「金」価格の動向(グローバル) - 三井住友アセットマネジメント

2016年2月25日
(No.1,768)
〈マーケットレポートNo.4,680〉
「金」価格の動向(グローバル)
「金」はその光輝く性質と希少性から、古くから通貨や宝飾品として使用されてきました。また、金属として展性と
延性に富むうえ、電気抵抗や熱伝導性も優れており、ICチップの配線などに使用されています。「金」の鉱山か
らの産出は年間3,000トン強程度ですが、過去に産出された推定18万トン強が個人や中央銀行に退蔵され
ており、毎年1,000~1,700トンが価格にもよりますがスクラップとして供給されます。
「金」価格の変動要因
近年はドルと逆相関の関係が顕著
■「金」価格の変動要因には様々なものがありますが、最も関連性が高いと思われるのがドルです。下図に見る
ように金価格とドルは、長期トレンドでは逆相関の関係が見てとれます。世界の基軸通貨である米ドルが安く
なれば、投資家はヘッジ先として他の通貨や資産を探すことになりますが、その一つが「金」というわけです。
■このため「金」価格は、ドルの価値に影響を与える、米国の金利、物価、景気動向などに影響をうけます。これ
以外に、地政学的リスクに対しては、「有事の金」として、リスク回避の手段に利用されたりもします。
需給バランスも重要
生産量は増加傾向
■「金」の需給バランスも重要な価格決定要因です。
「金」の生産量は、かつては最大の生産国であった南
アフリカが採掘条件の悪化で減少傾向にありますが、
中国、ロシア、豪州、カナダなどの増産により、過去
10年で20%以上増加しています。他の金属や資源
に比べ産出地域が分散しているのが特徴です。
■一方、「金」の需要は50%が宝飾品、次いで個人の
退蔵用に地金やコインとして約25%、エレクトロニクス
など工業用途に消費されるのは約10%程度です。こ
の他には、中央銀行や金ETFに係る在庫増減などが
需給に大きく影響します。
(ドル/トロイオンス)
【金価格とドル円レート】
2,000
(円/ドル)
70
80
1,600
90
1,200
ドル安
100
110
800
120
ドル高
400
金価格(左目盛)
ドル円レート(右軸、逆目盛)
0
06/1
08/1
10/1
12/1
14/1
130
140
16/1(年/月)
(注) データは2006年1月~2016年2月(月次)。
2016年2月は23日のデータ。
(出所)Bloomberg L.P.のデータを基に三井住友アセットマネジメント作成
2016年に入り「金」価格は反転
■ ドル安、信用リスクが背景
■GFMS社は「金」価格に強気
2013年以降ドル高の進行に伴い「金」価格は下落
傾向でしたが、今年に入り上昇に転じています。ドル
安に加え、世界的な株価の下落から信用リスクが意
識され、安全資産としての「金」への選好がうかがえま
す。
「金」の調査報告で権威のあるトムソン ・ロイタ ー
GFMS社は、米国の金利上昇観測が遠のいているこ
と、中国の経済成長や人民元安への懸念から、今
年の「金」価格は1,200ドル超に回復するとの予想を
公表しています。
2016年 2月19日 「FOMC議事録」と金融政策(米国)
2016年 2月17日 欧州金融機関の「信用リスク」(欧州)
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