第 15 回の日本ダイレクトマーケティング学会全国研究発表大会の統一論題と して「ネットとリアルの競争・協調・新展開」を設定いたしました。ダイレク トマーケティングの歴史をみていくと、シアーズローバック社は通信販売から 事業をはじめて、店舗販売を含めて世界最大の小売業であった時期があります。 日本でも、百貨店は店舗販売だけでなく、通信販売ビジネスで大きな役割を果 たしてきました。インターネットが活用されるようになって、ネット販売と店 舗販売の関係も多様に進展してきています。2000 年ごろには brick & mortar という用語が流行ったこともあります。本学会でも、マルチチャネルの研究が 行われたり、前回はオムニチャネルについて基調講演が行われました。このよ うに見てくると、ネットとリアルの関係というのは、単にネットが普及してか らの問題ということではなくて、そもそもダイレクトマーケティングの創成期 からの課題であったと言えましょう。 そこで、改めて両者の関係を整理することが時宜にかなっていると思います。 ネット活用のダイレクトマーケティングとリアルのマーケティング・ダイレク トマーケティングとの間での競争優位性の分析。リアル主体のビジネスとネッ ト主体のビジネスとの併立に関する経営課題とその克服。今後の両者の関係が どのようになっていくのかの分析など学会として研究すべきことが多々ある領 域であると思われます。もちろん、両者を併用する場合の顧客管理や物流体制 など関連領域も変化が見られるはずです。このようななかで、新しい視点から の研究を求めております。 会員および会員外の方も含めて、ダイレクトマーケティングの今後の方向性に 重要なこれらの点で、活発な議論が行われ、それに触発されてさらなる研究が つながって行われていくことを願っております。 大会運営委員長 長島 広太
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