IGES Working Paper 追加性が懸念されるCDMプロジェクトからのクレジット量の算定 栗山昭久+、小圷一久++ 2016 年 2 月 要旨 クリーン開発メカニズム(CDM)による排出削減への実質的な効果に関する評価は、特に風 力、水力、天然ガス、石炭火力、排熱回収などの発電を主とする電力部門において、CDMプ ロジェクトとしての追加性に関する判断に問題があったことが多くの文献で指摘されている。 これまでのプロジェクト追加性に関する文献及び2013年以降の低いクレジット価格における 状況を踏まえて、 「投資分析による追加性に関する懸念」、「プロジェクトタイプ別、国別懸 念」及び「認証削減量(CER)発行時におけるCER価格からの懸念」の3つの評価指標から、2015 年12月までに発行しているCER量に対して選別を行った。上記の評価を踏まえると、最大で 全てのCDMプロジェクトから発行されているクレジットの34% が追加性の無いプロジェク トから発行されたと考えられる。 また、HFC削減やN2O破壊などの工業ガスプロジェクトは追加性があるもののホスト国の持 続可能な開発に貢献していないという指摘がなされており、これらのプロジェクトの2015年 末までのCER発行量は、835MtCO2である。そのため、持続可能な開発への貢献かつ追加性に 懸念が全くないプロジェクトは、全CER量の15%と計算される。 目次 1 はじめに ................................................................................................................................................. 2 2 追加性に関する既存文献レビュー ..................................................................................................... 2 2.1 追加性に関する一般的事項 ......................................................................................................... 2 2.2 投資分析による追加性に関する指摘 ......................................................................................... 2 2.3 障壁分析による追加性に関する指摘 ......................................................................................... 3 2.4 普及度分析による追加性に関する指摘 ..................................................................................... 3 2.5 プロジェクトタイプ別の追加性に関する指摘 ......................................................................... 3 2.6 国別の追加性に関する指摘 ......................................................................................................... 4 追加性に懸念のある認証削減量(CER)の推定 ............................................................................. 4 3 3.1 3 つの評価指標による追加性評価 .............................................................................................. 4 3.2 3 つの評価指標に基づく追加性に懸念のある CER 量の推定結果まとめ............................. 7 結論 ......................................................................................................................................................... 8 4 参考文献 ......................................................................................................................................................... 9 IGES 気候変動とエネルギー領域 + 研究員、++IGES 気候変動とエネルギー領域 1 主席研究員 1 はじめに 京都議定書の下で柔軟性メカニズムとして実施されたクリーン開発メカニズム(CDM)の追加 性に関する概念は地球規模での温室効果ガス(GHG)削減を確実に実行するために極めて重要な 概念である。すなわち、追加性が担保されていないCDMプロジェクトからの削減量を用いてGHG 排出量のオフセットが行われた場合、地球規模では排出増となる可能性がある。 追加性に関する議論については、 「CDM改革」を目的としてUNFCCC事務局が2012年に実施した CDM政策対話(http://www.cdmpolicydialogue.org/)などで、CDMの京都議定書第1約束期間におけ る経験を踏まえて様々な検討が行われている(CDM Policy Dialogue、2012) 。 その取りまとめ報告書の結論として、CDMによる排出削減への実質的な効果に関する評価は、 特に風力、水力、天然ガス、石炭火力、排熱回収などの発電を主とする電力部門において、CDM プロジェクトとしての追加性に関する判断に疑念があったと指摘されている。発電プロジェクト はCDMいおいて、最も典型的なプロジェクトタイプであり、2020年までに発行が予想される認証 排出削減量(CER)量の半数を占める。本報告書では、当該プロジェクトの相当量(substantial portion) は追加性が認められない(considered to be non-additional)と考えられ、世界全体での大幅な排出量 増加に寄与することに懸念を示している(Spalding-Fecher et al, 2012) 。 従って本稿では、第一に、CDMの追加性に関する最新の文献レビューを行う。次に、実際にCDM の追加性に関して懸念がある発行済みクレジット量について定量的な評価を行い、今後CDM利用 の在り方について提言を行う。 2 追加性に関する既存文献レビュー 2.1 追加性に関する一般的事項 Ellis and Kamel (2007)は、大多数のプロジェクトにとってCDMプロジェクトから認証削減量 (CER)の収益は重要な要因ではなく、CDMが無い場合でもプロジェクトが経済的な優位性を持つ とし、総じてCDMプロジェクトには追加性が無いとしているとしている。また、Schneider(2009) は、2008年以前は、CDM理事会による追加性審査が現在と比較して厳格ではなかったため、追加 性の無い多くのプロジェクトが登録されている可能性が高いと主張している。Gillenwater & Seres (2011)は、プロジェクト参加者とCDM理事会の間に情報の非対称性があることから、プロジェク ト参加者が偏った情報または不正確な情報によってCDMが登録されている可能性が高いと指摘 している。 2.2 投資分析による追加性に関する指摘 Alexeew, Bergset, & Meyer (2010)、Bartolucci, Oliver, Jie, & Sambeek (2008)、Lütken (2012)、Tatrallyay & Stadelmann (2013)は、多くのプロジェクトにおいてCERの収益によって内部収益率(IRR)に23%上昇することが計算されているが、追加性の正当性を主張するには小さすぎる値であると指摘 2 している。さらに、Schneider (2009)は、投資分析に用いられる情報は不透明であるとし、Haya (2009) は、プロジェクト設計書(PDD)に記載される投資分析の情報と金融機関に提出する情報が異な ることを記載している。また、Michaelowa (2009a)は、ベンチマークの値が不適切である場合があ るとしている。 2.3 障壁分析による追加性に関する指摘 Schneider (2009)は、各PDDにおいて各障壁が具体的にどのようにプロジェクトの導入を阻害し ているか具体性が欠けていると指摘している。さらに、Michaelowa (2009a)及びSchneider, (2009)は、 障壁分析における財政リスクは抽象的であり、審査機関である指定運営機関やCDM理事会が評価 することが困難であるとしている。 2.4 普及度分析による追加性に関する指摘 Michaelowa (2009a)、Schneider, (2009)は普及度分析で用いられる「similar」や「distinct」という 表現は非常に曖昧であると指摘している。また、普及度分析では、政府によって支援されている プロジェクトを除外することができていないことが指摘さている(Haya & Parekh, 2011; Bogner & Schneider, 2011; Wara & Victor, 2008)。 2.5 プロジェクトタイプ別の追加性に関する指摘 He & Morse (2010)は、多くの途上国において再生可能エネルギーの導入に関してプロジェクト の収益性に関わらず政治的に導入されることが多く、必ずしも市場メカニズムが働く環境にない ことを指摘している。 Lütken (2012)は、バイオガスやHFC、N2Oなどの工業ガス系プロジェクトはクレジット売却収益 によって実施されている可能性が高い一方で、風力発電と水力発電プロジェクトについては必ず しも炭素クレジット売却収益によってプロジェクト実施が促進されていない(つまり追加性が無 い)としている。また、Wara & Victor (2008)、Haya & Parekh (2011)は、水力発電、の技術は成熟 しており、汎用的な技術であると指摘している。一方で、Michaelowa (2009b)は2008年後半以降、 追加性審査が慎重になったと指摘している。また、風力発電についても、中国、インドなどの一 部の地域において汎用的な技術であると指摘されている(Wara & Victor, 2008; He & Morse, 2010; Lema & Ruby, 2007)。Lazarus & Chandler (2011)は、上昇する石炭価格やホスト国政府の高効率火力 発電から優先的にグリッドに接続する規制などから、中国、インドにおける高効率ガス火力発電 の追加性に問題があるとしている。Michaelowa & Purohit (2007)及びMcKinsey Company (2009)は、 鉄鋼分野における廃熱を利用した生産工程は、化石燃料を使用する生産工程よりもすでに安価で あり、追加性に懸念を示している。 3 2.6 国別の追加性に関する指摘 世界全体の CER 発行量の約 6 割を占める中国における CDM プロジェクトに焦点を当てた分析を 行った研究が多く見受けられる。Wara and Victor (2008)は、中国における水力発電、風力発電、天 然ガス発電の CDM プロジェクトは追加性に問題があると結論している。また、Haya (2007)は中 国における水力発電プロジェクトに関して、2007 年の同国内における水力発電の発電量との関連 性の分析から、多くの水力発電プロジェクトには追加性が欠落していることを示唆している。同 様に、Grubb et al. (2011), Michaelowa and Purohit (2007)も、中国における水力発電、風力発電を中 心とする CDM プロジェクトの大多数は追加性が無いと論じている。また、Lema & Ruby (2007) は 中国、インドにおける風力発電はエネルギーの多様化やエネルギー安全保障の観点から促進され ている技術と指摘されている。 追加性に懸念のある認証削減量(CER)の推定 3 3.1 3 つの評価指標による追加性評価 上記の追加性に関する議論に基づき、3つの評価指標を策定した。これらの評価指標を用いて追 加性に懸念のあるプロジェクトからのCER発行量を算定した。 評価指標A: IRRのベンチマークと実際の値の差が3%以下のプロジェクト 評価指標B: 中国、インドにおける水力発電、風力発電プロジェクト。また、全ての国おけ る天然ガス火力への更新プロジェクト及び鉄鋼部門における廃熱回収プロジェクト 評価指標C: PDDにおいて想定していたCER価格より3USD/tCO2以上低い市場価格でも発 行しているプロジェクト 評価指標Aは2.2節で指摘された投資分析で用いられるベンチマークであるIRRの値が3%以内の ものはCERの収益がプロジェクトの収益性に与える影響は少ないという指摘を反映したものであ り、該当するプロジェクトからのCER発行量を算定した。 評価指標Bは2.5節及び2.6節で指摘された一部の国における一部のプロジェクトタイプは、CDM の登録有無に関わらずプロジェクトが実行されていたという指摘を反映したものであり、該当す るプロジェクトからのCER発行量を算定した。 評価指標Cは、評価指標Aの派生したものであり、市場におけるCER価格がPDDにおいて想定さ れていた価格よりも下回る場合でもCERを発行しているプロジェクト、すなわち、CERの収益に 関わらずプロジェクトが継続されているプロジェクトを算定した1。CER想定価格の最大値が約30 USD/tCO2であり、CDMにおける感度分析は通常±10%で計算されるため、価格差が3USD/tCO2以 上の価格差を追加性の検討を行う際に想定を超える閾値とした。 1 単位あたり生産費用が損益分岐点を下回るが操業停止点を上回る可能性及び CER 買取価格が長期契約などに よって市場価格に左右されない場合も想定されるが、本ペーパでは PDD における想定 CER 価格を下回る全ての プロジェクトについて追加性に疑惑のあるプロジェクトとして扱っている。 4 評価指標Aの結果として、図 1にIRRとベンチマークの差が3%以下のプロジェクト(すなわち、 CERの収益がIRRに大きな影響を及ぼさないプロジェクト)からのCER量とその他のCER量をモニ タリング期間の年ごとに分類結果を示す。2008年頃からCERの収益がIRRに大きな影響を及ぼさな いプロジェクトが増加した。CERの収益がIRRに大きな影響を及ぼさないプロジェクトのからの発 行量が、京都議定書第一約束期間(CP1)用クレジットで310 MtCO( 、 2 全CP1用クレジットの21%) 京都議定書第二約束期間(CP2)用クレジットで36 MtCO2(全クレジットの20%)に上る。また、 工業ガス破壊・回避プロジェクトを母数から除いた場合、非追加的クレジットの割合はCP1用クレ ジットで45%、CP2用クレジットで32%に上る。 350 工業ガス その他 IRRとベンチマークの差が3%以下 300 97 MtCO2 250 87 64 38 200 15 150 52 67 80 76 36 100 6 24 50 92 0 2000 2001 2002 2003 2004 1 12 4 2005 1 15 21 2006 2007 23 121 2008 133 2009 139 2010 136 2011 126 2012 52 45 11 22 19 2013 2014 2015 モニタリング期間の年 CP1 図 1 CP2 IRR とベンチマークの差が 3%以下のプロジェクトのからの CER 発行量 出典:IGES (2016b), IGES (2016a)基に筆者作成 評価指標 B として、プロジェクト別、国別 CER の分類結果を図 2 に示す。CP1 における中国、 インドにおける水力発電、風力発電、天然ガス発電プロジェクト、鉄鋼部門における廃熱回収プ ロジェクトは 403MtCO2 に上る。これは、CP1 における CER 発行量全体の 27%,工業ガス破壊・ 回避プロジェクトを除いた全 CER 量の 58%に相当する。CP2 における中国、インドにおける水力 発電、風力発電、天然ガス発電プロジェクト、鉄鋼部門における廃熱回収プロジェクトは 46MtCO2 に上る。これは、CP2 における CER 発行量全体の 27%,工業ガス破壊・回避プロジェクトを除い た全 CER 量の 42%に相当する。 5 1,000 900 800 700 MtCO2 600 500 400 300 200 100 0 中国 インド その他 中国 インド CP1 工業ガス その他 その他 CP2 水力 風力 鉄鋼部門における廃熱回収 ガス火力 図 2 プロジェクト別、クレジット期間別 CER 発行量 出典:IGES (2016b), IGES (2016a)基に筆者作成 評価指標 C として、PDD において想定した CER 価格より低い CER 価格であるにもかかわらず クレジットが発行されているプロジェクトからの全 CER 発行量を図 3 に示す。CP1 におけるこ れらの CER 発行量は 371MtCO2 となり、CP1 における CER 発行量全体の 25%,工業ガス破壊・ 回避プロジェクトを除いた全 CER 量の 53%とある。CP2 におけるこれらの CER 発行量は 52MtCO2 となり、CP2 における CER 発行量全体の 30%,工業ガス破壊・回避プロジェクトを除 いた全 CER 量の 47%である。また、図 1 と同様に追加性に懸念のあるプロジェクトは 2008 年 から 2012 年にかけて増加していることが分かる。 350 300 MtCO2 250 75 150 5 24 100 0 105 42 200 50 116 1 92 16 21 17 35 48 56 61 121 133 139 136 58 126 35 40 45 15 18 19 2 2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014 2015 モニタリング期間の年 CP2 CP1 PDDにおける想定CER価格より3USD/tCO2以上低い市場CER価格でも発行を継続するプロジェクトからのCER発行量 その他 工業ガス 図 3 PDD において想定していた CER 価格より低い市場価格でも発行しているプロジェクト からの CER 発行量比較 出典:IGES (2016b), IGES (2016a)基に筆者作成 6 3.2 3 つの評価指標に基づく追加性に懸念のある CER 量の推定結果まとめ 追加性のあるプロジェクトの評価を行う評価指標 A, B, C の結果の重複・非重複をまとめたベン図 を CP1 におけるクレジットについて図 4、CP2 におけるクレジットについて図 5 に示す。図 4 で は、CP1 における 3 つの全ての指標を通じて追加性が無いと判断されるプロジェクトからの CER 量が 244MtCO2 となった。また、少なくとも二つ以上の指標により追加性に問題があると判断さ れるプロジェクトからの CER 発行量が 96MtCO2(38+35+23)となった。単独の評価指標が非追加性 と示すプロジェクトからの CER 発行量が 155MtCO2(10+86+59)となった。以上により、CP1 にお いて 495MtCO2 の追加性の無い CER が発行されており、中でも、244MtCO2 の CER が追加性の無 いことが強く示されるプロジェクトから発行されたと考えられる。総じて、全 CP1 用クレジット の 17%~34%、工業ガスを除いた全プロジェクトから 35%から 71%の CER が追加性の無いプロジ ェクトから発行されたと考えられる。 全CP1クレジット量 1,467MtCO2 B: プロジェクトタイプ A: IRR 38MtCO2 10MtCO2 86MtCO2 244MtCO2 23MtCO2 A ∪ B ∪ C = 495 MtCO2 35MtCO2 59MtCO2 C: CER価格 図 4 追加性に疑念の無いクレジット量972MtCO2 うち工業ガスクレジットは773MtCO2 CP1 クレジットの追加性評価まとめ 図 5 では、CP1 における 3 つの全ての評価指標が非追加性と示すプロジェクトからの CER 量が 29MtCO2 となった。また、少なくとも二つ以上の評価指標により追加性に問題があると判断され るプロジェクトからの CER 発行量が 14MtCO2(5+3+6 MtCO2)となった。単独の指標が非追加性を 示すプロジェクトからの CER 発行量が 25MtCO2(1+10+14 MtCO2)となった。以上より、CP2 にお いて 67MtCO2 の CER が追加性に問題があると判断されるプロジェクトから発行されており、中 でも、29MtCO2 の CER が追加性の無いことが強く示されるプロジェクトから発行されたと考えら れる。従って、全 CP2 用クレジットの 17%~38%、工業ガスを除いた全プロジェクトから 26%か ら 60%の CER が追加性の無いプロジェクトから発行されたと考えられる。 7 全CP2クレジット量 175MtCO2 B: プロジェクトタイプ A: IRR 1MtCO2 5MtCO2 10MtCO2 29MtCO2 A ∪ B ∪ C = 67 MtCO2 6MtCO2 3MtCO2 14MtCO2 C: CER価格 図 5 4 追加性に疑念の無いクレジット量108MtCO2 うち工業ガスクレジットは64MtCO2 CP2 クレジットの追加性評価まとめ 結論 本稿では CDM プロジェクトの追加性に関する懸念を提示する既存文献について、懸念事項別に まとめた。これらの指摘の中から、 「投資分析による追加性に関する懸念」、「プロジェクトタイ プ別、国別懸念」及び「CER 発行時における CER 価格からの懸念」の 3 つの評価指標を通じて、 2015 年 12 月までに発行している CER 量に対して選別を行った。CP1 及び CP2 期間を通じて全体 の CER 量が 1,642MtCO2 であるのに対し、563MtCO2 の CER が追加性の無いプロジェクトから発 行された可能性があり、特に、273 MtCO2 の CER は追加性が担保されていない可能性が高い。以 上より、全クレジットの 17%~34%CER が追加性に問題のあるプロジェクトから発行されたと考 えられる。さらに、追加性はあるが持続可能な開発に貢献しないとされる工業ガス破壊・回避プ ロジェクト(Olsen & Fenhann, 2008)を除いた CER 量は 806MtCO2 であるため、持続可能な開発への 貢献及び追加性の懸念のない CER は全クレジットのうち 15%から 32%と計算される。 京都議定書第2約束期間に入り3年が経過し、CDMからのクレジットに対する需要が低迷するな かで、クレジットの個人取得口座開設や自発的キャンセル手続きの設立を含む需要喚起策が国連 気候変動枠組条約(UNFCCC)事務局などを中心として実施されている。既に登録されているCDM プロジェクトから発行されるCERの活用の柔軟性が高められる中で、追加性に問題がある、もし くはその可能性が高いプロジェクトから既に多くのクレジットが発行されている可能性が高いこ とが本稿により示唆される。したがって、そのクレジット活用に際しては慎重を期すことが望ま れる。 8 参考文献 Alexeew, J., Bergset, L., Meyer, K., Petersen, J., Schneider, L., & Unger, C. 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