2015年7月25日 集積回路システム工学 講義資料 AD/DA 変換器の失敗事例 教科書にでているのはうまくいった技術のみ 群馬大学 小林春夫 Gunma University Kobayashi Lab 電流型2進重み付けDA変換回路 (回路) デジタル入力 8I D3 4I D2 2I I D1 R D0 ●メリット ・回路規模が小さい ・サンプリング速度が速い ●デメリット ・グリッチが大きい ・入出力間の単調性が 確保出来ない Vout アナログ出力 電流型2進重み付けDA変換回路 (動作) 例: 入力データが3のとき 8I D3 4I 2I D2 I D1 R 8I D0 3I 例: 入力データが8のとき Vout =3 I R D3 4I 2I D2 I D1 R D0 8I Vout =8 I R 電流型2進重み付けDA変換回路 (原理) デジタル スイッチ 出力 入力データ D3 D2 D1 D0 Vout 0 1 2 3 4 5 6 7 8 : 15 0 0 0 0 0 0 0 0 1 0 0 0 0 1 1 1 1 0 0 0 1 1 0 0 1 1 0 : 1 1 1 0 1 0 1 0 1 0 1 0 0 IR 2IR 3IR 4IR 5IR 6IR 7IR 8IR : 1 15IR スイッチ 1のとき ON 0のとき OFF デジタル入力データに 比例したアナログ出力 Vout が生成される。 スイッチ切り替えタイミング スキューが有る場合 8I B3 4I 2I B2 B1 I B0 Vout (0,1,1,1) = 7 R 入力7 Vout=7IR スイッチ切り替えタイミング スキューが有る場合 (1,1,1,1) = 15 8I B3 4I 2I B2 B1 I B0 Vout (0,1,1,1) = 7 R Vout=15IR スイッチ切り替えタイミング スキューが有る場合 (1,1,1,1) = 15 8I B3 4I 2I B2 B1 I B0 Vout (0,1,1,1) = 7 R Vout=0 (0,0,0,0)=0 スイッチ切り替えタイミング スキューが有る場合 (1,1,1,1) = 15 8I B3 4I 2I B2 B1 I B0 グリッチ Vout (0,1,1,1) = 7 R Vout=8IR (0,0,0,0)=0 入力8 (1,0,0,0) = 8 DA変換器におけるグリッチの影響 グラフィックデスプレイ用 人間の視覚は グリッチに敏感 011111 011110 011101 011100 100000 100001 100010 Binary code と Gray code Decimal numbers Binary Code Gray Code 0 0000 0000 1 0001 0001 2 0010 0011 3 0011 0010 4 0100 0110 5 0101 0111 6 0110 0101 7 0111 0100 8 1000 1100 9 1001 1101 10 1010 1111 11 1011 1110 12 1100 1010 13 1101 1011 14 1110 1001 15 1111 1000 Gray code の特長 対応する decimal numberが プラス1 または マイナス1 1つのビットのみ反転 Gray code とAD変換器 Gray code は ロバスト(頑健) AD変換器は 信号を アナログからデジタルの世界へ (不連続な領域間の遷移) AD変換器では まず Gray codeに変換し その後 Binary code に変換する構成も多い Gray code 構成のDA変換器は? AD/DA変換器の研究をはじめたときに Gray code 構成のDA変換器が実現できれば グリッチがなくなる。 回路の教科書/論文のどこにも Gray code 構成のDA変換器は記述されていない。 革新的構成か? 専門家に聞く Asad Abidi 先生 (UCLA) 「Gray code 構成でDA変換器が実現できないか 多くの研究者が考えたが、 できない ということが(経験的に)わかった。」 教科書にはこのことは書いていない。 学会等でも誰も言わない。 このことから多くのことを学ぶ。 経験論: 観察や実験などを繰り返し行うことによって、 経験を少しずつ積み、結果的に真理に到達する フランシス・ベーコン フラッシュ型ADC 短所:回路量 消費電力 入力容量 Encoder 真理値表 d7 0 0 0 0 0 0 0 1 d6 0 0 0 0 0 0 1 0 d5 0 0 0 0 0 1 0 0 d4 0 0 0 0 1 0 0 0 d3 0 0 0 1 0 0 0 0 d2 0 0 1 0 0 0 0 0 d1 0 1 0 0 0 0 0 0 6v 1 5v 1 大 大 大 4v 1 3v 0 d0 o2 o1 o0 1 0 0 0 2v 0 0 0 1 1v 0 0 1 0 0 0 1 1 0 0 1 0 0 V in 0 1 0 1 =3.56 v 0 1 1 0 を仮定 0 1 1 1 0 0 0 温度計コード 14 0 0 1 0 0 0 0 d7 d6 d5 d4 d3 d2 d1 d0 D i g it a l E n c o d e r 0 長所:高速 1 o2 0 o1 0 o0 フラッシュ型ADC 大きな冗長性 + Vref Vin 全ての重さの分銅と それを載せる天秤を用意 Dout 入力Vin 4.5 4.5 3 4.5 2 - Vref 4.5 7 4.5 6 4.5 4.5 5 4 4.5 1 フラッシュ型ADCへの見方 「フラッシュ型ADCは無駄な回路が多く賢い構成ではない」 「6bit フラッシュADC など目をつぶっても実現できる」 「フラッシュ型ADCは偉大な構成」 ● 低分解能・超高速ADCのアーキテクチャとして フラッシュ型を超えようとして、 (公表されてないが、まわりで) いくつもの研究が失敗している (UCLA Abidi 先生) ● 産業界で フラッシュ型は生き残っている。
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