マイコプラズマ検出 - Sigma

F o r O r d e r i n g I n f o r m a t i o n a n d Te c h n i c a l S e r v i c e , c o n t a c t y o u r l o c a l S i g m a - A l d r i c h o f f i c e
179
細胞培養用キット
マイコプラズマ検出
マイコプラズマによる細胞培養コンタミネーションの試験法と 細胞の固定
し て 最 も 効 果 的 な 方 法 は 、 in situ DNA蛍 光 染 色 で す 。 1) Carnoy固定液を、使用当日に新しく調製します。この固
Bisbenzimide(Hoechst 33258)や4',6-ジアミジノ-2-フェニ
定液は、メタノールと氷酢酸を3:1の割合で混合したもの
ルインドール(DAPI)は、DNAのアデニン・チミジン(A-T)
です。すべての細胞培養の固定に十分な量の固定液を調製
塩基対に特異的に結合するDNA結合性蛍光色素です。マイコ
してください。培養ごとに約15 mlの固定液が必要です。
プラズマによりコンタミネーションした細胞培養では、核外部
2) 増殖培地をデカントせずに、各培地に約5 mlのCarnoy固定
の細胞質領域に均一な形の小さな蛍光体の存在がはっきりと認
液を添加し、2分間静置します。
められます。培養細胞の核自体も蛍光を発します。
3) 培地をデカントし、5 mlの固定液を添加して5分間静置し
アーティファクトが蛍光を発し、試験結果の判定を妨害する
ます。
場合があります。アーティファクトはマイコプラズマよりも
4)
固定液をデカントし、新しい固定液5 mlをさらに添加して
大きく、不規則な形態をしています。対数増殖期にある正常
5分間静置します。
な指標細胞と試験細胞を併用することで、アーティファクト
による妨害が抑えられます。
5) 最後に、固定液をデカントし、増殖表面を約5分間風乾さ
せます。
• 指標細胞、Vero細胞(ATCC® CCL 81またはECACC
84113001)または3T6-Swiss albino細胞(ATCC® CCL
96またはECACC 86052701)
• Leightonチューブまたはガラス製カバースリップ/培養ディ
ッシュ
• 細胞培養培地(増殖培地)
• メタノール
• 氷酢酸
• Bisbenzimide(製品番号B 1155)またはDAPI
(製品番号D 8417)
• Mounting Solution McIlvanine's Buffer: Glycerol [1:1]
(製品番号M 7534)
• 蛍光顕微鏡(手順「培養の試験」を参照)
手順
サンプル細胞と指標細胞の培養
1) 指標細胞を、細胞培養培地を含むLeightonチューブまたは
培養ディッシュ内に並べたガラス製カバースリップの上に
低密度で播種します。使用する培地に適した条件(一般的
にはCO 2濃度5%または2%で37°C)で24時間インキュベ
ートします。対照サンプルおよび試験サンプルの播種に備
え、十分な数の培養を作成してください。
細胞の染色と封入
1) 蛍光色素(Bisbenzimide)を蒸留水に0.25∼0.5 µg/mlで溶
解し、使用濃度の蛍光染色剤を調製します。ストック溶液
は濃度50 µg/mlとし、暗所に保存してください。ストック
溶液は滅菌し、染色性能が低下したら廃棄してください。
注:BisbenzimideのかわりにDAPIを用いることもできま
す。DAPIはPBSに0.1 µg/mlで溶解してください。細胞の
染色は15∼30分間行なってください。
2) 増殖表面を染色液に完全に浸し、30分間静置します。
3) 蒸留水で2回洗浄します。
4) 細胞側を下向きとして、スライドガラスの上に封入剤1滴
を滴下して増殖表面を封入します。スライドは、カバーガ
ラスとカバースリップの端を透明マニキュアで密封するこ
とで保存することが可能です。スライドは遮光し、断熱し
てください。正しく保存した場合、スライドが退色するこ
となく数週間保存することができます。
シグマ・アルドリッチでは、上記のHoechst染色法に必要な
すべての試薬を含むMycoplasma Stain Kit(製品番号
MYC-1)を販売しています。このキットには、試験スライド
との比較用として陽性対照スライドと陰性対照スライドも付
属しています。
培養の試験
染色サンプルの観察には落射蛍光照明を備えた蛍光顕微鏡が必
要です。一般的なシステムは、53/44バリアフィルターとBG2) 指標細胞培養を分離し、0.1 mlの試験サンプルを加えます。 3励起フィルターを備えた蛍光顕微鏡です。マイコプラズマの
陰性対照としては、指標細胞培養に0.1 mlの細胞培養培地 観察には、通常は倍率500倍(40×12.5)で十分ですが、さら
のみを加えます。陽性対照が必要とされる場合は、指標細 に高倍率を用いる場合もあります。
胞培養に0.1 mlのマイコプラズマ培養生菌を加えて感染さ
せます。
参考文献
3) すべての培養をさらに4日間インキュベートします。
注: 培養はコンフルエントに達する前に染色、観察すること
が重要です。サンプル細胞と指標細胞の特性に従って、
インキュベーション時間と播種密度を調節してくださ
い。
1. T.R. Chen, Exp. Cell. Res., 104, 255-262, 1977.
2. R.J. Hay, et al., Nature, 339, 487-488, 1989.
3. G.J. McGarrity, et. al., In: Methods in Mycoplasmology Vol. 2 Tully and Razin
(eds). Academic Press, Inc., New York, NY, 487-488, 1983.
ATCC®はAmerican Type Culture Collectionの登録商標です。
細胞培養用キット
材料