別 紙 経営比較分析表 分析欄 1.経営の健全性・効率性について ①経常収支比率 25年度まで、一般会計からの補助金を受けることで経常収支比率100%以上を維持してきたが、26年度には、 会計制度改正による長期前受金戻入の影響により、一般会計からの補助金を受けることなく当年度純利益が生 じたことで、比率は105.73%に上昇した。 今後は、さらなる経営基盤の安定化に向け、適切な使用料体系の検討及び維持管理費の削減等に努めていく 必要がある。 ②累積欠損金比率 26年度時点で累積欠損金は生じていない。 今後は、水需要の減少等による使用料収益の減少が見込まれる状況であり、経営基盤の安定化に向け、適切 な使用料体系の検討及び維持管理費の削減等に努めていく必要がある。 ③流動比率 25年度まで、流動比率100%以上を維持してきたが、26年度の会計制度改正により、1年以内に償還する企業 債償還金が流動負債に振替えられたことにより、前年度比90.5ポイント減の35.83%となり、類似団体平均値と同 様に大きく減少した。 今後は、企業債償還金が年々減少する傾向にあるため、比率は改善していく見込みである。 しかし、使用料収益が減少していく中で、将来的には老朽施設等の更新経費が増加していく見込みであり、引き 続き国庫補助金等の特定財源を積極的に活用し企業債の借入額を抑制するなど、経営基盤の安定化に向けた 取組みが必要である。 ④企業債残高対事業規模比率 本市では、昭和44年から下水道事業に着手し、県内他市町村に先駆けて施設拡張事業に取り組んできた。拡 張事業建設財源のほとんどを国庫補助金及び企業債で賄ってきたが、その企業債償還も年々進んでいる状況で あり、本比率は減少傾向にある。類似団体平均値比較では26年度で476.9ポイント下回っており、本市の使用料 収益に対する企業債未償還残高は小さい状況にある。 今後も、単年度における企業債償還金が企業債発行額を上回る状態が続く予定であり、企業債未償還残高は 年々減少していく見込みである。 しかし、将来的には、多くの老朽施設の改築更新が控えている状況であり、国庫補助金等の特定財源を積極的 に活用しつつ、更新事業の平準化を図るとともに、適切な使用料体系の検討及び行財政改革による費用の削減 に努めていく必要がある。 ⑤経費回収率 22年度以降、類似団体平均値より高い水準にあり、25年度は98.89%となり、類似団体平均値より8.65ポイント 高くなっている。また、26年度は制度改正の影響もあり、比率が上昇し100%を超え、下水道使用料で回収すべき 費用の全てを下水道使用料で賄える経営状態となっている。 今後は、水需要の減少等によって使用料収益が減少していく見込みであるが、支払利息の減少等の影響によ り汚水処理原価は横ばいで推移することが見込まれ、本比率も26年度と同水準で推移することが予想される。 しかし、将来的には、施設の老朽化の進行に伴い維持管理経費の増加が想定されることから、引き続き健全経 営に向けた適切な使用料体系の検討と維持管理経費削減等に努めていく必要がある。 ⑥汚水処理原価 26年度は、会計制度改正の影響や利率の低減による支払利息の減少及び処理場施設の耐用年数経過による 減価償却費の減少等により、前年度比で18.3円減少し、類似団体平均値よりも17.49円下回った。 今後の汚水処理原価は、引き続き支払利息の減少等の影響もあり、26年度とほぼ横ばいで推移する見込みで あるが、投資の効率化や維持管理費の削減といった経営改善に努めるとともに、有収率向上対策にもさらに取り 組む必要がある。 ⑦施設利用率 26年度値で類似団体平均値を4.13ポイント上回っている状況にある。 しかし、本市では人口減少等により処理水量が年々減少しており、施設利用率も減少傾向にある。 26年度に策定した日立市公共下水道事業総合基本計画に基づき、今後の適正な施設規模のあり方等を踏ま えた改築更新事業を推進していく必要がある。 ⑧水洗化率 本市においては、昭和44年から下水道事業に着手し、既に46年が経過し、建設拡張の時代を終えていることか ら、水洗化率は26年度で99.31%となっており、類似団体平均値よりも6.19ポイント高い状況である。 引き続き、未水洗家屋の解消に努めていく必要がある。 1 別 紙 2.老朽化の状況について ①有形固定資産減価償却率 県内他市町村に先駆けて下水道施設を整備してきた本市では、資産の老朽化度合が類似団体平均値よりも高 く、将来における施設の改築更新等の必要性が高い状態となっている。 本市においては、26年度に、人口減少社会を踏まえながら老朽施設の更新等を推進するための日立市公共下 水道事業総合基本計画を策定し、計画的に老朽化対策事業を推進していく予定である。 今後は、引き続き国庫補助金等特定財源の確保に努めながら、的確な財政収支見通しを立てていくとともに、 必要に応じて適切な使用料体系の検討に努めていく必要がある。 ②管渠老朽化率 法定耐用年数を超えた管渠延長を表した指標で、管渠の老朽化度合を示すものであるが、法定耐用年数を経 過していない本市においては、比率は0となっている。 31年度以降、管渠の法定耐用年数を順次迎えるため、総合基本計画に基づき改築更新工事を実施し、施設の 老朽化に対応していく必要がある。 ③管渠改善率 管渠の法定耐用年数が経過していない本市では、管渠改善率は類似団体平均値より低くなっている。現在は、 硫化水素等の腐食による管渠の更新を実施しているが、31年度以降の本格的な改築更新時期を迎えた際には、 本比率は上昇していく見込みである。 今後は、26年度に策定した日立市公共下水道事業総合基本計画に基づく改築更新事業の着実な推進を図っ ていく必要がある。 3.全体総括 収益の根幹となる下水道使用料は、人口減少等による水需要の減少により減少基調で推移する見込みであ り、一方費用面では、老朽施設への修繕等を実施しながらも、企業債支払利息等の減少傾向もあることから、今 後の下水道事業の経営状態は、26年度と同水準で推移する見込みとなっている。 また、下水道施設の老朽化の状況としては、法定耐用年数の経過を目前に控えた改築更新時期を迎える段階 にきており、26年度に日立市公共下水道事業総合基本計画を策定し、中長期的な視点から老朽化対策事業に 取り組むこととしている。 今後は、総合基本計画に基づき、人口減少社会を踏まえた施設規模の適正化等を視野に入れた改築更新事 業を着実に推進していくとともに、さらなる経営基盤の安定化に向け、情勢を的確に捉えた財政収支見通しを立 て、随時事業の見直しを図っていくとともに、適切な使用料体系等の検討及び維持管理費の削減等に努めていく 必要がある。 2
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