H27年12月定例会ー福永一般質問概略 2

質問事項2について
家庭に女性が常勤在宅の時代は変化し、
”育児の社会化”が求められてい
る現在、教育を提供する側の考えだけでなく、教育を受ける側の家庭の事情
に応じて、保育と教育をパッケージ化して考えていく時代の考えのもと、質
問しました。
育児は行政、教育は教育委員会と分離されているものを、包括的なパッケ
ージとして政策化して取り扱うことも可能ではないでしょうか。具体案例の
ひとつは、土日・祝日や春・夏・冬などの長期休暇に、学校が子どもを預か
り、教育する。また、元教師の方々や大学と連携して学生に協力を頼むこと
等の案も可能です。
それにより、両親、特にお母さんが安心して働ける、子どもの学力が向上し
たり、鍵っ子状況は改善される、短期間詰め込み教育に追われてしまう教師
の負担軽減にも繋がるなど、親・子・教師にとって、ウイン⇔ウインの状況
が生まれるのではないでしょうか。
⇒教育委員会との討論は平行線をたどりました。教育委員会の管轄から外れ
るとのお答えもありました。しかし、これは市の将来にとって凄く大切な
テーマだと思いますので、社会や住民の方々の生活様子を見ながら、どの
ような制度を構築していけば、子ども達の未来をもっと明るくするのか、
継続して議論していきたいと思います。もちろん、教育委員会だけでなく、
子育て支援課などの関係部署を巻き込んで考えていく必要があります。
質問事項3について
「湖西市地域総合戦略」に女性の活躍推進のための政策メニューが無だっ
たので、就労支援策などの具体策を入れていくように問いただしました。
⇒「地域総合戦略」の具体化を図る取組に、2案を入れて頂きました。
「ダイバーシティ・マネジメント推進事業」、「ものづくり人材交流事業」
です。
質問事項4について
湖西市は、合計特殊出生率を 2060 年に 2.09 に引き上げるとしてい
ます。その気合いは素晴しいと思います。しかし、次の世代の人口規 模が、現在の人口規模と同じようになるには 2.07 必要です。2.09 は現
実的な数値ではありません。その点について、市はどう考えているの
でしょうか?
現在、子どもを2・3人持ちたいという女性は、45 年後の 2060 年
には、おばあさんです。2・3 人というのは 5 年ぐらいの感覚です。
今年入った職員も、45年後には退職して、誰もいなくなる訳です。
実態が伴わない数値目標にならないか、そのような数値 2.09 に責任
持てるのでしょうか。心配しています。シュミレーションのやり方を
再確認され、実態が伴う数値目標にすべきではないか?
⇒合計特殊出生率は 2.09 のままでいきます。とのことです。
それにしては、合計特殊出生率を 2.09 に引き上げる「地域総合戦
略」の案に上がっている政策メニューは、大半が既存のメニューの上
に、若者や若年女性のための新しいメニューがありませんでした。
私の一般質問により、取り入れて下さった施策はとても貴重ですね。
総合戦略をもっとよく練り直し、人口減少による地域の衰退に対応
できる、しっかりした戦略を立てることに心と力を注ぐことが大切で す。私も、最後まで見守っていきます。
※合計特殊出生率
15 歳から 49 歳までの女性の年齢別出生率の合計で、一人の女性が一
生の間に産むと推計される平均の子どもの数を表しています。
★ 一般質問に使用した主な研究資料
1.「足による投票」英国の経済学者であるチャールズ・ティボー提唱
これは、より望ましい公共サービスを求めて、住民が地方自治体間を
移動する結果、地方自治体間に競争メカニズムが働き、最適な公共サー
ビスの供給に繋がっていくという考え方に立つものです。
「足による投票」は、三つの仮定の下で機能すると考えられています。
① 住民の移動コストはゼロ
② 政策メニューに関する完全情報の供給
③ 公共サービスの地域限定的な効果
この考え方では、地方自治体間を移動するコストはかかります。しかし、
例えば湖西市が提供する政策メニューを、何としても受けたいと思えば、
移動コストを負担することはありえる選択肢となります。
従って、チャールズ・ティボーの提唱は、かなりの割合で満たされて
いると思われます。
2. 「人的資本論」シカゴ大学のベッカー教授が提唱
この頃、幼・保・小一貫教育という言葉を聞く機会が多いのですが、
1992 年にノーベル経済学賞を受賞したシカゴ大学のベッカー教授が
提唱した「人的資本論」の考え方があります。
最も高い収益率を挙げる教育段階は、子どもが小学校に入学する前の
就学前教育(幼児教育)あるということです。
この主張の根拠は、
「ペリー幼稚園プログラム」に着目したシカゴ大学
のペックマン教授らの研究結果です。
低所得の米国人の 3 歳から 4 歳の子供たちに「質の高い就学前教育」
を提供することを目的に行われ、その結果が高く評価されています。
プログラムに参加しなかった子ども達と比較すると、プログラムで改
善されたのは、「非認知能力」と呼ばれる「忍耐力がある」とか、「社
会性がある」とか、
「意欲的である」といった、人間の気質や性格的な
特徴のようなものです。それが、大人になってからの、学歴の高さ、
年収・雇用が安定している、犯罪率の低さに大きく影響していること
が明らかになりました。
就学前教育への投資は、単に教育を受けた本人のみならず、社会全体
にとっても良い影響をもたらすという結果です。
当初のコストは大きいが、税の支払いが増えて、教育や福祉、刑務所
の費用が減るので、公共の財産が豊かになるという、試算も出ていま
す。
3.「女性活躍推進法」の法律が平成 27 年 8 月 28 日に成立
働きたいという希望を持っていても就業していない女性が約 300
万人。働く場面での女性の活躍を推進することで、女性・男性を問わ
ず働き方改革につなげていくことが意図です。
女性活躍のための環境整備等を推進するために、301 以上の労働者
を雇用する事業主には「事業主行動計画」の策定が義務で、300 人以
下の事業主には努力義務です。
また、国は「女性の職業生活における活躍の推進に関する基本方針」
を策定が義務で、地方公共団体は努力義務です。
この法律に後押しされて、女性の積極採用、継続就業、雇用形態、
再雇用や中途採用に関する取組が効果的に行われると、女性・男性の
働き方改革につながります。
それにより、ワークライフ・バランスが推進されれば「自分らしい生
き方のできる、住みよいまち」につながります。