お子様がインフルエンザワクチン接種を受ける皆様へ -接種

小児用
2015 年 9 月 30 日
お子様がインフルエンザワクチン接種を受ける皆様へ
-接種前にお読みください-
日本クラブ診療所
不活化ワクチンと生ワクチン
インフルエンザワクチンは季節性インフルエンザの予防を目的とし、その年の流行予測に基づき毎年
新しく作られています。従来不活化ワクチンが主流でしたが、2003 年に米国で承認された生ワクチンが
2011 年には欧州でも承認され英国では昨年より使用が出来るようになりました。ワクチンの予防効果は
年齢差や個人差が大きく一概に言えませんが、従来の一般的な不活化ワクチンは特に小さい子供での有
効性が低く 30-50%とも言われる一方、生ワクチンは、鼻の粘膜に生きた弱毒化インフルエンザウイル
スを噴霧する方法で投与するため実際の感染に類似し、より強い免疫効果が期待されます。とくに 2 歳
から 7 歳に限った報告では予防効果が 80%以上とする報告もあり、未だインフルエンザ生ワクチンが未
承認の日本でも大きな関心を集めています。ただ一方で 13 歳以上のお子さんに対する検討では不活化ワ
クチンの方が生ワクチンより予防効果が高かったという報告もあるため、すべての年齢で生ワクチンの
優位性が証明されているわけではありません。
英国でのインフルエンザワクチン接種
不活化ワクチンは生後 6 ヶ月以降であればいつでも接種できますが、生ワクチンは 2 歳から 18 歳未満の
お子さんのみが接種を受けること出来ます。ただし NHS がワクチンを無償提供しているのは今年 9 月 1
日の時点で 2 歳から 4 歳のお子さんと持病を持つハイリスクのお子さんに限られています(6 ヶ月-2 歳
未満は不活化ワクチンを使用しそれ以外は生ワクチンを接種)。今後対象年齢の拡大が見込まれておりま
すが、少なくとも今シーズン、上記の対象にならないお子さんは、それぞれかかりつけのプライベート
医療機関で不活化ワクチンもしくは生ワクチンを選択した上で接種を受けることとなります。
集団生活が感染のリスク
インフルエンザワクチンは基本的に任意のワクチンではありますが、WHO では月齢 6 ヶ月以上の全て
のお子さんに対するワクチン接種を推奨しており日本でも多くのお子さんがインフルエンザワクチンの
任意接種を受けていらっしゃいます。特に学校や幼稚園、保育園等で集団生活をしているお子様は感染
のリスクも高く接種を受けていただくことをお勧めします。
卵アレルギーについて
インフルエンザワクチンはいずれも鶏卵を使用して作られるため、卵アレルギーのある方は注意が必
要です。ただすべての卵アレルギーを持ったお子さんに接種が出来ないということではありませんので
接種の御希望がございましたら是非一度ご相談ください。基本的にアナフィラキシーの既往が無ければ
接種できる可能性が高いでしょう。
また現在治療中の基礎疾患があり、ワクチンの可否に不安がある方や、どちらのワクチンを受けるか
決めかねているような場合は、まず医師と相談いただくことをお勧めします。
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小児用
2015 年 9 月 30 日
接種方法
生ワクチン(鼻腔噴霧式)
2 歳から 18 歳未満:両鼻腔に 0.1ml、計 0.2ml を投与。
※ 過去にインフルエンザの予防接種歴が無い場合は 2 回目を 4 週後以降に行いましょう。
接種が不適当な場合
1. 啼泣が激しい場合は投与が出来ない可能性があります(有効な接種が出来ないため)。
2. 鼻汁や鼻閉が強い場合も接種が不適当と判断されます(有効な接種が出来ないため)。
3. 喘息は発作が誘発される可能性があります。病歴により可否を判断します。
4. 重度の卵アレルギー(アナフィラキシー)の既往がある場合は接種できません。
5. ゼラチンや抗生剤(ゲンタマイシン)のアレルギーは接種出来ません。
6. 明らかな発熱がある場合は接種を見合わせます。
7. 妊娠中は接種できません。
副反応
1. 数日から一週間程度の間に鼻炎や咳などの感冒症状を認めることがあります。
2. アレルギー反応
3. きわめて稀な副作用などの頻度はその他のワクチンと同様です。
不活化ワクチン(注射式)
3 歳以上: 0.5ml を一回接種
月齢 6 ヶ月から 3 歳未満: 0.25ml を一回接種
※ 過去にインフルエンザワクチンを受けたことが無い場合は4週後以降に 2 度目の接種を行い
ましょう。
※ 日本ではワクチンの効果を高めるために 13 歳未満の小児は過去の接種歴に関わらず、2 回接
種を行っています。2 回接種をご希望の方は初回接種時にご相談下さい。
接種が不適当な場合
1. 重度の卵アレルギー(アナフィラキシー)の既往がある場合は接種できません。
2. 明らかな発熱がある場合は接種を見合わせます。
3. 重篤な急性疾患。
副反応
1. アレルギー反応
2. 発熱、倦怠感などの全身症状や注射部位の発赤、腫脹、硬結、熱感、疼痛などの局所反応がみられ
ることが少なからずありますが、通常数日以内におさまりますので心配はありません。症状に応じ
て適宜、解熱鎮痛剤や局所の冷却などで経過を見てください。ただし程度がひどくご心配な場合は
遠慮無くご相談ください。
接種後の注意
 アナフィラキシー症状(蕁麻疹とともに、咳嗽、喘鳴、呼吸困難、嘔吐、腹痛、顔色不良などの
全身症状を伴う)が出た場合は、すぐにご相談ください。一般に接種から 30 分程度までの間に多
くみられますので、接種後一時間以上経てば、まず心配はありません。
 接種当日の入浴は支障ありません。基本的に通常の生活を送っていただければ問題ありません。