平成 28 年1月 - 日本証券業協会

「株や社債をかたった投資詐欺」被害防止コールセンター
通報状況の概要(平成 28 年1月)
1.平成 28 年1月中に受理した通報の概要
(1)通報件数
○
当月中に受理した全通報件数は 74 件。
1営業日当たりの平均通報件数は約4件。
(2)購入・取引を勧誘された商品
①
月中において最も多かったのは、「その他」の 33 件(45%)。
② 「その他」は、例えば、以前未公開株式を購入した被害者に対し、当該株式
を買い取るとして、手数料等の金銭をだまし取るもの、あるいは、被害者を投
資話に絡んだ犯罪やトラブルの当事者に仕立て上げ、その解決のための金銭を
要求するもの。手口は時々刻々と変化し、多様化。
③
安易に相手の言うことを信用せず、支払いをする前に落ち着いてよく考え直
してみるなど、気を付けることが大切です。
(3)被害の金額
①
全通報件数 74 件のうち、実際にお金を詐取される被害に遭ったという内容
のものは 9 件(12%)
。
②
被害の金額は、合計で約 10,021 万円。
③
最大の被害金額は 5,000 万円(上場間近として未公開株の勧誘を受けて、購
入資金を支払ってしまったとの通報)。
④
万が一無登録業者から利殖関係の儲け話を聞かされても鵜呑みにせず、お金
を支うことには十分慎重になるべきです。
(4)勧誘・詐取の手段
① 勧誘手段で分類すると、従来の傾向から変わらず、電話やダイレクト・メー
ルといった直接対面しない形での勧誘がほとんど。
② 実際にお金を支払ってしまう場面で多いのが、現金の郵便や宅配便での送付
- 1 -
です。なお、現金を現金書留以外の郵便や宅配便で送付することは禁じられて
います。
③ お金の授受の手段が多様化してきていることに注意が必要です。
(5)通報者の属性
① 通報者の年齢で分類すると、60 歳以上が約 93%。そのうち一人暮らしは約
24%。
② 通報者の居住地で分類すると、東京都・愛知県・大阪府が上位(別紙参照)、
今月は上位 3 都府県からの通報が同数で最多。
③ 大都市圏を中心に、お年寄りに集中的に勧誘が行われていると推測されます。
④ 一般に、お年寄りは、詐欺的な行為に遭った場合の対処に慣れておらず、ま
た独り暮しのお年寄りを中心に、こうした場合に誰にも相談することができず、
被害が埋没してしまうと言われています。
⑤ お年寄りの家族や近隣地域が、お年寄りの行動の変化に日頃から注意を払う
ことが重要です。
万が一無登録業者による未公開株等の勧誘を受けたり、実際にお金を支払いの話
が持ちかけられた場合には、「株や社債をかたった投資詐欺」被害防止コールセン
ター(電話:0120-344-999)に通報するようにしてください。
(※平成 27 年7月より「未公開株通報専用コールセンター」から名称変更致しまし
た)
- 2 -
最近の手口
最近の「株や社債をかたった投資詐欺」被害防止コールセンターに寄せられている通報
に見られる手口をご紹介いたします。
【事例(再周知)】
通報者Aさんは、実在する有名大手B証券会社を名乗る者から、
「あなたに、(有名大
手飲料メーカー)甲社の社債を購入する権利が当たっている。興味がないのであれば、
その権利を譲ってほしい。
」と話しを受けた。しかし、通報者Aさんは、これを断った。
しかし、暫らくして、再びB証券会社を名乗る者から連絡があり、「あなたの名義を借
り、500 万円の甲社の社債を購入した。甲社から連絡があったら、あなたが購入したこと
にして欲しい。お礼に商品券を送付する。」との話があった。
この時には通報者Aさんは名義を貸すことを了承した。
その後、甲社からAさんに連絡があり、
「あなたは、名義貸しという違法行為を行った
ので、訴える。訴えられたくなければ、すぐに購入代金を振り込みなさい。」と言われた。
【事例の解説】

この事例は、
「名義貸し」を切り口とした「劇場型」の手口です。通報者のように、名
義貸しを了承してしまうと、行政当局を名乗る者などから「あなたは名義貸しという犯
罪を犯した。
」とトラブルの当事者に仕立て上げられ、解決のためのお金を要求されるケ
ースが多く見受けられます。
なお、このような要求をされた場合、このようなことは事実としてありえないことで
あり、
「そんなことはありえない。
」と相手にしないこと(電話を切ってしまって構いませ
ん。)が、被害防止には大切です。
また、同じ「名義貸し」の切り口でも、
「買い付け代金を返金するので、(先に)あなた
の名義で代金を振り込んでください。」、
「社債を購入するため、あなたは、社債の発行会
社に取引口座を開設した上で、取引実績を作ってもらう必要があります。150 万円振込
んでください。
」といった内容で、送金させようとする事案も見受けられます。
そもそも、
「名義貸し」を切り口とした「劇場型」の手口自体は、よくある手口の一つ
ですが、誰もが知っている証券会社の名前を名乗る者から連絡があり、誰もが知ってい
る飲料メーカーや家電メーカー等の社債を勧誘する事案が多いのが特徴です。
- 3 -

有名な証券会社からの勧誘で有名企業の有価証券だと、投資家としては安心してしま
う面があるのは当然であると考えます。しかしながら、このような手口があることを認
識した上で、不審な点等がある場合、本協会や金融庁のホームページに掲載されている
会員の正規の電話番号に電話をして、事実関係を確認することが大切です。取引口座が
ある証券会社があれば、当該証券会社窓口へ確認することもよいでしょう。

最近の傾向に変化がみられますので、併せて周知させていただきます。これまで、誰
もが知る飲料メーカーや家電メーカーである2、3社程度の特定有名企業に限定されて
いましたが、他の業種(製薬業界、食品メーカー、重工業界)や、同じ業種でも他の有名
上場企業へと範囲を広げていく傾向があります。有名上場企業であれば、当該詐欺事例
における社債発行会社として騙られる対象となりうるということです。
投資を行うにあたっては、こういった傾向を踏まえ、有名な証券会社から、有名企業
の有価証券の勧誘を受けても、詐欺かもしれないと一度疑ってください。必ず、前述の
とおり、正規の証券会社であることを確認してください。
また、上場企業関係者におかれましては、
「投資家より御社の社債発行の勧誘があった
のですが。
」といった問合せがあった場合、詐欺被害を防止するため、事実がないこと等
を丁寧に説明していただくことを強く希望いたします。

もし、こうした話を持ち掛けられた場合等には、送金などをする前に「株や社債をか
たった投資詐欺」被害防止コールセンター(電話:0120-344-999)に通報
するようにしてください(※平成 27 年7月より「未公開株通報専用コールセンター」か
ら名称変更致しました)。
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~~~ ご注意ください
~~~
高齢者が狙われています
①
一般に、お年寄りは、詐欺的な行為に遭った場合の対処に慣れておらず、また独り暮
しのお年寄りを中心に、こうした場合に誰にも相談することができず、被害が埋没して
しまうと言われています。
②
留守番電話にしておくか、ナンバーディスプレイのサービスを受けて、知らない者の
電話には出ないということが、有効な手段です。
電話番号を非通知とする電話を受け付けないサービスを利用することもいいでしょ
う。
最近では、かかってきた電話に出ると「この通話記録は録音されます。」とアナウン
スを相手方に伝えたうえで、通話録音する機能を持った電話機が購入できるそうです。
詐欺を行う者は、詐欺の証拠が残ってしまうので録音されることを嫌うと言われていま
す。特に何度も怪しい電話がかかってくるような方は、このような電話機を購入するこ
とを是非検討してください。
③
お年寄りの家族や近隣地域が、お年寄りの行動の変化に日頃から注意を払うことが重
要です。
電話がかかってきたら
①
安易に相手の言うことを信用せず、支払いをする前に落ち着いてよく考え直してみる
など、気を付けることが大切です。
②
万が一無登録業者から利殖関係の儲け話を聞かされても鵜呑みにせず、お金を支うこ
とには十分慎重になるべきです。
③
実際にお金を支払ってしまう場面で多いのが現金の郵便や宅配便での送付です。現金
を現金書留以外の郵便や宅配便で送付することは禁じられています。1
1
警察庁や国民生活センターにおいても同様の注意喚起がなされています。
○警察庁
「その宛先は大丈夫ですか?」
(実際に被害に遭われた方が現金等を送ってしまった住所)
(http://www.npa.go.jp/pressrelease/souni/furikome_jyusyo.pdf)
○国民生活センター
「宅配便でお金を送らないで!―他の商品と装わせてお金を送らせる手口に要注意!―」
(http://www.kokusen.go.jp/news/data/n-20130321_2.html)
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④
お金の受け渡し手段が多様化してきていることにも注意が必要です。
万が一無登録業者による未公開株等の勧誘を受けたり、
実際にお金を支払ってしまった場
合には、日本証券業協会の「株や社債をかたった投資詐欺」被害防止コールセンター(電話:
0120-344-999)をはじめ、公的機関の相談窓口にご通報ください。
以
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上
[別紙]
1.都道府県別通報状況(平成28年1月)
総通報件数 74 件
通報者の居住地
通報件数(件) 割合(%) 通報者の居住地
通報件数(件) 割合(%)
北海道
2
2.70%
滋賀県
0
0.00%
青森県
1
1.35%
京都府
0
0.00%
岩手県
0
0.00%
大阪府
9
12.16%
宮城県
1
1.35%
兵庫県
2
2.70%
秋田県
0
0.00%
奈良県
1
1.35%
山形県
1
1.35%
和歌山県
0
0.00%
福島県
0
0.00%
鳥取県
1
1.35%
茨城県
2
2.70%
島根県
1
1.35%
栃木県
1
1.35%
岡山県
0
0.00%
群馬県
1
1.35%
広島県
2
2.70%
埼玉県
2
2.70%
山口県
2
2.70%
千葉県
1
1.35%
徳島県
0
0.00%
東京都
9
12.16%
香川県
1
1.35%
神奈川県
5
6.76%
愛媛県
0
0.00%
新潟県
1
1.35%
高知県
0
0.00%
富山県
0
0.00%
福岡県
0
0.00%
石川県
1
1.35%
佐賀県
0
0.00%
福井県
2
2.70%
長崎県
1
1.35%
山梨県
2
2.70%
熊本県
0
0.00%
長野県
1
1.35%
大分県
0
0.00%
岐阜県
1
1.35%
宮崎県
2
2.70%
静岡県
8
10.81%
鹿児島県
0
0.00%
愛知県
9
12.16%
沖縄県
0
0.00%
三重県
1
1.35%
不明
0
0.00%
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2.都道府県別通報件数(平成23年4月~平成28年1月)
通報者の居住地
通報件数(件) 割合(%) 通報者の居住地
通報件数(件) 割合(%)
北海道
295
1.79% 滋賀県
181
1.10%
青森県
54
0.33% 京都府
308
1.87%
岩手県
62
0.38% 大阪府
1,249
7.58%
宮城県
109
0.66% 兵庫県
662
4.02%
秋田県
30
0.18% 奈良県
245
1.49%
山形県
81
0.49% 和歌山県
106
0.64%
福島県
112
0.68% 鳥取県
53
0.32%
茨城県
345
2.09% 島根県
66
0.40%
栃木県
178
1.08% 岡山県
445
2.70%
群馬県
268
1.63% 広島県
652
3.96%
埼玉県
837
5.08% 山口県
374
2.27%
千葉県
1,052
6.39% 徳島県
68
0.41%
東京都
1,842
11.18% 香川県
168
1.02%
神奈川県
1,980
12.02% 愛媛県
188
1.14%
新潟県
320
1.94% 高知県
72
0.44%
富山県
68
0.41% 福岡県
351
2.13%
石川県
178
1.08% 佐賀県
27
0.16%
福井県
62
0.38% 長崎県
57
0.35%
山梨県
95
0.58% 熊本県
163
0.99%
長野県
400
2.43% 大分県
67
0.41%
岐阜県
328
1.99% 宮崎県
72
0.44%
静岡県
581
3.53% 鹿児島県
123
0.75%
愛知県
1,252
31
0.19%
三重県
212
2
0.01%
7.60% 沖縄県
1.29% 不明
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