トヨタ・PFN・NTT、「ぶつからないクルマ」のコンセプトを具現化

2016 年 2 月 16 日
日本電信電話株式会社
トヨタ・PFN・NTT、「ぶつからないクルマ」のコンセプトを具現化
~自動車・路側インフラ設備から収集した情報をリアルタイムに分析・学習し、走行中の自動車に提供~
日本電信電話株式会社(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:鵜浦博夫、以下NTT)は、
将来の IoT インフラの提供に向け、ターゲットとしている自動車・交通分野でエッジコンピューティング
技術(※)を活用した研究開発を推進しています。
その中で、NTTで進めているICTを通じてパートナーの方々とコラボレーションすることで新たな
価値を提供する「新たなステージ」の一環として、トヨタ自動車株式会社(以降トヨタ)、Preferred
Networks 社(以下 PFN)と共に、「ぶつからないクルマ」のコンセプトを実動デモンストレーションとして
具現化しました。
1.コンセプト展示の背景
NTT では、ネットワークのエッジに計算機能を持つサーバを分散して配置し、ユーザやスマートフ
ォン、通信機能を持つ自動車等に近い位置で様々な処理を高速に行うとともに、複数の無線アクセ
ス方式を組み合わせて確実にデータをやり取りする、高い信頼性と低遅延性を持つ IoT サービスの
基盤技術の確立を目指しています。
自動車分野では、より安全な走行を提供するため、車両が持つセンサの情報に基づいて自律的
に判断、注意喚起等をする運転支援に加え、車々間や路側設備、歩行者の持つ端末などとの連携
による周辺の状況の共有と活用が必要となってきています。そこで、トヨタ、PFN、NTTの持つコンセ
プトや技術を持ち寄り、実動デモを作成しました。
2.今回実現したコンセプトの概要
今回実現したデモンストレーションでは、トヨタの考える人工知能を使った将来の運転支援の
コンセプトを、NTT のエッジコンピューティング技術と高信頼無線技術と、PFN のぶつからない
事象を学習するディープラーニング技術とその分散処理技術、を用いて実現しています(別紙:
「高度運転支援向けエッジコンピューティング技術」参照)。
自動車模型を使用し、各車が走行することで時々刻々変化する周囲環境に対して、衝突回避の
動きを、エッジサーバで動作する PFN 社の高度な人工知能により学習しました。複数の車の学習
状態を共有することで、学習に必要な時間の短縮も実現しています。サーバと車との通信では複数
の無線アクセス方式を使い高い信頼性が保たれており、送られた学習結果を用いてそれぞれの車
が自律的にぶつかることなく走行しています。
3.今後の取り組み
将来的には、エッジサーバ上で、たとえば複数の車や路側設備から送られるデータから、今周辺
で何が起きているかといった動的で精密な交通空間情報を作る、交通渋滞等の分析・学習・予測を
する、緊急時・災害時に車両の優先度付けを行う、など、より高度な処理を行うことで、リアルタイム
に高度な運転支援をするために必要な情報を提供できるインフラ技術の確立を目指していきます。
<参考>
今回発表したコンセプトデモとして CES2016(米国ラスベガス、2016 年 1 月 6 日~9 日)にて出展された
デモンストレーションを、2016 年 2 月 18 日~19 日に開催する「NTT R&D フォーラム 2016」でご紹介いたし
ます。
「NTT R&D フォーラム 2016」サイト http://labevent.ecl.ntt.co.jp/forum2016/info/
※エッジコンピューティング 端末とクラウドの間の端末に物理的に近い場所にサーバを置き、一部の処理を実行できる環境。
<本件に関するお問い合わせ先>
日本電信電話株式会社
研究企画部門 R&D 推進担当
03-6838-5328
[email protected]
<別紙>高度運転支援向けエッジコンピューティング技術
~リアルタイム通信・情報分析でぶつからない車を実現~
自動車が多くのセンサや通信機能を装備し、様々な情報を得ることで、運転車への様々な運転支援が
できる世界がそう遠くない時期にやってきます。本技術を利用し、自動車・路側インフラ設備から収集した情報
をリアルタイムに分析・学習し、走行中の自動車に運転支援情報を提供します。
ネットワークにおいて、ユーザの近く(エッジ)に分析・学習機能を配備することで、従来のクラウドでは難しか
ったリアルタイムな制御を可能にします。
■特徴
・データ分析・学習・予測機能を、ユーザの近くに配備されたエッジコンピュータに搭載することで、即時に分析
結果を渡すことが可能となり、リアルタイムに運転支援情報を提供可能です。
・学習に用いるデータを、複数の無線アクセス方式に分散・冗長して送信することで、無線アクセスの品質を
確保し、高信頼・低遅延な通信を実現、新鮮なデータによる学習、学習結果の即時配信も可能となります。
■主な利用シーン
・AI技術の適用による高度な運転支援が可能となります。
・運転支援システムに必要な自動車周辺の 3 次元地図をリアルタイムに更新し、自動車に提供することが可能
となります。
・電波状況の悪い地域でも自動車へスムーズに情報配信が可能となります。