会社やお店がしている いちばん大切なこと スタッフの育て方 チームの

小さな
「当たり前のこと」の積み重ねで業績は上がる!
リピート率9割を超える!
会社やお店がしている
いちばん大切なこと
スタッフ・チームを育成し
リピート率を高め業績を向上させる
ファシリテーター
樋口圭哉著
スタッフの育て方
×
チームのつくり方
『リピート率 9 割を超える繁盛店スタッフの育て方』(アニモ出版)
『やる気のないチームを劇的に変える 3 分の習慣』
(秀和システム)の著者
が綴るスタッフ・チーム育成術と思いもよらない成果を出し続ける方法
リピート率 9 割を超える!
会社やお店がしているいちばん大切なこと
はじめに
この本は、私がこれまでの 6 年間で、
『スタッフ・チームを育成し、リピート率
を高め業績を向上させる専門家』として、治療院(接骨・整骨・鍼灸・整体院・
サロン)や歯科医院・介護施設・美容院や飲食店・不動産業などあらゆるサービ
ス業を中心として建設業や IT 企業に至るまで、年間 150 回以上、全 200 社、の
べ 18000 人を超える方々に対し研修・コンサルティングを実施し、そのすべての
会社やお店において成果を出し続けてきた具体的な方法と、会社やお店経営の原
理原則について書いたものです。
実践された会社やお店では、次のような成果が上がっています。
これは、私の著書である『リピート率 9 割を超える!繁盛店スタッフの育て方』
『やる気のないチームを劇的に変える 3 分の習慣』にも書いたことですが、
・研修開始 3 週間で売上が 20%上がった
・1 カ月後には売上が 30%上がった
・3 カ月後には客数が 40%も増えた
・4 カ月目には、過去最高月間売上を達成した
しかも、その成果は一時的なものではなく、過去最高売上を更新し続け、さらに
・スタッフ 1 人 1 人の成長のスピードが格段に速くなった
・期待していた以上にチームが 1 つになり、1 人 1 人の働き方が変わった
・会議やミーティングでの意見も活発になり、何でも話せるようになった
・お客様の笑顔が増え、ご紹介も増えた
・スタッフが「この会社で働けることが本当に嬉しい」と言うようになった
このような喜びの声が、続々と寄せられています。
◇経営者の抱える悩みや不安
ところで、唐突ですが、今、私のところに相談に来られる経営者や店長・リー
ダーの皆さんが抱えている悩みや不安とは一体何だと思いますか?
1
第一に、業績を上げたい。売上を上げたい。これは、もちろんのことでしょう。
さらに、思ったように動いてくれないスタッフの育成に関する悩みです。
最後に、誰も教えてくれない経営のあり方や原理原則を教えてもらいたい。そ
の確信を得たいという3つが挙げられます。
こうした悩みや不安を誰にも相談できず、苦しさの中で孤独に耐えながら悶々
とした日々を過ごしている経営者や店長・リーダー、教育担当者も多く、漠然と
した不安からセミナーや勉強会に参加してきたものの、肝心なところは教えても
らえないため時間ばかりを無駄にしてしまったり…そしてほとんどの場合、そこ
何の成果も得られなかったという方が多いのです。
こうした中で、私に相談にいらっしゃって業績を上げ成果を掴んだ方々は、笑
顔で話してくださいます。
「樋口さんと出遇って、本当に良かった。最初は半信半疑だったんですが(笑)
業績が上がったことはもちろんですが、スタッフも一緒に成長していることも嬉
しいですし、樋口さんが言う様に、やっぱり人が大事なんだということが本当に
肚に落ちました」
「今後は、これまでのようなセミナーや勉強会に行かなくて済みます(笑)」
私は、こうしたありがたい言葉を沢山頂きます。そして、ある社長の言葉によ
って、私はこの本を書こうと決めたのです。
「私と同じように悩みや不安を抱えながら、セミナーや勉強会に参加しても成果
が上がらずに苦しんでいる会社やお店の経営者、店長・リーダーも沢山いること
でしょう。私は、樋口さんのお話を広めることで、沢山の方々が救われると思う
のです」
まさにこの時、「バチン!」と音が聞こえるくらいの勢いで、私のスイッチが ON
になったのです。
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◇頑張らずに誰にでもできるシンプルなことが成果をつくり出す
ところで、私がお伝えしていることを、ここで少しだけお話させて頂きます 。
まず最初に、「頑張らない」
いいえ、もっとハッキリ言いますが「頑張っちゃダメです」
この言葉は、私の進めている研修やコンサルティングで大事なキーワードのひ
とつなのですが、こんなことを言うので、私の研修に参加された方々は、半信半
疑になるのでしょう。しかし、本当に頑張らずにやってみた結果、業績が上がっ
てしまうので、次第に参加者の皆さんの口から「今月も頑張らずにやってみます」
という言葉と笑顔が出てくるのです(笑)
「頑張らない?そんな馬鹿な」
「それで本当に成果が出るの?」
にわかに信じられないのも無理はありません。
私が実践し、お伝えしてきたことは、知識や理論によるスキル習得でもなけれ
ば、ありがちな目標設定や目標管理、それに従った行動計画や経 営の指標となる
ような数値管理などはありません。ましてや、『集客術』や『儲かる仕組み』など
の小手先のテクニックでもありません。加えて、職場環境を良質なものにするた
めの単なるモチベーションアップやコミュニケーションスキル、 チームビルディ
ングということでもありませんし、おもてなしレベルを高める接客術だけでもあ
りません。
それらをすべて包括した経営の本質であり、原理原則なのです。
しかも、誰にでもできる極めてシンプルなことで、本当に先ほどのような成果
を得られてしまうので、みなさん驚かれます。
私が「頑張らない」とお伝えしている理由があります。 それは私がお店の店長
をしていたときに遡ります。
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当時の私は、
「とにかく自分が頑張らなければ」と思い込み、日々、経営や経営
哲学、組織論、リーダーシップ理論、目標管理や品質管理、自己啓発、行動心理
学や行動経済学、コーチングや NLP など…とにかく勉強しました。年間 500 冊以
上の本を読み、多くのセミナーや勉強会にも参加してきました。
そして私は、本に書かれていることや勉強会で学んだことを実践してみたとこ
ろ、一時的に功を奏することもあったのですが、結局は元の木阿弥で長期的に は
全く効果や成果が上がらなかったのです。
そんな折、日本を代表するような社長からこんな言葉を聴いたのです。
「樋口君。経営の原理原則を学び、そのことだけをコツコツと積み重ねている
本物の経営者は、一時の流行のような言葉や学びに惑わされないものだよ。しか
もその経営の原理原則とは極めてシンプルなことなんだ。それを愚直に地道に繰
り返すことさ。
『継続はチカラなり』という言葉を聴いたことがあるだろう。この
言葉には、続きがあって『さらなる継続はタカラなり』 だ」
◇不易と原理原則
この社長は、さらに続けて話してくださいました。
「『不易流行』って言葉を知っているかい?」
「多くの経営者が目まぐるしく変わる『流行』に踊らされるばかりで、肝心の
『不易』つまり経営の原理原則を忘れてはいないか 。経営の『不易』を抑えるこ
となくただ『流行』のみで会社を動かし、一円でも多くの利益を上げることが肝
要なのだという思い違いをしていないだろうか?」
私はこの社長との出遇いのおかげで、経営の原理原則とは何だろう?と追求す
るようになったのです。
しかも、大学で学ぶような学問的な経営の原理原則ではなく、自分が店長とし
て務めていた小さい会社やお店の実情に沿った原理原則について考え抜き、試行
錯誤した末に生まれたものが、誰にでも頑張らずにできるシンプルなことの積み
重ねだったのです。その理屈や理論を抜きにして具体的な方法だけを書き出した
ものが著書『リピート率 9 割を超える!繁盛店スタッフの育て方』であり、
『やる
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気のないチームを劇的に変える 3 分の習慣』です。
私はこれまで、多くの会社やお店の経営者の方々と接し、研修やコンサルティ
ングを行ってきました。その経験のおかげで、今ではどんな業界であっても、そ
の会社やお店を訪問して社内や店内をざっと見渡すだけで、その会社の問題点が
観え、伸びる会社であるか危ない会社であるか?が大体観えるようになりました。
それはなぜか?といえば、経営の根幹となる 80%は、業種業界に関係なく同じ
だからです。残る 20%は変動要素である提供する商品やサービス、流通や商習慣
が違うだけなのです。だからこそ私は、180 度違うような異業種から研修やコン
サルティングの依頼でも全く問題がないのです。
このことは社会の風潮からも見ることができます。 最近では、異業種からの社
長就任も稀なことではありません。記憶に新しいところで言えば、日本マクドナ
ルド会長である原田泳幸氏は、元々アップルコンピュータの副社長であり、現在
はソニーの社外取締役とベネッセの代表取締役も兼務しています。
全く畑違いの業種業界にも関わらずこうした例が見られます。その真意は、 畑
の原点となる土壌のつくり方は 80%同じであり、違いはどんな野菜を植えるか?
という 20%の違いだけなのです。
ここで重要なことは、『不易』である根幹の 80%、すなわち経営の原理原則を
身につけることです。
少しばかり眉間にシワが寄ってしまいそうなお話をさせて頂きましたが、その
中身を知り、実際に行動を起こすことに関しては、特別な知識や能力、気合 や根
性なども要りませんのでご安心ください。
この本は、「難しいことをわかりやすく」を モットーにして構成してあります。
私の著書もそうですが、誰からもイメージしやすく読みやすいという評価を頂い
ております。この本を読んで頂いた後、改めて著書を手にして頂ければ、経営の
原理原則と共にスタッフ 1 人 1 人が自ら行動を起こし、チーム力によって成果を
出し続ける具体的な方法と行動が見えてくるはずです。この本が、少しでも 皆様
のお役に立てれば幸いです。
2015 年 2 月 樋口圭哉
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リピート率 9 割を超える!
会社やお店がしているいちばん大切なこと
はじめに
第1章 業績が上がらない理由
(1)
あなたの会社やお店からどんどん離れていくお客様
(2)
「集客」という罠
(3)
「目標」という罠
(4)
規模の拡大よりも質を問う時代
(5)
20%に力を入れても業績は上がらない
(6)
小さな悪習慣が残念な結果をつくり出す
第 2 章 会社やお店経営の原理原則
(1)
真実の瞬間
(2)
信頼残高
(3)
ブランドとは記憶
(4)
ビア樽の法則
(5)
インナー・ブランディングの重要性
(6)
業績を上げ続ける会社やお店の最大の特徴
第3章 リピート率 9 割を超える!会社やお店がしていること
(1)
入口とトイレをピカピカに磨く
(2)
挨拶にはこれから受けるサービスが凝縮されている
(3)
モノを丁寧に扱う
(4)
誰に対しても丁寧な言葉で接する
おわりに
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第1章
業績が上がらない理由
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業績が上がらない理由
この章では、業績が上がらない理由を簡潔に解説すると共に、
『不易』の真意と
経営の原理原則について、著書にもあるように、事例を交えながらお伝えします。
(1) あなたの会社やお店からどんどん離れていくお客様
◇お客様が離れる最も怖い理由
業績が上がらない理由をハッキリ言います。
それは、お客様が何かしらの理由で、あなたの会社やお店から離れていったと
いうことです。
これを離反率と言ったり、失客率と称されることもありますが、どちらも意味
は同じです。一般的に「離反率を5%改善すれば、利益は 25%改善される」と言
われています。しかし、私が言いたいことは、こんな知識や法則ではありません。
それ以上にもっと怖いことが起こっているという事実です。
仮に、離反率が 5%だったとしましょう。たった5%と思うかもしれませんが、
100 人ご来店があった内の 5 名が、毎月何らかの理由で離れてしまうのですが、
年間何人になるのでしょう?
さて、ここからはもっと怖いお話です。
皆さんは口コミの影響力についてはご存じだと思います。
口コミに対して良いイメージばかりが先行しますが、実は、良い噂よりも、悪
い噂の方が広まるのが早いのです。良い噂は周囲 3 人に伝わると言われますが、
悪い噂は 20 人にも広がってしまうのです。
ちょっと計算してみてください。離れてしまった毎月5%のお客様があなたの
会社やお店の悪い噂をしていたら…
大げさに言っているのではありません。それこそまぎれもない事実です。
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とくに飲食店の場合は大きな影響を及ぼします。
「いや~、あそこはダメだよ~」
なんて言葉が飛び交うようになってしまったら…どうでしょう?
そこまで悪い噂を流しているつもりはなかったとしても、
「あそこはたいしたことないよ」
この一言だけでも、放つ影響力ってかなり大きいと思いませんか?
この影響力の余波が瞬く間に商圏範囲全体に広がり、大変な結果を引き起こす
ことになるのです。
これは飲食店だけの話しでしょうか?
答えはもちろん No です。
店舗を持つサービス業だけでなく、実はどんな会社であっても同じなのです。
◇お客様が離れてしまった内的要因を探る
ところで、お客様は何を観て、何を感じて「ダメ」とか「たいしたことない」
と言っているのでしょうか?
商品でしょうか?味そのものでしょうか?お店の雰囲気でしょうか?キレイさ
でしょうか?接客態度でしょうか?価格でしょうか?
必ず何かしらの理由があるはずですが、現代においてその対象となる原因は無
数に存在します。ここで大事なことは、お客様が離れてしまったことに対して、
その理由は何だったのか?しっかりと原因を探る必要があるのです。
すると、こんなお話をされる方がいます。
「近くにキレイなお店ができて…」
「大手チェーン店が入り込んできて…」と、
こうして外的要因にばかり目を向けてしまって、自社や自店に対しての内的要
因をぼやかしてしまったり、放置してしまうことがあります。
こんなとき私はハッキリと言います。
「それもまたあなたのお店に魅力が無かったという事実 」なのだと。
こうやって原因を追究せずにいれば、さらにお客様離れが進んでしまうことは
間違いありません。
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◇商品や技術力だけでは売れない時代
私のクライアント様に親子 2 代 30 年にわたって地元に密着して接骨院を営み、
腕に確かな自信のある経営者兼院長がいらっしゃいます。
その院から30㍍も離れていない場所にキレイな接骨院ができた ということで、
それ以来、患者さんが激減し経営も厳しい状態に陥っていたところ、私のもとに
相談に来られたのです。
私はいつものように訪問させて頂き、そこで院長に質問をしました。
「なぜ患者さんが離れてしまったのでしょう?」
すると院長は答えました
「やっぱり、人はキレイな方がいいのでしょうね。 新しくできた接骨院は接客も
良いって聞きますし…」
腕に自信のある院長先生は、自分で話しながらハッと気づいたようでした。
腕や技術だけでは患者さんは離れてしまうという事実です。
言い方を換えると、商品や技術がどんなに優れていたとしても、それだけでは
売れないのです。
ここに気づいた院長先生は、スタッフと共に私の研修を受けながら、 院長先生
の考え方、行動そのものが変わりはじめたのです。
これまではほとんど掃除をしなかった院の掃除をし始め、患者さんとの接し方
を改善しはじめたのです。
その結果、研修開始からわずか3カ月ほどで、隣の新しい接骨院に行ってしま
った患者さんが戻ってくるようになったのです。それだけではありません。4カ
月目には過去最高のレセプト数を達成したとの嬉しい報告までありました。 その
後も快調に業績を伸ばしているとの報告が続いています。元々腕に自信のある先
生ですから、そのほかの要因をすべて潰してしまえば成果が出てくるのは当然の
ことです。
ここで学ぶべきことは、お客様は、商品力や技術力だけでなく、あらゆる視点
で様々な角度からその会社やお店を判断しているということです。
お客様の離反してしまった理由をしっかりと紐解き、次の課題にして、改善す
ることが経営力を高める第一歩となるのです。
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(2) 「集客」という罠
◇コンサルタントという仕事
〇〇業界専門のコンサルタントと銘打っているホームページやランディングペ
ージを観てみると、その文言には「売上アップ」「売上を上げる仕組み」「集客」
と大々的に掲げられています。
独立行政法人中小企業基盤整備機構も発表していますが、経営者の最大の不安
と悩みは「売上が伸びない」ということです から、的を得ているといえばその通
りですが…違和感を感じる謳い文句が並んでいると思ってしまうのは私だけでし
ょうか。
私のもとに相談に訪れたクライアントの経営者の方々も、こうした謳い文句に
多くの疑問を投げかけています。
その理由は、業界専門のコンサルタントと言いながら、こうした 方々の特徴は
その成功事例を示して、「同じようにしなさい!」と言うのだそうです。
成功した事例を真似することはモデリングとして良さそうなのですが、様々な
要因や経営環境の違いなどによって、モデリングしたところで上手くいくはずは
ありません。ですから、ほとんどの場合「効果が無かった」と嘆かれます。
この現状に対して、私は、リピート率を高め業績を向上させる専門家として、
コンサルタントという定義を明確にしておく必要があると思い、明言します。
コンサルタントとは、クライアントに対して、客観的に現状業務を観察して現
状を認識し、問題点を把握かつ指摘し、原因を分析し、専門知識を活用するなど
して対策案を示して企業や会社、お店の発展を助ける業務を行うことを言います。
単純に成功事例を教えるだけであれば、それはティーチングであって、コンサル
ティングではありません。
肝心なことは、現状把握と要因分析を行い、 その企業や会社、お店にあった対
策案を提示し、具体的に業績を向上させるお手伝いをすることなのです。 そして
時には、カウンセリングやコーチングなども活用し、あらゆる角度からクライア
ントをサポートすることです。
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◇『集客』と『増客』の決定的な違い
もちろん売上を上げるためには、新規のお客様を導引することは必要なことで
すから『集客』を考えることも大事です。
しかし、ここで私がお伝えしたいことは、
『集客』ばかりに目を向けすぎると大
事なことを疎かにしてしまう可能性が非常に高いということです。
その違いをわかりやすく示す言葉が『増客』です。
前節でもお話したように、お客様が離反する要因を改善しながら、徹底的にお
客様との信頼関係を築いてゆくことによって、結果としてお客様が離れないだけ
ではなく、プラスの口コミをしてくださるようになります。詳しくは第2章でお
伝えしますが、これが結果的に『増客』をもたらすのです。
この『集客』と『増客』もちろん両輪をなすことが一番良いわけですが、この
二つには決定的な違いがあります。
次に書き示すことは、極端な言い回しに聴こえるかもしれませんので、誤解の
無いようあらかじめお断りしながら書くことにしますが …
『集客』とは、未だ見ぬお客様のことばかりを考えているということであって
『増客』とは、ご来店くださった目の前のお客様を徹底的に大切にしている
という違いです。この違いは実に大きいのです。
◇期待はずれの実店舗の現場力と対応力
O2O(Online to Offline)マーケティングという言葉をご存じでしょうか?
これは、 ネット(Online)上の情報や活動による実店舗(Offline)への来店・販売
促進や、相互に連携しあって相乗効果を高めるマーケティング活動などを指しま
す。
O2O に注目が集まっているのも、スマートフォンの普及が大きな影響を及ぼし
ているからです。スマートフォンやPCを使って検索し、その会社やお店にアク
セスする割合は 40%を超えるともいわれますから、ネット(Online)を活用した『集
客』の効果は絶大です。
しかし、ここで私が問題提起をしたいことは、
『集客』した後の実店舗(Offline)
での現場力や対応力とのギャップです。
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よくあるような話ですが、飲食店などがキャンペーンを行ったり、クーポンな
どを使って集客しようとします。
そのキャンペーンを見た人がそのお店に行ってみようと思い予約をしました。
ネット上ではキレイなお店でスタッフが笑顔で働いている写真も載っていたの
で雰囲気も良さそうなお店だと思い期待していたのですが、 スタッフの対応も悪
かったり……出てくる食事も写真とは違っていたり……
期待していたものとのギャップによって、このお客様はどうなってしまうのか
は容易に想像がつくはずです。二度とこのお店には行かなくなるのは当然のこと
でしょう。
こうした話は飲食店だけに留まりません。
どんな仕事でもお店でも同じことです。
ネット(Online)上では如何様にもキレイに魅せることができます。
しかし、実際のお店に入ってみると、そのギャップに愕然とすることが多々あ
るのです。
これでは、せっかく『集客』できたのにもかかわらず、またお客様が離れてし
まうのですから意味がありません。こうしたお店ではリピート率が 一向に高まら
ないために、『集客』という罠にハマってしまうのです。
『集客』を有効なものにするためにも、第一にすべきことは、
『増客』という概
念であり、あなたの会社やお店にご来店してくださった目の前のお客様を徹底的
に大切にすることであったり、そのための準備を怠らないことです。
(3)目標という罠
◇売上至上主義の終焉
月収○○万円!売上〇億達成!〇店舗経営!こうした目標を先に掲げた売上至
上主義は、もはや終焉を迎えることになると、私は予測しています。
その所以は、二宮尊徳翁の名言にありますが、
「道徳なき経済は犯罪であり、経
済なき道徳は寝言である」
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もちろん両輪をなすことが重要なのですが…。
なぜ自分がその仕事に精力を傾けるのか?誰のために、何のためにやるのか?
という理念がなければ、その経済活動は利益を生み出すためなら何をしてもいい
ということに陥ってしまいます。
反対に、理念ばかりを唱えて利益を出せない社長が話すこともまた寝言である
ということです。
しかし、尊徳翁が先に出している言葉は「道徳なき経済は犯罪」です。
月収○○万円!売上〇億達成!〇店舗経営!などは、理念を追求した経済活動
の結果です。言い換えれば、社会貢献度が数値として表れた 結果=報酬、つまり
『お役立ち料』と言い換えることができます。
しかし、この順序が逆転し、結果ばかりを優先して考え始めると 様々な問題が
生じると尊徳翁は懸念しているのです。
その逆転現象が今多くの会社で起こっているからこそ、様々な業界で不正が蔓
延し、露呈されはじめたのです。ブラック企業と非難される会社も、売上を優先
してしまったからこそ人件費削減の策として厳しい労働を強いることになってし
まったのでしょう。
記憶から消えかけている食品偽造問題もまた、欠陥住宅などの施工問題も 売上
至上主義、利益を最優先してきた大きな代償なのではないかと私は思うのです。
◇成功哲学の罠
私たちが信じて一生懸命努力してやっていることが、もしかすると大きな錯覚
を起こしている場合があります。
欧米から入ってきた成功哲学では、
「最初に夢を持とう。しかも大きな夢を描く
というのです。そして、具体的な目標を立てて、行動を起こしましょう」と教え
ています。
こうした方法すべてを否定するわけではありませんが、 気をつけなくてはなら
ないことは、その夢や目標がエゴ(我)になってしまったり、売上数値にコミッ
トするようになると、一歩間違えば「道徳なき経済」に 片足を突っ込んでいるよ
うなものなのです。
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◇頑張らない
私の友人でもあり、自らの夢をどんどん実現させ、会社も飛躍的に成長させて
いる社長がいます。
私にとっては、彼の抱いている夢や目標は実に壮大で話を聴いているだけでも
ワクワクしてくるのですが、そんな彼が私に相談を持ちかけてきたのです。
「樋口さん。最近、自分の夢や目標を社員に伝えているんですが、どうもうまく
伝わっていないようで、実は業績もちょっと落ちてきて …」
私は、早速彼の会社を訪問し、社員の方々に話を伺ってみました。
すると、社員の方々からは思わぬ回答が寄せられたのです。
「最近の社長の夢や目標は、ちょっと大きすぎる…」
「夢を実現するために『やらねばならない』というような強制力さえ感じること
があります…」
私は、すぐに彼に話しました。
「社長の思いが強すぎるみたいだね。何だか最近頑張り過ぎじゃない?」
「なぜ、私が『頑張らない』と言っているか?その理由は、こ の語源にあって、
良い意味での『頑張る』は、困難にもめげずにやり抜くという ことだけど、悪い
意味としては、自分の考え・意志をどこまでも通そうとする。つまり『我を張る』
ってこと。今の社長は、どっちに観える?」
この話から、彼はすぐに気づいたようでした。
後日、社員全員を集め、著書『やる気のないチームを劇的に変える 3 分の習慣』
の第 3 章にも書かれている『最高のチームが育つ職場の 3 分の習慣』を実践した
と社長が話してくれました。
「3 分の習慣を行いはじめて、みんなの仕事ぶりも変わったし、業績も上がるよう
になった。やっぱりリーダーひとりで『頑張る』より、メンバーみんなでちょっ
とずつ成長するほうがイイんだね。」
業績や成果は後からついてくるものです。私はこう考えています。
人が育って、会社やお店が育つ。だからこそ業績が育つ。
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(4) 規模の拡大よりも質を問う時代
◇規模や大きさに翻弄されるなかれ
多店舗展開していることや、売上規模が大きいことなどを垣間見て、 これまで
は規模の拡大こそ目指すべき道であるかのように捉えられてきました。
私たちは、何事も多いことや大きいほうが優れていると 思い込んでしまう傾向
があります。
それは本当でしょうか?真実でしょうか?
バンドワゴン効果とも言われますが、ある事象が多数に受け入れられている、
流行しているという情報が流れることで、その事象への支持が一層強くなること
を指します。
「多店舗展開をしているお店だから間違いない」
「みんなやっていることだから
大丈夫」果たしてそうでしょうか?自らの目でしっかりと検証もせず、こうした
情報の波に飲み込まれてしまうことがあります。
一概に言うわけではありませんが、この波に飲み込まれてしまうと、
「道徳なき
経済」に足を踏み入れてしまうことがあります。失礼な言い方に聴こえるかもし
れませんが、自分の会社の儲けしか頭にない経営になってしまうのです。
これではいかにも器が小さいのです。
◇質を問う時代
自社ならではの価値を生み出し、その商品やサービスを通じて、人々に提供、
貢献した結果こそが価値に対する対価として売上が上がるわけです。
対価としての売上とは、
『貢献料』と言い表すことができます。さらに言い換え
ると先ほどもお伝えした通り『お役立ち料』と言うことができます。
地域や社会、大きく言えば国のために貢献する意識を持ち、自己の最善を他者
に尽くしきることができれば、感謝の人間関係が成立し、その結果としての対価
を受け取ることができます。
とかく人間は自己優先になりがちです。売上至上の短絡的な利己主義は、他人
が最も嫌う人間となり、一時の隆盛はあったとしても、必ず落ち込んで行くこと
になります。
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忘己利他(モウコリタ)
伝教大師最澄の言葉に『己(おのれ)を忘(わす)れて他(た)を利(り)す
るは慈悲(じひ)の極(きわ)みなり』という言葉があ ります。
覚悟をもって経営にあたるリーダーシップの質が問われています。
◇キラキラビームの接骨院
著書に何度も登場する院内すべてにキラキラビームを放つ、私の地元にある「つ
なしま駅前接骨院」の院長先生は、まさにその本質的なリーダーシップを持って
いる素晴らしい経営者の一人です。
院長先生はじめスタッフの皆さんは、とにかく来て下さった患者様に最大限の
おもてなしと技術を届け、身体と心を癒したいと願っています。
そのためにも必要なことは、その気持ちと技術を提供するスタッフ 1 人 1 人が、
自分たちの届ける技術やサービス、そして商品に関しても十分な知識と愛情を持
っていることが肝要です。
その真意を理解されている院長先生は、スタッフ 1 人 1 人の行動力やチーム力
を高めることに対しても自己の最善を尽くしています。
先日、久しぶりに院を訪れてみると、その効果は如実に表れていました。
キラキラビームがさらに光を増しています。
私が訪問した際、ちょうどスタッフ全員でミーティングを行っていたのですが、
良質な意見がどんどん飛び交っています。その表情もまたとびっきりの笑顔です。
しかも、離職率も高いといわれるこの業界ですが、研修以来離職はピタッと止
まり、新しいスタッフまで加わり、より勢いを増しているように私の目に映りま
した。
この院も、結果的に業績が高まり、今まさに 2 店舗目のオープンに向けて準備
を進めていると話してくださいました。多店舗展開を先に見据えていたことでは
なく、あくまで患者様にもスタッフにも利他の心で接してきた結果なのです。
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(5) 20%に力を入れても業績は上がらない
◇良い土壌をつくることが先
冒頭でお伝えした 80%と 20%のお話を覚えていらっしゃいますでしょうか?
経営の根幹だとお伝えした 80%というものが、会社が育つ土壌づくりであり、
畑のようなものだと解釈すれば、残り 20%の変動要素として提供する商品やサー
ビスというのは、その畑に植える野菜ということです。
業績が思ったように上がらなくなると、途端に新商品開発や新しい技術を取得
しようと躍起になってしまうことがあります。決して悪いことではありませんが、
畑と作物の関係を考えればわかることです。美味しい野菜を育てるには、何より
良い土壌になっていることが大事なのです。
お客様に手にとって頂き、口にしていただけるような美味しい野菜をつくるた
めに、まず先にやるべきことは、良い土壌を作り上げることです。
◇80%の土壌を丁寧に育む
私のクライアントにカットサロンを数店舗経営している社長さんがいます。
週に何度も技術的な勉強をしていることから、その技術力には絶対の自信があ
るということでした。しかし、残念なことに年々業績が下がっているということ
で、友人の紹介で私のもとに相談に来られました。
社長のお話を伺った後、私は、お客さんを装ってカットしてもらいながらお店
を観て回ろうと来店したのです。
技術に自信を持っていると社長が話してくれたカットサロンのイメージとは違
い、お店に入った瞬間から、一見すると笑顔のスタッフさんたちなのですが、何
とも表現しがたい陰湿な空気感が伝わってきました。スタッフ 1 人 1 人の動きを
観ても、チームワークが取れているようには思えません。どうも仲が悪そうです。
お客様への接し方も、ある程度のレベルではあるものの、お客様に対する温か
さや感謝の気持ちが目に映るほどのものではありませんでした。
私は思いました。「もったいない」
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そして私は、社長に提案したのです。
「カットの技術を育むより、チーム力を育みましょう」
それから研修をスタートさせ、スタッフの思いを伺いました。
・どんなお店にしたいですか?
・どんな仲間と一緒に働きたいですか?
・自分の仕事を通じて、お客様に何を届けたいですか?
1 人 1 人がその答えを書き出しながら、3 分ずつしゃべってもらいました。
やっぱりそうです。多少言葉は違っていたとしても、願っていることの根幹は
同じだったのです。
「笑顔で明るく楽しく働ける職場にしたいと願い、お互いに何でも話し合える
仲間と一緒に成長しながら、自分たちの提供する商品やサービスを通じて、お客
様に喜んで頂きたい!」
◇自分ができることで土壌を豊かにする
1 人 1 人がその願いを実現するために、できることを書き出すのです。
・スタッフ同士でも気持ちの良い挨拶をします
・話を聴くときは、しっかりと相手の目を観るようにします
・出来る限り笑顔でいるようにします…etc
こんな感じで良いのです。
メンバーみんなでちょっとずつ、水や肥料を与え、雑草を取り払うのです。こ
れこそ丁寧な土壌づくりそのものです。
もちろん『頑張らず』にちょっとやってみるだけで十分です。
それから 1 カ月後、私がサロンを訪れた時には、すでにあの陰湿な空気は無く
なっていました。社長ではなく店長の方が真っ先に私のところまでやってきて言
いました。
「樋口さん。職場の雰囲気が全然ちがうんです!もう発表しちゃってい
いですか?この 1 カ月の売上が上がっちゃいました」
こうした嬉しい報告が、さらに私に火をつけます(笑)
「さて、今月もみんなで畑を耕しちゃいますか」
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(6) 小さな悪習慣が残念な結果をつくり出す
◇悪習慣をやめるだけで成果に繋がる
私が、研修やコンサルティングで常々お伝えしていることの原則は、
「小さな習
慣の積み重ねこそ、思いもよらない大きな成果をつくり出す」ということです。
この原則は、何も良い結果を生み出す場合にだけ適用されるわけではありません。
小さな悪い習慣を積み重ねれば、思いもよらない悪い結果に繋がってしまいます。
畑の土壌の話と重ねて考えてみれば、とても分かりやすいことです。
秋の収穫を迎えるためには、土を耕し、苗を植えて、水をやり、支柱を立てて、
肥料をやり、雑草を取り・・・と、夏の暑い日差しの中でも様々な作業をするこ
とが必要です。こうした作業を「面倒くさい」と休めたり、手を抜いたりしてし
まえば、苗は大きくならず、いつのまにか枯れてしまうなど、思う様には育ちま
せん。出来上がった作物も栄養をたっぷりと含んだ豊かなものではないでしょう。
前節に登場した美容院もそうでしたが、私がコンサルティングでお伺いをさせ
て頂いた会社やお店では、小さな悪習慣をちょっとずつ改善することで、大きな
成果に繋がっているのです。
もしも今、あなたの会社やお店、チームが様々な問題を抱えているとしたら、
その原因は、何気ない小さな悪習慣にあるのかもしれません。そうであるならば、
まずやるべきことは、その小さな悪習慣を今日からやめることです。
※著書『やる気のないチームを劇的に変える 3 分の習慣』第1章を参照ください。
◇超本気モード
研修で解説をしていると、時折、こんな質問をされる方がいらっしゃいます。
質問というよりも野次といってもいいでしょう(笑)
「先生。笑顔とか、目を観て挨拶とか、そんなんで業績は上がるのかい?」
私は冷静に応えます。「もちろんです!」
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私は、研修やコンサルティングをさせて頂く際、そのはじまりに必ず『時間』
という価値についてお伝えしています。
『時間は命』です。
研修時間、私は参加者の皆さまの大事な命を預かっていると考えています。
その貴重な命とも言い換えられる『時間』を、冗談半分でお預かりするわけに
はいきませんし、経営者の皆さんは、私にすべてを託してくださっているわけで
すから、私の心の底は超本気モードです。
超がつくほど本気でなければ、
「挨拶や笑顔で業績は上がる」なんて、とても言
えません。
◇自分に対するリーダーシップがすべてを変える
『やる気のないチームを劇的に変える 3 分の習慣』にも書かせて頂いた、某電
機メーカーの営業本部長を勤める方がいらっしゃいます。長年のたぐいまれなる
リーダーシップとカリスマ性で、部下やメンバーを牽引し、業績を上げてきたの
ですが、業績が低迷し始めた頃、私を尋ねていらっしゃいました。
本部長は、若輩者である私の話しに耳を傾け、翌日から素直に挨拶と笑顔を実
践されたのです。
その時の本部長の言葉は、今でも忘れられません。
「私は成果を出したいだけ。そこに対して自分の恥ずかしさやプライドなんて
要らない。そんなことで、つくられた製品が売れなくなってしまっては、開発や
製造のメンバーに申し訳がない」
本部長は、他人に対してリーダーシップを発揮できるだけではなく、自分の意
思で決めたことをすぐに行動に移せる。私は、この本部長のような人こそ、本物
のリーダーと呼べるのだと思うのです。
この本部長が行ったことも、自分では気づかないうちにやってしまっていた小
さな悪習慣をやめ、挨拶や笑顔といった当たり前のようなことを大切にしたこと
で、まるで黒一色のオセロが、白一色に変わっていくようにチームが変わり 、瞬
く間に業績を回復するに至ったのです。
21
第2章
会社やお店経営の
原理原則
22
会社やお店経営の原理原則
この章では、業績をつくり出している会社やお店では、一体何を考え、何を大
事にしているのか?小さな会社やお店における経営の原理原則について明確にお
伝えします。
(1) 真実の瞬間
◇横並びの時代?
今や、マーケティング理論や考え方、商品・サービス等に至るまで大差のない
時代と言えます。「差別化戦略」という言葉さえ最近では耳にしなくなりました。
コンビニエンスストアでドリップコーヒーが発売されれば、他社もこぞって追
随します。そのスピード感は、「瞬く間」という言葉がぴったりなほどです。しか
も、大手チェーンといわれる会社や多店舗展開をはかるお店では、 商品構成だけ
ではなく、価格に至るまで横並びの時代なのです。
消費者もまた、こうした多店舗展開しているお店で購買する傾向が強く、その
ため小さい会社やお店は押されがちです。
しかし、業績を観てみるとそれは横並びではありません。大きな差が生じてい
るのです。小さい会社やお店であったとしても、業績を上げ続けている会社やお
店が沢山あります。
では、業績を上げ続けている会社やお店は、一体何をしているのでしょうか?
小さい会社やお店を経営される方々は、その本質を捉えておくべきであると、私
は思うのです。
◇現場スタッフの行動力と実行力の差
ここではイメージしやすいように居酒屋チェーンを例に挙げて みましょう。
メニュー表を開けば、どのチェーン店も似たような商品に似たような価格です。
その味も似たり寄ったりではないでしょうか?
それにもかかわらず繁盛店と、ガラガラなお店があるのはなぜでしょう か?
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なぜ同じような商品・価格・戦略であるにもかかわらず、業績に大きな差が生
じているのか?一体何が違っていて、どんな差があるのでしょうか?
私たちは、入店した時からず~っと観ているものがあります。
入店しようとした際の「いらっしゃいませ」という言葉やお出迎えの所作に表
れる歓迎感謝の姿勢。お席までのご案内の仕方、その時の現場スタッフの歩き方
や目配り。お水やおしぼりの置き方、渡し方…注文する時…配膳の仕方…他のお
客様への対応の仕方…お会計の…挙げればキリがありませんが、それらすべての
所作を観ています。
私たちは、味というよりも、その現場スタッフの一瞬一瞬の所作を観ながら、
「こ
のお店ならまた来たい!」と思ったり、
「このお店ダメだな~」なんて判断をして
いるのです。
この一瞬一瞬の所作を『真実の瞬間』と言います。
◇真実の瞬間
ビジネス用語として『真実の瞬間』という言葉を最初に使ったのは、1987
年に発行された同名の大ヒット著者であり、当時スカンジナビア航空の最高経営
者(CEO)であったヤン・カールソン氏です。
赤字で苦しんでいた同社を、たった一年で立て直したのは、現場スタッフがお
客様と接するわずかな時間の「丁寧さ」や「おもてなし」であり、お客様と接す
る一瞬一瞬の積み重ねを見直すことでした。同書には、
「顧客と接する15秒は企
業の勝敗を分ける」とあります。
私が実施している研修や講演では、この『真実の瞬間』と、次のことにについ
て語気を強めてお伝えしていることがあります。
「どんなビジネスであっても、お客様に提供する主力商品は、提供している商
品そのものではなく、お客様を接する際、常に愛情を注ぎ、注意を払うことです。
人として温かく、ココロを配られる喜びです。今やマーケティング理論や考え方、
商品、サービス等に大差はありません。大きな差を生んでいるのは、店頭・店内・
店外等での行動力と実行力の差です」
ハッキリ言いますが、スタッフが現場で行っている『真実の瞬間』=“所作”の
差こそ、業績の差なのです。
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(2) 信頼残高
◇信頼残高メーター
スティーヴン・コヴィー氏が書き記した名著『7つの習慣』の一節に『信頼残
高』という言葉があります。
この『信頼残高』とは、『預金残高』と同じように「預け入れ」と「引き出し」
の関係をわかりやすく表現したもので、人間関係の 信頼のレベルを現す比喩表現
です。他人とのすべての接触(=真実の瞬間)は、信頼残高の「預け入れ」また
は「引き出し」のいずれかに分類されます。「預け入れ」は信頼を築き、修復する
ものであり、「引き出し」は信頼を低下させるものです。
しかも、その「預け入れ」や「引き出し」に大きく関わっているものが、言葉
ではなく、行動そのものなのです。
信頼を「預け入れ」の行動とは、親切と礼儀、感謝の意を表す、約束を守る、
期待に応える…などです。その反対に「引き出し」の行動とは、不親切と無礼、
感謝を示さない、約束を破る、傲慢…などです。
私は、研修などで下図のバロメーターを使って端的に解説します。
前節に記した現場スタッフの『真実の瞬間』を観 ながら、お客様は常にこのバ
ロメーターを行き来しています。
初めてそのお店に来たお客様の『信頼残高』メーターは 0 からスタートします。
さて、あなたのお店のスタッフ 1 人 1 人の行動=『真実の瞬間』は、一体どの
レベルになっているのでしょうか?
残高が高くなれば、もちろん「また来たい」というお客様が増えます。しかし、
残高不足の不渡りとなれば…容易に想像ができると思います。
もちろん提供しているサービスや商品力・技術力なども『信頼残高』を高める
要素のひとつですが、それ以上に影響力が大きいことをヤン・カールソン氏・ ス
ティーヴン・コヴィー氏をはじめ、多くの成功者と呼ばれる経営者がその 重要性
を唱えています。
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◇現場スタッフの役割と責任
こうした解説を行った後、表現の仕方に問題はあるかもしれませんが、私は、
あえて現場スタッフ全員に尋ねることがあります。
「あなたの現場での行動は、お客様が来たい!と思える行動をとっていますか?」
「それとも、もう 2 度と来ない!というトドメを刺していませんか?」
「どちらもできるんです!」
私はこれまであらゆるサービス業において、現場スタッフを交えた研修を行っ
てきましたが、この瞬間、ほとんどのスタッフがドキっとして、自分自身 のお店
や現場での行動を振り返り、反省の表情を見せるのです。
この時、自分がそのお店における業績を左右していることに気づきます。
こんなことを言っていると、
「接客の大切さを教えているんだ」と思われがちで
すが、著書『やる気のないチームを劇的に変える 3 分の習慣』の中でも、
「私は接
客研修などは行いません」と断言している通り、私の研修では接客やサービスマ
ナー研修などは行いません。しかし、最終的には、研修に参加したスタッフ 1 人 1
人が、形ばかりの接客ではなく、人として温かく心を配る「おもてなし」力を身
につけ、業績をあげてゆくことになるのです。
最も大事なことは、接客の仕方やサービスマナーの考え方などではなく、自分
の仕事を通しての役割に気づくことであり、わざわざ自分の会社やお店に来てく
ださったお客様にどれだけ感謝できるか?が重要なのです。
その真理に気づくことができたとき、商品力や技術力と相まって確実に業績を
向上させることができるのです。
◇人として温かく心を配られる喜び
治療院やサロン、歯科医院などもそうですが、人の身体の痛みを取り除き、癒
しを与えるような専門的な技術を持つ先生たちは、常に自分の技術力に磨きをか
けています。その姿勢はとても素晴らしいことですし、もちろん評価もできます。
しかし、私がこうした治療院、歯科医院などで思うことは、技術も大事なこと
ですが、もっと大事なことは、人としての温かな心配りであると思うのです。
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以前から評判の良い歯医者さんですが、近隣に歯医者さんが増え、経営が厳し
くなっているということで、私のもとに相談に訪れた先生がいらっしゃいます。
ちょうど歯に痛みを抱えていた私は、その歯医者さんを訪れたのです。
まず目についたことは、受付の方の表情が暗く、常に下を向いて事務作業を優
先し、待合室に目を向けることもほとんどなかった点です。
名前を呼ばれた後の誘導の仕方や治療中の声の掛け方など、すべての『真実の
瞬間』は、作業のためのものであって、そこに来院した人のためのものではあり
ません。
私は研修開始後、その思いを率直に伝えました。
「この歯医者さんは、腕が良いと聴いていました。私もそう思います。痛みは
なくなりましたし、治療は的確だったと思います。 でも…ハッキリ言いますが、
親切心を感じることもありませんでしたし、痛みを抱えてきた患者様に寄り添っ
てくれている感じもしませんでした。私は、次に痛みがあった場合、別の歯医者
さんに行こうと思います」
私は続けました。
「私が小さい頃、かかりつけの病院がありました。風邪を引いたときなどに行
くと、待合室では看護師さんや薬剤師の先生が出てきてくれて目を掛け てくれた
り、先生も真っ先に病状を尋ねるのではなく 『昨日の夜はきっと辛かったね~』
なんて優しい言葉を掛けてくれたんです。聴診器の当て方や喉を見る器具の使い
方もなんだか温かかったように感じていました。だから私は、いつもあのお医者
さんが好きでした。」
こうしたお話をしているとき、1 人の先生が立ち上がって言いました。
「樋口さん。ありがとう。今、本当に沢山の気づきがあった。これから私たち
は、樋口さんの話してくれた大事なことを見直すことにします。」
そして、翌月私が研修で再び訪れてみると、受付の対応が明らかに変わってい
ました。中をのぞいてみると、先生たちの表情が違います。私は安心して 2 回目
の研修をスタートさせようとすると、1 人の先生が私に尋ねました。
「樋口さん。どう?かかりつけの病院に近づいたかな?」
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(3) ブランドとは記憶
◇お客様の中にある記憶
『ブランド』と聴いて、何を思い浮かべるでしょうか?
研修や講演で尋ねてみると、その答えのほとんどは、高級なバッグや時計など
のブランド名を連ねます。
しかし、本来ブランドに実態はありません。
ブランドとは、お客様がその商品やサービスに意味を感じていることであり、
イメージであり、記憶であると考えます。その記憶が良いものであるか?悪いも
のであるか?それこそまさしく、そのお店のブランドなのです。
このように考えてみると、どんな会社やどんなお店にもすでにブランドが備わ
っているはずです。
「あのお店はマズイ」とか「あのお店はたいしたことない」
「あのお店は美味しい」とか「あのお店はとても気持ちが良い。居心地が良い」
「あの会社の対応は雑だし遅い」
「こっちの会社は電話も丁寧で、お遭いしても
気持ちが良い」など…そのすべてがブランドなのです。
では、ここで伺いたいことがあります。
あなたの会社やお店のブランドは、良質なものになっていますか?
それとも…悪いイメージになっていますか?
そのブランドを作り出しているのも、現場でお客様と直接接するスタッフの『真
実の瞬間』なのです。
◇リブランディング・マネジメント
業績を上げていくためには、このブランドイメージを良質なものに書き換える
ことが不可欠です。私はこのブランドイメージを書き換える方法を、リブランデ
ィング・マネジメントと称しています。
そのためには、お客様が直接受けるあらゆる『真実の瞬間』を変化させる必要
があるのです。
残念ながら、扱う商品や内外装を換えたところで、このブランドイメージは簡
単に書き換えることができません。設備産業とも呼ばれるような、ホテルや旅館、
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スーパー銭湯やパチンコなどの娯楽施設など、巨額のお金をかけてキレイにした
り、新しい設備を投じたとしても、お客様は「キレイになっただけ」「なんだか新
しくなったけどね…」という記憶が上塗りされるだけであって、ブランドが書き
換わることはありません。
その点、リピート率 97%を誇るディズニーリゾートは、『真実の瞬間』を最重
要視してスタッフ育成に力を入れ、ブランドづくりを徹底的に行っています。デ
ィズニーリゾートは、こうして作られた上質なブランド力を持っているからこそ、
新しい商品や設備投資がさらに生きてくることになるのです。
やはり、優先すべきはスタッフの育成です。 だからこそ、私は、スタッフの育
成について、とくに重要視しているのです。
◇お客様の反応が変わる
著書『やる気のないチームを劇的に変える 3 分の習慣』にも、様々なお店の事
例を書かせて頂きましたが、ブランドが書き換わっていく過程で、お客様 の反応
に変化がおとずれます。
・いつもいらっしゃってくださるお客様の笑顔が増えた
・お客様から声を掛けられることが多くなった
・その言葉に「なんだか最近みんな楽しそうね」と言われた
・お客様からの手土産が増えた(笑)
こうした反応の変化こそ、ブランドが書き換わってきている証拠なのです。
著書には、「手土産が増えた(笑)」と書きましたが、実はこの反応についてよ
く考えてみると、とてもありがたいことですし、それほど信頼残高が高まってい
るという証拠なのです。
なぜなら、そのお店のスタッフのことを思い、手土産を準備してくださり、わ
ざわざ手土産を持ってきてくださる手間や労力を考えてみればおわかりになるで
しょう。
先日、私のクライアントの鍼灸院の先生が話してくれました。
「樋口さん。本当に手土産が増えてるんです。しかも、 患者さんの治療の日では
ないのに、わざわざ自家製のぬか漬けを持ってきてくれて、
『これからお昼でしょ。
これ食べて』って」
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(4) ビア樽の法則
◇リーダー1 人が頑張らなければという罠
私が以前店長を務めていた時、
「とにかく自分が頑張らなければ」と考えていま
した。そして、自分ひとりが躍起になり、リードしようと熱血指導していました。
しかし、それは結局、間違いでした。お店の売上は一向に上がらず、あるとき、
多数のスタッフが一度に退職を申し出てきたのです。結局私は、誰一人留めるこ
ともできず、そのまま退社させてしまったのです。
どんなに私が頑張っても、空回りするだけで、その思いは部下には伝わらず、
それどころか、かえって反発を招いて士気を下げていました。
これではお店の業績も上がるはずがありません。
いくらリーダーが 1 人で頑張っても、大した成果には繋がりません。リーダー
に限らず、誰か特定の数人だけが頑張っても、その効果はたかがしれています。
そうであるならば、リーダーがやるべきことは、自分が人一倍頑張ってみんな
を引っ張っていくことではなく、お店のスタッフ全員が動き出せるような環境を
つくることだと気づいたのです。
◇リーダー1 人で頑張るのではなく、チームのみんなで成長する
自分1人で経営し、営業しているならチームという概念は必要ありませんが、1
人でもスタッフを雇っている場合、絶対にチーム作りを疎かにしてはなりません。
なぜなら、私は会社やお店は大きなビア樽のようなものだと考えているからです。
樽を構成する木の板1枚1枚が、経営者やリーダーも含めたスタッフ 1 人 1 人
を表します。その樽に貯まっている水の量こそ会社の業績そのものだと考えてみ
るとおわかりになるでしょう。
経営者やリーダー1 人がどんなに頑張ったとしても、それは樽を構成するたった
1枚の板だけが長くなっている状態です。そんな状態では、結局、他の短い板の
ところから水がこぼれ出てしまいます。もちろん、特定の数名だけが頑張っても
意味がありません。それよりも、全部の板をちょっとずつ伸ばした方が、はるか
に多くの水が貯まります。
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さらに言えば、1枚1枚の間に隙間があり、お互いにピッタリとくっついてい
なかったとしても、そこから水がこぼれ出てしまうのです。
ちなみに私が
「スタッフ・チームを育成し、リピート率を高め業績を向上させる専門家」と
公言しているのは、
会社やお店のスタッフを育成するだけでなく、
それと同時にチームを育成し、
図の右側にあるように 1 人 1 人が切磋琢磨し
より良質なビア樽をつくりながら
業績をあげていくことを前提にしているからです。
◇たった1人のスタッフの行動によってブランドを損なう怖さ
前述したブランドイメージとスタッフ1人1人の『真実の瞬間』の相関関係を
考慮すると、短い板と思われるようなたった1人のスタッフの粗雑な行 動や対応
によって、ブランド全体を損なってしまう怖さに気づくことでしょう。
私の家の近くに某コンビニエンスストアがありました。深夜そのコンビニエン
スストアに行ってみると、レジの対応に出てくる足取りも重く、不機嫌な顔で「い
らっしゃいませ」の声もほとんど聞こえない若いスタッフが居ました。
さて、みなさんはどう思うでしょうか?
この若いスタッフさんが「ダメだな~」と思いますか?
それとも「このお店ダメだな~」と思いますか?
たった1人のこうした粗雑な対応によって、お店全部がダメだな~というブラ
ンドがつくられてしまうのです。
しかし、このコンビニエンスストアに朝行ってみると、私も大好きな元気なお
ばちゃんがいて、とても清々しい対応で、いつも「気をつけていってらっしゃい」
などと、とても温かな声を掛けてくれていたのです。
残念なことですが、数十メートルも歩けば別のコンビニエンスストアがありま
すから、こぼれた水つまりお客様はどんどん流出ていることは、誰の目にも明ら
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かでした。その結果、つい先日とうとうそのコンビニエンスストアは無くなって
しまったのです。
そのお店が無くなってしまったことも残念なことですが、もう1つ大きな責任
があると思いませんか?全国に広がるこの某コンビニエンスストア全体のブラン
ドイメージまで損なってしまったのです。
私は、研修やセミナーの中で、時折こうしたお話をさせて頂きます。
「自分の行動がどれほど大きな影響力を持っているのか?大人として、その責
任を考えながら自分の行動を見つめ返し、自分の役割を全うしましょう」と。
(5)インナー・ブランディングの重要性
◇殺伐とした空気はお客様に伝わっている
私は、研修やコンサルティングの依頼を受けた際、必ずその会社やお店を訪問
させて頂きます。時折、入口の扉を開けた瞬間に感じる殺伐とした空気感があり
ます……「仲が悪そう」
それは、スタッフ同士のアイコンタクトの頻度やその表情、すれ違い様の身の
かわし方や事務連絡をしている様にもすべて表れているのです。
これは、美容院を数店舗経営しているオーナーから、そのうちの数店舗で業績
が落ちているということで依頼を受けた時のお話です。
私は、訪問直後から感じていたその殺伐とした空気感について、オーナーと店
長に率直に伝えました。
「皆さん、仲が悪いでしょ」「離職も多いんじゃないですか?」
するとすぐに応えが返ってきます。
「樋口さん。どうしてわかるんですか?」
私は、さらに応えました。
「この空気感、お客様にもハッキリ伝わっていますよ。今の業績の落ち込みの
原因は、この空気感にありますね」
職場内のコミュニケーション不足や、スタッフ同士の不仲な様、日々の仕事に
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楽しみを見出していない職場事情は、いくら 現場で隠そうと思っても隠しきれる
ものではありません。
私は、良質なビア樽をつくるための研修を早速スタートさせたのです。
◇思いを共有する
良質なビア樽をつくることの出発点は、良質な職場環境づくりにあります。
その具体的な職場環境づくりこそ、著書『やる気のないチームを劇的に変える
3分の習慣』の第3章の全8節に凝縮されています。
とくに私が大事にしていることは、スタッフ1人1人の思いです。
・どんな会社やお店にしたいのか?
・どんな仲間と一緒に働きたいのか?
・自分の仕事を通じて、お客様に何を届け、何を感じて頂きたいのか?
私はこの質問を、18000 人を超える方々にしてきました。その結果、多少言葉
は違っているものの、老若男女を問わず、その本質は皆同じだったのです。
具体的には「笑顔で明るく楽しい会社やお店にしたいと願い、お互いに何でも
言い合える仲間と一緒に成長しながら、自分たちの提供する商品やサービスを通
じてお客様に喜んで頂きたい」というのです。
私は研修で、幾度となくこの思いを共有したときにスタッフ 1 人 1 人とチーム
全体のスイッチが「バチン!」と音が聞こえるくらいの勢いで立ちあがる様子を
目の当たりにしてきました。
この美容院チームも同じでした。
「全員同じ思いだから、とにかく楽しく働ける職場をつくろう!」
この号令に皆動き始めたのです。
◇仕事のパフォーマンスが変わる
その翌月、私が研修で伺ってみると明らかに変化している様子が見られました。
スタッフ同士の表情が違います。あの重苦しい空気感もありません。すれ違う際
には、「後ろ通るね♪」なんて優しいトーンの言葉も響いています。
すると店長が私のところにやってきて驚いた表情をしながら言いました。
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「樋口さん。もう業績が上向いてきています。なぜでしょう?」
その理由は明確です。
良質な職場環境は、仕事のパフォーマンスそのものに影響を及ぼすのです。
「今日も仕事か~、嫌だな~」と思いながら出勤してくるスタッフの仕事のパ
フォーマンスはどのくらいでしょう?
「今日も仕事!楽しみだな!」と思いながら出勤してくるスタッフの仕事のパ
フォーマンスはどのくらいでしょう?
さらに言えることは、自分の働く職場に信頼と自信が持てるようになると、自
分たちの提供している商品やサービスに対しても自信を持ってお客様に届けられ
るようになるのです。
◇働くスタッフの口コミ効果
職場環境が良質なものとなり、自分たちの提供している商品やサービスに対し
ての自信や誇りが醸成されると、さらなる効果が発揮されます。
それは、働くスタッフが大切な家族や友人、親戚やご近所の方々に至るまで、
自ら自信をもって話し伝え始めるのです。働くスタッフからの口コミが始まるの
です。口コミ効果とは、何もお客様から出るものだけではありません。
さらに言えば、こうした声こそ、さらに自社や自店のブランド力を高めること
に繋がるのです。
しかし、このスタッフの口コミ効果も良い話ばかりではありません。悪い口コ
ミによって逆のブランド力を発揮してしまうこともおわかりでしょうか。
職場環境が悪質なものであったり、商品やサービスに手抜きがあったり不正が
あったりすれば、その内情はスタッフ全員がすべて観ています。アルバイトスタ
ッフであっても観ているのです。第 1 章でも触れましたが、悪い噂ほど大きく広
がってゆくものです。
ブランドとは外部に発するものであるとばかり思われますが、実は自社内にこ
そあるのです。だからこそ、私はインナー・ブランディングの重要性を説いてい
ます。
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(6)業績を上げ続ける会社やお店の最大の特徴
◇自慢したくなる職場
思いもよらないほどのスピードで業績が上がり続ける職場では、働くスタッフ
から「仕事も人生も、日々の生活まで楽しくなった」
「家族や友人にも自慢できる
職場で働けることがとても嬉しい」など感謝の言葉が蔓延しています。
ところで、自慢できる職場とは、一体どんな職場なのでしょう。
大きな会社で働いていることでしょうか?売上や業績の高い職場でしょうか?
最高のビア樽チームをつくり、業績を上げ続けている経営者の方から届いた 手
紙の一部をご紹介します。
「業績が上がっていることももちろん嬉しいことですが、それよりも嬉しいこ
とは、スタッフがいつも笑顔で楽しく働き、1 人 1 人が心から喜んで自分で考え
て動くようになったことです。そのスタッフたちが言ってくれる『家族や友人に
も自慢できる職場』という言葉は、私のやってきた仕事に対しての確信を与えて
くれました。私こそ、みんなに感謝したい『ありがとう』」
「最近では、私の気づかないところや苦手なところまで、スタッフが代わりに
やってくれていることを見るようになりました。とてもありがたいし、私 1 人で
やってるんじゃないんだという安心感もあります」
◇3つの幸せでつくられた最高のビア樽
私がこれまで観てきた業績を上げ続けている会社やお店では、 経営者もスタッ
フも一緒になって、
・全員が心を一つにして最高のビア樽をつくろうと『思合せ』
・自分にできることはできる限り『仕合せ』
・全てを自分ひとりで背負込んでできるわけではありませんから『支合せ』
3つの幸せを紡ぎ合わせながら、最高のビア樽が作られています。
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第3章
リピート率 9 割を超える!
会社やお店がしていること
36
リピート率 9 割を超える!会社やお店がしていること
この章では、最高のビア樽チームをつくり、業績を上げ続けている会社やお店
が具体的に行っていることの一部をご紹介します。どれも実行してみれば確実に
成果に繋がるものばかりです。
(1) トイレと入口をピカピカに磨く
◇トイレ掃除でスタッフは格段にレベルアップする
「トイレをキレイにしている会社やお店は繁盛する」という話を聴いたことが
あると思います。感謝しながら掃除をすると運が良くなるとも言われますが、私
のクライアントである会社やお店の方々が、確実に実践して業績を上げています 。
さらに、毎朝、やればやるほどその効果は高まっているという報告が私のもとに
届くため、私自身もトイレ掃除に関する確信が深まるばかりです。
私も毎朝、水洗タンクから便座のふた、便座を拭き、便器を磨きます。さらに
膝をついて便座より頭を下げ、目線を下げて便器から床の隅々まで 感謝の気持ち
をもって磨きながら拭きあげます。こうしていると普段の視点からは観えないも
のが観えるようになり、些細なことの大切さがわかるようになります。
先日も小さな飲食店で研修を行い、トイレの話をした 1 カ月後のことです。
1 人のスタッフさんが私に言いました。
「樋口さん。トイレ掃除をしはじめて気づいたことがあります。実は先日、某
チェーン店のレストランに行ったときのこと …便座クリーナーを使おうと思った
ら、その容器にホコリが溜まっていたんです。それから便座の裏側は全く拭き取
っていないようでした。これまでの私では全く気づかなかったことですが、 ハッ
キリと観えるようになってきました」
視点が変わり始めた証拠です。こうした話がスタッフ皆から出るようになり、
「テーブルに置いてある調味料入れが汚れていた」「レジの周りもホコリが ..」
こうしたことが自店に転じて次第に仕事のレベルが引き上がってくるのです。
ちなみに私は「トイレ掃除をしましょう」とだけは言いますが、「会社やお店を
掃除してください」とは一度も言ったことがありません(笑)
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◇入口をピカピカに磨く
もう一か所、私がクライアントの皆さんにお伝えしている大切な場所がありま
す。それは会社やお店の入口です。入口が汚いお店には入る気がしません。
なぜならば、せっかく自分の会社やお店までわざわざ時間と労力を かけて来て
下さったお客様をお迎えしようとする歓迎感謝の気持ちとその準備ができていな
いということだからです。
ここでは具体的な掃除の方法というよりも簡単なポイントがあります。それは、
入口には不要なものは置かないということだけです。あれやこれやと置いてしま
うと、掃除をするのも大変になりますし、お客様が入ってくるのを妨げることに
繋がってしまいます。スッキリした入口が一番良いのです。
入口の床を磨いた後は、扉もキレイに磨きましょう。
扉を磨いているとき、路面店や 1 階にお店を構えている場合には、是非やって
頂きたいことがあります。
それは、近隣の方々や隣のお店の方々、商店街を通る人々にも温かい挨拶をす
ることです。こうしているだけで、そのお店で働くスタッフの「人となり」が観
えてきます。すると、次第にお店にいらっしゃる方が増えてくるのです。
「樋口さん、通行している人に挨拶って…そんなことで本当にお客様が来るの
ですか?」と尋ねる方がいらっしゃいますが、私は決して嘘を言っているわけで
はありません。大真面目な話です。なぜなら、実際に掃除をしながら挨拶をする
ことで、新規のお客様が沢山いらっしゃっているお店の例を挙げればキリがない
くらい観てきたからです。
◇「掃除をする」のではなく「感謝する」
さらに大事なことは、「掃除をする」のではありません。「感謝」するのです。
その会社やお店があってこそ、今の仕事があり、日々の生活ができているわけで
す。その場所があることは、とてもありがたいことです。もしも、その場所がな
くなってしまえば…どうでしょうか。
そこの会社やお店があるのが「当然だ」とばかりに思うのではなく、いつも「お
かげさま」で「ありがたい」と感謝の気持ちをその場所に伝えると、さらに良い
運がおとずれるようになります。
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(2) 挨拶にはこれから受けるサービスが凝縮されている
◇機械的な挨拶のお店が増えている
私の仕事柄、どんなお店に入っても気になることがあります。それは決まりき
った機械的な「いらっしゃいませ」という挨拶です。
場合によっては、目が合うこともなく、一辺倒に同じ言葉だけが繰り返され、
お客様がわざわざそのお店に来てくださったことに対する歓迎感謝の気持ちをこ
れっぽっちも感じないことも多くあるのです 。今、そういうお店が劇的に増えて
います。
以前、サービス業の社長さんたちが多く集まる講演会で出遇 った、ある社長さ
んがいらっしゃいます。この社長さんはレストランや居酒屋さんなどの飲食店を
数件経営されているのですが、講演会で私が話した「業績の悪い会社は挨拶が機
械的で、お客様に対する歓迎の気持ちがないのです」という話を聞いて、
「まさに
自分のお店のことだ」とドキッとしたのだそうです。
◇挨拶が機械的ならその後の対応もすべて機械的
私は、
「挨拶にはこれから受けるサービスが凝縮されていると言っても過言では
ない」と思うのです。
なぜならば、私自身が実際に観てきた歓迎感謝のない機械的な挨拶をする お店
では、店内に入った時から帰る時まで、ず~と機械的なサービスが続くからです。
声の掛け方や言葉のトーンも含めて、そこに人間的な温かさを感じることがあり
ません。
時折、チェーン展開しているレストランなどで、
「只今、季節の○○が当店のお
ススメとなっています」と機械的に勧められても…
第 2 章の『真実の瞬間』のところでもお伝えしたことですが、とても大事なこ
とですので、ここで重ねてお伝えしたいと思います。
「どんなビジネスであっても、お客様に提供する主力商品は、提供している商
品そのものではなく、お客様を接する際、常に愛情を注ぎ、注意を払うことです。
人として温かく、ココロを配られる喜びなのです」
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(3) モノを丁寧に扱う
◇音でわかるおもてなし力
職場が雑音に満ちていませんか?備品を扱う際にガチャっと置いたり、資料を
置く時にもバサッと置いていたり、扉を開閉するときにバタン!なんて …これは
スタッフのものの扱いがぞんざいになってしまっている証拠です。
著書『やる気のないチームを劇的に変える 3 分の習慣』の中には、「3 分だけ、
ものを扱うとき、意識して音を立てずに静かに置いてみる」ということを書かせ
て頂きました。
実際にやってみると、普段どれくらい雑に扱っているのかを身体で感じること
ができます。しばらくすると、あらゆるものを扱うときの意識が勝手に強くなっ
てくるから面白いのです。
すると、何気なく使っているペンでさえも丁寧に扱うようになります。
モノに対する意識が変わってくると、お客様からの反応にも変化があります。
これは私が店長だった当時、多くのお客様から言われた嬉しい言葉です。
「あなたのお店のスタッフは本当に素晴らしいわね。モノを大切に丁寧に扱って
いることを見れば、お客様に対してもどれほどの思いと気配りを持っ て接してく
れているか、ハッキリとわかるわ。それから、なんだか安心感があるの」
モノを丁寧に扱っていることで、お客様にはいろんなことが伝わるのだと思う
のです。
「心は観えないけど、心遣いは観える」まさにそのことがモノを丁寧に扱うこ
とで目に映るようになるのです。
◇モノを丁寧に扱えるようになると、おもてなし力も高くなる
モノを丁寧に扱っている人は、お客様に対してのおもてなし力もどんどん高く
なるのです。
これはトイレ掃除や入口の掃除の効果と似ているのですが、ものの見方や捉え
方、ものごとの考え方が変わってくるのです。
「お客様のご迷惑にならないよう扉を閉める時は、最後まで手を携えて音を立
てないようにしよう」
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「お客様をご案内する時の歩き方も、自分の足音に気をつけよう」
「配膳する際にも、お膳を置く場合に音が立たないように気をつけ、お客様が
食べやすい場所に」
「シャンプー台にご案内した後のブランケットの掛け方や、その後の仕舞い方
にも気を配ろう」などと、自ら考えながらおもてなし力が高まってゆくのです。
◇リピート率 97%夢の王国の掃除道具や備品の扱い方
実は私、とにかくディズニーランドが大好きです。 キャラクターやショーパフ
ォーマンスなども好きなのですが、私が好きな理由は他にもあります。そのリピ
ート率を根幹から支えている人材育成術です。遊びに行きながらそれと同時に、
そのスタッフさんの行動や対応力について研究しているのです。
ある時私は、お掃除のスタッフさんが持っている備品もキレイで、 その扱い方
も丁寧であることに気づいたのです。他のスタッフさんがつけている無線の使い
方も丁寧で、パンフレット等を所持するためのホルダーの扱い方まで丁寧で、レ
ストランではダスターまでキレイで、4 つ折りにして仕舞う些細なところまで気配
りがなされていました。
ここにヒントを得た私は、モノを丁寧に扱うことがスタッフのおもてなし力を
高めることに繋がるのではないか?と考えたのです。
思い返してみると、その予感は見事に的中していたのです。
私が店長を務めていたお店でもその効果は非常に高く、クライアント先のスタ
ッフも自然とお客様へのおもてなし力が向上していったのです。
モノを丁寧に扱う 3 分の習慣を是非お試しください。
(4) 誰に対しても丁寧な言葉づかいで接する
◇言葉づかいは伝染する
職場内で使っている言葉づかいは、どんどん伝染します。私たち人間は、環境
に左右されやすい動物ですから、その順応性の高さは驚異的です。
私が店長だったときの恥ずかしい話ですが、もちろんお客様の前ではわきまえ
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ていたものの、バックヤードに入れば、その態度や言葉づかいも一変し、
「っつー
かお前さぁ」
「疲れた~」
「ダル~ッ」「めんどくさい」挙句の果てには「あいつダ
メだな」なんて言いながら不平不満や愚痴もこぼしていました。
本当に恥ずかしいことです。(深く反省)
そんなある日のことです。
スタッフが待機しているバックヤードで耳を澄ましていると、愕然としました。
「お前さぁ~」「っつーかダルいんだけど…」「マジであいつダメじゃない?」マ
イナス発言や汚い言葉、不平不満や愚痴がどんどん聞こえてくるのです。
その時気づいたことは…「自分そっくり」
◇自分が変わればすべてが変わる
この件で、店長として、またリーダーとしての何気ない行動 1 つ 1 つの影響力
の大きさを痛感しました。
それからというもの、お客様の前ではもちろんのこと、スタッフと接するとき
も、下請け業者さんと接しているときも、自社に配達に訪れる宅配業者の方に至
るまで、誰とでも分け隔てなく、丁寧な言葉で接するようにしたのです。
するとその効果はすぐに表れました。何を指導したわけでもないのに、スタッ
フのみんなは私を真似ているかのように、言葉遣いが丁寧になり、訪れる業者の
方々に対しても接し方が丁寧になっていったのです。
その当時業者さんから尋ねられたことを思い出しました。
「店長。正直に言っていいですか?実は、この間までは、ここに届け物をしに
来るのが嫌だったんです。だって、めんどくさそうな顔をされて(笑)。でも今は
全然違うでしょ。丁寧に接してくれるし…一体どんな教育したんですか?」
私は答えました。
「これまで本当に失礼な態度をしていました。本当に申し訳ありません。スタ
ッフの教育するのではなく、足りなかったのは私自身ですよ」
嬉しいことにお客様からも「なんだか最近、すごく雰囲気が良くなったわね」
という声を頂くようになり、それから少しずつお客様が増え始めたのです。
あなたの職場の言葉づかいはいかがですか?そしてご自分はいかがでしょう?
小さなことのように思われますが、私はとても大事なことであると思います。
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おわりに
本書を最後までお読み頂き、本当にありがとうございます。本書が少しでも 皆
様の「お役に立てれば」と思いながら丁寧に書かせて頂きました。
また、私自身がこうして書きながら感じたことは、これまで自ら提唱し、成果
を上げてきたことを振り返ってみると、物事の原理原則は極めてシンプルである
ということであり、ノウハウやテクニックではない不変の真理=『不易』の重要
性であると改めて確信を深めることができました。
こんな私が常々お伝えしている原理原則は、
「当たり前のような小さな習慣の積
み重ねが、想像をはるかに超える大きな結果に結びつく」ということです。
本書の中でも度々登場している著書『やる気のないチームを劇的に変える 3 分
の習慣』(秀和システム)は、まさにその当たり前にすべきことを、毎日(ときに
毎月)たった 3 分行っているだけで、自ら考え動き出すスタッフ・チームを育成
し、最高のビア樽チームをつくりながら業績を向上させる具体的な方法が描かれ
ています。加えて、本書が土台となっている『リピート率 9 割を超える!繁盛店
スタッフの育て方』
(アニモ出版)が刊行されました。こちらには、ブランドを再
構築するリブランディング・マネジメントの進め方が明確に書かれています。
本書と併せて、皆様の目に触れれば、きっと何かのお役に立てるだろうと思い
ながら丁寧に書かせて頂きました。ご一読頂ければ幸いです。
この出遇いとご縁に感謝致します。ありがとうございます。
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著者
樋口圭哉(ひぐち
よしちか)
Copyright © 2015 Higuchi Yoshichika Printed in Japan
2015 年 2 月 1 日 発行
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