事務局オリエンテーション 「われわれは今どこにいるのか、どこに行くのか」

「われわれは今どこにいるのか、
どこに行くのか」
がん政策サミット2015春
~患者・医療現場・地域のために、
法律と計画の改善に取り組もう~
2015年5月31日
NPOがん政策サミット理事長 埴岡 健一
1
われわれは、どこにいるのか?
がん政策サミット
全体目標 (未達/不明)
1. がんによる死亡減少
2. がんによる苦痛の軽減、
QOLの向上
3. がんになっても安心し
て暮らせる社会の構築
がん対策は「第2次」の中間評価期、10カ年計画の終盤へ
「第3次計画」「改正基本法」と、次の数年を構想するとき
今 がん対策“ルネサンス(再興)”
がん対策“元年”
がん対策基本法制定
2006
2007
2008
第2次終了
2009
2010
2011
がん対策基本法施行
がん対策推進基本計画
(第1次)
都道府県
がん対策推進計画
(第3次)
“量”の時代
2012
2013
2014
2015
2016
がん対策基本法改正
がん対策推進基本計画
(第2次)
都道府県
がん対策推進計画
(第2次)
“質”の時代
第3次開始
2017
2018
改正がん対策基本法
施行
基本計画
(第3次)
推進計画
(第3次)
“成果”の時代
2
がん対策の体系
国レベル
がん政策サミット
患者参加
都道府県(地域)レベル
受動喫煙防止条例 2県
全国がん登録法制定、受動喫煙防止法
がん対策基本法
がん対策推進条例
2006年制定、2007年施行
2016年改正? 2017年施行?
30数道府県制定・施行、数県改定
がん対策推進協議会
がん対策推進協議会
マルチステークホルダー、患者代表参加
マルチステークホルダー、患者代表参加
がん対策推進基本計画
がん対策推進計画
第1次2007-11、第2次12-16、第3次17-21
第1次2008-12、第2次13-17、第3次18‐22
相互影響
がん計画のPDCAと評価
第2次中間評価2015年6月
がん計画のPDCAと評価
第2次中間評価2015年度
がん対策予算
がん対策予算
診療報酬改定(がん分野)
地域医療介護総合確保基金等
患者視線のア
ウトカム
○助かるはず
の命が助かる
○しなくてよい
苦労をしない
地
域
の
医
療
・
介
護
ネ
ッ
ト
患
者
・
住
民
・
市
民
・
国
民
3
ゲスト演者の主なテーマ範囲
がん政策サミット
2015
歴史鳥瞰
2025年
問題
PDCAサイクル
P
D
C A
P
D
C A ・・・・
評価の考え/施策・指標マップ
施策
指標
中間
指標
アウトカム
県の事例
最終
指標
アウトカム
アウトカムから考える
患者・医療
現場・地域
へのメリット
指標/計測
①江副さん
②東さん
③増田さん
④石川さん
需給ギャップ解消
⑤ワーク
各県への適用
⑥本田さん
4
患者・現場・地域の変化(アウトカム)が重要
施策アウトプット
指 標
中間アウトカム
指 標
がん政策サミット
分野アウトカム
指 標
達 成
どう変わるか
患者・医療現場・地域
何がもたらされるか
5
「施策・指標マップ」によってアウトカムを目指す
何をもって達
成されたとす
るのか
施策アウトプット
指
中間アウトカムを
達成するには、誰
が何をしなければ
ならないか(施策
の選択)
何をもって達
成されたとす
るのか
標
中間アウトカム
分野アウトカムを
達成するのに必
要な「状態」
指 標
がん政策サミット
何をもって達
成されたとす
るのか
分野アウトカム
指 標
患者・現場・地域
がどうなってほし
いか「状態*」
*状態 = 何がどうなっている
6
指標体系と計測結果(国の相談支援・情報提供分野例)
施策(アウトプット)
指標
○○は、より効果
的、効率てきな体
制構築する
拠点病院は相談支
援を強化、国はそ
の取り組みを支援
する
C1,
C1a,
C1c
国・地方公共団体
はピアサポートをさ
らに充実させるよう
努める
C4g,
C6b,
国立がん研究Cは
研修、情報提供、
相談支援の中核的
機能を担う
C2
分野アウトカム
指標(計測数値)
患者と家族の悩みが汲み上げられて
いる
*患者の不安や悩みが軽減されて
いる
[C4d]相談支援センター利用に安心・
満足・役立った (81.4%)
[全4]自分らしい生活が送れている
(78%)
[全5a]治療の見通しが見えている
(89%)
[全5b] 退院後の生活の見通しが見
えている (79%)
必要とする最新情報を正しく提供し、
きめ細やかな対応ができている
拠点病院は相談支
援Cと院内連携を
図り、精神心理的
苦痛への診療を提
供する
PMDAは副作用情
報の患者への情報
提供を行う
中間アウトカム
指標(計測数値)
がん政策サミット
[C5]必要な医療情報が十分得られ
た (87.4%)
[C6]治療選択に必要な情報が十分
得られた初発患者 (89.6%)
[C3b]拠点病院治療実績数が公表さ
れている稀少がんの数 (22)
活用しやすい相談支援体制が早期
に実現している
[全13]相談できる環境があると感じ
た (67.4%)
目指すべき姿、目標、指標
が決まり、さらに指標の計
測が行われた
⇒
次に、来るのが評価と改善
⇒
では、評価と改善とは?
ワークのスライドから、一部改変
*は事務局追記部分
※ アウトカムは国の計画文の個別目標から該当する内容を入れ、指標と計測数値は「進捗管理指標一覧」から該当すると思われるものを事務局が入れています。
7
評価と改善とは?
がん政策サミット
●数値の分析
①アウトプット↑アウトカム↑
②アウトプット↑アウトカム↓
③アウトプット↓アウトカム↑
④アウトプット↓アウトカム↓
●考察⇒評価と改善へ
どの対策が効いたのか。
効果がない施策は何か。
施策の優先付けは。何
の施策が欠けているか。
拠点病院は相談支援を強
化、国はその取り組みを支
援する
*患者の不安や悩みが軽減され
ている
必要とする最新情報を正しく提供
し、きめ細やかな対応ができてい
る
〔C1a〕相談支援センターに
専従の相談員が配置
(85.1%)
国・地方公共団体はピアサ
ポートをさらに充実させるよ
う努める
●考察
中間アウトカムの向上
が分野アウトカムの向
上に寄与しているか
[C5]必要な医療情報が十分得ら
れた (87.4%)
活用しやすい相談支援体制が早
期に実現している
D
〔C4g〕ピアサポーター相談
支援を実施する拠点病院割
合(16.9%)
[全13]相談できる環境があると感
じた (67.4%)
高いのか、低いのか。
向上しているのか。地
域格差はあるのか
D
[全4]自分らしい生活が送れて
いる (78%)
高いのか、低いのか。
向上しているのか。地
域格差はあるのか
表の部分は前ページの抜粋
高いのか、低いのか。
向上しているのか。地
域格差はあるのか
*は事務局追記部分
※ アウトカムは国の計画文の個別目標から該当する内容を入れ、指標と計測数値は「進捗管理指標一覧」から該当すると思われるものを事務局が入れています。
8
指標を計測して、どう評価するか(そこが本質)
パタンA
施策アウトプット
良い/向上
中間アウトカム
良い/向上
がん政策サミット
分野アウトカム
良い/向上
例①:医療者多い⇔医療の質高い⇔治療成績が良い
例②:相談者が多い⇔相談の機会が多く質が高い⇔患者の悩みが軽減されている
・他の施策でなく、この施策が効いていると考えられるのか。それならば強化
・他の施策が効いているのならば、それを強化
パタンB
施策アウトプット
良い/向上
中間アウトカム
悪い/低下
分野アウトカム
悪い/低下
例①:医療者多い⇔医療の質低い⇔治療成績が低い
例②:相談者が多い⇔相談の機会が少なく質が低い⇔患者の悩みが軽減されていない
・この施策は効果がないのではないか。時間が掛かるのか。何年待てるのか。何が足りないのか。
・もっと効果がある施策に入れ替えた方がいいのではないか。それは何か。
9
奈良県の「施策・指標マップ」(がん診療分野)
がん政策サミット
県の指標、委員発の指標、国の指標を色分け↓
施策アウトプット、中間アウトカム、最終アウトカムに構造化↓
←情報源分類を表示
出典:平成26年度第2回奈良県がん対策推進協議会資料http://www3.pref.nara.jp/gannet/secure/4819/h26-2.siryou3-1.pdf
10
国の死亡率削減(全体目標1)の達成は?
約10%減ペース
がん政策サミット
約15~17%減ペース
17%減ペース
・従来の10%減ペースを10%分加速する目標だった
・死亡率20%減目標は17%減で未達の見込み
・ペースが鈍っている可能性もある
・未達の原因は、それを踏まえた改善は?
・「施策・指標マップ」による計測と、評価・考察が不可欠
出典:第50回がん対策推進協議会 資料2-1スライド5に加筆
11
大幅な未達となりそうな県は?
がん政策サミット
死亡率
死亡率は、2013年、男女75歳未満、年齢調整済。赤線は国平均
死
亡
率
改
善
率
(
8
年
間
)
60
65
70
75
80
85
90
95
100
105
2%
4%
6%
8%
青森県
×○
××
○○
○×
破線内は、未
達ペースの県
10%
12%
14%
16%
18%
滋賀県
次のページに各都道府県の数値表
20%
データソース:人口動態統計(厚生労働省大臣官房統計情報部)、出典:国立がん研究センターがん情報サービス、加工:NPOがん政策サミット
12
ワースト県は分析と振り返りが必要
番号
0
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
12
13
14
15
16
17
18
19
20
21
22
23
県名
全国
北海道
青森
岩手
宮城
秋田
山形
福島
茨城
栃木
群馬
埼玉
千葉
東京
神奈川
新潟
富山
石川
福井
山梨
長野
岐阜
静岡
愛知
死亡率
80.1
88.5
99.6
80.8
76.9
88.2
80.4
79.8
80.9
80.2
77.8
78.8
78.4
80.6
78.8
81.6
75.3
74.6
71.0
72.3
66.1
76.0
76.5
78.9
減少率
番号
13.3%
24
9.9%
25
3.4%
26
11.3%
27
14.4%
28
8.2%
29
4.7%
30
11.8%
31
14.9%
32
12.2%
33
12.6%
34
15.7%
35
13.8%
36
14.1%
37
12.7%
38
11.3%
39
11.6%
40
13.0%
41
15.6%
42
16.2%
43
12.6%
44
11.5%
45
11.2%
46
14.2%
47
がん政策サミット
県名
三重
滋賀
京都
大阪
兵庫
奈良
和歌山
鳥取
島根
岡山
広島
山口
徳島
香川
愛媛
高知
福岡
佐賀
長崎
熊本
大分
宮崎
鹿児島
沖縄
死亡率
75.2
70.6
78.8
86.3
82.0
78.2
81.8
88.4
79.6
74.8
75.3
80.7
76.6
76.5
77.7
85.1
84.6
85.9
88.0
71.5
72.4
78.4
81.1
78.0
減少率
10.8%
18.4%
12.2%
15.3%
15.6%
17.0%
17.0%
10.2%
15.1%
8.4%
17.8%
16.5%
13.3%
8.1%
13.5%
11.8%
16.1%
16.3%
10.2%
13.2%
12.3%
8.3%
10.5%
8.2% 13
がん政策サミットの歩み
がん政策サミット
①2009年5月16日、17日(18日国会訪問)〔提案書作成〕
②09年10月3日、4日(5日国会訪問)〔先駆的地域から学ぶ〕
③10年4月12日~14日〔患者と議員でマニフェスト案作成〕
④10年11月6~8日〔地域の条例と予算を動かす〕
⑤11年7月16~18日〔3年間のアドボカシー活動の集大成〕
⑥12年5月11~13日〔第2次計画を六位一体で良いものに〕
⑦12年10月6~8日(奈良開催)〔成果をもたらす県計画に〕
⑧13年5月17~19日〔県計画の好事例の共有と実践〕
⑨14年5月16日~18日〔六位一体でがん対策を高め続けよう〕
⑩15年5月31日、6月1日〔患者・医療現場・地域のために、法律
と計画の改善の取り組もう〕 *第9回までは、日本医療政策機構
⑪15年8月28日~30日(予定) 市民医療協議会がん政策情報センターにて開催
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活動モデル
がん政策サミット
患者主導の六位一体による
がん対策への取り組み
医療
提供者
アウトカムを生む
PDCAサイクルに基づく
がん対策の創出と実行
行政
担当者
中間アウトカム
の向上
目標(アウト
カム)達成
国
国
Plan
Do
患者
議員
Action
Do
企業
都道府県
Check
都道府県
メディア
患者アドボケート
育成支援
議論の場の提供
人的ネットワーク形成支援
技術的支援
好事例共有
NPOがん政策サミット
15
がん政策サミット2015春
学び合い・共有
がん政策サミット
政策の向上
「施策・指標マップ」による
PDCAサイクル管理
<データ>
1日目
患者・医療現場・地域の意
見を集めて束ねる
<声>
2日目
国
法律
中間アウトカム
の向上
目標(アウト
カム)達成
国
国
都道府県
都道府県
計画
都道府県
(地域に戻って)
条例
計画
がん政策サミット2015春
~患者・医療現場・地域のために、法律と計画の改善に取り組もう~
がん政策サミット2015秋は、8月28日~30日の予定です
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まとめ
がん政策サミット
・本物のPDCA(アウトカムへの効果を見て改善)を
・本物の評価(アウトプット評価でなく、アウトカム評価)を
・「施策・指標マップ」が有効なツールになる可能性
・必要な指標は、必要な資金・資源を手配して計測する
・2025年需給ギャップ解消に、提供体制の大胆な組み換えも
・適切な中間評価の枠組みを国と先行事例から学びつつ、地
域特性に合った評価指標体系を
・計測は第一歩。次は、データから何を読み取り、どんな改善
施策を生み出すかの山場が待っている
・「データ」と「声」で、患者・医療現場・地域に成果をもたらそう
*SPO指標=ストラクチャー(構造)指標、プロセス(仮定)指標、アウトカム(成果)指標。詳しくは、患者アドボカ
シーカレッジを参照
17
患者・医療現場・地域のために、
法律と計画の改善に取り組もう
ありがとうございました