時代とともに歩む信用保証協会

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時代とともに歩む信用保証協会
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時代とともに歩む信用保証協会
∼中小企業支援の新たな取り組み∼
長崎県信用保証協会
会 長 田 中 桂之助
昭和52年 4月 長崎県 採用
平成14年 4月 同 政策調整局 政策評価課長
平成16年 4月 同 総務部 財政課長
平成18年 4月 同 政策企画部長
平成20年 4月 同 知事公室長
平成23年 4月 同 副知事
平成26年 3月 長崎県 退職
平成26年 6月 長崎県信用保証協会 会長就任
1.はじめに
2.信用保証協会と信用補完制度
長崎県信用保証協会(以下、
「当協会」と
信用保証協会は、信用保証協会法に基づき、
いいます。)は昭和27年設立以降、長崎県内
中小企業の金融円滑化のために設立された公
の中小企業・小規模事業者(以下、
「中小企業」
的機関であり、中小企業の皆様が金融機関か
といいます。
)の皆様の金融円滑化を通じて
ら事業資金を調達される際、信用保証を通じ
県内経済の活性化と地域の発展に貢献できる
て資金調達をサポートし、中小企業の創業、
よう尽力してきました。近年は信用保証を一
維持、発展を支援します。
層強化しつつ、中小企業の創業支援、経営支
信用保証協会では、中小企業のニーズに応
援にも役割を広げており、今後、さらに地方
じた多様な保証制度や地方公共団体の制度融
公共団体や金融機関、商工関係団体等と連携
資をご用意しています。お取引金融機関のプ
を強めて地方創生の期待にも応えていきたい
ロパー融資と併用することで融資枠の拡大に
と考えています。
もなり、また、スムーズな融資が受けられ、
本稿では、当協会に対して理解を深めてい
後述する外部専門化派遣事業等の経営支援メ
ただき、さらに活用していただけるよう、信
ニューもご利用いただけることとなります。
用保証制度の仕組みや役割、これまでの経
中小企業の方であれば、一部の業種・業態
緯、現在の当協会の取り組みについてご紹介
を除いてほとんどの方が信用保証協会の保証
します。
付き融資をご利用いただくことができ、保証
利用に当たっては、原則として、法人代表者
ながさき経済 2016.3
1
以外の連帯保証人は必要ありません。
この信用保証協会が金融機関に対して中小
企業の債務を保証する信用保証制度は、これ
3.信用保証制度の歩みと
経済危機への対応
経済危機への対応
を国が出資する日本政策金融公庫によって再
わが国の信用保証制度は、昭和12年ドイツ
保険する信用保険制度と連結して運用され、
を範として設立された東京信用保証協会の開
世界に類をみない特徴的な制度として発展し
業から始まりました。その後、昭和23年の中
てきました。信用補完制度はその総称であり、
小企業庁の発足、昭和25年の中小企業信用保
具体的な仕組みは図表1のとおりです。
険法の制定、昭和28年の信用保証協会法の制
信用保証協会の保証によって融資を受けた
定などによってその歩みを固め、戦後の経済
中小企業が所定期限までに金融機関へ借入金
復興、自立から高度成長、経済変動、安定成
の返済を行わない場合、信用保証協会は中小
長、バブル景気による急速な内需主導の景気
企業に代わって金融機関に代位弁済します。
拡大とその崩壊後の複合不況など、一貫して
また、信用保証協会は保険料を日本政策金融
中小企業を金融面で支えるため、その時代に
公庫に支払い、代位弁済が生じた場合はその
応じた様々な保証制度で対応してきました。
弁済額の一定割合を保険金として受領し、そ
特に、平成9年(消費税駆け込み需要の反
の後、中小企業から回収の都度、受領した保
動、金融システム不安、リストラによる失業
険金の割合に応じて日本政策金融公庫に返納
増加、内需低迷、東南アジアの通貨危機等に
します。
よる戦後最大の不況)や平成20年(米大手投
資銀行リーマン・プラザーズが破綻し信用不
図表1 信用補完制度の仕組み
2
ながさき経済 2016.3
寄 稿
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時代とともに歩む信用保証協会
安から世界的な金融危機に陥ったことによる
に11,699件、1,349億円の緊急保証を保証承諾
経済危機、いわゆるリーマンショック)の経
しました。
済危機下においては、金融安定化特別保証や
緊急保証など積極的な保証を展開し、中小企
業の倒産防止に貢献しました。
4.長崎県内中小企業の現況
当協会では、平成10年10月から平成13年3
信用保証制度は中小企業を対象としていま
月までに12,423件、1,703億円の金融安定化特
すが、長崎県内の中小企業数は図表2のとお
別保証と平成20年10月から平成23年3月まで
り、中小企業白書によると平成24年に44,687
図表2 企業数の推移
(社)
平成13年
全 国
長崎県
総数
大企業
中小企業
うち小規模企業
総数
大企業
中小企業
うち小規模企業
構成比
100.0%
0.3%
99.7%
87.2%
100.0%
0.1%
99.9%
88.1%
4,703,039
13,430
4,689,609
4,102,169
55,812
72
55,740
49,157
平成18年
4,210,070
12,351
4,197,719
3,663,069
50,281
53
50,228
44,243
構成比
100.0%
0.3%
99.7%
87.0%
100.0%
0.1%
99.9%
88.0%
対H13
▲10.5%
▲8.0%
▲10.5%
▲10.7%
▲9.9%
▲26.4%
▲9.9%
▲10.0%
平成24年
3,863,530
10,596
3,852,934
3,342,814
44,730
43
44,687
39,157
構成比
100.0%
0.3%
99.7%
86.5%
100.0%
0.1%
99.9%
87.5%
対H13
▲17.9%
▲21.1%
▲17.8%
▲18.5%
▲19.9%
▲40.3%
▲19.8%
▲20.3%
対H18
▲8.2%
▲14.2%
▲8.2%
▲8.7%
▲11.0%
▲18.9%
▲11.0%
▲11.5%
*中小企業白書付属統計資料[都道府県別企業数(民営、非一次産業)]によるものであり、年はその基となる調査が行われた
年です。
図表3 県内市町別事業所数の増減
事業所数
市
町
別
長 崎 県
長
崎
市
佐 世 保 市
島
原
市
諫
早
市
大
村
市
平
戸
市
松
浦
市
対
馬
市
壱
岐
市
五
島
市
西
海
市
雲
仙
市
南 島 原 市
長
与
町
時
津
町
東 彼 杵 町
川
棚
町
波 佐 見 町
小 値 賀 町
佐
々
町
新 上 五 島 町
建
設
業
製
造
業
卸売業,小売業
宿泊業,飲食サービス業
医 療 , 福 祉
主な産業
63,085
19,451
11,091
2,596
5,963
3,399
1,725
1,012
1,947
1,510
2,372
1,126
2,042
2,515
1,127
1,366
291
554
966
152
675
1,205
5,805
4,217
18,107
8,023
5,739
うち
構成比 20人以下
100.0% 57,917
30.8% 17,562
17.6% 10,134
4.1%
2,407
9.5%
5,406
5.4%
3,093
2.7%
1,630
1.6%
933
3.1%
1,869
2.4%
1,440
3.8%
2,250
1.8%
1,030
3.2%
1,905
4.0%
2,396
1.8%
1,038
2.2%
1,206
0.5%
266
0.9%
517
1.5%
913
0.2%
148
1.1%
631
1.9%
1,143
9.2%
5,407
6.7%
3,616
28.7% 17,088
12.7%
7,553
9.1%
4,594
(所、人、%)
平 成 26 年
平成21年からの増減率
従業者数
事業所数
従業者数
うち
うち
うち
うち
うち
うち
構成比
5人以下
20人以下 5人以下
20人以下 5人以下
20人以下
42,434 552,654 100.0% 258,805 100,543 ▲6.3% ▲7.1% ▲8.2% +0.3% ▲5.7%
12,618 206,911
37.4% 80,609 30,338 ▲6.2% ▲7.1% ▲8.8% +3.4% ▲5.0%
7,231 96,679
17.5% 47,227 17,340 ▲6.8% ▲7.5% ▲8.8% ▲3.3% ▲6.9%
1,805 18,612
3.4% 10,234
4,180 ▲8.2% ▲9.2% ▲10.2% ▲1.4% ▲7.1%
3,757 58,588
10.6% 26,489
9,181 ▲3.9% ▲4.0% ▲3.7% ▲0.6% ▲4.4%
2,138 32,808
5.9% 15,052
5,176 +1.1% +0.3% ▲0.6% +6.0% +1.6%
1,285 10,334
1.9%
6,345
2,897 ▲6.7% ▲7.6% ▲8.8% ▲5.0% ▲7.8%
716
8,247
1.5%
3,898
1,679 ▲14.6% ▲16.0% ▲15.4% ▲8.0% ▲15.9%
1,509
9,012
1.6%
6,685
3,345 ▲7.7% ▲8.5% ▲8.8% ▲7.1% ▲9.0%
1,092
9,146
1.7%
5,961
2,650 ▲8.8% ▲9.0% ▲9.7% ▲5.9% ▲8.7%
1,836 12,487
2.3%
8,068
3,962 ▲6.7% ▲7.7% ▲7.4% ▲1.7% ▲9.2%
756 10,008
1.8%
4,572
1,782 ▲7.4% ▲9.2% ▲10.5% ▲2.0% ▲7.5%
1,419 14,665
2.7%
8,272
3,274 ▲7.4% ▲7.8% ▲9.1% ▲5.4% ▲6.4%
1,883 14,850
2.7%
9,977
4,640 ▲9.2% ▲9.6% ▲11.2% ▲2.9% ▲5.1%
737
8,981
1.6%
4,787
1,677 ▲3.9% ▲3.8% ▲7.4% ▲5.7% +0.0%
802 15,448
2.8%
6,332
1,950 ▲1.9% ▲3.4% ▲2.9% +7.6% ▲3.5%
185
2,740
0.5%
1,311
457 ▲1.0% ▲2.6% ▲4.6% +8.4% +0.8%
385
4,433
0.8%
2,192
871 ▲13.0% ▲13.8% ▲15.9% ▲10.4% ▲11.8%
726
6,682
1.2%
3,558
1,621 ▲6.3% ▲7.1% ▲8.3% +15.5% ▲7.0%
131
570
0.1%
468
307 ▲4.4% ▲4.5% ▲1.5% ▲11.5% ▲7.3%
480
5,626
1.0%
2,716
1,157 ▲4.4% ▲4.2% ▲6.4% +14.0% +1.6%
943
5,827
1.1%
4,052
2,059 ▲10.4% ▲12.1% ▲12.0% ▲6.2% ▲10.7%
3,629 41,203
7.5% 27,068
9,250 ▲12.1% ▲13.2% ▲12.0% ▲10.7% ▲14.1%
2,428 73,812
13.4% 19,271
6,566 ▲0.8% ▲1.0% +0.9% +4.6% ▲3.4%
12,746 116,461
21.1% 75,058 32,037 ▲13.0% ▲13.6% ▲15.2% ▲9.0% ▲11.5%
5,587 60,163
10.9% 33,710 13,884 ▲5.0% ▲5.8% ▲7.0% +15.2% ▲4.3%
2,069 107,241
19.4% 32,885
5,873 +19.4% +17.7% +9.8% +21.4% +21.6%
うち
5人以下
▲8.6%
▲8.9%
▲9.9%
▲9.8%
▲5.0%
▲0.2%
▲9.8%
▲12.9%
▲9.0%
▲10.2%
▲8.7%
▲10.1%
▲9.9%
▲11.3%
▲11.8%
▲1.3%
▲1.1%
▲14.7%
▲10.9%
▲5.2%
▲6.5%
▲10.4%
▲11.2%
▲1.1%
▲15.1%
▲7.7%
+9.2%
ながさき経済 2016.3
3
社となっており、県内事業所の99.9%を占め
る一方、約10年間で19.8%、約5年間で11.0%
減少しています。
このような中、当協会の保証は県内中小企
図表3は、経済センサスによって県内市町
業の約3割に当たる12,076社の方にご利用い
毎の一次産業を除く民営事業所数と従業者数
ただいています。
を見たものです。平成26年の調査と平成21年
近年における当協会の事業実績を見ると、
の調査を比較すると、県全体では事業所数が
全国的に保証承諾が減少する中、当協会独自
6.3%減少する一方、従業者数は0.3%増加し
の保証制度の創設等により保証推進に努め、
ています。しかし、事業所数の91.8%、従業
全国51の保証協会で唯一、平成24年度から3
者数の46.8%を占める従業者20人以下の事業
年連続で増加しています。
所では、事業所数が7.1%減少し、従業者数
また、保証債務残高は、緊急保証の終了に
も5.7%減少しています。特に、事業所数の
加え、金利低下の状況下における保証料の負
67.3%、従業者数の18.2%を占める5人以下
担感もあり年々減少していますが、その減少
の事業所では、それぞれ8.2%、8.6%の減少
率は他協会と比べて小幅にくい止められてい
となっており、小規模事業者ほど、減少傾向
ます。
が強くなっています。
その状況は図表4のとおりです。
なお、主な産業では、
「医療、福祉」がほと
一方、代位弁済は、中小企業金融円滑化法
んどの市町で事業所数、従業者数ともに増加
する一方、「卸売業、小売業」は、商業集積
によって差はありますが、事業所数が全21市
町、従業者数が18市町で減少しています。従
業者数は、「製造業」で14市町、「宿泊業、飲
図表4 保証利用状況
保証企業数
年 度
H24
H25
H26
(社)
中小企業数
48,638
44,687
44,687
長 崎 県
保証企業数
12,118
12,082
12,076
保証利用度
24.9%
27.0%
27.0%
食サービス業」で11市町に増加が見られます。
*中小企業数は、中小企業白書付属統計資料[H25、
H26は そ の 都 道 府 県 別 企 業 数( 民 営、 非 一 次 産 業、
2012年)]によるものです。
また、日本銀行長崎支店による長崎県の金
保証承諾
融経済概況報告では、県内経済が全体として
年 度
緩やかな回復基調を続けている中で中小企業
H24
H25
H26
H27(12月末)
の景況感は弱めの動きとなっていると述べら
れており、そのほかの調査機関の報告を見て
も、業種や地域による差はあるものの中小企
業は総じて厳しく、人手不足や売上不振など
が経営の課題として挙げられています。
4
5.当協会の事業実績
ながさき経済 2016.3
保証債務残高
年 度
H24
H25
H26
H27(12月末)
(百万円)
長 崎 県
九州
全国
金額
前年同期比 前年同期比 前年同期比
69,043
105.9%
94.2%
84.4%
72,467
105.0%
91.0%
95.4%
75,573
104.3%
92.2%
96.1%
57,799
102.3%
103.6%
101.6%
(百万円)
長 崎 県
九州
全国
金額
前年同期比 前年同期比 前年同期比
167,155
97.3%
94.1%
93.1%
166,365
99.5%
93.1%
92.8%
161,104
96.8%
93.0%
93.0%
160,392
100.1%
93.4%
93.2%
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時代とともに歩む信用保証協会
への対応、経営支援強化等による中小企業の
います。県・市町制度は、県・市町が保証料
倒産減少もあって、近年は低水準で推移して
の全部又は一部を補助していますが、当協会
おり、代位弁済後の回収は、担保や第三者保
では、制度創設や保証料補助を後押しするた
証人の減少等により減少傾向にあります。
め、平成27年度から全創業保証の保証料率を
引下げています。加えて、創業者に対して、
6.公的な「支援機関」としての
取り組み
負担した保証料を市町が直接補助する仕組み
も4市町にできているため、創業保証は利用
しやすくなっています。
当協会では、平成27年度からの新たな中期
創業保証の保証承諾は、平成24年度108件
事業計画の業務運営方針において、従来の公
483百万円、H25年度132件586百万円、H26
的な「保証機関」としての地域経済発展の寄
年度146件626百万円、H27年度(12月末)126
与に加えて、公的な「支援機関」として中小
件528百万円(前年同期100件438百万円)と
企業のライフステージに対応した支援を充
順調に増加しており、特に、創業者の実質負
実、強化することとし、内部体制も拡充して
担(利息・保証料)が少ない市町制度の利用
います。
が大幅に増加しています。
以下、具体的な取り組みをご紹介します。
平成28年度に向けて制度創設を検討してい
る市町もあり、創業保証はさらに充実する見
【創業支援】
込です。
創業支援は、近年、当協会が特に力を注い
さらには、金融機関、商工会議所、商工会
でいる分野の一つであり、創業支援に向けて、
等との関係機関との連携を強化し、創業した
中小企業診断士、経営アドバイザーの有資格
い方の創業前の相談から創業後のフォロー
者である職員を配置し、専門的で質の高い
アップまで事業面や金融面でトータルの支援
サービスを提供できるような体制を整えてい
を行っています。
ます。
関係機関が主催する創業セミナーへの講師
また、地方公共団体とも連携して創業資金
派遣等にも積極的に関与するほか、平成26年
保証制度(以下、「創業保証」といいます。)
度から当協会主催の創業セミナーも開催して
の充実を図っています。平成25年度では創業
います。
保証は6制度のみ(協会独自制
度3、県制度1、市町制度2)
図表5 創業支援状況
でしたが、平成27年12月までに
年 度
15制度(協会独自制度3、県制
H25
H26
H27(12月末)
度1、市町制度11)に増加して
(件、百万円、回、社)
創業保証
制度数
件数
6
9
15
132
146
126
保証承諾
前年
同期比 金額
122.2%
586
110.6%
626
126.0%
528
前年
同期比
121.3%
106.8%
120.6%
創業相談
回数
フォロー
企業数
96
116
120
73
93
48
ながさき経済 2016.3
5
【経営・再生支援】
や、弾力的な返済緩和等による資金繰り支援
平成24年8月に設立した、金融機関、商工
と併せて、経営改善に積極的に取り組む中小
関係団体等によって構成する「がんばる長崎
企業への当協会費用負担による支援策として、
中小企業経営支援ネットワーク」を主催する
平成25年5月から「外部専門家派遣事業」
、
とともに、個別中小企業の経営支援や再生支
また、平成25年10月から「経営改善計画策定
援に向けた「経営サポート会議」を開催し、
支援事業にかかる補助事業」を実施し、平成
取引金融機関等との目線合わせを行い、連携
27年6月からは「経営支援強化促進事業」を
した支援に取り組んでいます。
実施しています。
また、金融正常化に向けた借換保証の推進
「外部専門家派遣事業」をご利用いただい
図表6 経営・再生支援事業
事 業 名
事 業 内 容
費 用
事業開始
実施状況
(H27年12月現在)
経営サポート
会議
当協会が事務局を務め、金融機関、商工関係団体等と構成す
る「がんばる長崎中小企業経営支援ネットワーク」における
会議の1つ。個別中小企業の経営支援や再生支援に向けて関
係者間の目線合わせを行い、連携した支援に取り組むための
会議。
―
H24年8月
167回開催
(その他、他機関主
催のバンクミーティ
ングに394回出席)
外部専門家派
遣事業
中小企業が抱える販路開拓、IT活用等の経営課題に対して、
専門的な知識と経験を有する有資格者等を派遣し課題解決を
当協会が全部を
図ることで、中小企業の成長と事業の発展を促進するもの。
負担
原則として、専門家派遣1回あたりの実施時間は2時間以上、
派遣回数は5回まで。
H25年5月
42企業に実施
経営改善計画
策定支援事業
にかかる補助
事業
国が実施する税理士、金融機関等の認定支援機関による経営
改善計画策定支援事業を利用し、経営改善・事業再生に取り
組む中小企業に対して、費用の自己負担分を補助することで
経営改善計画策定を支援し、中小企業の経営改善・事業再生
を促進するもの。
原則、国の補助
2/3を除く自
己負担分の半分
を当協会が補助
H25年10月
82企業に実施
経営支援強化
促進事業
積極的な経営支援を行うことで経営状況の改善を図ることが
見込まれる中小企業に対して、主要取引金融機関と連携し当
協会職員等による訪問を実施し、経営状況に応じて中小企業
診断士等の専門家による客観的な経営診断や経営状況改善の
ための事業計画策定等の支援を行うもの。
当協会が全部を
負担
H27年6月
経営診断を9企業、
事業計画策定を13企
業に実施
図表7 「経営支援強化促進事業」実施体制図
6
ながさき経済 2016.3
寄 稿
Contribute
時代とともに歩む信用保証協会
た企業からは、自社の経営を見直すきっかけ
となり、その後の業績改善にも貢献している
7.保証制度の充実
など、好評の声を多くいただいています。
当協会は、公的な「保証機関」として、国
「経営支援強化促進事業」は、経営の安定
や地方公共団体の中小企業施策に基づく様々
に支障が生じ、借入金の返済緩和等を行って
な保証制度を創設するだけでなく、中小企業
いる中小企業のうち、積極的な経営支援を行
のニーズに対応した、使いやすい保証制度も
うことで経営状況の改善を図ることが見込ま
独自に創設してきました。今年度創設した、
れる方に対して、当協会が主体となった支援
短期資金を活用した擬似資本的な安定した資
を行い、経営安定化に向けた道筋をつけるこ
金の調達(5年間継続借入可能)を支援し、
とを目的としています。
中小企業の経営環境の整備を支援するための
具体的には、支援対象の中小企業に対して、
「短期資金活用保証ワイド」など、これらの
主要取引金融機関と連携し当協会職員等によ
制度は多くの中小企業の皆様に活用していた
る訪問を実施し、経営状況に応じて、当協会
だき、併せて保証推進の成果にも繋がってい
が費用を負担して中小企業診断士等の専門家
ます。
による客観的な経営診断や、経営状況改善の
また、平成27年度においては、県・市町・
ための事業計画策定等の支援を行います。
当協会の三位一体での中小企業に対する積極
的な金融支援として、多くの制度資金の創設・
図表8 平成27年度における県・市町・当協会の制度資金創設・改正状況
制度資金
創設 改正
長
崎
県
1
7
長
崎
市
1
1
佐世保
島 原
諫 早
平 戸
松 浦
壱 岐
五 島
雲 仙
長 与
川 棚
市
市
市
市
市
市
市
市
町
町
1
1
1
1
1
1
1
1
波佐見町
1
1
新上五島町
当 協 会
(合計)
1
10
24
45
補助
開始
5
1
2
1
1
1
1
1
内 容
短期資金創設(経営安定資金から分離)
、経営安定資金等の保証対象拡大・資金使途拡大、一律
の貸付利率適用制度の貸付利率引下げ等
創業保証創設(開業資金をリニューアル・保証料全部補助)、いきいき企業者支援資金の保証対
象拡大
貸付利率引下げ、創業保証の保証対象拡大、緊急資金の据置期間延長
貸付利率引下げ
貸付利率引下げ
創業保証創設(保証料全部補助)、振興資金の据置期間容認・保証料補助を全部に拡大
振興資金創設(保証料補助)、県創業保証への保証料補助を開始
創業保証創設(保証料全部補助)
創業保証創設、振興資金に業容拡大追加(ともに利息・保証料補助)
県創業保証への保証料補助を開始
創業保証創設(保証料補助)、振興資金の貸付利率引下げ
創業保証創設、振興資金の限度額増加・期間延長・据置期間容認・貸付利率引下げ
創業保証創設(保証料全部補助)、振興資金の限度額増加・期間延長・貸付利率引下げ・保証料
補助を全部に拡大
創業保証等、利用した制度に関係なく保証料補助を開始
短期資金活用保証ワイド創設、創業保証等の保証料率引下げ
3
(注意)1.補助開始は、他の地方公共団体等が実施する制度資金の利用者に対する保証料補助を開始したものです。
2.当協会の保証料率引下げは、創業保証、特別小口保証及びセーフティネット保証にかかるものであり、改正24制度中、
その取扱いを含む県市町制度19制度を含みます。
ながさき経済 2016.3
7
改正を行いました。先に述べた創業保証をは
証の取り扱い)などを内容とする見直しの方
じめ、県・市町の保証制度は大幅に拡充され、
向性が示されました。
保証対象者の拡大や貸付利率・保証料率の引
今後、その具体的な制度設計に移行するこ
下げ、保証料補助等により中小企業の利便性
ととなっていますが、信用保証協会では、全
を向上することができたものと思っています。
国規模での研究会等の開催を重ねながら、こ
今後とも、依然として厳しい経営環境にあ
れに対応していくこととしています。
る中小企業の多様な資金ニーズに的確に応え
当協会としては、長崎県内の中小企業の健
るため、地方公共団体や金融機関と連携し、
全な発展に引き続き貢献するため、公的な
なお一層利便性の高い保証制度を研究・開発
「保証機関」として、また、公的な「支援機
するとともに、各種保証制度を多くの中小企
関」として、新しい時代にふさわしい信用保
業にご利用いただくため、広報活動にも注力
証協会への進化をめざして努力を重ねてまい
し、周知を図っていく予定です。
ります。
皆様方の当協会に対する、なお一層のご理
8.信用保証制度見直しの動き
平成27年10月、法律改正によりNPO法人
が新たに保証対象となりました。当協会では、
これまで障がい者の就労支援を行うNPO法
人2社へ保証承諾を行っています。
信用保証制度は、70有余年の歴史を有する
中小企業支援制度であり、それぞれの時代に
おいて中小企業が金融機関から融資を受ける
生命線として大きな役割を果たし、制度その
ものも様々に見直されてきました。現在もそ
の意義は評価されつつ、一方で様々な課題も
指摘されています。
政府は昨年6月の日本再興戦略2015、骨太
の方針2015において、信用保証制度のあり方
について検討することを閣議決定し、これを
受けて昨年12月に中小企業政策審議会基本問
題小委員会ワーキンググループから責任共有
制度の在り方(金融機関に対する一律80%保
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ながさき経済 2016.3
解、ご支援をお願いいたします。