第 七

7 類 V クラス 線形代数学第二 演習第 7 回
演習問題略解
[
[1]
3 0
0 4
]
[
と
[
3 1
0 4
3 1
0 4
]
[
は相似であるが,
3 0
0 3
]
[
と
3 1
0 3
]
は相似ではないことを確かめよ.
[
]
3 1
0 4
]
の固有値は 3 と 4 であり, 両方の代数的重複度は 1 となる. よって
[
]
3 0
は対角化可能となり,
と相似である.
0 4
[
]
[ ]
3 1
0
の唯一つの固有値 3 の代数的重複度は 2 だが, 固有ベクトルは
とそのスカ
0 3
1
[
]
3 1
ラー倍しかない. つまり固有値 3 の幾何的重複度は 1 となり, 1 < 2 なので
は対角
0 3
[
]
3 0
化可能ではない. 特に
とは相似ではない.
0 3
解答

0 1
0 0

[2] 行列 J = 
0 0
0 0
JP = P K のとき



0 0
0 1 0 0
0 0 1 0
0 0



と
K
=


 が相似ではないことを示せ. (ヒント:


0 1
0 0 0 0
0 0
0 0 0 0
P が正則ではないことを確かめればよい.)
J と K のうちに対角化可能なものがあるか調べよ.
解答
K = P −1 JP のとき JP = P K も成り立つ. 4 次正方行列 P = [ pij ] について



p21 p22 p23 p24
0
 0


0
0
0 

0
JP = 
 = PK = 
 p41 p42 p43 p44 
0
0
0
0
0
0
p11
p21
p31
p41
p12
p22
p32
p42

0
0


0
0
となれば p21 = p22 = p24 = 0, さらに p41 = p42 = p44 = 0 が従う. よって P の第 2 行と第
4 行に注意すれば rank P ≤ 3 であることが分かる. ゆえに P は正則ではなく, K = P −1 JP
を満たす P は存在しない. 言い換えれば J と K は互いに相似ではない.
det(J − λI) = det(K − λI) = λ4 なので J でも K でも固有値は 0 しかない. よって J か
K と相似である対角行列の候補は零行列 O しかない. しかし O と相似である行列は O の
みなので, J でも K でも対角化可能ではない.
[3] 次の主張を示せ: A と B が相似であれば A2 と B 2 も互いに相似である. A2 と B 2 が相似
であるとき A と B は必ずしも相似ではない.
−1
2
−1
2
−1
−1
−1 2
実際
[ , B ]= P AP[なら B
] = (P AP ) = P AP P AP = P A P となる. 一
0 0
0 1
方, A =
とB=
は相似ではないが (なぜならば, また零行列と相似である
0 0
0 0
[
]
0
0
ものは零行列しかないから), A2 = B 2 =
なので A2 と B 2 は相似である.
0 0
解答
[4] V を K 上のベクトル空間とし, f : V → V を線形変換とする. K の元 λ ̸= µ と V の 0 で
ない元 v, w に関して f (v) = λv かつ f (w) = µw とする. (つまり v と w は f の相異な
る固有値 λ, µ それぞれに対する固有ベクトルでる.) ベクトル v と w が線形独立であるこ
とを示せ.
三つの固有値に関しても同じ主張を証明せよ.
解答 ある t ∈ K について v = tw と仮定すると f (v) = f (tw) = tf (w) = tµw = µ · tw =
µv が従う. よって λv = µv, つまり (λ − µ)v = 0 となり, v ̸= 0 だから λ − µ = 0 を得る.
それは矛盾なので v と w は線形独立であることが分かる.
三つの固有値の場合 f (vi ) = λi vi (i = 1, 2, 3) とし, c1 v1 + c2 v2 + c3 v3 = 0 と仮定するとき
(i) 両辺に f を行うと c1 λ1 v1 + c2 λ2 v2 + c3 λ3 v3 = 0,
(ii) 両辺に λ1 を掛けると c1 λ1 v1 + c2 λ1 v2 + c3 λ1 v3 = 0
が得られる. よって c2 (λ2 − λ1 )v2 + c3 (λ3 − λ1 )v3 = 0 が成り立つ. ただし (λ2 − λ1 )v2 と
(λ3 − λ1 )v3 は相異なる固有値 λ2 と λ3 それぞれに対する固有ベクトルなので, 問題の前半
より c2 = c3 = 0 が従う. 最後に, 元の仮定より c1 = 0 も容易に分かる. すなわち v1 , v2 , v3
の一次独立性が示された.
[5] 次の行列が対角化可能かどうか判定せよ.




0 2 −1
−2 1 4




(a) −2 0 −2
(b) −2 1 4 
1 2 0
−2 1 4

(c)

0 −2 −2


−2 0 −2
−2 −2 0
解答 全て対角化可能である. (a) のとき固有値は −3, 0, 3 であり, 各代数的重複度が 1 な
ので対角化可能性が従う. (b) に関して固有値は 0 と 3 となる. 3 の重複度が 1 で, その固
([ ])
有空間 span
1
1
1
が行列の像であることがすぐに分かる. 次元定理によると, 核の, 言い
換えれば固有値 0 に対する固有空間の次元は 2. よって 0 に関しても代数的重複度と幾何的
重複度が一致する. 従って行列は対角化可能である.
(c) の行列は対称なので, 対角化可能となる. (注釈
でも良い.)
お知らせ
(b) と (c) に関してもっと陽的な計算
2 月 3 日 には 期末試験 を行う. 場所と時間はいつもと同じ.