映画「沈まぬ太陽(山崎豊子原作)」を観て思うこと

映画「沈まぬ太陽(山崎豊子原作)
」を観て思うこと。
去る4月12日に BS 朝日で「沈まぬ太陽」の放映があり最初から最後まで食い入るように
観ました。実はこれまでに本で読んだり映画館で見たりで今回で計3回目の鑑賞ということに
なりました。今までもその都度感じることが多々あったのですが、会社を退職後10年余りが
経ち、改めて観て考えるとさまざまなことが脳裏に浮かんできました。浮かんできたというよ
り、どちらかというと「怒り」みたいな感情を覚えました。
最初にこれに触れたのは出版された本が会社で一部管理職だけに隠し回し読み(?)がされ、
どういうわけか私のもとにもこっそり回ってきて、何とも不自然な対応と違和感を持ちつつ読
んだものでした。後にこれが映画化されこれは個人で観にいき、現実と照らし合わせながら事
細かに詳細に観たものです。会社の対応の「いやらしさ」
「汚さ」の恥部を見せられた感じで何
とも言い難い不愉快な思いに駆り立てられたものでした。その後定年退職となり、早くも10
年あまりが経ち今回暫くぶりに2回目の映画としてみた次第ですが、当初は内心は過去のこと
として冷静に観ることができると思っていたのですが、映画の場面、場面ごとに当時のこと、
自分で体験したこと、会社で噂のあったこと等が思い出され、改めて「怒り」
「やるせなさ」
「何
とも言い難いもの」が今日的なことのように新鮮に脳裏を巡りました。
本や映画は多少は事実と異なり脚色されてはいるもの大筋はほぼ事実どおりの展開になって
いるものと私は思いました。
(このくだりに関しては皆さんの感じ方と多少の差異があろうかと
思いますが。
)
まずは原作者の山崎豊子さんのよくもあそこまで事細かに現場取材を重ねたものかと驚きと
同時に、これまでに私の人生の大半を会社と共に過ごし、人的に、経済的に会社にお世話にな
ったという気持ちに変化はないものの、一方で会社のトップの不純な処世術には怒りを覚えざ
るを得ません。
映画の中で、
「御用組合の存在」
「遺族会の名簿を手に入れろ」
「裏金の用意」等の言葉、セリ
フに特に今の私は意識づけられ、このなりふり構わぬ不純な会社経営の手法が、実は御巣鷹山
事故後の現在も延々と続いていると思われてなりません。
当時の中曽根総理の肝いりで会社に送り込まれた鐘紡からの伊藤会長を、いわゆる御用組合
の存在を背景にした会社労務当局が、結果的に追い出した構図、一方、現在の JALFIO なる組
合と会社労務当局がつるむ形で会社が牛耳られている構図、が全く変わっていないように思え
てならないのです。みなさんはいかが思いますか。
会社で現役時代は心の弱さ、その他もろもろの外的背景等により、心に思うことをそのまま
脚色なしに外に表すことができませんでしたが、退職後10年以上経った今、映画「沈まぬ太
陽」を観て改めて、脳裏、心をよぎるものが多々ありました。
私と同じく会社を経験した方は、それぞれに思いがあることと思いますが、少なくとも
これ迄約40年お世話になった会社に対しいい印象を今後も持ち続けたいとの願いにいささか
の迷いはないのですが、現実の姿を見聞きすると、残念ながら心がやや揺らぐものです。
以上
2015.4.14
世話人 T.I