現場 レポート 魅せる!左官仕上げの研ぎ出しカウンター 中屋敷左官工業㈱ 代表取締役社長 中屋敷 剛 はじめに 今回ご紹介するのは、札幌市内に昨年オープンした「THE LONG BAR」 というお店のバーカウンターの研ぎ出し仕上げの 工事です。 こちらのお店の特徴は「ロングバー」名前の通り、横に細長 いお店です。そのお店を象徴するように、長さ11メートル程 もある、バーカウンターが店内に作られました。デザイナー さんから「研ぎ出しで一枚物のカウンターを作って欲しい」と のご依頼を受けました。 この仕事の難しさは、やはり「シームレスの一枚物で」とい うことでした。それもただの真っ直ぐの長方形ではなく、途 中で楕円形のカウンターになっているということ。さらにこ れだけ長い一体物だと、ひび割れの可能性も高くなることも 課題でした。 もう一つの問題が重量です。既存の床に集中荷重をかけると 建物の構造に支障をきたすため、 総重量にも制限がありました。 これらの問題を総合的にクリアするために二つの大きな対 策を考えました。 ①カ ウンターの下地をコンクリートではなく、軽量コンク リートブロックにすること。 ②カウンターの重量軽減、ひび割れ防止のために、研ぎ出し の材料を「ビールストーン」という厚さ5㎜で仕上げられ、且 つ、柔軟性も持ち合わせた材料を選定。 施工について 今回は、カウンターの「研ぎ出し仕上げ」という仕上げを施 12 No.474 2016 年 2 月号 ▲「THE LONG BAR」の設計模型 工するのではなく、下地〜仕上げまでのカウンター全体を作 ることにしました。 施工図もすべてこちらで作成し、まずはコンクリートブ ロックでカウンターの立ち上がり部分を組み上げます。天端 のカウンター重量が重いので、差金アンカーも13㎜のケミカ ルアンカーを細かいピッチで打ち込み補強しました。今回の カウンターは幅も1メートルと広いため、立ち上がりのブロッ クと天板の部分にも十分な補強筋を入れ、天板の型枠を組み コンクリートを打設し、下地が完成しました。 いよいよ仕上げです。仕上げにはビールストーンという厚 さ5㎜で研ぎ出し仕上げが出来る材料を選定。この材料には樹 脂分がとても多く含まれており、曲げ応力にもとても強く柔 軟性をもっています。ただし、とても乾燥が早いため、精度
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