第1章:地域包括ケアシステム構築のための仕組みづくり

第1章:地域包括ケアシステム構築のための仕組みづくり
1.地域包括支援センターの機能強化
(1)地域包括支援センターの機能強化
今般の介護保険制度改正では、地域支援事業が充実され、新たに包括的支援事業に「在宅医療・
介護連携の推進」や「認知症施策の推進(認知症初期集中支援チームの設置・認知症地域支援推
進員の配置)」、「地域ケア会議の充実」、「生活支援体制整備事業(生活支援コーディネーターの
配置)」が位置づけられました。
現在、地域包括支援センターでは、高齢者の総合相談、権利擁護、介護予防のケアマネジメン
ト、個別ケース会議の調整等の幅広い業務を行っています。これらの地域包括支援センターの業
務は、新たな包括的支援事業すべてと密接に関係しています。
今後は、地域包括支援センターを地域包括ケアシステム構築のための中核として位置づけ、直
営型で地域に密着したセンターであることを活かして、地域住民や関係団体と連携した地域づく
りを推進するとともに、取り組みを進め機能強化に努めます。
【地域包括支援センターの機能強化イメージ】
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【 地 域 包 括 支 援 セ ン タ ー の 主 な 業 務 内 容 ( 包 括 的 支 援 事 業 )】
①介護予防ケアマネジメント
介護予防ケアマネジメント事業は、主に要介護状態等となるおそれの高い状態にあると認めら
れる高齢者が要介護状態等になることを予防するため、その心身の状況等に応じて、対象者自ら
の選択に基づき、介護予防事業その他の適切な事業が包括的かつ効率的に実施されるよう必要な
援助を行うものです。より利用者に合った目標設定に向けて、本人の趣味や社会的活動を理解し
た上で、できることに着目し、介護予防に取り組む意欲を引き出せるように、信頼関係を構築す
るように努めます。利用者へのかかわりの必要性によって、介護予防ケアマネジメント類型が決
まります。まずは、自立支援に向けたケアマネジメントを推進していきます。
②総合相談支援業務
総合相談支援業務は、地域の高齢者が、住み慣れた地域で安心してその人らしい生活を継続し
ていくことができるよう、地域におけるネットワークを構築するとともに、高齢者の心身の状況
や生活実態、必要な支援等を幅広く把握し、相談を受けて、地域における適切なサービス、関係
機関及び制度の利用につなげる等の支援を行うものです。
③権利擁護業務
何らかの支援だけでは十分に問題が解決できない、適切なサービスにつながらないなどの困難
な状況にある高齢者が、地域で安心して尊厳のある生活を行うことができるよう、専門的・継続
的な視点から高齢者の権利擁護のために必要な支援を行うものです。事業内容としては、高齢者
虐待の防止及び対応、消費者被害の防止及び対応、判断能力を欠く状況にある人への支援などが
あります。
④包括的・継続的ケアマネジメント支援事業
包括的・継続的ケアマネジメント支援事業は、高齢者が住み慣れた地域で暮らすことができる
よう、地域の関係機関等の多職種の連携を図りながら、個々の高齢者の状況や変化に応じた包括
的・継続的なケアマネジメントを実践し、地域における連携・協働の体制づくりや個々の介護支
援専門員へのサポートを行います。
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①適切な人員体制の確保
介護福祉課
高齢化の進行(要介護・要支援者の増加)、それに伴う相談件数の増加や困難事例への対応状況等を勘
案し、センターの専門職が地域への訪問や実態把握等の活動を十分に行えるよう、適切な人員体制を確
保することが重要です。センターの業務量と役割に応じた適切な人員体制が確保できるよう努めます。
②地域づくりの展開
介護福祉課
住民の支え合いの仕組みづくりは、見守りや安否確認、家事援助など主に生活支援を目的として、地域
包括ケアシステム構築に向けて高齢者の自立支援に資するように発展させていくという視点が重要で
す。高齢者を「支える側」「支えられる側」といった立場で区別するのではなく、介護予防・生活支援・
社会参加を一体的に融合させることが、地域づくりの中核です。身近な地域で活動を展開することによ
り、地域で住民主体の介護予防として発展させるように努めます。
③地域包括支援センターの周知
介護福祉課
地域包括支援センターの役割や機能について、地域の住民には、まだ十分に知られていないという状況
があります。住民等への周知については、広報紙やパンフレットだけでなく、自治会等への説明、地域
の会合・行事への参加、出前講座の活用等、あらゆる方法・機会を通じて継続的に取り組んでいきます。
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(2)地域ケア会議の推進
地域ケア会議は、担当者が個別ケース(困難事例等)を持ち寄り支援の方向性の協議や情報の
共有を行う個別ケース会議での支援内容の検討を通じて、地域の課題を把握し、解決に結びつけ
て地域づくりを推進していくための取り組みです。地域ケア会議では、5 つの機能(個別課題解
決機能、連絡調整機能、地域課題発見機能、地域づくり・資源開発機能、政策形成機能)が連携
し、有機的に構築されることが重要です。
現在、町では、ケース会議が定期的に実施されています。今後はそのような様々な困難事例等
から地域課題を把握し、それを中心に解決困難な問題や広域的な問題を関係者の代表者レベルで
検討し、解決に結びつけるような新たな施策やサービスを構築するための地域ケア会議の開催を
検討していきます。
【地域ケア会議の主な機能】
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2.医療・介護連携
(1)在宅医療・介護の連携
高齢者が必要な医療や介護を受けながら地域で暮らし続けることができるように、在宅医療・
介護の連携に必要な体制を充実させる必要があります。疾病があっても地域で安心して暮らせる
ように医療と介護の連携を推進します。在宅医療・介護の連携は、今回の制度改正により地域支
援事業の「包括的支援事業」として取り組みます。
①在宅医療連携に係る施策の検討の推進
介護福祉課
医師や歯科医師、薬剤師、ケアマネジャーなど、在宅医療・介護分野の各職種の代表が、在宅医療・介
護の連携に関する課題や具体的な対策等について協議・検討します。また、医師会との連携により、在
宅医療の推進体制を構築していきます。在宅医療・介護の連携が円滑に進んでいくためには、地域づく
りを推進していくと同時に、地域住民や家族に在宅での療養介護に関して理解していただくことが重要
です。そのため、まずは地域住民への普及啓発を実施します。
【取り組み】
・地域の医療・介護サービス資源の把握
・在宅医療・介護連携の課題の抽出と対応の協議
・在宅医療・介護連携に関する相談の受付等
・在宅医療・介護サービスの情報の共有
・在宅医療・介護関係者の研修
・24 時間 365 日の在宅医療・介護サービス提供体制の構築
・地域住民への普及啓発
・近隣市町村との連携
3.住まいの確保
(1)高齢者のニーズに沿った住まいの整備
高齢者が住み慣れた地域で安心して暮らし続けることができるように、高齢者一人ひとりの状
況に応じた住まいで、自分らしく安心して生活することができる環境づくりを進めます。
4.安全なまちづくり
(1)公共施設や道路等におけるバリアフリー化の推進
加齢に伴い身体の機能が低下した高齢者など、誰もが主体性・自主性を持って安心して生活で
きるまちづくりを進めます。高齢者のみならず、誰もが安全・安心した生活を送れるよう、建築
物や道路等のバリアフリー化による安全性や利便性の向上を進め、高齢者への身体負担の少ない
まちを目指します。
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(2)防災・防犯対策の推進
防災面では、高齢者が安全に暮らすことができるように、災害時に地域内で迅速な避難支援が
できる体制を構築します。
また、高齢化の進行による一人暮らし高齢者や認知症高齢者等の増加に伴い、高齢者の健康上
の不安や経済的な不安につけ込んだ手口や、一人暮らしの高齢者や認知症高齢者を狙った手口な
ど、悪質な販売を行う事業者は依然として多く、また、その手口もさらに悪質化・巧妙化してお
り、高齢者が消費者トラブルに巻き込まれることが増えています。粕屋町では、このような消費
者被害から高齢者を守るため、地域包括支援センターの権利擁護業務の一環として相談対応等に
取り組んでいますが、センターでの消費者被害に関する相談は増加傾向にあります。
今後もさらなる高齢化の進行により、一人暮らし高齢者や認知症高齢者等の増加が見込まれる
ことから、地域包括支援センターと町の協働のまちづくり課及び警察関係等の関係機関と連携し
て、防犯対策を推進します。
協働のまちづくり課
①災害時要援護者避難支援体制の整備
介護福祉課
台帳への登録後、登録者の状況に応じた避難の際の個別支援計画を作成し、災害時要援護者が迅速かつ
的確に避難できるよう、地域における共助による避難支援体制の整備を進めます。
介護福祉課
②福祉避難所の指定
協働のまちづくり課
福祉避難所とは、災害時に高齢者や障害者、妊婦等、一般の避難所では生活に支障があり、特別な配慮
を必要とする人を受け入れる二次避難所です。今後、サービス事業所等と協議し、福祉避難所を指定し
ます。
③自主防災組織への支援
協働のまちづくり課
福岡県避難活動コミュニティ育成強化事業助成金を活用した、粕屋町自主防災組織育成強化事業を推進
し、自主防災組織の設立及び自主防災組織による避難訓練をはじめとする自主的な防災活動を促進し、
町における総合的な地域防災力を向上します。
介護福祉課
④高齢者のための消費者教育
協働のまちづくり課
地域包括支援センターでは高齢者の消費者被害に関する相談に対応していますが、手口は巧妙化し、相
談件数は増加傾向にあります。今後、広報紙等による啓発活動を行うとともに、警察署等の関係機関と
連携し、地域の関係者に対して悪質商法や詐欺等について、近隣での被害情報の提供や被害防止のため
の教育・啓発に取り組みます。また、地域に出向き、あらゆる機会を通じて消費者啓発講座等を実施し
ます。また、講座の開催にあたっては、事前に周知等を行い、高齢者の参加を促します。
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