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第 20 回 世界遺産検定 マイスター試験
講評 および 学習方法
1. 実施概要
2. 認定点と分布
1. 実施概要
検 定 日:2015 年 7 月 5 日(日)
検定会場:東京・名古屋・大阪
検定時間:120 分
解答形式:論述形式(記述)
申込人数:32 名
受検人数:29 名
認定者数:11 名(認定率 37.9%)
3. 問題
4. 総評
5. 各問の短評と学習法
2. 認定点と分布
認定点:12 点(20 点満点)
最高点:15.5 点
最低点:5 点
分 布:
3.5
3
2.5
2
1.5
1
0.5
0
0.5
3. 問 題
1 次の語句を簡潔に説明しなさい。
1. シリアル・ノミネーション
2. アテネ憲章(1931 年)
3. 文化的景観
2.5
4.5
6.5
8.5
10.5 12.5 14.5 16.5 18.5
2
世界遺産条約について、次の語句をすべて使って、400 字以内で説明しなさい。なお、
解答中の次の語句の使用箇所には下線を引きなさい。
世界遺産基金
教育・広報
国際社会
グローバル・ストラテジー
3
IS(イスラム国)などによる意図的な世界遺産の破壊が問題視されている。こうした
テロ行為や紛争による遺産破壊から世界遺産を保護・保全するために何をするべきか、
世界遺産条約の有効性と限界を踏まえながら、最近の事例を用いて 1,200 字以内で論じ
なさい。
4. 総 評
1 は、比較的よく書けていたが、事実誤認とまではいかないまでも説明が不十分な受検者
もいた。 2 は、年号や概念などで事実誤認をしている受検者が例年よりも多かったように感
じた。特に「グローバル・ストラテジー」を用いた説明で難しさを感じている受検者が多か
ったように見受けられた。 3 は、前回の試験に引き続き、解答欄がほとんど空欄の受検者も
少なくなく、文字数の足りない受検者は前回よりも多かった。予想しなかった問題に対して
自分が書けることの中でどのように対処するのか、という柔軟性が論述試験では重要である。
一方で、文字数が足りていた受検者でも、感情的にISなどを非難する内容のものが多く、
高得点を得た受検者は少なかった。
1
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点
5. 各問の短評と学習法
1
短
評:それぞれの語句を約 50 文字以内で説明する問題。文化的景観では、文化的景観が取
り入れられたことで文化遺産を柔軟に捉えることが可能となった点などを書いて
いた受検者はほとんどなく、表面的な説明に終始していた。限られた文字数で短く
説明するのは難しいが、何を伝えるべきなのかをよく考える必要がある。
学習法:このように少ない文字数で要約する場合、ポイントとなる語句をはずさないように
する。しかし、間違ってはいないが本質ではない点をいくら並べても説明としては
不十分なので、学習の際には、それぞれの語句の最重要ポイントがどこであるかを
考えながら、キーワードを正しくつかむことが重要である。
2
短
評:指定語句を用いて重要なキーワードを説明する問題。この問題は、指定語句を使用
しながら「世界遺産条約」を説明することが重要である。また年号や加盟国数など
を書く際には正しい情報でなければ減点となるので注意が必要である。根本的に誤
って理解をしているのか、不確かな内容を記述している受検者が例年よりも多く見
受けられた。また「教育・広報」などのキーワードが入っているのはなぜなのか、
どのような答えに導いているのかという出題者の意図を考えなければならない。
学習法:書く前に必ず全体のプロットを作る必要がある。
「世界遺産条約」を説明するのに必
要なキーワードを書き出し、それを組み替えながら全体のプロットを考える。問題
中の使用指定語句は、どのような解答が求められているかのヒントであるといえる。
学習の段階では、重要語句のキーワードやポイントを抜き出しておくとよい。また
「世界遺産条約」の意義や目的、採択の背景なども理解し、それを限られた文字数
と指定語句の中に加えられるよう、自分なりのまとめなおしが必要である。そのた
めには、文章ではなく語句で覚えておき、問題に合わせて語句を組み合わせるよう
にするのが重要である。また、指定文字数の 8 割を書かないと減点の対象となる。
3
短
評:世界遺産に関するテーマについて、独自の意見を論理的に論ずる問題。ボンの世界
遺産委員会でも議題となったISなどによる遺産破壊に関する問題が出題された。
感情的に遺産の破壊を非難するような内容が多く、論理的に世界遺産条約の有効性
と限界を述べているものは少なかった。世界遺産に関心があるのであれば、普段か
ら考えるべきテーマであったので、国際条約としての限界や教育の問題など、世界
遺産条約から発展させて考え、記述すべきであった。
学習法:1,200 字というかなり長い論述問題の場合は、書き始める前に必ず全体のプロットを
作る必要がある。その時に、序論・本論・結論のスタイルにするのか、まず結論を
書いてから後で説明するスタイルにするのか決め、全体を見ながら、それに沿うよ
うにキーワードなどの箇条書きでプロットを作る。それに肉付けする形で、書き上
げてゆく。世界遺産条約から大きく外れた出題はないので、ある程度共通して使え
る要素も準備しておくとよい。論述問題では「正解」というものはない。いかに自
分の意見を論理的に述べられるかが高得点の鍵となる。当然、自分の考えを述べる
時には、思い込みではない正確な情報で根拠を示す必要がある。
文字数指定があるので、最低でもその 8 割は必ず書くようにする。
2
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