被爆二世臨床調査(第 1 健診サイクル)は、親の放射線被曝と子ども
の多因子疾患(高血圧、高コレステロール血症、糖尿病、狭心症、心筋梗塞、脳卒中)
の有病率との関連性を調べる調査で、その結論の要旨は「今回の調査で得られたデータ
の解析では、親の放射線被曝に関連した子どもの多因子疾患を一括して見た場合に、リ
スクの増加を示す証拠は見られなかった」でした。今回の被爆二世臨床調査・第 2 健診
サイクルでは、前回の調査結果を踏まえ、次の 3 点を考慮して開始しました。
① 前回の有病率調査では、受診の意思決定に偏りが生じる傾向があること(例えば、
病気に関心がある方がより多く受診する傾向が疑われること)から、このような偏
りの少ない発生率(特定の期間内に新たに発症した疾患数の頻度)調査を行う必要
があると考えられました。
② 前回調査時、受診者の方々の平均年齢は約 49 歳と疾患のリスクを評価するにはま
だ若かったため、多因子疾患の好発年齢である高齢期まで追跡する必要があると考
えられました。
③ 被爆二世健康影響調査科学・倫理合同委員会により、
「今後、調査の対象となる方々の
高齢化に伴い、親の放射線被曝による子どもの健康影響が見られる可能性は否定できな
いこと、遺伝子解析研究技術の進歩により、新しい視点の調査項目の導入が求められる
可能性があること、などの観点から調査の継続が必要である」との勧告を受けたことも
考慮しました。
[目的]
被爆二世臨床調査の目的は、①健康診断や保健指導などを通じて、受診者の健康と福
祉に貢献すること、②親の放射線被曝線量と子どもにおける疾患の発生との関係を明らかに
すること、③放射線の遺伝的影響に関する将来の調査研究のために生物学的試料(血液や
尿)を保存すること、です。
[結果]
2010 年 11 月 24 日の開始から 2014 年 11 月 22 日までの 4 年間に、約 10,000 人が健
診を受診され、受診率は 75.5%(受診者の方の平均年齢は 56.8 歳)でした。2015 年 3
月時点で受診予定も含めると 77.2%(約 10,200 人)であり、2015 年 10 月末には、第
2 健診サイクル・最終グループまでの対象者の方々の大半が受診すると推測されます。
また、将来の研究のための血液・尿に関する保存についての同意率は、遺伝子解析を含
まない研究で受診された方の約 99%、遺伝子解析を含む研究でも約 97%と非常に多く
の方々のご協力が得られました。臨床調査への継続的な参加には、受診された方の
99.7%の方が同意され、非常に高い協力率が維持されています。
1
[まとめ]
被爆二世臨床調査・第 2 健診サイクルは目標である受診率 80%(約 1 万人)をほぼ
達成し、第 3 健診サイクルも始まりました。これからも健診を受診された方々のフォロ
ー体制(速やかな健診結果の送付、精査・治療が必要な方への紹介状準備、保健師によ
る連絡・相談、健康情報パンフレットの送付など)を徹底し、健診を健康管理に役立て
ていただきたいと考えています。そして、調査の対象となっておられる方々にお手紙に
よる健診の案内や電話によるコンタクトを行い、臨床調査の意義を理解していただく努
力を続け、健診への参加協力をお願いしていきたいと考えています。
2. 被爆二世臨床調査:予備集計結果報告について
[目的]
被爆二世臨床調査・第 2 健診サイクルの対象者の方々のうち、最初の 3 年間(2010
年 11 月-2013 年)に健診を受診された方の臨床データの入力が完了しましたので、今
後の解析計画を検討することを目的として予備集計を実施しました。今回の予備集計で
は、被爆二世臨床調査・第 2 健診サイクル対象者の方々のうち、最初の 3 年間(2010
年 11 月-2013 年)に健診を受診された方において、高血圧、高 LDL コレステロール血
症、糖尿病、狭心症、心筋梗塞、脳卒中の 6 疾患それぞれの有病率や発生率を調べるこ
と、第 1 健診サイクルの臨床データを用いて、第 2 健診サイクルの受診と未受診の方々
の比較を行うことを目的としました。さらに予備集計結果から、今後どのように統計解
析を行っていくかについても、検討を行いました。
[予備集計結果]
・第 2 健診サイクル(2010 年 11 月-2013 年)に受診された方の検討では、年齢増加に伴
う多因子疾患有病率の増加が認められましたが、狭心症や心筋梗塞、脳卒中は依然として
低い有病率でした。
・第 1 健診サイクルに受診された方のうち、80%を超える方が第 2 健診サイクルにも受診
されており、第 2 健診サイクルの受診と未受診の方では、現喫煙、年齢、収縮期血圧、糖
尿病並びに脳卒中の有病率に違いが認められましたが、これらの違いによる影響は少ない
と考えられました。
・第 2 健診サイクルへの受診状況をみると、大半の対象者の方は、健診参加依頼を行っ
て 1 年以内に健診を受けられていました。
[まとめ]
対象者の方々の受診状況から、2014 年 9 月に健診参加依頼を行った第 2 健診サイクル・最
終グループまでの方々の大半が受診すると推測される 2015 年 10 月末までの受診者の方を
本集計の対象者として設定することが適切であると考えられました。また、今後の統計解
析計画について、さらに詳細な検討を行う予定です。
2
: 2010
2
11
:4
:1
4
F1
1
)
X
50
2
1
12,451
= 9,961
2011
80%
10
24
2010.11.24
2010.11.24
2014.11.22
%
%
11432
9388
(82.1)
9582
(83.8)
1783
590
(33.1)
615
(34.5)
13215
9978
(75.5)
10197
(77.2)
2015
3
57.4
56.2
56.8
17
2010.11.24
6827
3151
9978
6783
(99.4)
3121
(99.0)
9904
(99.3)
2014.11.22
6768
(99.1)
6651
(97.4)
3115
(98.9)
3010
(95.5)
9883
(99.0)
9661
(96.8)
2015
3
17
2014.11.22
6827
6808
(99.7)
9
10
3151
3145
(99.8)
2
4
9978
9953
(99.7)
11
(0.1)
14
(0.1)
2015
3
17
•
•
•
•
•
•
•