解答と解説 - 増田塾

2016 増田塾
入試解答速報
慶應義塾大学(2/18)環境情報学部
― 慶應義塾大学 ―
2 月 18 日 環境情報学部
小論文
解 答
問1
A. テレビが対面コミュニケーションを減退させ共同体意識を低下させた。
B. 火を使用した料理が食事の時間的制約を開放し男女の分業を可能にした。
C. ユニバーサルデザインが世間の多様なニーズへの理解をもたらした。
D. ファスト IT が個々の身体性と身体に流れる時間をより均質化させた。
E. 安全宝くじ制度により人々は自主的に制限速度を遵守するようになった。
F. 横井軍平の開発商品がコミュニケーション重視のものづくりをもたらした。
G. 手軽な留学体験が異文化理解の契機となった。
問2
(1).電子マネー
(2).
枠 1.
【「貨幣」誕生の背景】
①. 経済活動の根幹「交換」を円滑に行うため
②. モノ・コトの「価値」を相対的に計測するため
③. 「価値」あるモノ・コトを貯蓄するため
④. 発行者の権力・イメージを誇示し流通させるため
枠 2.
【「電子マネー」誕生の背景】
①. 貨幣に求められるモバイル性をより向上させるため
②. 技術発展により情報端末への貨幣の集約が可能になったため
③. グローバル化に伴い「共通貨幣」の要求が高まったため
枠 3.
【2016 年時点の「電子マネー」がもたらすもの】
①. 取引の効率化による消費意欲の促進
②. 個人レベル(小額取引)での世界規模の商取引を容易にする
③. 発展途上国の積極的な市場参加をもたらす
④. 国境が規定する貨幣流通圏を超越したコミュニケーションが加速する
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枠 4.
【「電子マネー」の課題】
①. 電子情報に対する信用性をいかに上げていくか
②. 現金通貨の補助的な役割からいかに独自性を付与するか
③. 新傾向の経済犯罪にいかに対処していくか
問3
今からおよそ 30 年後の日本を予想する。現時点での情報端末の浸透度を踏まえると、
その頃には人口の大半が情報端末を用いた小口の電子決済を難なくこなせるようになって
いるだろう。そこで電子マネーはどのような発展・進化を遂げるだろうか。
まず「貨幣」は元来モノやコトを抽象的な「価値」に置換することで円滑な交換取引を
するために誕生したものである。つまり小型で軽量で移動性に優れた貨幣は理想的なもの
となる。ならば電子マネーはまさに価値を表示する素材を必要としない抽象化の究極の形
であり、貨幣という概念が目標とした一つの到達点だと言える。もちろん 2016 年時点で
はまだ携帯端末という媒介物が不可欠なため完全な抽象化とまではいかない。しかし今後
のウェラブル端末や AR 技術の発展により、例えば指紋認証のみで決済が完了しコンタク
トレンズ型のモニターに利用金額が表示される、という媒介物がほぼ不要となる状況が訪
れるだろう。
さらに電子マネーは従来の現金を超越した機能を持つことができる。まずは電子上での
取引とは価値を「情報」に置換してやりとりすることである。電子情報はインフラ整備さ
え済めば世界中に均等に行き渡るものであり、それを貨幣にするということで「共通貨
幣」の実現に近づくことになる。ユーロが様々な課題を抱え試行錯誤をくり返す一方で、
アフリカの出稼ぎ労働者が故郷に現金を輸送する手段として電子マネーが有効に活用され
ている。グローバル化の進行が予想される中で、30 年後の世界は電子マネーを共通貨幣と
し、地域の発展段階を問わず個人レベルでの商取引がより活発化していくだろう。すると
電子マネーを介して人間の意識も変化する。これまで国境や民族性が前提とされたアイデ
ンティティが解放され、純粋な個と個のコミュニケーションがより推し進められることに
なる。もちろん新規の技術であるためその信用性を高め、新たに発生する犯罪行為への対
処をすることは不可欠である。しかしその点を慎重に解決していけば、先進国に基づかな
い、真のグローバル化がここに実現するだろう。(860 字)
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解 説
SFC 小論文では「資料の理解アピール」「各設問を関連させることによる回答内容の一貫
性アピール」「問題発見・解決能力のアピール」という三つの要素が問われる。今年度は問
1 で複数の資料の一行要約が求められた。いわゆる「資料の理解アピール」力が試されて
いるのだが、これは 2014・2015 年度の「資料のタイトル付け」と同傾向のもので、過去
問対策を進めてきた受験生は難しくはなかったと思われる。続いて問 2 では「資料理解」
を「独自の具体例」で示すよう求められているが、問 3 との接続も意識しないといけな
い。ここでは設問要求にあるようにモノやコトがうまれた「背景」とそれによる「生活や
人の意識の変化」を説明する必要があるが、単に変化を説明するのみでは SFC の最重要課
題「問題発見・解決能力のアピール」ができない。ここは考え所で、たとえば問 2 の四枠
のうち一つを用いて「自分が選んだモノ・コトの今後解決すべき問題」を提示しておくと
ここで「問題発見力のアピール」ができる。そして問 3 でその「解決策」として未来の発
展・進化の形を提示すればここで「問題解決力のアピール」につながり、また問 1~3 で
「内容の一貫性」も生まれることになる。以上のように戦略立てて「どの問題で何をアピ
ールするか」を念頭に置きながら構成を考えていく必要が SFC にはある。解答例では電子
マネーを例として挙げ、従来の現金貨幣・紙幣の比較検討をする形で解答を進めていっ
た。また無理のない解答作りのために問 2 で挙げた「電子マネーの 2016 年の状況」を更
に継承・発展する形で問 3 をまとめ、問 3 で新たなアイデア出しをしないように心掛け
た。SFC では例年多様・複雑な資料の読み取りとアプローチの難しい設問内容が受験生を
困らせる。だからこそ基本に立ち返り、常に「資料の理解アピール」「各設問を関連させる
ことによる回答内容の一貫性アピール」「問題発見・解決能力のアピール」という三つの要
素を念頭に置くことで、「何を求められているのか」の段階で悩まないようにすることで問
題への対処をしていきたい。
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