会員発表 橈骨遠位端部骨折の統計調査 夜間部22期卒 服部辰広 日体柔整専門学校 橈骨遠位端部骨折は、本邦においては年間 骨折場所に関しては約 70%が屋外で発生して 9 万件の発生があるといわれ、また全骨折の おり、同じ骨粗鬆症関連骨折である大腿骨近 1/6 を占めるとの報告もあるように、接骨院、 位端部骨折の多くが屋内で発生していること 整形外科医院において遭遇頻度の高い骨折の と対照的である。橈骨遠位端部骨折の骨折型 一つである。また同骨折は、骨粗鬆症との関 に関しては、レントゲン写真での確認が可能 連性が非常に高く、椎体圧迫骨折、大腿骨近 であった 143 例を対象とし調査を行った。ま 位端部骨折、上腕骨外科頚骨折と並び、高齢 た、骨折型には AO 分類をはじめ多くの分類法 者に好発する骨折でもあり、高齢化社会の現 が提唱されているが、今回は発生原因による 在において今後益々増加が予測されている。 分類、すなわち伸展型、屈曲型に振り分けた。 今回我々は平成 12 年 1 月から平成 25 年 3 結果としては 90%以上が伸展型、すなわち 月の期間に日体接骨院、さくら整形外科医院 Colles type であり、成書と一致していた。 へ来院した橈骨遠位端部骨折 149 名(小児の 本骨折の合併症については、柔道整復学理論 橈骨遠位端部骨折は除く)に対して、骨折時 編(第 5 版)の中だけでも 11 項目の記載があ 期、年齢、性別、骨折側、利き手と骨折側と るが、今回は尺骨茎状突起骨折の合併と長母 の関係、骨折原因、骨折場所、骨折型と合併 指伸筋腱(以下 EPL)断裂に限定して調査を 損傷の 8 項目の調査を行ない、先行文献との 行った。調査の結果、尺骨茎状突起骨折の発 比較検討を行った。調査の結果、橈骨遠位端 生率は約 40%と先行研究とほぼ一致していた 部骨折の発生年齢は平均 65.6 歳、男女比は が、我々の経験した EPL 断裂の発生率は約 4% 1:5 であった。骨折時期に関しては 1 月の発 であり、先行研究の 0.2 生が最も多く、次いで 12 月、3 月の順で多か に高率であった。以上のことから、橈骨遠位 った。全体としては冬期に多い傾向が見られ 端部骨折、特に不全骨折では EPL 断裂の発生 た。左右で見た骨折の発生に関しては大差が を念頭において施術にあたる必要があると考 なく、骨折側と利き手との関係もほぼ同様の えられる。 結果であった。骨折の原因は転倒によるもの が 85%以上と最も多く、転倒予防が橈骨遠位 端部骨折においては非常に重要であることが 示唆される。 0.7%に比べ明らか
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