№76 …「転ばぬ先のつえ」と「危険予知能力」…

平成26年度 洋野町立大野小学校
《発行日:平成27年 1月29日》
校報
№76
…「転ばぬ先のつえ」と「危険予知能力」…
3学期早々の小春日和も去り、また大寒の時期に相応しい寒波が到来しています。寒暖の差
も激しいのですが、心配していたインフルエンザの蔓延もなく安堵しているところです。
これも全て保護者の皆さんのご理解とご協力のお陰であると、感謝しております。
大野っ子達は寒さにも負けずに、今日も元気に学校生活を送っているところです。
休み期間ともなると、帽子に手袋、防寒着といった『完全防備』した子ども達が、校庭でスケ
ートごっこなどをして元気に遊んでいます。
さて、「ハインリッヒの法則」という言葉をお聞きに
なった事はありますか?
保険会社にお勤めの方や労働災害を扱う方であれば、
なじみの言葉かも知れませんね。
【ハインリッヒの法則とは】
この法則は、アメリカの保険会社に勤めていたハインリッヒ氏
(1886 年~1962 年)が導き出した、労働災害における経験則を
法則化したものであり、1 件の重大事故の背景には、29 件の軽微
な事故があり、その背景には 300 件もの危く大惨事となる、傷害
のない災害(「ヒヤリ・ハット」)が発生しているという法則で、
「1:29:300 の法則」とも呼ばれているものです。
本校では、本年度掲げた学校像『自信と誇りを育む、楽しい大野小学校』の実現のためには、
「安全・安心な学校つくり」は欠かせない要素であると、この「ハインリッヒの法則」を忘れず
に、日々子ども達の安全教育と安全な環境整備に取組んでいるところです。
学校でのけがを防止していくには、
「環境の整備」だけではなく、
「しなやか
な体の育成」と「危険予知能力」をあわせた3つをバランス
よく、定期的に行っていく事が大切となってきます。
【本校が行っている「環境整備」・例】
①
環境が主因となる、けがと事故の防止のため、日頃から全職員で校舎内外の危険個所を確認
し合い、不備がある場合、速やかに修理を行っています。(児童登校前の融雪剤散布なども含む)
②
危機管理対応マニュアルなども備え付け、全教職員でいつでも、どんな時にも同じ対応が
できるようにしています。
③
④
保護者さんには「緊急メール配信」へのご加入を勧めています。
子どもには「場や季節に合った服装」の徹底を行っています。
【しなやかな体の育成・例】
転がる、ぶら下がる、支えるなど『非日常的な動き』を多く取り入れた体育授業などで、
しなやかな体つくり(巧緻性や柔軟性など)の育成を図っています。
⇒
この事については、7月3日発行の『校報28号』に掲載した「…スポーツテストで
わかる事…」もご参考に…。
【危険予知能力の育成・例】
① 危険予知能力を高める学習は、5年生の体育(保健領域)の中でも扱います。
ここでは「けがの防止」というテーマで、交通事故の防止やけがの手当てなどについても
併せて学びます。
②「自らが正しく考え、正しく判断する」場面を加えた避難訓練を行っています。
③
担任がついていない時(休み時間など)の正しい避難の仕方を
日頃から確認し、校内にも掲示しています。
④
【掲示物の例】
「~してはいけません。
」という注意や指導ではなく
「~すれば、どうなっていたと思いますか。
」といったような、
先を見通せる、予知できる注意や指導を心掛けています。
必要のない「けが」を防ぐため、大野っ子達
は場と季節に合った、身を守る服装(帽子・手袋、
防寒具、長靴…) をし、校庭でスケート遊びを
しています。このような遊びを通して子ども達
は「危険予知能力」や「しなやかな体(巧緻性や
柔軟性など)を自然に養っているのです。
多くの子ども達が生活している学校では、「させてもよいけがや失敗」と
いうものは一切ありません。学校は安全・安心な場所でなければいけません。
現代の子ども達は、乳幼児器具の普及により「乳幼児から『転ぶ』機会が
減り、『痛みを伴う体験』や『失敗を繰り返さない体験』が不足している。」とも言われて
います。その事が、子ども達の危険予知能力やしなやかな身体の形成を低下させているの
かも知れませんね。
子ども達の健全でたくましい成長のためには、「転ばないために気づく力」や「けがを
しない転び方」、「転んでもけがをしない体つくり」などの要素が必要となってきます。
過保護や誤った解釈の『転ばぬ先のつえ』ではなく、正しい意味の『転ばぬ先のつえ』
を子ども達に提供し、身につけさせたいと考えています。