資料:宇宙探査新時代の幕開けとJAXAの挑戦

宇宙探査新時代の幕開けとJAXAの挑戦
JAXAタウンミーティング in 広島空港
2015年8月23日
国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構
宇宙探査イノベーションハブ
計画マネージャ 川崎 一義
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自己紹介
宇宙探査とは
宇宙探査最前線
日本の宇宙探査シナリオ
JAXAの挑戦
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自己紹介
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広島県呉市出身
広島県立呉宮原高校卒
九州大学大学院(工学修士)
1987年 宇宙開発事業団(NASDA)
1990~2010年 国際宇宙ステーション計画
1998年 NASAジェット推進研究所
2011~2014年 月・惑星探査プログラムグループ
2015~ 宇宙探査イノベーションハブ
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宇宙探査とは
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宇宙探査とは
探査(Exploration): 「探り調べること」
何のため
どうやって
科学探査
資源探査
無人探査
有人探査
・・・・
誰のため
JAXA: Japan Aerospace Exploration Agency
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宇宙探査とは?
 人類の「宇宙への旅立ち」を実現するための技術開発を通じて「安全
で豊かな社会」を実現する。
 未来社会に向けたイノベーションエンジンの一つではないか。
〈フロンティアへの挑戦〉
〈安全で豊かな社会〉
知の源として
着想の源として
技術の源として
〈技術開発〉
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フロンティアへの挑戦 (科学探査から実用へ)
冥王星
「探査」
NASA
ハッブル宇宙望遠鏡
(2010年4月公表)
NASA/APL
ニューホライズンズ
(2015年7月)
地球
「観測」
NASA
タイロス1号
(1960年4月)
ひまわり8号
(2015年5月)
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フロンティアへの挑戦(人類の活動領域の拡大)
地球低軌道
NASA
National Space Science Data Center
スプートニク1号
1957年10月4日
スプートニク2号
1957年11月3日
(ライカ犬)
月面
NSSDC Photo Gallery
ルナ9号
1966年1月31日
NASA
アポロ11号
1969年7月20日
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フロンティアへの挑戦(人類の生存圏・活動領域拡大)
 人類の生存圏・活動領域拡大は、まず探検、次に開拓、最終的
に定住と進めてきた。
 現在の宇宙開発は探検段階から開拓段階に進みつつあると考
えられる。⇒ アポロ時代からの技術の飛躍が必要だった。
探検の時代
開拓の時代
NASA
定住の時代
NASA
今はこのステップ
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宇宙探査最前線
~世界の動き~
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宇宙探査最前線(米国)
 2030年代に人類を火星周回軌道に送り帰還させることを
目標。
 月より遠くの有人探査を可能とするスペースシャトルに続く
次世代重量級ロケットや多目的有人宇宙船を開発中。
 地球周回低軌道への打ち上げに民間企業が参入。
MPCV
スペースX社
SLS
 キュリオシティーなど火星無人探査を定期的に実施。
キュリオシティー
 小惑星サンプルリターンミッション“OSIRIS-REx”を2016
年に打ち上げ予定。小惑星捕獲ミッションも計画。
 月については、将来の有人探査での現地資源利用の可能
性を探るための月着陸無人探査ミッションを2019年の打上
げに向けて検討中。
 国際宇宙ステーションは少なくとも2024年まで運用を延長。
OSIRIS-REx
小惑星捕獲ミッション
月着陸無人探査ミッション
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宇宙探査最前線(ロシア・欧州)
 ロシアは2020年頃の運用開始を目標に有人探査用の大型
ロケットと次世代有人宇宙船を開発中。ISSへの参加は継続。
 ロシアは2030年までに有人月周回飛行及び月着陸を実施
し、月面基地、輸送着陸船などを開発する計画。
次世代宇宙船(露)
(c) Russian
Space.com
 ロシアの無人月探査については、欧州との協力が検討され
ており、2017年、2018年に月着陸機の打ち上げを予定。ま
た、2020年代早期に月サンプルリターンを計画。
 欧州は、米国の多目的有人宇宙船のうち、電力、推進機能
等を提供するサービスモジュール(SM)を開発中。
次世代ロケット(露)
2017
 欧州の無人火星探査ミッション“ExoMars”計画を2016年、
2018年の打上げに向けロシアと協力して開発中。
サービスモジュール
 2014年8月に彗星探査機「ロゼッタ(Rosetta)」がチュリュモ
フ・ゲラシメンコ彗星に到着し、同年11月に着陸機「フィラエ」
が着陸。彗星核表面の調査を実施した
ExoMars
Rosetta
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宇宙探査最前線(中国・インド)
 中国は、2022年頃に独自の宇宙ステーションの建設、
2025年以降の月有人探査及び月面基地を計画。
 中国は2013年12月に嫦娥3号により月面着陸に成功。
2017年には「嫦娥5号」による月のサンプル採取・回収
ミッションを予定。
天宮1号、神舟9号の ドッキング(CG)
 中国は、無人探査機の火星着陸を2020年、火星のサ
ンプル回収を2030年、2050年の有人火星探査を目標。
嫦娥3号(中)
 インドは、2013年11月に火星探査機マンガルヤーンの
打上げに成功、火星への遷移軌道を飛行中。2014年
9月火星周回軌道投入成功。
 インドは、2016年、2017年に「チャンドラヤーン2号」に
よる月着陸探査を計画。月周回機、月着陸機(月面探
査ローバ)にて構成され、ローバによる土壌サンプル収
集等を計画。
マンガルヤーン(印)
チャンドラヤーン2号ローバ(印)
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宇宙探査最前線(国際宇宙探査)
■国際宇宙探査協働グループ
(ISECG: International Space Exploration Coordination Group)
 国際協働による有人宇宙探査に向けて宇宙機関間で技術検討を行
うグループ。
 2007年に結成、14*の宇宙機関が参加。
 ISSに始まり、月周辺の有人探査を経て火星に至る、「実現可能で
持続可能」を目指した国際有人宇宙探査のロードマップを公表。
国際宇宙探査ロードマップ
(GER: Global Exploration Roadmap)
*参加14機関: ASI(伊)、CNES(仏)、CNSA(中)、CSA(加)、CSIRO(豪)、 DLR(独)、ESA(欧)、ISRO(印)、
JAXA(日)、KARI(韓)、NASA(米)、Roscosmos(露)、 SSAU(ウクライナ)、 UKSA(英)
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国際宇宙探査ロードマップ
ISS
月・火星・小天体
無人探査
月近傍
有人探査
2030年代
火星
有人探査
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日本の宇宙探査シナリオ
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10年後の宇宙探査活動は?
 新たな国際パートナーの参加
• 中国、インドやこれから宇宙を目指そうとする国々
が参画し、全人類型の事業へ。
 民間による有人宇宙活動が本格化
• 地球低軌道近傍は、人が当たり前に常駐する時代。
民間による有人活動が本格化。
• 民間の有人宇宙活動領域も月以遠をターゲットに
(グーグルXプライズなど)。
各国宇宙機関だけでなく、民間企業の活動も含めた
新たな宇宙開発の時代へ
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フロンティアへの挑戦 (人類の活動領域の拡大)
冒険/探検
小惑星、火星
開拓
常駐/定住
無人機による予備調査
国際宇宙探査
月
地球低軌道
アポロ
ソユーズ
マーキュリー、ジェミニ
ボストーク
ミール
スペースシャトル、スペースラブ
民間ロケット
ISS
南極
アムンゼン、白瀬矗(のぶ),・・・
南極基地建設
基地運用
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宇宙探査シナリオ(文部科学省ISS・国際宇宙探査小委員会 H27.6.25)
火星
©NAS
A
★ 火星の本格的な利用
©JAXA
火星衛星サンプルリターン※
(2020年代前半)
ピンポイント
着陸技術
重力天体
表面探査技術
月
★ 無人火星探査
• 長期にわたる火星
の科学探査
長期間
• 多種多様な主体に
滞在・活動技術
よる火星表面活動
• 火星の利用可能性調査
• 火星の科学探査
かぐや
©JAXA
©JAXA
©JAXA
★ 月の本格的な利用
月南極探査(2020年代初頭)
小型月着陸実証機
(SLIM(仮称))
着陸機 • 月の利用可能性調査(水氷等)
(2019年度)
輸送技術 • 月の科学探査
地球
低軌道
物資補給技術
こうのとり
(HTV)
きぼう
• 長期にわたる月の科学探査
• 火星探査を目指した宇宙技術実証
• 多種多様な主体による月面活動
生命維持・
環境制御技術
HTV-X(仮称)
研究開発プラットフォームとしての幅広い利用
(~2020年)
(2021~2024年)
民間企業を含めた多様な主体による低軌道利用
材料研究
宇宙旅行
ISS
エネルギー
技術
ロボティ
クス技術
自動走行・
自動作業
技術
地上の
最先端技術
人工
知能
再生医療研究
創薬研究
地上への
成果還元
災害地用
ロボット
高効率再生
エネルギー
宇
宙
開
発
利
用
の
拡
大
★国際動向
等を踏まえ
て実施を検
討
※JAXA/ISAS
にて検討中
新機能材料
の創出
新薬
創製
ISS・国際宇宙探査小委員会 第2次とりまとめ概要(文部科学省作成、H27.6.25)
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JAXAの挑戦
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JAXAの挑戦
1970年2月11日
おおすみ
1969年7月20日
アポロ11号
45年前、米国が人を月に送ってから半年遅れて
©NASA
日本はやっと24kgの人工衛星打ち上げにこぎ着けた。
©NASA
それほどの技術格差だった。
2010年、日本は世界に先駆けて小惑星サンプルリターン技術を確立した。
米国は新たにこの分野へ進出を目指しており、日本は初めて追われる立場になった。
小惑星サンプルリターン技術の優位性を確実にしなけらばならない。
2016年
NASA OSIRIS-REx計画
2014年
(1,600kg, 1,000億円)
はやぶさ2
(600kg, 300億円)
2003年
はやぶさ
(500kg, 200億円)
©NASA
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JAXAの挑戦
①宇宙科学
太陽系科学探査プログラム
 月や火星等を含む重力天体への無人機
の着陸及び科学探査活動を目標
月面年代測定・内部探査
火星生命探査
火星衛星サンプルリターン
トロヤ群小惑星探査
メインベルト探査
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はやぶさ2プロジェクト
 炭素質小惑星から標本を取得。太陽系の生い立ちや生命の起源に迫る。
 「はやぶさ」で実証した深宇宙を往復する探査技術を発展させる。
 新たな試み
• 衝突体で人工クレータを作って、サンプルを採取。
• 小型ローバ「MASCOT」(DLR/CNES)による表面調査。
昨年12月、種子島より打上げ成功。
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23
小型探査機による高精度月面着陸の技術実証(SLIM)
・将来月惑星探査で必須の「降りたいところに降りる」ための
高精度着陸技術の習得
・月惑星探査を実現するためのシステム技術の習得
SLIMを実現する7つの先端技術
・着陸誘導制御系 ・着陸衝撃吸収システム
・障害物検知手法 ・画像照合航法
・先端電源系 ・先進熱制御系
・タンクを主構体とする構造
ドライ重量約130kg
従来の衛星・探査機設計とは一線を画す工夫・アイデアによる小型軽量化
・推進薬タンクが主構体を兼ねる構造
・「宇宙機の省エネ化」「搭載機器の統合化」「電源のデジタル化・高性能化」
・民間ベースの技術応用(デジカメの顔認識技術による月面クレータ分布検出)
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太陽系探査プログラム化・国際宇宙探査シナリオにおいて
SLIMが果たす先駆的役割
国際宇宙探査
小型月着陸
技術実証
SLIM
太陽系探査プログラム化
月面年代測定・内部探査
火星生命探査
火星衛星サンプルリターン
トロヤ群小惑星探査
メインベルト探査
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JAXAの挑戦 ②人類の活動領域の拡大
• 国際宇宙ステーションのような地球周回探査から月・火
星の表面探査に進む(開拓の時代)。
• ところが、あまり進展していない。なぜか?
• 様々な課題がある
– 輸送コスト
• 例えば、H-IIA204ロケット+着陸機で月面に運べる荷物は300-400kg
しかない。
– 通信
• 火星には往復40分、月の裏側は地球から見えないなど、特有の困難
さがある。
• 一方で、利点もある
– 「地球という重力天体上の活動」と類似している。
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これからの宇宙探査で求められる技術
Ⅰ 重力天体へ自由・自在にアクセスする技術
⇒ ロケット技術の延長線上で、月や火星などの
重力天体への着陸技術を開発中
着陸技術イメージ
Ⅱ 特殊環境下で宇宙活動を行う技術
⇒ 重力のない宇宙空間での活動技術(人工衛星、ISS)
ISS
これからの宇宙探査では新たに、
Ⅲ 重力天体(月・火星)で持続的に探査する技術
が必要となる。これらは、
 地上における技術との親和性が高く、宇宙との融合により
イノベーションを起こす可能性が高い。
 JAXAでは技術蓄積が少なく、民間が高い技術を有する分野。
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表面探査の特徴
• 周回探査
– 地面: 無い
•
物質は利用困難
– 微小重力
•
気体と液体の分離が困難。
– 真空
•
特殊な対策が必要
• 地球環境と全く異なり必要な技
術も異なる。
– これまでのJAXAの研究開発領域
であり、JAXAの得意分野
• 表面探査
– 地面がある
• 多くの物質がある
– 重力がある
• 月1/6g、 火星1/3g
– 火星は大気がある
• 火星 <1/100気圧
• 地球環境と相似性があり必要
な技術は似ている。
– これらからの研究開発領域であ
り地上技術の応用が可能。
NASA
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宇宙探査イノベーションハブ
月着陸探査
火星探査
月面基地
探査技術
国際宇宙探査 太陽系探査プログラム
天体環境模擬設備
新産業
の創出
マイクロマシン・センサ
燃料電池
バイオニクス
宇宙探査イノベーションハブ
貢献
幅広い科学者コミュニティの
総意のもとで進め,
日本が太陽系探査を先導する.
社会的課
題の解決
人材
技術
無人施工
自動運転
最先端ロボティクス
エネルギー再生
事業化
企業、大学、研究機関
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どのように進めるか
 人類の生存圏・活動領域拡大には、地球とつながる「へその緒」
を少しずつ切ることが必要。
 地球からの全指令・全補給型から脱却した自立探査の実現を
目指す。
 補給は細く、情報は太く!
NASA
アポロ
建設: なし
現地調達:なし
再利用:なし
宇宙ステーション
建設: 宇宙飛行士
現地調達:電力
再利用:空気、水の一部
今後の探査
建設: 無人
現地調達: ≒100%
再利用:
≒100%
宇宙船の電力源は燃
料電池であり、酸素と
水素を運んだ。
電力は自給自足。空気再生
と水再生を一部実施してい
る。
無人自動建設と燃料、
空気、水、食料を含む
地産地消。
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ISSと有人月面基地のアナロジー
1998
Functional Cargo Block (FGB)
2005
2019
Robotic Lunar Lander
2025
Man-tended Capability
2011
Assembly Complete
2030?
Permanently Manned Capability
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どうもありがとうございました。
ご意見お願いします。
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