2016年度学Y活動報告 - 北海道大学YMCA 汝羊寮

北海道大学 YMCA 汝羊寮
学 Y 活動報告書
目次
1
年間行事一覧..................................................................................................................................................... 1
2
聖書研究会
3
2.1
札幌北光教会の高濱心吾牧師による聖書研究会 ............................................................................ 2
2.2
手稲はこぶね教会の原和人牧師による聖書研究会 ........................................................................ 3
自由発題
3.1
自由発題の報告 ..................................................................................................................................... 4
3.2
前期の自由発題一覧 ............................................................................................................................. 5
4
キリスト教発題 ................................................................................................................................................ 6
5
夏期ゼミナール ................................................................................................................................................ 8
6
全国学生 YMCA 代表者会議(日本 YMCA 同盟) ................................................................................. 13
7
NSCF ................................................................................................................................................................ 15
8
雪かきボランティア ...................................................................................................................................... 20
9
学 Y 交流会 ...................................................................................................................................................... 21
1
年間行事一覧
1月
9月
雪かきボランティア
夏期ゼミナール
2015 年 1 月中に小樽商科大学船津秀樹教
9 月 11 日~14 日に静岡県の東山荘にて、
授(汝羊寮寮長)の御協力のもと、小樽市で
日本 YMCA 同盟主催の夏期ゼミナールが開
雪かきのボランティアをしてきました。寮生
催されました。学生 76 名、シニア・スタッ
全員が参加し、主に雪かきが大変な、高齢者
フ 36 名が参加しました。汝羊寮から小田島
の方々のお宅の雪かきを手伝いました。
良(文・B1)、河野行宏(文・M1)、増子翔
一(農・B4)、小海祈(文・B4)、松井一晃
(農・B4)が参加しました。
4月
創立記念集会
第 2 回全国学生YMCA代表者会議
4 月 12 日に札幌市教育文化会館にて北海道
9 月 14 日~15 日に夏期ゼミナールの後
YMCA 主催の北海道 YMCA 創立記念礼拝・
に、東山荘にて日本 YMCA 同盟主催の第 2
講演会が行われました。坂口順治氏(東京
回全国学生 YMCA 代表者協議会が開催され
YMCA 名誉会員、元立教大学教員)より「触
ました。14 大学 27 名が参加しました。汝羊
媒作用、YMCA 運動」についての講演があり
寮から小海祈(文・B4)、松井一晃(農・
ました。汝羊寮からは 8 名が参加しました。
B4)が出席しました。小海は学 Y へのクラ
ウドの導入、松井は東日本の学 Y の連携を
提案しました。
5月
チャリティーラン
NCSF
5 月 17 日に真駒内公園にて北海道 YMCA
9 月 17 日~19 日に仙台にて、東北大学
主催の第 20 回北海道 YMCA チャリティーラ
YMCA 渓水寮主催の NSCF が開催されまし
ンが開催されました。参加者は全員で約 300
た。汝羊寮からは、松井一晃(農・B4)、佐
名、汝羊寮からは 7 名参加しました。汝羊寮
治銀河(医・B1)、首藤広樹(獣・B1)、和
は、申告タイムとの差 15 秒で 2 連覇を果たし
田幸大(経・B2)、深井佑多佳(水・B1)
ました。
の 5 名が参加しました。加えて、花陵会(熊
本大 Y)から 1 名が参加しました。
11 月
12 月
合同祈祷会
学 Y 交流会
11 月 13 日に北海道クリスチャンセンター
一階 Y's cafe にて、合同祈祷会が開催されま
12 月 11 日に北大構内のクラーク会館に
した。参加団体は、汝羊寮、札幌 YWCA(ホ
て、汝羊寮主催の学 Y 交流会が開催されま
スト)
、北海道 YMCA でした。クリスチャン
した。汝羊寮からは 13 名、寮外からは 2 名
センター雨貝館長による奨励、YWCA 吉田亜
が参加しました。寮外からの参加者は 2 名
希氏による世界 YWCA 総会の報告、立食形
とも岸本の友人でした。
式の交流会が行われました。
1
2
聖書研究会
2.1 札幌北光教会の高濱心吾牧師による聖書研究会
徐明浩 (総合教育部理系・B1)
聖書研究会(以下聖研)とは北海道大学 YMCA というキリスト教系団体の一員であり、札幌キ
リスト教青年会の寄宿舎として出来た汝羊寮に住む我々が、キリスト教とは、聖書とはどういうも
のかを学ぶための会である。
2015 年度前期の聖研は 6 月 19 日に札幌北光教会より牧師の高濱先生(現札幌元町教会)をお招
きして汝羊寮の集会室にて行われた。前期学 Y 代表である和田と高濱先生との事前の打ち合わせで
取り扱う部分がマタイによる福音書 20 章 1~16 節「ぶどう園の労働者のたとえ」と決まっていた
ので、寮生のなかでも特にキリスト教に詳しい小海さんに依頼し、聖研事前発題という形で予習を
行った。
(実は、当初取り扱う予定の章はルカによる福音書 7 章 36 節~50 節で、それが変更された
ことが和田の伝達ミスにより小海に伝わっていなかったというトラブルがあったが、小海の知識の
深さや対応力に助けられどうにか予習は行われた)。
さてここからは実際に 6 月 19 日に行われた内容について流れを追って説明していく。まずお互
いの自己紹介を軽く済ませたあと、マタイによる福音書 20 章 1~20 章の輪読を行った。
次に「聖書学においてイエスが神の国は近付いたと語って回る際に(福音書の作者による創作で
はなく)実際にした話の 1 つとされている。
『後のものが先になり、先にいるものがあとになる』と
いう言葉にはこの世の中の序列(格差)は逆転する(こともある)という解釈もある。約 2000 年
もの昔のお話だから、当時の社会背景をある程度理解してないと解釈し切るのは難しい」という前
置きと「聖書が編纂されたころつまり紀元 70 年ごろは戦争(ゲリラ的な戦争)やそれに伴う混乱
が多く、貧しい人々がたくさんいた。ローマよるエルサレム神殿の破壊が原因となってそれまで神
殿中心だったユダヤ教から律法中心のユダヤ教であるファリサイ派が成立した。マタイの教会はこ
の段階ではまだユダヤ教(―ユダヤ教イエス派―)という自認があり、ファリサイ派と対立していた」
という当時の社会背景を教わった。
その後「そのような社会背景を知ると、ぶどう園は神の国、ぶどう園の主人は神、朝から働き始
めた人は元祖ユダヤの特にファリサイ派、後から働き始めた人はキリスト教徒(ユダヤ教イエス派)
として考えることもできる。また『労働者』の原文での正確な意味は『日雇いの人』という意味で
あり、そのような人たちはユダヤ教においては『罪人』つまり神に救われない人たちとされた。す
るとこのたとえ話を素直に受け取ると神は『罪人』をも救ってくださるという話と考えられるが、
最後にやとわれた『キリスト教徒』に先に 1 デナリオンを支払い、最初からいた『ユダヤ教徒』が
1 デナリオンをもらって不平等を訴えたという話は当時ローマやファリサイ派などと対立していた
マタイの教会の人たちにとっての慰めが含まれており反ユダヤ的な部分も含まれている」という考
えを教わった。
最後に「『罪人』は自ら『罪人』になったのではなく『誰も雇ってくれない』からそうなった。現
代においても大阪のあいりん地区、東京の山谷、横浜の寿町などにみられるように『誰も雇ってく
れない』からそうなった人々というのは存在する。このたとえ話でイエスが言いたかったことは、
神の国とはこのような人たちにも救いが与えられるべき世界のことであるということである。一日
中働いたもの、一時間しか働かったもの、それぞれに同一の賃金を支払い、前者の抗議を退けると
いうのはたしかに一般の常識からすると不合理であるが、そのような考えのもと『罪人』に救いが
与えられないような状況をイエスは覆そうとしたのである。」と教わりました。
2
2.2
手稲はこぶね教会の原和人牧師による聖書研究会
渡辺光 (工・B3)
2015 年度後期の聖書研究会は 12 月 4 日に手稲はこぶね教会牧師の原和人先生をお招きして汝羊
寮の集会室にて行われた。
今回の聖書研究会のテーマは、
「霊とは何か」であり、聖書に登場する「霊」とは一体どのような
存在なのか考えた。
今回も寮生で事前に予習をしており、学 Y 代表の岸本により、「霊」が出てくる聖書箇所を挙げ、
「霊」には「聖霊」と「悪霊」が存在することを確認し、それぞれどのような存在なのか考えると
いう発題が行われた。
当日は一年生が原先生と初対面であったため初めに自己紹介が行われ、その後研究会に移った。
始めに、一般的な霊の解釈を確かめるために、現実の事柄ばかりに目が行きやすい現代社会にお
いて霊は怪しいと思われがちな存在であるが、考え方によっては多大な影響を及ぼす可能性がある
ものだということを確認した。また、いくつかの宗教を比較し、宗教によって霊に対する解釈が異
なることも確認した。
その後、旧約聖書・新約聖書における霊とはどのようなものか解説していただき、霊が登場する
聖書箇所の研究を行った。
最終的に、人が霊の存在を感じるためには自分自身の中にイメージを持つことが必要であること、
霊は「弁護者」
「守護者」とも呼ばれ、常にまとわりついているものではなく必要な時に現れるもの
であるということを学んだ。
原先生による解説を聞いたのち、寮生から多くの感想が挙がった。霊を信じる者もあまり信じな
い者もいたが、全員にとって非常に勉強になったようである。
3
自由発題
3
3.1
自由発題の報告
佐治銀河(医・B1)
汝羊寮では、学 Y の活動の一環として毎週金曜日に発題が行われている。発題とは、代表者が自
分が議論をしたいと考えるテーマを設定し、それに沿って寮生が考察をして意見を述べる、という
ディスカッション形式の討議であり、その魅力は寮生の心を掴んで離さない。というのも、現代で
はなかなか自分の確固たる意見を持って同世代の仲間とそれを共有する体験をする場がなく、腹を
割って話す機会も少ないからである。やはり一人で考えていると自分の尺度でしか物事を測れなく
なってしまうが、そこに他者の意見を交えることで画期的なブレイクスルーを得られることも多々
あった。
ここまで発題の内容について詳しく説明してきたが、実際には体験してみて初めて分かることも
多い。その内実を少しでも伝えるために前期に行われた発題とその詳細は、次ページに簡潔に述べ
ている。なお、前期に行われた発題はその内容を社会問題に限った「自由発題」がメインであった。
聖書の内容について討論をしていく、
「キリスト教発題」については別項に説明を譲りたいと思う。
4
3.2
前期の自由発題一覧
担当者
所属・学年
増子翔一
農・B4
テーマ
多様性だよう
概要
生物の多様性はいいことなのかを話し合ったあと、人間の多様
性とはどのようなことなのか、を話し合った。
渡辺光
工・B3
LINE による問題を
考えよう
松井一晃
農・B4
良い子育てとは?
LINE の既読スルーとそれにまつわる実際のトラブルから、現
代人の人と人とのつき合い方について考えた。
自分の子どもをどのように育てたいのか?寮生個々人の経験
と理想の子育てについて論じ合った。
河野行宏
文・M1
「介入」について
第 3 者の立場から、児童虐待とアフリカの FGM(女性器割礼)
に介入すべきかどうか、議論しあった。
佐治銀河
医・B1
命ってなんだろう
生前診断の結果、自分の子どもに問題がみつかればどんな選択
をするのだろうか?人が命を自由に操作できる時代の問題につ
いて議論しあった。
岸本悠介
理・B1
自己肯定感の養い
方
首藤広樹
獣・B1
スポーツマンシッ
プ
徐明浩
総理・B1
女性結婚年齢の引
き下げの是非
小海祈
文・B4
「罪深い女をゆる
す」ルカ 7:36:50
小田島良
文・B1
死刑について
寮生個々人はどのようにして、自己肯定感をもって生きている
のか?それぞれの源泉を探り、共通点・差異を探し合った。
甲子園での松井の 4 打席連続敬遠やオリンピックの消化試合
など、スポーツマンシップに欠ける行為について考えあった。
明治期に決められた結婚年齢の法律は現代でも妥当なのか?
Twitter 上の意見を批判しながら、考えた。
なぜイエスは「罪深い女」を赦したのか?キリスト教における
赦しや救いについて議論しあった。
死刑は罪を償うことなのか?誰が幸せになるのか?死刑囚は
赦されないのか?などを議論しあった。
和田幸大
経・B2
現代の税制度を考
える
深井佑多佳
水・B1
飛行機
大手 VS LCC
宇津城遥平
理・B3
創造論 VS 進化論
累進課税制度は本当に公正な制度なのか?各国の税制度を参
考にしながら、公正な税制度について議論しあった。
安さがとりえの LCC 航空会社にリスクはないのか?大手空港
会社のメリットはどのようなものなのか話し合った。
進化論を否定しようとするラディカルなキリスト教の言説を
どのように科学的データを用いて反論するのか、理系的なやや
専門的な話をしあった。
5
4
キリスト教発題
岸本悠佑(理・B1)
2015 年度後期には私岸本が学 Y 代表を務め、キリスト教発題を復活さ
せた。その経緯は、汝羊寮で前期を過ごすうちに汝羊寮で生きていくには
キリスト教に関する知識があった方が有意義かつ有益であることを悟り、
かつキリスト教に関する知識が自分たち寮生の今後の人間性を深めてくれ
るきっかけになるのではないだろうかと思ったためである。以上の理由で
今期の学 Y では、後期のテーマである「視野を広げて人間性を深める」と
相まってキリスト教発題を行うこととし、行った結果としてやはり多くの
知識を得ることができ有意義であった。
まず、個々のキリスト教発題で得られた知識を報告する。
一番初めに行われた小海さんの聖書概論では、そもそも聖書はどのよう
なことが書かれた本なのかということが概説された。いつも朝の輪読会では聖書を読んではいるもの
の個々のエピソードが具体的すぎて何を伝えたいのか掴めなかった。しかしこの聖書概論の後では、
旧約聖書が世界の創造とヘブライ人の歴史について、新約聖書がキリストの生涯について書いたもの
だという理解のもとで聖書を読めるようになった。また、その後のキリスト教発題を行うための基礎
知識を身につけられた。
私の発題では、聖書研究会の事前発題として、霊とは何かということを聖霊と悪霊に分けて聖書の
該当箇所を参照しながら自分なりに考察し発表した。また、個人の発題として人々はなぜキリスト教
を信じるのかについて利益と文化の二点から考察し、その上で現代日本でのキリスト教はどのような
現状にあり、我々日本人はキリスト教をどのように扱っていくべきかを考えた。汝羊寮に入る以前に
は全く関係のなかったキリスト教について考察し、ノンクリスチャンである日本人は、キリスト教の
うち自分の感性に合っている部分を吸収すれば良いのではないかという結論を考え出せたことは大き
な経験であった。
松井さんの復活についての発題では、イエス・キリストの復活を扱った四つの福音書の箇所を比較
検討し、復活に関して皆で討論をした。最終的に全員が、イエス・キリストが本当は復活していない
のではないかという結論に達したことは、科学を重んじる現代日本的であり興味深かった。
河野さんの異教徒についての発題では、聖書の祈るという言葉の意味の考察、異教徒の宗教的衣装
と社会との齟齬の考察、フランクルの『夜と霧』の中での神への信仰の分析、これらからクリスチャ
ンでもそれ以外の宗教を信じる人でも祈るという行為が生を実感させ人間の精神を支えるものなのだ
ということを知ることができた。文学研究科修士 1 年ならではの幅広い知識と深いメッセージを含ん
だ発題であり学ぶところが多かった。
増子さんの発題はそのテーマ「マスコの福音書」が示すように、自身の生涯を聖書の放蕩息子の部
分と比較しつつユーモラスに紹介するというものであった。非常に楽しく和やかに話を聞けた上、増
子さんの体験談として北海道から埼玉まで自転車で行き、その最中に隣人愛を彷彿とさせるような人
助けの体験をしたということを知り、他の発題にはないリアルな体験から学ぶ人間としての生き方を
知ることができた。
和田さんの発題は旧約聖書のヨブ記に関するもので、敬虔なクリスチャンであるヨブを神が試した
時にヨブはどのように感じ行動したのかが紹介された。この中で、聖書にしては珍しい人間の葛藤が
6
描かれ、しかも敬虔なのに神に最後の最後まで救ってもらえないようなこともあると知り興味深かっ
た。
渡辺さんの発題では、キリスト教がいう信仰とはそもそもどのような行為を指すのかを考察した。
神の存在を信じよと説くキリスト教の考えを、そもそも信じるとは何かという側面から考えられた興
味深い機会であった。
佐治の発題は奴隷制を扱ったもので、聖書が語る隣人愛と奴隷制とは相矛盾するものではないかと
いう鋭い視点からの発題であった。その中で、聖書の中には白人が有色人種を人間でないとする根拠
などまったくない点など、奴隷制があった当時いかに聖書が都合の良い解釈をなされていたかという
面白い話があった。
深井の発題は主の祈りについてであり、主の祈りがどのような文面でどのような意味を持つかとい
う解説が参考文献をもとに行われた。だがその解釈をめぐって少々議論も起こり、解釈次第で意味も
違ってくるというのが印象に残った発題であった。
宇津城さんの発題では、聖書の中に登場する怪物ベヘモットがいったいどのような生物なのかを考
察するという、生き物好きならではの発題であった。恐竜図鑑を寮生に渡し、尾が大木のよう、力が
腰にあるなどといった点からどの恐竜がベヘモットに一番近いかを考察する非常にユニークな発題で、
中にはこんな感じかと絵を描いてみる者も出るなど楽しい発題であった。
首藤の発題では、旧約聖書の中のサムソン物語を扱った。聖書にでてくるキャラクターとしては際
立つ怪力かつ女性に弱いというユニークな性質を持つサムソンの一生を通読することで、聖書の中に
もこんなにも人間性に富んでいてコミカルな箇所があるものかと新たな発見があった。
徐の発題ではヨハネの黙示録を取り扱った。様々なアニメやマンガ作品にモチーフとして描かれて
いるヨハネの黙示録ではあるが実際にどのような内容であるかを、ウェブページによる要約を参考に
しながら寮生全員で研究していくスタイルをとった発題であり、ヨハネの黙示録に書かれた世界滅亡
への荒唐無稽な物語を多少なりとも解読することができた。
続いて視野を広げて人間性を深める、というテーマからキリスト教発題を語る。キリスト教は世界
中で極めて長い間信仰されている宗教であり、それゆえ人々を引きつける要素があるのだろう。例え
ばキリスト教発題を通して学んだ、人間の道徳を端的に示してくれるモーセの十戒や、イエス・キリ
ストの語る「右の頬を打たれたら左も差し出しなさい」のような慈愛など、生きていく上で重要と思
える教えをキリスト教発題で知ることができた。このような知識は自分が将来人間的に成長する糧と
なるだろう。
このように、キリスト教発題を行えたことはキリスト教の知識を得るのみならず、多くの概念を理
解して人間性を深めることにも貢献し、果ては共通の話題を提供して寮生同士のコミュニケーション
を促す効果もあり、非常に有意義であった。
7
5 夏期ゼミナール報告
5.1 プログラム
1 日目(9 月 11 日)
開会宣言、 開会礼拝
テーマ改題「Mission Impossible? ~ステレオタイプからの脱却」
(神戸女学院 2 年:上月理帆)
ワールドカフェ式ディスカッション
プログラム報告・各学 Y 紹介
2 日目(9 月 12 日)
朝の礼拝
テーマ講演
講師:仁藤夢乃氏(一般社団法人 Colabo 代表)
聖書研究
講師:金井創氏(日本基督教団佐敷教会牧師)
交流会
3 日目(9 月 13 日)
朝の礼拝
自主ゼミ発題
プログラム報告・各学 Y 紹介
グループ分かち合い
4 日目(9 月 14 日)
グループ発表
閉会礼拝
8
5.2
(夏期ゼミ報告ⅰ)
雑記
河野行宏(文・M1)(水色の T シャツ)
私は、今年の 4 月から汝羊寮に住
んでいます。それまでに、聖書を読
んだり、キリスト教について知りた
いと思ったりしたことはほとんどあ
りませんでした。YMCA の存在も知
らなかったです。そんな状態から、
よくわからないまま、4 月から、学
Y の一員として、毎日の輪読会、毎
週金曜の発題や聖書研究に参加して
きました。
私自身、
聖書を読んだり、
発題したり、討論したりすることは
とても楽しい時間だと思っています。
一緒に住んでいる寮生と聖書の意味
やいろんなことについて議論したり、討論をすることで、寮生同士、仲良くなることでき、寮での人
間関係がとても良好になりました。それに、議論していると、寮生ひとりひとりの発想や考え方の違
いから、思いもしなかった意見を聞くことができます。毎回必ず、私自身の偏狭な考えを自覚させら
れ、勉強になります。特に、学 Y での発題や聖書研究の時間は、自分のことを見つめなおし、自分に
ついても深く考えられる貴重な時間だと思い、重宝しています。
私は、9 月 11 日から、御殿場の東山荘で行われた、夏期ゼミに参加しました。夏期ゼミのテーマ
は、
「Mission Impossible-ステレオタイプからの脱却-」というものです。私なりに解題すると、普段
から何気なく持つ常識・偏見を打破して、深くものごとを考えることが目標なのだと思います。この
ことは、汝羊寮の学 Y の時間で、普段やっている討論活動に似ていて、夏期ゼミで掲げられた目標は、
その応用版だと思います。夏期ゼミでは、主に、女子高生の売春問題、辺野古の基地移設問題につい
て、ステレオタイプ的な発想を超えようと、全国の人たちと議論しました。
はじめて会う、多種多様な人と議論するのだから、さぞいろんな意見がきけるのだろうと、若干期
待していましたが、今振り返ってみると、そんなことはありませんでした。これは、みな初対面の人
同士で緊張してしまい、なかなか本音をぶつけ合うことでできなかったことと、ディスカッションす
る時間が短かったことが関係していると思います。やはり、寮生のように、お互いをよく知っている
からこそ、協力して、深いところまで議論できるのかもしれません。だけれども、同じグループの人
たちと、真剣に話し合ったことで、考えられるべきことは一緒に考えられたし、なにより、友達にな
ることができました。
夏期ゼミ中は、さまざま人と友達になれました。このことは夏期ゼミの一番の収穫でした。彼ら・
彼女らに、できれば汝羊寮に来て欲しいし、私も学 Y 寮や学 Y サークルに遊びにいって、また会いた
いと思います。
9
5.3
(夏期ゼミ報告ⅱ)
寮 Y とサークル Y のちがい
小田島良(文・B1)
学部一年生の私は今年この汝羊寮へと入寮した。そ
のため、当然ながら夏期ゼミへの参加ははじめてだっ
た。私はそもそも学生 YMCA そして汝羊寮というもの
がどういうものなのかはっきりとは分かっていなかっ
た。それが、今回の夏期ゼミを通して少しは分かった
のではないかという気がする。
今回の夏期ゼミで私は他の大学の多くの YMCA の
人たちと接触することができた。そうするなかで、各
大学によって YMCA の性質はぜんぜん違うというこ
とを認識した。大きく分けて学生 YMCA というのが、
サークル Y と寮 Y に分かれているということ。このこ
とは、前から知っていたが実際にそこに所属する人間
に会ってみると、いろいろ分かることがあった。主語
が大きくなってしまい恐縮だけれども、サークル Y から夏期ゼミに来る人間と寮 Y から来る人間とで
は意識に差があるような気がした。簡単に言ってしまうと、サークル Y のほうが問題意識が高いとい
うことだ。サークルの運営に対する問題意識もそうだし、社会に対する問題意識についてもそうだ。
私はサークル Y の一年生の人たちに、何故 YMCA に入ったのかを尋ねてみると、ボランティア活動
がしたかったからという回答がほとんどだった。そういった動機が根底にあるサークル Y と、共同生
活が根底にある寮 Y では、微妙なところで差があるように思えた。
だが、サークル Y のほうが問題意識が高いと言っても、だからと言って寮 Y よりもサークル Y の
ほうが YMCA として優れているわけではないというのも感じた。それは特に、キリスト教、そして発
題(勉強会)の取り扱い方についてだ。夏期ゼミでは、汝羊寮での発題のような勉強会や講演会など
が、複数開催されていた。それらの勉強会や講演会について、サークル Y に入っている一人が「こう
いうのは自分たちの学 Y 活動では行わないから新鮮である」という旨の発言をしていたのだ。また、
他のサークル Y の人は「自分たちの学Y活動でキリスト教の勉強会や読書会を開こうとしても、人が
全然集まらないのでなりたたない。みんなで集まっても、わいわい雑談をするばかりで勉強会みたい
な議論ができない」と嘆いていた。たしかに、ボランティア活動や社会貢献が主眼にある人たちに、
聖書研究や勉強会をしようと誘っても集まりにくいだろう。しかし、寮 Y の人たちに聞いてみるとそ
のほとんどで、聖書研究や勉強会を開催しているようだった。共同生活をしているということから生
まれる意識が、それを可能にしているのだろう。そして、私はそれが寮 Y の、汝羊寮のよい点なのだ
ろうなと思った。
(遊びたい盛りであるはずの)大学生がまじめに議論や意見交換をする場があるとい
うのは、かなり貴重ですごいことだ。何か問題意識がうまれ、あることについて他者と議論や意見交
換をしたいと思っても、そうした場はなかなか見つけにくい。しかし汝羊寮ではその場が発題として
設置されている、これは非常にありがたいことだなと認識を新たにした。
10
5.4
(夏期ゼミ報告ⅲ)
夏期ゼミでの新たな気付き
松井一晃(農・B4)
今回の夏期ゼミでは、2 つの具
体的な問題意識を持つことができ
た。1 つ目は仁藤夢乃氏による
「JK ビジネス」の話。もうひと
つは金井創氏による「沖縄の基地
問題」の話である。
仁藤氏は、
「一般社団法人 女子
高校生サポートセンター Colabo」
の代表の方で、この団体では、家
庭や学校に居場所がないと感じて
いるような(「関係性の貧困」の状
態にある)少女たちが性産業などに行きつかなくてもいいように、彼女らに精神的・物理的に居場所
を与えるといった活動をしている。性産業に携わるような少女たちを見て、我々は「目先の金欲しさ
にやってるんだろ」と考えて、あまり深く考えることはしない。しかし、ひとりひとりを見ていくと、
金銭的に困窮している人もいれば、金には困ってないが上記の「関係性の貧困」に苦しんで夜の世界
に逃げているような人もいる。よって彼女らを救う方法は様々であり、対話の中で個々に合った方策
を取っていくことが重要である。仁藤氏はこのように述べていた。また、仁藤氏はこうした少女たち
が搾取されている点についても指摘していた。性産業では多くの場合、雇い手と雇われ手が対等でな
いという問題がある。外部に居場所がなく相談する人がいないという少女たちの負い目に付け込んで、
不当に儲けようとする行為はあってはならないと僕は感じた。札幌には「すすきの」という性産業が
多く存在する地域がある。
今後飲み会などですすきのを訪れ、性産業に携わる女性たちを見たときは、
上記のような視点を持っていたいと思っている。
2 つ目の話に移る。金井氏は北海道出身の牧師で、2006 年から沖縄に赴任した。赴任後、辺野古
米軍基地の建設への反対運動をおこなってきた。抗議船「不屈」の船長を務め、基地の建設を中止・
あるいは遅らせるべく奮闘している。今回は聖書研究という形で聖書と絡めて沖縄の現状について話
していただいた。
「沖縄は日本の国土の 0.6%の面積なのに、日本にある米軍基地のうち 74%も負担し
ている。沖縄はアメリカそして日本の植民地のようである」と金井氏は話していた。また、反対活動
をする島民の中には「自分たちが苦しんでいる基地を他の地域の人に押し付けるのも心苦しい」とい
う葛藤に悩む人もいるという話を聞き、いかに切実な問題かを痛感した。一方で、10 月に熊大 Y 花
陵会を訪問したときに沖縄出身の寮生と話す機会があったのだが、彼曰くほとんどの沖縄人は基地問
題に疎いのだという。だとすると、反対運動をおこなっているのはごくごく一部の人たちなのだろう
か。以上のようなことを踏まえて、僕は実際に沖縄の地に足を運び、基地建設の状況や現地の人々の
基地問題に対する考え方について知りたいと思った。「平和の武器は学習。平和の最大の敵は無関心」
という言葉があるが、本当にその通りだと思う。今後も、真理を知り続けようとする姿勢を失わない
ようにしたい。
今回の夏期ゼミでは、具体的な社会問題について知ることができた。夏期ゼミには、ある問題につ
いて知識豊富な人や価値観が大きく異なる人など様々な人がやってくるため、多くの思いを抱くこと
ができる。そんな夏期ゼミに、来年以降もぜひ来たいと強く感じている。
11
5.5
(夏期ゼミ報告ⅳ)
人間の絆
小海祈 (文・B4)
今年の夏期ゼミは途中からの参
加であり、講師の話などを聞けず、
やや物足りない内容ではあった。し
かしいつも夏期ゼミに来る馴染み深
い学 Y メンバーや、新しく出会うメ
ンバーと話す中で多くの学びや気づ
きがあり、やはり夏期ゼミに来てよ
かったと思えるような収穫が多くあ
った。
4 年目ともなると同期や先輩より
も後輩が多くなる。今年で現役の参
加としては最後になるため、後輩が
学 Y をどうしていきたいのか、今年
はそんなことに目が向いた夏期ゼミだった気がする。最後のグループ発表の前日、深夜まで多くの班
が発表の準備を頑張っていた。その多くは若いメンバーだった。思えば自分もかつて夏期ゼミに最初
に参加した時、こうして夜遅くまで発表の準備をしていたなぁとしみじみ昔を思い出す。
昨今の学 Y の若いメンバーは夏期ゼミで学ぶことに積極的だ。一人一人がまじめであるということ
なので、それはそれで良いのだが、その分交流が薄くなってきている気もする。夏期ゼミというのは
全国の学 Y が一度に集う貴重な機会であるのだから、もっといろんな寮・サークルの学 Y と親睦を深
めていったほうが良い。まじめなメンバーたちを見ていると僕はいつもそう思ってしまう。そうした
出会いをきっかけにして、夏期ゼミ以上の学びを創っていく、それが夏期ゼミの醍醐味のはずだ。
学 Y の根幹は「人」だと思っている。夏期ゼミの学びで感じた思いを、夏期ゼミの参加者と共有す
るだけじゃなく、共に形にしていく、そうしてこその収穫だろう。今の夏期ゼミのプログラムはそう
した部分が弱い。年長の参加者とこうした話を話してみると、皆やはり似たような思いを抱いている。
夏期ゼミは学びを受けに来るところなのか?それとも何かの目的を果たしにくるところなのか?
実行委員、また参加者たちがこういったことをもっと積極的に話し合う夏期ゼミになっていってもら
いたい。きっとその答えは「人」の中にある。出会い、交流する中で夏期ゼミに来るべき目的が見つ
かっていく。いやむしろそれしか方法は無いのだ。夏期ゼミは講演会でもなければ研究会でもなく、
名前には付いているがゼミナールでもないと思う。きっとこの出会いから生まれる予測不能な運動こ
そが夏期ゼミの本質なのであり、学 Y というものを説明する何かなのだろう。
夏期ゼミに来るといつも学び・気づきがある。それは教えられたものではない。出会いを通して自
分の中に生まれる「何か形にしていきたい」という思いだ。後輩たちにもこの思いをたくさん経験し
ていってもらいたい。
12
5.6
(夏期ゼミ報告ⅴ)
多様性だよう
増子翔一(農・B4 )
今年度の夏期ゼミは「Mission Impossible? ~ステレオタイプからの脱却~」のテーマのもと開催
された。目指すところは現在の社会が若者に押し付ける画一的な生き方、考え方に疑問を持ち、多様
な人の在り方を認められる社会を模索しようという趣旨であった。そのためにはまず、その社会に属
する自分たちが多様性を認めなければならない。ということで、
「ジェンダー」と「貧困」という切り
口から、参加者の学生たちとグループディスカッションをしながら考えていった。
私たちが押し付けられている画一的な考えというのは、例えば男性は働き、女性は家事をするもの
だという男女の生き方のテンプレート、お金さえあれば幸せという考え、またテレビやネットでの偏
った報道も挙げられる。私の世代では「ゆとり世代」というレッテルを貼られて生きてきた。
これらの考えに疑問を持ちながら夏期ゼミ中に議論したが、今回のテーマ「ステレオタイプからの
脱却」は、自分が脱却することよりも、社会の枠組みから脱線した他人の考えを認め、受け入れるこ
とに重きを置いているように思えた。そのためには実際に多くの人の考えに触れ、多様性を知ること
が大切であろう。このことができる場こそ、学 Y ではないだろうか。共に暮らしている寮生や夏期ゼ
ミで知り合った全国の仲間と一緒に、普段は話さないような各々の生き方を学び、また発信する学 Y
の活動が、現代を生きる私たちに求められる多様性の認知につながる。自分の殻に閉じこもるのでは
なく、他人の考えを受け入れていくことが、「ステレオタイプからの脱却」の糸口である。
私は今回で夏期ゼミへの参加が 2 回目になるが、同時に学生として参加できる最後の年でもあった。
今後の寮での学 Y 活動では、夏期ゼミで学んだことを念頭に置きながら参加していきたい。
6
全国学生 YMCA 代表者会議(日本 YMCA 同盟)
6.1
(代表者会議報告ⅰ)代表者会議に望むこと
小海祈(文・B4)
今年度の代表者会議は地区別による新しいプログラムの提案が主なる目的となっていた。各地区
に分かれてグループディスカッションがなされ、北大 Y は東日本学 Y の連携強化、また学 Y 寮によ
る新入寮生募集に関する全国懇談会の 2 つのプログラムに関わることとなった。北海道・東北地区
には 2 つしか学 Y がなく、プログラムの幅が広がっていかないという点から考え出されたのが東日
本学 Y の提案だ。これから話が進む中でどう連携をしていくのかが決まっていくのだが、東日本と
いう単位で学 Y の運動が起きうるきっかけを作れたということで意義があったと思う。新入寮生募
集に関する懇談会は九州地区が主導して提案し、近いうちに Skype を用いた会議が開催される。こ
うした、寮ならではの問題を寮同士で話し合う機会が代表者会議以外に生まれたのはとても良かっ
た思う。これからも結びつきを強めていきたい部分だと考えている。
昨年度の反省を受け、日程は夏期ゼミの直後に変更された。参加者の負担を考慮すると変更され
て良かったと思う。ただ、参加していない学 Y はまだまだ多く、代表者会議へ参加することの意味
をもう少し徹底していかなければならないと感じた。そのためには運営の改善が必要だろう。議長
団の選出方法や代表者会議で話し合う内容の吟味など、今回の反省を踏まえて更に議論してもらい
たい。昨年度に比べ決定した事項は多かったが、逆に新しいプログラムが増えすぎても各学 Y の負
担は増えるばかりだ。むしろ今までのプログラムの何を削るべきかといった反省点にも目を向ける
必要があるのではないだろうか。個人として、以前から必要と考えていた学 Y のクラウドサービス
開設を提案した。今後うまく運用すれば全国規模のプログラムの活性化に繋がると思っている。今
回個人提案は少なかったが、今後は参加者からもっと提案がなされ、新しい発想で学 Y 運動を盛り
上げていければなお良いと思っている。
13
6.2(代表者会議報告ⅱ)「東日本学 Y の連携強化」というアイディアから見る僕の学 Y 観
松井一晃(農・B4)
今回の代表者会議では、学 Y 運動の活性化に向けて各学 Y の垣根を越えた何か新しいチャレンジ
ができないか、ということを議題として取り扱った。僕は主に「東日本学 Y の連携強化」という具
体的アイディアについての議論に参加した。このアイディアは、関東の 4 つの大学(立教大・清泉
女子大・中央大・一橋大)と北海道・東北地区の 2 大学(東北大・北大)の学 Y が中心となって「東
日本」という規模で何か新たな動きを模索していこうというものである。はっきりとは覚えていな
くて恐縮であるが、これを言い出したのは僕であったように思う。この発案に至るまでの僕の胸中・
思惑は、以下の 2 つのようなものであった。
1 つ目は、
「東日本」という「中間規模の地区」としての連携があってもいいのではないか、とい
う思いである。今回の代表者会議では、他の学 Y でどのような活動をしているか、どのような問題
を抱えているかについてシェアした。しかし、1 泊 2 日という短い時間において他の寮・サークル
でどのような活動をしているか詳しく知るのは困難であるため、代表者会議以外の場でも共有する
場を設けることが重要であると考える。現在の北大 Y 汝羊寮では、他大学 Y との交流・情報共有の
場として主に「NS・冬ゼミ(北海道・東北地区)」と「夏期ゼミ(全国規模)」の 2 種類ある。北海
道・東北地区のプログラムでは、東北大 Y 渓水寮のみとの交流であるため、学 Y についての議論は
深まるが新たな視点を取り入れにくい。一方で夏期ゼミでは、多くの学 Y が集まるため、たくさん
の学 Y の事情を聞けるが、一つの事例についての議論は深まりにくい。このように考えると、「中
間規模の地区」の連携により、今より視野を広げかつ深みのある学 Y 活動を展開していけるように
なるのではないかと思う。
2 つ目は、関東で精力的に活動しているサークル学 Y から何かアイディアを吸収できないか、と
いう思いである。寮学 Y に所属するメンバーは、体育会系部活動など学 Y 以外の課外活動に主眼を
置いていることが多い。一方で、サークル学 Y のメンバーは、学 Y をメインの課外活動としている
ことが多い。このような事情からか、サークル学 Y では寮学 Y よりも幅広い活動をおこなっている
ように見受けられる。また、寮学 Y では発題や聖研など机上での議論が主とされる一方で、サーク
ル学 Y ではボランティアなど実際に外に出て活動することが多い。どちらが良いということではな
く、それぞれが得意とする(普段やり慣れている)活動を知ることで、双方ともに新たな学 Y 活動
のアイディアを得ることができるのだと思う。
以上のようなことを思いめぐらしていたのであるが、ここから僕の学 Y 観が見えてきたような気
がしている。それは、人との交流こそが学 Y であり、そこで良い刺激をもらえる、ということであ
る。言ってしまえば「会ってナンボである」ということである。現代社会においては、インターネ
ット技術の発達などにより遠くに居ながらにして会話できるようになったが、対面して相手の表情
や身振り手振りを感じながら話すことは、やはり何にも代えがたいものであるなぁ、というように
感じている。実際に会って話すことで、他の学 Y に属する人の個人的な背景やその人を取り巻く環
境を踏まえてその学 Y で取り組んでいる活動が見えてくるので、非常に深みのある理解ができるよ
うになると思う。
また、学 Y 活動にこれからもっと時間を割いて取り組んでいきたい、ということも同時に感じて
いる。3 年生まで僕はサイクリングクラブというサークルに大半の時間を費やしてきたため、時間
的に制約されることが多かったが、4 年生になってサークルを引退し、今後は、もっと多くの魅力
的な学 Y 活動ができるのではないかと感じている。
長文になってしまったが、以上を持って僕の代表者会議についての感想・報告とする。
14
7
NSCF
7.1(NS 報告ⅰ)北の国のエクソダス
佐治銀河(医・B1)
2015 年度の NS、これは僕にとって初めての外部の学 Y との交流の場であり、汝羊寮の代表とし
ての立場もあって始まる前まではかなり緊張していた。しかし、終わってみるとその緊張のせいで
あまり外部の方々との交流が阻まれてしまい、なかなか自分をさらけ出して議論したり交流するこ
とができなかった等後悔する部分が多々ある。しかしこの場で得られたものは、汝羊寮に閉じこも
ったままでは知ることができない貴重な経験であり、かなり成長することができたのではないだろ
うか、と考えている。
例えば、渓水寮の中には多くのクリスチャンがいてその考えを根拠にして会話をしていて驚いた。
これは僕自身が今まで宗教を前面に出して話してこなかったこと、また聞いてこなかったことに原
因があるが、今回はそんなことはお構いなしに自分の知らない世界を垣間見ることができた。こう
いったことは今後全国の学 Y と関わっていく上でもかなり重要な体験となると同時に、これからは
聖書やキリスト教についても学んでいき、知ることが必要になるであろう。
また、北海道ではない土地に住む文化の違いについてもとても印象に残っている。札幌市はほと
んどまっ平らなため、自転車の移動がとても便利であると同時に、冬期には雪が積もりかなり行動
を制限される。一方仙台では居住地と大学が山地にあるため、自転車移動はかなりの筋力を必要と
するので自動二輪やバスが利用されているし、冬でもそんなにライフスタイルが変わることは無い
という。こういった話は実際に訪れて暮らし、そこに常々住んでいる人に聞いてみないと分からな
いため、旅をして他の場所を知る重要性を知った。
このほかにも、同じ寮として抱えている問題について話し合ったり、女性とともに共同生活をす
る体験にもなって、これから寮を運営する手助けになりそうなことも多く得られたほか、学 Y で行
われた行事の反省や聖書研究会なども汝羊寮とは異なった形式で行われた。今回の NS で得られた
経験をもとに普段の寮生活にも生かして今後につなげたいと思う。
15
7.2 (NS 報告ⅱ)汝羊寮のいいとこ、わるいとこ
深井佑多佳 (水・B1)
この夏、仙台の渓水寮にお邪
魔してさまざまな経験をさせて
いただき、溪水寮と汝羊寮の違
う点を比較することで汝羊寮の
もつ素晴らしさ、問題点を再確
認することができました。
まず、溪水寮のロケーション
から汝羊寮がいかに恵まれてい
るかを実感することができまし
た。溪水寮は札幌に比べより閑
静な住宅地にこそ位置している
ものの、大学から距離があり、
登校の面では便利とは言えない
と感じました。一方私たちの汝
羊寮は大学のすぐそばに位置し、自転車を使えば大体どこの学部のキャンパスへも15分以内でた
どり着くことができます。登校に時間がかからないことはよりしっかりとした睡眠時間の確保やゆ
ったりとした朝食時間の確保につながり、結果より優れた健康状態を維持できるため、汝羊寮のも
つロケーション面でのアドバンテージはとても素晴らしくありがたいことだなと切に実感しました。
しかしながら溪水寮は個室も汝羊寮に比べて広く、全体として清潔さも汝羊寮よりもあるなと感
じました。私自身、友達の住んでいる寮や学生会館にお邪魔したときは汝羊寮よりきれいだなと感
じることが多々あります。いや、正直に言うと多々というよりほぼ全部のところでそう感じます。
他の寮などは業者が掃除をしているらしいので適うはずがありませんが、それでももっと私たち自
身の意識が高まればよりよい生活環境を得られるのではないかなと思います。自分たちで掃除する
ことはとても素晴らしいことであると思いますが、個々人の意識をもっと高める必要があるなと感
じました。
私が溪水寮と汝羊寮の違いで印象に残っているのはもう一つ、寮集会についてです。溪水寮では
寮集会が行われるのは月に1回でした。私は汝羊寮の月に4回寮集会を開くことについて4回は多
いのではないかなと感じています。溪水寮を見る限り月1回でもちゃんとした寮生活を送れている
と感じました。話は溪水寮から離れますが、私には北大恵迪寮に住んでいるクラスメートがいます。
彼の話を聞いていると完全自治の恵迪寮も寮集会というものがあるそうです。恵迪寮も寮集会は月
に 1 回だそうです。月に 4 回、問題について話し合うことの重要性を理解していないわけではあり
ませんが、必要性、必然性までは感じられないのが正直なところです。実際、同じ議題が長引くの
は 4 回という回数にも問題があると思われます。月に1、2回という回数は少ないのではないかと
感じるかもしれません。しかしまさにその少ないかもしれないという印象が、逆に少ない回数で問
題を解決し得なければならないという意識につながり、より濃密で効率のよい寮集会にすることが
できるのではないかと私は考えます。
16
7.3 (NS 報告ⅲ)若き首藤の悩み
首藤広樹(獣・B1)
今回の NS では、汝羊寮生による「同性愛」についての発題、仙台海の杜水族館への訪問、渓水
寮生による「外見至上主義」についての発題の 3 つが行われた。このうち「同性愛」と「外見至上
主義」についての発題に触れたいと思う。
まず、「同性愛」についての発題、この発題では私は話題を提示する側の立場になったのだが、
非常に難しい点が 2 つあった。
1 つ目は、
「同性愛」という普通の人は馴染みがあまり無いであろう(同性愛者の人を否定するよ
うで申し訳ないが)話題についての議論に、すんなりとはいってもらう為、聴衆と同性愛者の接点
を見つけること、2 つ目は自分の手元にある資料を利用して、議論に深みを持たせることである。
1 つ目については、調査途中で見つけた「英国では全人口の 5%ほどが同性愛者である」という
データを用いて、「皆さんのクラス(一クラス約 50 人)にも 2~3 人同性愛者がいるのかもしれま
せん」という少々の飛躍を含んだブラックジョークを用いることで何とか達成できたように感じた。
一方、2 つ目については、自分が口頭発表する部分の作成に精一杯であったので、背景の知識や、
問題について調べることができなかったため、不満の残る結果となった。
次に、「外見至上主義」についての発題、今度は私は、話題についての背景を聞いたうえで、疑
問、意見を投げかける立場になった。ちなみに、この「外見至上主義」というのは発題者の白さん
の母国である韓国で過度に重視され、社会問題となっているそうだ。
この発題は、グループごとに分かれて与えられた議題について議論し、その結果をグループごと
に発表するという形をとっており、私はグループ内の議論をまとめて発表することになった。しか
し、グループ内の議論の要旨を掴むことができずに、的が外れた意見を発表してしまうようなこと
があったのが残念であった。
全体を通してみると、自分の考えを発信する能力、すなわちプレゼンの力や、意見を要旨を外す
ことなくまとめ、伝える能力にまだまだ未熟なところがあると感じた。今回の経験を糧にして、こ
ういった点を改善し、磨きをかけていきたいと思った。
17
7.4 (NS 報告ⅳ)和田幸大の思い出
和田幸大(経・B2)(写真中央)
2015 年度の NSCF のホスト
は東北大学 YMCA の渓水寮で
あった。渓水寮 2 年目の若山翔
也ことネオを中心に NSCF を企
画し、ゲストとして我々汝羊寮
から 5 名と熊本大学 YMCA 花
陵会の十川翔太ことチクワが参
加した。NSCF 初日の主なプロ
グラムは「聖書研究会」、「汝羊
寮からの発題」であった。「聖書研究会」での講師は八木山聖書バプテスト教会の栗田義裕先生で、
聖書の創世記を中心に取り扱った。創世記の箇所に言及して、
「主なる神」に関するいくつかの質問
に答え、グループで意見を共有するという形式で行われた。私の参加したグループでは、4 人(男
性 2 名女性 2 名、うちクリスチャン 1 名)であったが、特に「主なる神」は全能であるか否かにつ
いて激しい議論が行われた。続いて私たち汝羊寮の発題は、
「同性愛」というテーマで、生物学的・
宗教的観点を切り口に行われた。この発題は 1 年生 3 人が中心になって編集して、発表を行った。
汝羊寮内では同性愛は容認、もしくは放任といった立場からの意見が目立ったが、渓水寮では反対
の立場からの意見もあって、議論が深まった。やはり、生まれ育ったバックグラウンドの違いが大
きいように思えたが、だからこそより多くの人の意見を聞くことのできる学 Y プログラムは充実す
ると感じた。
NSCF2 日目は、東北大学理学部の博物館・仙台うみの杜水族館の見学に行った。2 日目は両地区
の交流・観光に重きが置かれていた。博物館では文系の私には全くピンとこないものがズラリと並
んでいたが、基本一緒に回っていたチクワが解説してくれて有り難かった。また、水族館で印象的
だったのは間近で見ることのできるペンギンである。思ったよりも大きさに個体差があり(成長差
なのか種族が違うのかよく分からないが)、臭いが強かった。二足歩行で歩く様子と水中での器用さ
のギャップにも驚かされたが、やはり臭いが強烈だった。
さて、NSCF 最終日では主に渓水寮からの読書会とインドスタディキャンプの報告会が行われた。
読書会の担当は 3 年目の白さんで、
「外見至上主義」というテーマが扱われた。外見によって差別を
受ける現場を説明し、そうしたニーズに応える度の過ぎた整形手術(副作用で顔が大きく歪んでし
まう患者が出てしまうようなもの)の是非について議論した。続いて、インドスタディキャンプの
報告会では、4 年目の松本(通称ぼん)さんが発表した。そこでは、インドスタディの概要とイン
ドの様子、子供たちの交流を中心に纏められていた。学 Y プログラムの中でも定評のあるプログラ
ムと聞いていただけあってとても興味深い内容だった。
率直な感想として、とても得るものが大きかったと思う。一つに、汝羊寮の学 Y では女性の意見
を聞ける場がごく少なく、貴重な機会であるということが挙げられる。また、他の学 Y 寮の実情を
知ることで、これからの汝羊寮に活かせる様々な引き出しを作れた気がする。前回の地区プログラ
ム「冬ゼミ」ではそこまで親密になれなかった渓水寮 2 年目の面々と仲良くなれたことも嬉しい。
これからも寮の様々な問題について意見交換できたら良いと思う。最後に、NSCF の運営を中心に
まとめたネオ、我々を温かく迎えてくれた渓水寮の皆さん、遠い九州から駆けつけてくれたチクワ、
色んなアドバイスを送ってくれた同盟スタッフの森さんに感謝したい。
18
7.5 (NS 報告ⅴ)北海道・東北地区のこれまでとこれからについて
松井一晃(農・B4)
北海道・東北地区でのプログラムは、
一年に 2 回ある。9 月に行われる「NS」
と 2 月に行われる「冬ゼミ」である。こ
れまでに僕は、①1 年のときの NS(@汝
羊寮)
、②2 年のときの NS(@渓水寮)、
③3 年のときの NS(@汝羊寮)、④3 年
のときの冬ゼミ(@渓水寮)に参加して
きたため、今回の NS への参加で東北大
学 YMCA 渓水寮との交流は 5 回目であ
った。数多くの交流をしてきたが、ここ 1 年くらいで「北海道・東北地区」という地区としての活
動が大きく変わってきていると感じている。
僕が入寮したころ(3 年前)は、北海道・東北地区でのプログラムは夏の「NS」のみであった。
当時は、
「地区のくくりだし、一応交流しとくかー」というような感じであったように思われる。し
かし、昨年の夏期ゼミにおいて“地区ごとに何か新たなチャレンジができないかを考えよう”という
ことになり、その結果、北大 Y・東北大 Y で半期の学 Y 活動を報告しあう「冬ゼミ」を開く運びと
なった。このようにして冬ゼミの第 1 回目が開催されたのだが、実際に参加してみるとお互いの良
い面・悪い面が見え、今後のそれぞれの学 Y に生かせるようなアイデア・ビジョンを見出せたとい
う点で、想像を超えて非常に有意義な時間であった。大きな理由として、
「汝羊寮と渓水寮が非常に
似た存在である」ということが考えられる。人数規模(2015 年 10 月現在ともに寮生数 13 名)、寮
母さんが住む自治寮である点、学 Y 活動へ熱心な人が多く両者とも新たなものに挑戦している点な
ど、共通点が多く見受けられる。一方で、汝羊寮と異なる点もあり、これらも今後の汝羊寮を考え
ていくうえで非常に役に立った。男女混住寮であること、東北大はキャンパスがいくつかに分かれ
ており寮からの通学が不便であること、などである。
こうして、ここ 1 年くらいの間に、僕にとって渓水寮との関係は「ただ仲のいい友達」というも
のから「寮・学 Y の悩みを共有できる身近な相談相手」へと変わっていったように思う。寮・学 Y
ともに初心者である 1 年生に配慮して、NS では寮・学 Y の運営についての議論をする時間は設け
ず、発題などの勉強会や観光などを通した親睦を中心としていたが、夜の交流会において上級生で
ある和田が「聖研をどうやったらうまく運営できるか」といった内容について渓水寮の人や外部参
加者である熊大 Y 花陵会のチクワ(十川)らと熱い議論を交わしていたことからも、こうした「親
密な相談相手」としての渓水寮との関係性を伺えた。
今回の NS においても、北海道・東北地区は進化を遂げた。これまでは、ゲストは何も準備をせ
ず参加するだけだったのだが、今回はゲストである汝羊寮が準備をして発題をおこなった。また、
冬ゼミのプログラムをより意義あるものにするために、汝羊寮生 2 名・渓水寮生 2 名から成る「冬
ゼミ実行委員会」を立ち上げ、スカイプなどを通して冬ゼミに向けて何度か会議をしていくことに
なった。
最後になるが、今回の NS を通して 1 年生が少しでも渓水寮生と親睦を深められたとしたら幸い
である。今後、彼らが寮・学 Y についての知識を身につけ、渓水寮との「相談相
手」としての関係を生かしつつ、寮・学 Y の運営において引っ張って行ってくれる存在となって
くれることを願ってやまない。
19
8
雪かきボランティア
増子翔一(農・B4)
2014 年度後期の学 Y テーマは「考えて行動するよりも、行動して考える学 Y」だった。その中
で行った活動の一つで、雪かきボランティアを寮生全員で参加した。孤立してしまっている地域の
雪かきを行い、現在の北海道が実際に抱える問題について考え、また自分たちの住んでいる共同体
について実際の身の回りの足元の問題から考えていくことを目標とした。汝羊寮生は冬場、朝食前
に寮の雪かきをするのが習慣になるので、寮生が参加するボランティアとしては打って付けだった
だろう。以前から小樽市内で雪かきボランティアに参加している、汝羊寮理事で小樽商科大学教授
の船津秀樹先生のご協力のもと、1月の休日に寮生が 2,3 人に分かれて小樽市内で雪かきをした。
小樽市内とは行っても、少し中心街を離れれば急勾配の坂の町。僕たちが雪かきをさせていただ
いた民家も、歩くと滑り落ちそうな坂の上に建っていた。お住まいになっているのはご高齢の方々
ばかりで、自力で雪かきできる以上の雪が積もっていた。それはかろうじて玄関までの道が確保さ
れていて、1階の高さまでの雪だった。僕たちは主に、1階の窓が雪の重さで割れるのを防ぐため
に、その周りの雪を除けることになった。寮の周り以上の雪に、雪かきに自信のある私も苦戦した
が、終わったあとの「ありがとう、助かりました」のおばあちゃんの一言が今でも印象に残ってい
る。
小樽市内でもそうだが、全国で高齢化が課題となっている。それと同時に核家族化で祖父母が孤
立するケースが多い。私も来年度から社会人だが、実家から離れて生活することになる。寮の周り
にもご高齢の方が多く住まわれている。小樽では雪あっくのボランティアが不足しているとのこと
だったが、自分たちの周りでもそのような地域の問題が、少なからずあるはずだ。それらを他人事
にせず自らの問題として取り組むことが、物理的に孤立しやすい今の社会を保つのに重要である。
20
9
学 Y 交流会
河野行宏(文・M1)
「学 Y 交流会」とは、寮の外で
外部の人も交えて発題を行う、社
交性にあふれた企画である。2014
年度から始まったこの若い企画は
今年度も継続された。まず、前期
の交流会は、7 月 10 日(金)19
時より、北海道大学クラーク会館
にて行われた。発題者は和田幸大
(経・B2)であった。経済学部の
専門知識を活かした「現代の税制度を考える」というテーマの自由発題がなされた。参加者は寮生 13
人と SEED(札幌 YWCA 学生チーム)から 2 名の女子大学生を合わせた、計 15 名で行われた。和田
発題では、各国の税制度の概説のあと、「累進課税に賛成か、反対か」ということについて 2 つのグル
ープに別れ、討論をしあった。テーマが難しく、また反対派は累進課税反対の論理を作ることが難し
いことから、議論の方向が定まらなかった感じが少しあったが、それでも両グループによる活発な意
見交換ができた。なにより、寮外の参加者も積極的に参加してくれた。ただ、開始が 19 時からだっ
たためか、SEED の淑女が学 Y 交流会のあとの食事に来てくれなかったのは少々残念であった。交流
会が始まる前にビビンバを食べてきてしまったらしいのである。
後期の「学 Y 交流会」は、12 月 11 日(金)に、同じくクラーク会館にて 19 時から行われた。前期
の交流会で人があまり集まらなかったことを反省し、ビラや Facebook などの広報の強化、お菓子や
ジュースをこれみよがしにたくさん用意するなど磐石な体制で臨んだ。しかし、実際に外部から交流
会に来てくれたのは岸本の友人 2 人(男女 1 名ずつ)だけと、相変わらず、結局寮生の伝手でしか人
を呼べなかった。交流会では小田島良(文・B1)が「捕鯨」について自由発題をした。捕鯨の賛否を問
う発題で、小田島のしっかりとした準備のおかげで、賛成・反対の双方の言い分をかなり詳細に検討
することができた。
もともと「学 Y 交流会」は寮外で学 Y メンバーを作ろうという試みから始まったらしい。実は、北海
道大学 YMCA のサークル Y 化を試みた重要な一歩目だった(寮 Y とサークル Y の違いについては、
4.3 の小田島報告参照)
。しかし、2015 年度の交流会で実証されたように、ビラをまいても、広報し
ても、人は来てくれない。YMCA のブランド力は依然として弱いのだろうか?広報に問題があったの
か?テーマが悪いのか?カルト集団だと思われたのか?学期に一度の単発企画では人は来ないのだろ
うか?本当にサークル Y になりたいのか?これらのことを反省しているうちに、学 Y 交流会を行うこ
との意義自体が見えなくなった今年度の交流会であった。ただ、寮外で発題を行ったり・外部から人
を呼ぶこと(特に女子)はとても刺激的でまったく無意味というわけでないことは確かである。
今度、学 Y 交流会を行うかどうかは、未来の学 Y 代表が決めることである。交流会のための準備の
時間や費用はけっして軽いものではない。いつまでの交流会をするのか、どの目的のために行うのか
ははまだわからない。今後の報告書に期待されたい。
21