日本の軍・学校・宗教関係資料

№2
アジアにおける
日本の軍・学校・宗教関係資料
編集・解題 大東仁・槻木瑞生
新刊
第5期 宗教調査資料 全7巻
満洲国と宗教
A5判・上製 揃定価 175,000円(+税)
日露戦争が終結し日本による「満洲経営」が始まる頃、日本宗教団体の「満洲」進出も本
格化した。この段階では、
「満鉄付属地」での「開教」
。つまり、在留邦人への布教が進めら
れていく。邦人の生活安定の一助となるための活動である。そして、駐屯日本軍の慰問活動
も重要視されていた。
1931(昭和6)年「満洲事変」勃発。翌年「満洲国建国」により日本の植民地が「満洲」
全体に及ぶと、日本宗教団体の進出も拡大の一途をたどっていく。従来は、陸路の入り口と
しての「安東」
、海路の入り口としての「大連」を活動の中心としていたが、植民地化が安
定するにつれ、内陸部へ中心を移していく。
植民地「満洲国」では、日本軍の作戦が拡大していた頃は軍事後援を宗教活動の中心とし
ていたが、治安安定とともに徐々に中国人への「宣撫工作」を活動に取り入れていった。都
市部では、現地宗教者との関係強化・中国人教育機関の設置・
「満洲国」要人との交流など
がその代表である。また「間島」
「熱河」など、地方で「治安」が安定していない地域には、
より有能な宗教者が赴任し宣撫に従事している。また後には「開拓団開教」という新たな形
態も登場する。植民地経営と宗教団体の活動の関係は密接なものであった。
本史料集は宗教・宗派を限定せず、すべての進出宗教団体の調査がなされている。同時に「工
作される側」にある「満洲宗教」の詳細な調査もまとめられている。従来の「満洲開教」研
究は、宗教・宗派の個別研究が若干存在するだけであった。本史料集により個別は全体像へ
の理解に進んでいくはずである。
大東仁
宗教調査資料について
満洲国時代に発行された「宗教調査資料」はかなりある。その発行者の名前も満洲国文教
部礼教司、民生部社会司礼教科など、組織が変化したこともあって多様である。作成した部
局だけでなく、作成者の意図や調査の仕方や視点なども、それぞれの「輯」によってかなり
異なっている。最初の「宗教調査資料」は「その一」となっていて、
「第一輯」ではない。
また内容も専門家の懇談会の記録である。そして「第十輯」や「第十二輯」も複数ある。さ
らに現在ところ「第十三輯」まであることが分かっているが、最初から一定の企画によって
作られたものではないだろう。おそらく、それぞれがその時の状況に応じて作られたのと思
われる。そのために今後、別の「宗教調査資料」が見つかる可能性もある。
戦争や「侵略」の姿を見ると、銃の撃ち合いなどはごく一部のことである。多くの人を殺
害しても、相手の領域を占領しても、支配するためには相手の生活や文化を知らなければな
らない。そうしなければ「侵略」しても、場合によっては「侵略者」がその土地の生活に溶
け込んでしまうか、あるいはその土地から撤退しなければならないこともある。そのために
「侵略」し、また「侵略」されたそれぞれが、相手の生活や文化を知ろうとする。
「宗教調査資料」はその土地の生活を知ることを目的として行なわれた。テーマはバラバラであ
るが、そこにはその時その時の日本側の課題が掲げられていた。そうした記録から、領域として
は満洲国だけでなく、大陸の奥地へ広がって行く日本側の関心のあり方が読み取れる。また現在
では知ることができない、大陸の多様な生活や歴史も知ることもできる。大陸の住民の生活に入
り込んでいる多様な宗教の姿を、これほど細かに記した資料は他にはない。
槻木瑞生
構 成
資 料 名
配本順 巻号
刊行年月
解題
1
大東 仁・槻木瑞生
満洲の佛教と其の諸問題
康徳2年11月 文教部礼教司
吉林・間島・濱江各省宗教調査報告書
民間信仰調査報告書
2
康徳5年10月 民生部社会司礼教科
満洲旗人の祭祀に就て
康徳6年6月 民生部社会司礼教科
基督教調査報告書(上)
3
康徳4年11月 民生部社会司
康徳4年12月 民生部社会司
満洲宗教概要
1
発 行
康徳7年12月 民生部厚生司
基督教調査報告書(下)
ISBN978-4-8447-0205-4 定価¥75,000(+税)
4
佛教調査報告書[日本宗教ノ部]
(上)
佛教調査報告書[日本宗教ノ部]
(下)
5
カライム教調査書
康徳9年11月 民生部厚生司教化科
喇 廟々会と鄂博祭
康徳10年11月 文教部教化司礼教科
開拓地ニ於ケル佛教事情
2
6
7
康徳8年12月 民生部厚生局教化科
康徳11年2月 文教部教化司礼教科
国内に於ける邪教及秘密結社の概要
宗教叛乱史
康徳11年2月 文教部教化司礼教科
康徳11年4月 文教部教化司礼教科
満洲国の回教徒問題
康徳11年8月 文教部教化司礼教科
ISBN978-4-8447-0224-5 定価¥100,000(+税)
既 刊
槻木瑞生編
第1期 満洲帝国学事要覧 全4巻
ISBN978-4-8447-0231-3 定価¥100,000(+税)
槻木瑞生編
第2期 満洲国留日学生録 全6巻
ISBN978-4-8447-0232-0 定価¥150,000(+税)
槻木瑞生・大東仁編 継続刊行
第4期 日本佛教団
〈含基督教〉
の宣撫工作と大陸―日本語学校―
第1集 vol.1~vol.4 ISBN978-4-8447-0234-4 定価¥100,000(+税)
収録資料
朝鮮開教五十年誌/支那事変と曹洞宗/新東亜の建設と佛教/南京及蘇州に於ける仏教の実情調査/光華抄/南京及び蘇州に於
ける基督教の実情調査/満州に於ける天主教/大陸に於ける宗教工作状況―佛教工作を主として/滞在支那記
槻木瑞生編
次 刊
第3期 日本留学中国人名簿関係資料 全7巻
龍溪書舎
定価¥175,000(+税)
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(5920)
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