大川原、野上、熊地区他 航空機モニタリング概要 この地図の作成に当たっては、国 土地理院長の承認を得て、同院発 行の基盤地図情報を使用した。(承 認番号 平27情使、第933号) 大川原・野上・熊地区他航空機モニタリング概要 2015-12-25 大熊町 応用地質株式会社 大熊町・OYO Copyright ©Okuma Town, OYO Corporation. All right reserved 1. 業務目的 大熊町内での比較的線量の低い大川原地区の居住・生活圏および森林において、無人ヘリコプ ター等を用いたモニタリングにより、詳細な空間線量率を調査し、当該地区の安全・安心に必要な 情報を提供し、もって住民の帰還促進と町土の復興・再生を目指す。 2. 工期と工程 平成27 (2015)年4月24日~平成27 (2015)年12月25日 全体工程 平成 27 年 項 目 No 5 1 調査計画・ヘリ/検出システム準備 2 関係機関調整 (警察ほか) 3 ヘリ測定・地上測定・キャリブレーション 4 解析およびマッピング 5 報告書作成 6 打合せ・報告 6 7 5/18 6/15 大川原・野上・熊地区他航空機モニタリング概要 8 7/29 大熊町・OYO 9 備考 10 11 12 12/15 2 3. 測定対象地域 © Esri japan 大川原・野上・熊地区他航空機モニタリング概要 大熊町・OYO 3 4. 測定方法 無人ヘリコプター仕様 GPS アンテナ カメラ ヘリ本体仕様 ヤマハ発動機(株)自律飛行型無人 ヘリコプターRMAX G1 全長×全幅×全高:3630mm×720mm×1220mm 最大重量 :94㎏ 飛行可能時間 :90 分 最大搭載可能重量 :10 ㎏ 最高速度 :72km/h 搭載機器:全方位 CCD カメラ、 GPS センサー LaBr検出器 LaBr検出器仕様 結晶寸法 :LaBr3(Ce) φ1.5インチ×長さ1.5インチ×3本 温度補償型アンプ:5℃~ 40℃ Cs-137ピークにて±2%以内 記録内容 :時間、経度、緯度、高度、計数率(1024ch) 検出器 :約315mm×315mm×200mm 大川原・野上・熊地区他航空機モニタリング概要 大熊町・OYO 4 測定高度と速度 測定仕様 • • • 速度 飛行高度 飛行間隔 :8m/秒 (標準) :80-150m (標準) :80m 安全飛行優先なので山林、高圧線そばなどは 標準より飛行高度が上がることがあります 無人ヘリは8m/秒の速度で測線(p.7)に沿って 飛行し、1秒毎にデータを記録します。測線は 飛行制限エリアを除いて約80m間隔で設定し ています。 飛行制限 • 人が大勢いる場所の上空など (日曜日など人がいない時に測定します) • • 送電線, 原発敷地境界, 国道6号, 常 磐自動車道より100m以内 天候が悪い場合(雨、強風(5m/s以 上)、視界不良 高度100mでとらえるガンマ線はおおよその目安として高 度を半径とする円の内部の平均的な値とされています。 このため、地上でサーベイメータによりホットスポット(ある いは逆に低い部分)が確認されていても、その地点の無 人ヘリによる1m線量率解析値はサーベイメータの値とは かならずしも一致しません。 (翌日以降に改めて飛行します) 大川原・野上・熊地区他航空機モニタリング概要 大熊町・OYO 5 基地局の状況 LaBr3検出器が出力するスペクトルの例 コントロールシステム 十分な計数率を確保し、精度を上げることを主眼として、現行 の解析では50-1600keVの合計の計数率を使用しています 上の図は1フライトのデータを平均した値です。1秒毎に記録される データはもっと凸凹していてピークがわかりずらいこともあります。また、 この図はもっと線量の多い場所で測定したもので、こんな場所にピー クがでるという参考で掲載しているものです。 大川原・野上・熊地区他航空機モニタリング概要 大熊町・OYO 6 5. 調査範囲・軌跡 背景地図は国土地理院の基盤地図情報を使用した。 キャリブレーション地点は検出器の解析パラメータの検証を行った地点のことです。 大川原・野上・熊地区他航空機モニタリング概要 大熊町・OYO 7 6. 解析図 (1m線量率分布図・Cs-137+Cs-134合計沈着量分布図) 背景地図は国土地理院の基盤地図情報を使用した。 背景地図は国土地理院の基盤地図情報を使用した。 1m線量率等値線はラスタを 平滑化したものから作成した 大川原・野上・熊地区他航空機モニタリング概要 大熊町・OYO 8 マップの色分けの考え方 線量率 セシウム沈着量 *天然核種を含む線量率 玄米中の放射性セシウム濃度が食品衛生法上の暫定規制値*) (500Bq/㎏)となる土壌中の放射性セシウム濃度の上限値は、水田 での移行指標0.1から5000Bq/kg。水田の場合、このセシウムが、地 表面から15cm深さまでに沈着している仮定した場合において、放射 性物質の蓄積量(Bq/㎡)に換算すると、約1000kBq/㎡となる。 その場所で居住するとして、1日あたり屋外8時 間、屋内16時間で生活、屋内は屋外の0.4の線 量になる(低減率)として計算する。 例) (3.8µSv/h ×8h/日 + 3.8 µSv/h×0.4 ×16h/日)×365日/年=19.97mSv/年 凡例 (単位:μ Sv/h) 凡例 (Bq/㎡) *) 暫定規制値は2012年11月により厳しくなって基準値に改正 ≒20mSv/年 基準日 2014年10月31日 線量率 mSv/年 線量率 μSv/h 200 150 100 50 20 10 5 2.5 38.0 28.5 19.0 9.5 3.8 1.9 1.0 0.5 基準日 2014年10月31日 線量率(μSv/h) セシウム 線量率 地上サーベイ Bq/㎡ 38.0 < 38.0 < 28.5 - 38.0 28.510000k - 38.0 19.0 - 28.5 19.0 6000k - 28.5 9.5 - 19.0 3.8 - 9.5 1.9 - 3.8 1.0 - 1.9 0.5 - 1.0 ≦ 0.5 上記の説明は事故直後の航空機モニタリング等が開始され た時点での説明です。現在でもこの色分けが広く使用されて いるため、色分けの解説として説明を載せています。 大川原・野上・熊地区他航空機モニタリング概要 9.5 - 19.0 3000k 1000k 1.9 - 3.8 600k 1.0 - 1.9 0.5 - 300k 1.0 100k ≦ 0.5 3.8 - 9.5 Cs137沈着量(Bq/㎡) CsTotal沈着量 6000K < 中間値 10000kの約半桁下 10000k×1/10 6000k×1/10 3000k×1/10 1000k×1/10 3000K - 6000K 1000K - 3000K 600K - 1000K 300K - 600K 100K - 300K ≦ 100K (参考) 原子炉等規制法やRI法における管理区域の設定基準:表面汚染密度α線 を放出しないもの:40Bq/c㎡の10分の1(= 40kBq/㎡) 大熊町・OYO 9 7. 無人ヘリ1m線量率解析値と地上測定値との比較 これらの値は周 囲の値より低め 無人ヘリ測定と同一日に地上でもNaI(Tl)サーベイメータによる測定を行っている。 このグラフはNaI(Tl)サーベイメータ測定値とその地点の無人ヘリ1m線量率解析値を対比させたもの。 左は算術目盛、右は対数目盛になっている。最小二乗法近似で 0.9316 と良く一致している。なお、線量の高いとこ ろではサーベイメータの値の方が、低いところでは解析値の方が大きくなるのは、LaBr検出器を上空で測定する場 合の幾何学的特性によるもの。 大川原・野上・熊地区他航空機モニタリング概要 大熊町・OYO 10 8. 無人ヘリ1m線量率解析値と大熊町地上測定値との比較 大熊町の地上測定は3月24・25日なので、無人ヘリ測定と同一日に半減期補正を行って比較した。 測定時期がずれていること、飛行軌跡直下での測定でないこと、解析精度の落ちる常磐自動車道や送電線近傍の 飛行制限エリアのデータが含まれることを考えると、最小二乗法近似で0.9886と、線量率の低い5地点を除き、両者 の間に整合性がとれていて無人ヘリ1m線量率解析値は妥当だと判断できる。 大川原・野上・熊地区他航空機モニタリング概要 大熊町・OYO 11 9. 原子力規制庁(JAEA)第4回測定結果(2014年1月)との重ね合わせ (2015年6月23日を基準日として半減期補正) 原子力規制委員会のWeb http://radioactivity.nsr.go.jp/ja/list/338/list-1.html で公開されている「無人ヘリによる原子力発電所近 傍の空間線量率の測定結果」第4次調査を今回の基 準日である2015年6月23日で半減期補正した結果と 今回の調査結果をつなげた。境界付近など良く一致 している。 画像しか公開されていないが、原子力規制庁第5回、 第6回、環境省第1回等とも良く一致する。 地上測定値も過去のものと許容誤差範囲内で一致 する。 © Esri japan 大川原・野上・熊地区他航空機モニタリング概要 大熊町・OYO 12 10. 解析図 (1m線量率分布図)の解釈 背景地図は国土地理院の基盤地図情報を使用した。 除染作業の進んでいる大川原地区の線量率は低 減している。除染が行われなかった裏山・林などは 住宅・田畑より高め。 大熊町役場も除染の効果がはっきり出ている。 そのほかでも住宅密集地は周囲の田畑より線量 率が低いように見える。 1m線量率等値線はラスタを 平滑化したものから作成した 大川原・野上・熊地区他航空機モニタリング概要 大熊町・OYO 13 11. 将来(平成30年4月1日)の線量予測 (参考) 背景地図は国土地理院の基盤地図情報を使用した。 © Esri japan 大川原・野上・熊地区他航空機モニタリング概要 大熊町・OYO 14 12. 将来(平成32年4月1日、平成34年4月1日)の線量予測 (参考) 2020年(平成32年) 4月1日 2022年(平成34年) 4月1日 背景地図は国土地理院の基盤地図情報を使用した。 大川原・野上・熊地区他航空機モニタリング概要 大熊町・OYO 背景地図は国土地理院の基盤地図情報を使用した。 15 13. まとめ 1. 2. 3. 4. 5. 6. 大熊町大川原、野上、熊地区といった福島第一原発から5km以遠の帰還困難区域-居住制限 区域の無人ヘリ測定による1m線量率分布がはじめて明らかになった。 この値は同時に測定した地上測定結果と大きく懸け離れていず、妥当なものと考えらえる。 過去の原子力規制庁-JAEA、環境省による無人ヘリ測定とも矛盾なくつながる。 調査範囲南側の大川原地区は除染が進んでいて、線量率が下がっているのが良く観測できた。 また、南平の仮置場周辺は周囲と同じような線量率であった。 野上、熊地区でも住宅密集地は周囲の田畑よりも線量率低下が速い可能性がある。 除染済み一般道の除染効果は確認できなかったが、これはヘリの計数率検出範囲に対して道 路幅が細いためと考えられる。 大川原・野上・熊地区他航空機モニタリング概要 大熊町・OYO 16
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