アルブミンのその後のその後

アルブミンのその後のその後
2015/06/02 慈恵ICU勉強会 阿部 建彦
CONTENTS
1)  アルブミンの変遷 ! Pre-­‐SAFE Study ! Post-­‐SAFE Study 2)  頭部外傷患者のアルブミン 3)  重症敗血症のアルブミン 4)  その他の病態でのアルブミン 5)  今後の展望 6)  まとめ
1)  アルブミンの変遷
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1941年 臨床使用として初めて外傷患者に投与された 1975年 初めてのRCT(AAAの術中投与) 1991年 Reviewで各疾患に対しての効果 1998年 BMJ:Metaで否定 2001年 AnnSurg:死亡率は不変 2003年 低Alb血症は予後不良 2004年 SAFE Study 2007年 頭部外傷について(Subgroup) 2011年 Severe sepsisに対してのMeta 2011年 EARSS(大規模RCT) 2012年 ESICM 2014年 ALBIOS(大規模RCT) ! Pre-­‐SAFE Study
1991
Arch Intern Med 1991;151:901-­‐911
Review :アルブミンの臨床使用における最初のレビュー •  Empirical use •  hemodynamic stabilizaTon •  Pulmonary insufficiency •  Open-­‐heart surgery •  Thermal injury •  Cirrhosis •  Nephrosis •  With TPN 外傷/手術
循環血液量減少 敗血症
熱傷
大量腹水穿刺
・N=20-­‐100程度 ・外傷/手術が大半 ・投与量もまちまち
<結果> •  Hemodynamic:大量の晶質液を投与できない症例 •  Paracentesis:低Na血症、腎障害の予防(20%Alb 40g) •  Nephrosis:利尿剤との併用で浮腫軽減 •  Thermal injury:血管内容量の増加(2.5%Alb) いずれも対象人数が少なく、大規模な試験が必要
1998
BMJ 1998;317:235–40
Meta-­‐analysis •  CriTcally ill paTents: Hypovolemia from injury/surgery, burns, hypoproteinaemia •  1419 pts., 30 RCTs •  Albumin/PPF vs. none, Albumin/PPF vs. crystalloid •  Outcome: mortality from all causes 循環血漿量不足
RR 1.46(0.97-­‐2.22)
熱傷
RR 2.40(1.11-­‐5.19)
低蛋白血症
RR 1.69(1.07-­‐2.67)
・どの群でも異質性は認められない ・全体の相対危険度は 1.68(95% CI: 1.26-­‐2.23)
循環血漿量不足
RR 1.46(0.97-­‐2.22)
盲検化が不十分であったり、適切でなかったりする研究があり、 アルブミン群に重症患者が割り付けられた可能性がある
熱傷
RR 2.40(1.11-­‐5.19)
低蛋白血症
RR 1.69(1.07-­‐2.67)
・どの群でも異質性は認められない ・全体の相対危険度は 1.68(95% CI: 1.26-­‐2.23)
2001
Ann Intern Med 2001;135:149-­‐164
Meta-­‐analysis •  1998 BMJ は研究の選択に偏りがあるので、除外さ
れたものも含めて再検討した •  外傷/手術、熱傷、低アルブミン血症に加えて、腹
水穿刺、新生児なども対象 •  3504 pts., 55 RCTs •  Outcome: mortality 手術/外傷
・異質性はなし ・全体での相対危険度は 1.11(95% CI: 0.95-­‐1.28)
熱傷
低Alb血症
新生児
腹水
その他
アルブミンは死亡率を 上げるものではない!
2003
Ann Surg 2003;237:319-­‐334
Meta-­‐analysis •  Cohort study, 291,443 pts., 90 studies •  Controlled trials, 535 pts., 9 sutudies → 重症患者における低Alb血症の程度と予後の関係 Albを30g/L以上に保てば、 死亡率・合併症率が減る可能性 2004年 SAFE Study
2004
N Engl J Med 2004;350:2247-­‐56
SAFE Study "  ProspecTve, randomized, double-­‐blind mulTcenter study "  PaTents: 6997 ICU paTents 4% Albumin group: n=3497, Saline group: n=3500 "  除外:心臓外科術後、肝移植後、熱傷患者 "  Method: 循環血液量を維持したい時に、臨床医の判断でAlbumin
またはSaline投与 期間:死亡、退室、28日後まで "  Outcome: 28日死亡率、新規臓器不全、ICU・Hospital stay、
人工呼吸器期間、RRT導入率
Albumin
Saline
・アルブミン群での 輸液バランスが少ない ・Alb濃度は アルブミン群:28-­‐31g/L 生理食塩水群:23-­‐25g/L
28日死亡率などに 有意差なし
サブグループ解析で 有意差あり
・外傷:1.36 (0.99-­‐1.86) ※頭部外傷の除外すると RR 1.00 (0.56-­‐1.79) ・重症敗血症:0.87 (0.74-­‐1.02) •  アウトカムに差はない •  アルブミンは安全に使用できる =高価だが、生食より少しバランスを抑えられる以外は同等 •  サブグループ解析 ①頭部外傷では悪そう、②重症敗血症では良さそう ! Post-­‐SAFE Study
2)  頭部外傷患者のアルブミン 2007
N Engl J Med 2007;357:874-­‐84
•  SAFE studyの頭部外傷患者におけるpost-­‐hoc解析 Baseline characterisTcs
Administered fluids
Albumin
Saline
・28日死亡率、24ヶ月死亡率ともにアルブミン群で高い ・24ヶ月後の機能予後に関してもアルブミン群で悪い ※ GCS 3-­‐8の場合のみ(GCS 9-­‐12では有意差なし)
J Neurotrauma 2013;30:512-­‐8
•  SAFE Study with TBI, ICP monitoring •  321 pts., GCS3-­‐8: 77%(両群とも) ・The slope of mean ICP Albumin: 1.30±0.33 Saline: -­‐0.37±0.36 p=0.00006 ・死亡率 Albumin: 40/116 (34.4%) Saline: 16/92 (17.4%) RR 1.98, 95%CI 1.22–3.22, p=0.006
AlbuminのresuscitaTonによるICPの上昇が、TBIで死亡率が高まる原因となる
3)  重症敗血症のアルブミン
1)  アルブミンの変遷
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1941年 臨床使用として初めて外傷患者に投与された 1975年 初めてのRCT(AAAの術中投与) 1991年 Reviewで各疾患に対しての効果 1998年 BMJ:Metaで否定 2001年 AnnSurg:死亡率は不変 2003年 低Alb血症は予後不良 2004年 SAFE Study 2007年 頭部外傷 2011年 Severe sepsisに対してのMeta 2011年 EARSS(大規模RCT) 2012年 ESICM 2014年 ALBIOS(大規模RCT) 2011
Crit Care Med 2011;39:386-­‐391
Meta-­‐analysis •  17RCTs, 1977 pts.(1983-­‐2009年) •  All-­‐cause mortality ・SAFEが67%を占める ・全体ではOR 0.82 (0.67-­‐1.00) ※SAFE抜きでも結果は同じ (ORの記載なし) ・vs. Crystalloid (1441pts.)では OR 0.78 (0.62-­‐0.99) 2011.4.12「SAFE後のAlbumin」改
2011
The role of albumin as a resuscitaTon fluid for paTents with sepsis: A systemaTc review and meta-­‐analysis Crit Care Med 2011;39:386-391
Discussion
現在、敗血症患者おけるAlbumin投与の 有効性の検討に関して3つのRCTが進行中。 この結果が出るまでは・・・、 We found evidence that suggests that albumin reduces mortality when used as a resuscitaTon fluid for paTents with sepsis. The results of this meta-­‐analysis suggest that resuscitaTon with albumin may result in lower mortality compared with resuscitaTon with other fluids. UnDl addiDonal data are available, clinicians may consider albumin as a first line resuscitaDon fluid for paDents with sepsis. ALBIOS (N=1350), EARSS (N=800), PRECISE (N=50)
・Albumin投与が死亡率を下げた理由は、 1, 輸液負荷効果がControl fluidよりも大きい 2, 水分出納プラスバランスを抑制できる 3, Albuminの本来持つ生理作用が発揮される ・膠質浸透圧)の維持 ・物質の保持・運搬 ・抗酸化作用 ・抗炎症作用 ・抗血小板作用、ヘパリン類似作用 ・抗酸化・抗炎症作用による血管透過性の改善 ・今までのMeta-­‐analysisと結果が異なるのは、 解析対象患者を敗血症に絞ったからだろう。 ・今回のMeta-­‐analysisにおいて、SAFE studyを 除外して、解析してみてもAlbuminの優位性は 変わらなかった。 2011.4.12「SAFE後のAlbumin」改
2011
Ann Surg 2011;253:470–483
SystemaNc review アルブミンは •  死亡率を改善せず(SAFEより) •  Safer than HES
2012
Intensive Care Med 2012;38:368-­‐383
SystemaNc review •  AKIのリスクあるため、敗血症にHESは使用しない •  頭部外傷にコロイドは使用しない •  “Albumin was the safest colloid”
2011
Efficacy and tolerance of hyperoncoDc albumin administraDon in sepDc shock paDents: the EARSS study. Intensive Care Med 2011;37(S1):S115.
EARSS study •  Abstractのみ(中間解析結果) •  29 ICUs, 792 pts., France •  発症6時間以内のSepTc shock •  20%Alb 100ml x 3 vs. 0.9%saline 100ml を3日間投与 (※Alb目標値もなく、循環動態の指標もなく、Albの定量投与) •  死亡率変わらず(24.1 vs. 26.3%)、腎不全も同等 ・28日死亡率に差はない (24.1% vs. 26.3%, p=0.43) ・血清アルブミン値は介入群で高い
2014
N Engl J Med 2014,370:1412-­‐21
ALBIOS Study "  MulTcenter, open-­‐label, randomised "  1818 pts. with severe sepsis in 100 ICUs "  20% Albumin + crystalloid, crystalloid alone ※ Albが30g/L以上になるまで(ICU退室 or 28日後) (<25g/L → 300ml, 25<Alb<30g/L → 200ml) "  Primary outcome: 28日後の全死亡 "  除外:腹水のある肝硬変、浮腫のあるネフローゼ症候群、 吸収不良症候群、熱傷
<患者背景> ・内科疾患 60% ・CRF 3-­‐5% ・Alb 24g/L ・SOFA中央値 8 ・Shock 60% ・呼吸器管理 80% など ※2群間に有意差なし
・Albumin: 29g/L ・Crystalloid: 23g/L
↑ 輸液投与量に大きな差はなし
アルブミン群は輸液バランスを抑えられる
28日・90日死亡率 に差はない
SOFA subscoreで有意差
・昇圧剤の期間が短い ・RRT/AKI は有意差なし
死亡率に差はなし、SOFA subscore・昇圧剤の期間で有意差 " 
SAFE Studyと異なる結果 •  Alb濃度:4% vs. 20%、投与量もALBIOSで少ない •  Alb値の補正が目的(>30g/L) •  28日死亡率が予想より低い、症例数が少ない •  1/3は早期の敗血症が含まれている 敗血症性ショック(N=1121)に限れば、90日死亡率は低い ※ RR 0.87 (95%CI: 0.77-­‐0.99) " 
なぜALBIOSでは死亡率に有意差が生じなかったのか?
SAFE-subgroup (severe sepsis)で死亡率に有意差あり → ALBIOSでは有意差が生じない理由
SAFE vs. ALBIOS •  患者背景(死亡率、focus、人工呼吸器、APACHE/SOFA) •  投与目的(ResuscitaTon vs. hypoalbuminemiaの補正) •  アルブミン濃度(4% vs. 20%) •  血清アルブミン濃度はSAFE/ALBIOSで差はない •  輸液投与量 :EDGTを参考にしているかどうか :少(アルブミンのみ) vs. 多(アルブミン+晶質液) SAFE-subgroup (severe sepsis)で死亡率に有意差あり → ALBIOSでは有意差が生じない理由
SAFE vs. ALBIOS •  SAFEでの患者背景(Severe sepsis)の詳細な記載はない → 死亡率は30-­‐35%程度 •  アルブミンの投与濃度・投与量は異なっても、血清Alb濃
度は同等(Alb群:29g/L、Crystalloid群:23g/L) •  輸液投与量の差 Day1-­‐4:2.5-­‐3L/日(SAFE) vs. 3.5-­‐4L/日(ALBIOS) (SAFEはアルブミン群と生食群とでも差があり) •  アルブミンの生理機能について アルブミンの生理作用について
・肝臓で9-­‐14g/日合成 ・各組織で9-­‐14g/日代謝される ・体内に300g(血管内120g、間質180g)
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膠質浸透圧の維持 血管内皮細胞におけるグリコカリックスの形成 抗炎症作用・抗酸化作用 結合タンパクとしての役割
CriNcal Care 2014;18:231
•  グリコカリックス
EG (Endothelial Glycocalyx) :糖タンパク、プロテオグリカン、グリコサミノグリカン ESL (Endothelial Surface Layer) :EGと血漿中アルブミンで形成(血管内腔面に1μm) Protein free spaceがあり、血管透過性を維持 EGは血管内容量過多、虚血・再灌流、炎症により障害 正常組織ではAlb 10g/L程度でもESLは機能する 敗血症性ショック(炎症+虚血+輸液ボーラス) では、EGは障害されており、ESLの形成には Albの維持が重要となる可能性 CriNcal Care 2014;18:231
•  抗炎症作用・抗酸化作用
肝や組織から多価不飽和脂肪酸(PUFAs)を 遊離させる ↓ リポキシン、リゾルビン、プロテクチンの 活性を高める ↓ PGs、フリーラジカル、サイトカインの 産生を抑制する ↓ 炎症が終息する方向へ向かう
CriNcal Care 2015;19:156
•  抗炎症作用・抗酸化作用
鉄イオンや銅イオンと結合 ↓ ・酸化反応の前駆物質の活性を抑制 ・システインを遊離させる (抗酸化物質として作用) ↓ 炎症性メディエーターである活性酸素や NOの産生を防ぐ 薬剤の結合タンパクであり、薬剤の有効血中濃度に関与する
CriNcal Care 2014;18:231
SAFE Studyとの違い(ALBIOSで有意差がでない理由) •  SAFEとALBIOSは血清アルブミン濃度が変わらない → アルブミンの生理作用というよりは輸液量の影響 •  輸液投与量が多い → 血管内皮障害が起こり、合併症の頻度が増す → 早期からの血管収縮薬の使用、輸液量を制限 •  過剰輸液にならない管理が必要 •  アルブミン濃度の比較、製剤の比較は不明
敗血症性ショックで有意差が出た理由 •  より重症な症例にアルブミンが有効である Crit Care 2014;18:702
•  組織低還流があり、虚血によるグリコカリックスの障害 → ショックなしに比べ、血管内皮におけるアルブミンの
効果が大きかった可能性 → 抗酸化作用/抗炎症作用の効果? -­‐EDITORIAL-­‐
•  重症敗血症に対する大規模なRCTsは3つ(SAFE、EARSS、ALBIOS) •  メタ解析 •  2011 CCMのメタ解析(前述)と同様の結果
2014
Crit Care 2014;18:702
Meta-­‐analysis •  5 RCTs, 3658 pts. w/ severe sepsis, 2180 pts. w/sepTc shock 90日死亡率、Severe sepsis : OR 0.88 (95% CI, 0.76-­‐1.01)
90日死亡率、SepTc shock : OR 0.81 (95% CI, 0.67-­‐0.97)
Weight :SAFEとALBIOSで 90%以上 想定内の結果
2014
BMJ 2014;349:g4561
Meta-­‐analysis •  16 RCTs, 4190 pts. w/ sepsis, severe sepsis, or sepTc shock •  低アルブミン血症の有無は考慮せず vs. crystalloid(7 RCTs) <All-­‐cause mortality> ・全体(100%) RR 0.93(0.86-­‐1.01) ・Low risk of bias(91.2%) RR 0.93(0.86-­‐1.01)
有意差はないも、 すべての研究で RR<1になっている
3)  重症敗血症のアルブミンのまとめ
!  わずかに予後を改善する傾向がある → アルブミンの効果と言うより輸液戦略の効果か → アルブミンの抗酸化作用/抗炎症作用の効果?? !  アルブミンを投与することに害はない !  血清アルブミン値を30g/L以上しても効果は変わらず !  投与量は日本で使われている量よりかなり多い
4)  その他の病態でのアルブミン
CriNcal Care 2014, 18:231
RecommendaDons •  アルブミン投与が有効な患者群がある •  頭部外傷には避けるべき •  敗血症性ショックでコロイドを考慮するとき、アルブミン投与
する妥当な理由がある •  アルブミン投与を考慮すべき病態がある(肝硬変、ALIなど) 肝硬変
腹水穿刺 •  大量穿刺の場合(4L以上) •  20%Alb 40gを投与→循環不全、低Na血症、腎障害を予防 Gastroenterology 1988;94:1493-­‐1502
SBP •  抗生剤+Alb vs. 抗生剤のみ •  20%Alb:Day1 1.5g/kg, Day2-­‐3 1g/kg (計3日間) •  腎障害、死亡率ともに有意に減少 ※腎障害:10% vs. 33%、死亡率:10% vs. 29% N Engl J Med 1999;341:403-­‐9
ALI
A randomized, controlled trial of furosemide with or without albumin in hypoproteinemic paTents with acute lung injury* Crit Care Med 2005; 33: 1681-­‐1687
ALI患者におけるAlb+Lasix vs. Lasix aloneの検討 Albumin+Lasixは肺酸素可能を改善するか? Design;ProspecTve RCT Sevng;MulTcenter study PaTents;ALI/ARDSで人工呼吸管理を受けていて、かつTP<=6g/dLの患者40名 IntervenTon;Albumin群(20名): 25%Alb 25g(=100mL) Div×3/ Day, 3日間連続 Lasix20mg bolus iv+3-­‐10mg/h持続投与 Control群(20名): Saline 100mL Div×3 Days, 3日間連続 Lasix20mg bolus iv+3-­‐10mg/h持続投与 両群で輸血は必要時投与可。Colloidは投与不可。 2011.4.12「SAFE後のAlbumin」改
TP値
P/F raTo
蓄積バランス
EDV/BP/HRに群間差はなかったが、7日間の中で、Saline群はBP低下に対する Fluid bolusの回数が多かった(35Fluid bolus in 13 episodes vs. 11Fluid bolus in 7 episodes ) Albumin群:V/Sが安定的にマイナスバランスにでき、肺酸素可能も改善 2011.4.12「SAFE後のAlbumin」改
熱傷
J Burn Care Res 2012;33:702-­‐17
SAFE、ALBIOSで除外 → 初期輸液の公式に含まれる •  これまで大規模なRCTは行われていない (1970年代〜2000年代で4つのみ、N=20-­‐80) •  ①初期輸液での使用、②慢性期の低アルブミン血症
に対しての使用とに分かれる 熱傷
J Burn Care Res 2012;33:702-­‐17
•  輸液量を減らせるが、死亡率は改善しない •  小規模の観察研究では、ACS・死亡率が減少 •  熱傷組織の浮腫は防げず、正常組織の浮腫を予防する 1995年 83の熱傷センターにおける調査(北米) 75%が初期輸液としてRinger’s lactate 2010年 ISBI/ABAの調査 初期輸液の半分はコロイド、その21%はアルブミン (慢性期の投与に関しては調査なし)
熱傷
J Burn Care Res 2014
Meta-­‐analysis •  RCTs(4) + nonRCTs(4), 688pts. ・死亡率 OR 0.63 (95%CI, 0.26-­‐1.63) ・ACS OR 0.19 (95%CI, 0.07-­‐0.50) ・Respiratory complicaTon OR 0.58 (95%CI, 0.17-­‐1.99) ・Renal dysfuncTon OR 0.37 (95%CI, 0.10-­‐1.33) 5)  今後の展望・課題
! 至適循環パラメーターの設定 ! 輸液量を限定した上でのアルブミンの効果 ! アルブミンの投与濃度(4-­‐5% vs. 20-­‐25%) ! 血清アルブミン濃度(>30g/Lで良いか) ! 対費用効果 6)  まとめ①
"  過剰輸液にならない管理をする "  アルブミンを投与すると輸液バランスを減らせる "  敗血症でのアルブミンの投与は死亡率をわずかに改善さ
せる傾向がある(ResuscitaTon fluidとしての推奨はなし)。 薬剤名
薬価(円)
1日分(円)
献血アルブミン25%静注/50ml「ベネシス」
6,204
32,021
アルブミナー5%静注/250ml
4,575
26,307
献血アルブミネート4.4%静注/250ml
5,259
29,727
ソルアセトF 500ml
143
1,144
大塚生食注 500ml
149
894
6)  まとめ②
" 頭部外傷に対してアルブミンは投与しない " 特定の病態ではアルブミン投与を考慮する ※ 肝硬変(腹水穿刺、SBP)、ALIの酸素化改善、熱傷 " アルブミンは生食と同じ効果を持つ安全なコロイド