まち・ひと・しごとの創生とクラウドファンディングの利用

~ まち・ひと・しごとの創生 と クラウドファンディングの利用 ~
人口減少問題の克服と成長力の確保を図るため、我が国では『地方に、「しごと」が「ひと」を呼び、「ひと」が「しごと」を
呼び込む好循環を確立することで、地方への新たな人の流れを生みだすこと、その好循環を支える「まち」に活力を取り
戻し、人々が安心して生活を営み、子供を産み育てられる社会環境』の創出に向けて、「まち・ひと・しごとの創生」に関
する取組が進められています。
(参照 「まち・ひと・しごと創生総合戦略(2015 改訂版)」)
こうしたなかで、地域に根差した資源や多様な価値観を取り込むことにより付加価値の高い新たなサービス・製品を創
出し、これを通じて「まち・ひと・しごと」の好循環を生み出していくための1つの仕組みとして、「クラウドファンディング」と
いう新たな資金調達の手法を挙げることができます。また、クラウドファンディングは、豊かなまちを築き・維持するために
活動する人々を、地域や社会の「絆(きずな)」を通して支援する仕組みとみなすこともできます。
『しごとの創生』 と クラウドファンディング
新しく地方へのひとの流れを生みだすためには、地方で安定して働き・暮らすことができる基盤が必要です。特に、
雇用の創出という観点では、「既存事業の拡大」、既存・新規創業者による「新規事業の創出」を促すことが重要となり
ます。また、新たなチャレンジには、資金や人材・ノウハウなどが必要であると言われていますが、クラウドファンディング
は資金調達に加え、ファンコミュニティの確保や販路の開拓にも有効な仕組みとして注目を集めています。
こうしたクラウドファンディングの特徴を踏まえ、今後、付加価値の高いサービス・製品の提供をもたらす新たなチャレ
ンジの創出をより一層活発なものとしていくために、次の点がポイントになると考えられます。
〇新たなチャレンジに向けたクラウドファンディング利用者に対する行政支援
例)情報発信(デザイン・PR)に対するアドバイス、仲介費用の補助、調達成功時の追加助成
〇投資型クラウドファンディングをはじめとした案件の組成に関わる金融人材の「地方における活躍の場」の創出 /等
『ひとの創生』 と クラウドファンディング
<つなぐ・つながる>
<学ぶ・働く>
学ぶ
型を学ぶ
型をつくる
働く
地方創生の取組に関する方針には、地方への新しいひとの流れをつくるた
め、「地域内外の有用な人材の積極的な確保・育成」や「地方への移住・定着
の促進」に係る仕組みの整備が掲げられています。しかし、誰もがすぐに新た
なチャレンジができるわけではなく、まずは、チャレンジに必要な「スキル」 「協
力者(メンバー)」 「顧客・販路」 などを確保することが重要となります。
近年、人や事業を育てるという観点から、「コワーキングスペース」や「サード
プレイス」の存在が注目を集めています。こうした場は、新たなチャレンジの担
い手、チャレンジをする人を支える人々(例:デザイナー、プログラマー等)に
「学び・働く機会」を提供する役割を果たしていますが、クラウドファンディング
は、新たなチャレンジに関わる様々な人々を「つなぐ役割(ネットワーキング)」
を果たし、取組のすそ野の拡大に寄与していると考えることができます。
『まちの創生』 と クラウドファンディング
産業競争力強化法の施行(H26.1)を受け、市区町村における創業支援の取組が活
発化しています。しかし、起業・創業の多くが「地域に密着した事業(いわゆるコミュニテ
ィビジネス、ソーシャルビジネス)」であり、グローバルな事業展開を志向する創業者は
必ずしも多くありません。こうした市区町村レベルの創業実態を踏まえ、「地域の特性に
促した地域課題の解決」に取り組む新たなチャレンジに対し、地域住民が自ら支援に
携わる仕組みとしてクラウドファンディングを活用することは、持続可能な地域社会の運
営につながっていくものであると考えることができます。
地域の
課題
解決に向けた
チャレンジ
活動支援
地域住民
三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社 (http://www.murc.jp/)
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