[行財政計画] 第7章 第1節 行財政改革の推進による持続可能なまちづくり 実効性の高い行政経営等の推進 《現状と課題》 本格的な地方分権時代を迎え、これからの自治体は、住民と協働しながら、自らの進むべ き方向を自らが決定し、具体的な施策を実行していくことのできる経営能力が強く求められ ています。 本町ではこれまで、平成22年度に策定した新集中改革プランに基づき、行政組織の再編 をはじめ、歳出の削減、事務事業の再構築、情報化の推進等、効率的・計画的な行財政運営 に努めてきました。 今後、社会・経済情勢の急速な変化に伴い、行政ニーズはさらに多様化していくことが予 想されるとともに、長期にわたる景気の低迷や地方分権の推進等により、これまで以上に厳 しい財政運営を迫られることが見込まれます。 このため、地方分権を新しいまちづくりの機会と捉え、自主性・自立性をさらに高め、将 来にわたって持続可能な自治体経営を進めていくためには、行財政全般について常に点検・ 評価し、さらなる改革を進めていく必要があります。 《施策の方向》 (1)行財政改革に関する指針の見直し 自主性・自立性のさらなる強化に向け、実情に即した行財政改革を総合的・計画的に推 進するため、新集中改革プランを見直し、行財政改革の推進に努めます。 (2)行財政運営の適正化 事務事業のさらなる見直しを行うとともに、補助金や使用料・手数料等の見直し、公共 サービス改革の導入、指定管理者制度の活用及び民間委託等を推進します。 また、組織のフラット化を基本に、時代に即した組織・機構への再編を適宜行います。 さらに、集中改革プランに基づき、職員数の削減や給与の適正化を図ります。 (3)人材の育成 人材育成基本方針に基づき、職場環境の充実やプロ意識の啓発、職員研修の充実等を進 めるとともに、地方分権時代の担い手にふさわしい人材の育成を図ります。 (4)広域行政の推進 周辺自治体との連携のもと、一部事務組合等による広域施策・共同事業の効率的な推進 に努めます。 また、国・県等による地域再編等の具体化の動向を勘案しながら、今後の広域行政のあ り方について検討し、それに基づく取り組みを推進します。 92 第2節 健全で安定的な財政運営の推進 《現状と課題》 本町の財政は、平成19年度の財政健全化法の施行以来、連結赤字の解消が最重要課題と され、財政健全化計画や経営健全化計画の着実な実施等により、赤字解消に努めてきました。 その結果、平成24年度決算においては、国民健康保険事業会計を除く各特別会計が黒字化 するなど一定の改善は図られました。 しかしながら、近年の制度改革等に伴う地方交付税の大幅な減額や度重なる台風襲来に伴 う災害復旧費の増嵩等により、財政調整基金が極めて少額ななかで、予算編成において収支 バランスをとることが困難な状況が続いています。 また、公債費負担計画に従って、地方債の繰上償還や発行額の抑制、有利な地方債の発行 に努め、実質公債費比率等を改善してきましたが、今後は、公共基盤の老朽化が進むなかで、 大型公共施設の建替や長寿命化対策に多大な財政出動が必要とされ、予算編成を一層困難に することが予想されます。 地方債発行額や地方債残高の増嵩に伴い、再び公債費(毎年の借金返済額)が増加に転じ、 財政負担も大きくなることが懸念されるなかで、持続可能な財政基盤の強化が強く求められ ています。 【赤字会計と累積赤字額の推移】 (単位:千円) 会 計 名 H20 H21 H22 H23 ① 国民健康保険事業 △ 730,557 △ 721,206 △ 451,804 △ 273,171 ② 船舶交通事業 △ 117,207 △ 101,442 △ 77,388 △ 55,251 ③ 簡易水道事業 △ 88,255 △ 69,262 △ 24,328 ④ 巡回診療事業 △ 76,300 △ 99,468 △ 75,748 △ 24,099 △ 3,425 △ 5,344 △ 1,015,744 △ 996,722 △ 629,268 △ 352,521 ⑤ 農業集落排水事業 ⑥ 合計 (赤字のみ) 93 H24 △ 105,326 △ 105,326 【地方債の借入額・返済額・残高及び基金残高の推移見込み】 H21 H22 H23 H24 H25 H26 H27 (単位;百万円) H29 H30 H28 借入額 830 1,018 1,044 1,458 1,913 1,850 2,219 1,869 1,250 1,100 返済額 1,548 1,484 1,407 1,338 1,270 1,206 1,192 1,273 1,334 1,346 地方債残高 11,873 11,407 11,044 11,164 11,807 12,451 13,478 14,074 13,990 13,744 397 458 539 624 700 780 860 940 1,030 1,120 基金残高 (借入額・返済額:百 万) 2,500 (地方債残高:百万) 借入額 1,913 地方債残高 2,000 1,548 1,484 1,500 1,458 1,850 1,338 500 1,192 12,451 11,407 13,744 14,000 1,334 14,074 1,273 1,346 13,000 1,206 11,164 15,000 13,990 13,478 1,270 11,873 830 16,000 1,869 1,044 1,018 1,000 1,407 17,000 2,219 返済額 1,250 11,807 12,000 1,100 11,000 11,044 10,000 0 9,000 H21 H22 H23 H24 H25 H26 H27 H28 H29 H30 《施策の方向》 [1] 財政改革の視点 (1)危機意識の自覚と士気の高揚 (2)聖域なき徹底した財政構造の改革 (3)町行政の責任領域・関与の程度の見直し (4)費用対効果の検証 (5)公共事業等の優先度による峻別と重点化 (6)受益者負担の適正化 Plan (7)自主財源確保に向けた積極的な取り組み Action Do Check Plan(計画) 94 Do(実行) Check(評価) Action(改善) [2] 歳出削減対策 (1)人件費の抑制 定員の削減計画を推進し、年次的かつ着実に抑制を図ります。 (2)物件費の節減 費用対効果の更なる検証の観点から、職員一人ひとりが今まで以上に行政コストに対 する認識を深め、徹底した節減対策を図ります。 (3)補助費等の見直し 補助費等については、平成21~23年度に実施された事業評価に従い、補助交付金 の適正化に努めます。負担金については、必要性や負担割合について検討し削減に努め ます。 (4)公共事業の適正化 公共事業の実施においては、実施後の運営のあり方も含め、十分に費用対効果を検証 し、事業規模の適正化に努めます。また、事業相互の必要度・優先度を峻別したうえで 公共事業費の平準化を図るとともに、公共施設等の運営のあり方についても、公共関与 のあり方を見極め、指定管理者制度、民間委託の推進等について十分に検討します。 (5)地方債発行額の抑制と基金の確保 公共施設の建替や老朽化対策に伴い、地方債発行額の増大が懸念されることから、地 方債の発行額(借入額)については、償還額(返済額)を大きく上回ることのないよう 抑制を図り、地方債残高の増嵩が最小限になるように努めます。 財政調整基金をはじめとする積立基金については、地方債償還額を下回らない程度に 確保することを目標として、その実現に努めます。 【目標】 積立基金 > 地方債償還額 > 地方債発行額 [3] 歳入確保対策 (1)町税収入の確保 町税の徴収(率)については、長引く景気低迷の影響を受け、低下傾向にありますが、 滞納繰越分等については、法的処分も含めた徴収対策の強化を図るとともに、県と市町 村が連携した「相互併任方式」による滞納整理の取組等を実施し、徴収率の向上に努め ます。 (2)ふるさと納税(寄付金)制度の活用 本町の出身者で組織する全国の郷友会等へ地域振 興対策の財源として「ふるさと納税(寄付金)制度」 を活用した納税(ふるさと応援基金)について、今後 も協力を求めていきます。 95 (3)使用料・手数料の見直し 使用料・手数料の見直しについては、受益者負担の適正化を図る観点から、物価の上 昇、類似施設との均衡などを勘案しつつ、適切な見直しを行います。 また、減免措置等についても利用形態等を踏まえた上で、受益と負担の原則にたち、 公益性の観点からも見直しを行います。 (4)町有財産の有効活用 平成22年度に策定した「公有財産利活用基本方針」に基づき、町有財産の未利用地 の売却促進や有効活用を図るとともに、土地貸付料単価の見直しと、売却処分の推進を 図ります。 (5)その他の収入確保対策 広報誌や町ホームページ、町発行封筒等への有料広告による収入確保に努めます。ま た、世界自然遺産に登録されることを視野に環境を保全する財源を確保するため、関係 市町村と「入島料(税) 」の導入に向け検討していきます。 96
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