DevOps 向けのアジャイル インフラストラクチャの 構築

DevOps 向けのアジャイル
インフラストラクチャの
構築
Scott D. Lowe (vExpert)
ActualTech Media 共同経営者兼共同創業者
David M. Davis (vExpert)
ActualTech Media 共同経営者兼共同創業者
2015 年 11 月
目次
目次 ................................................................................................................................................ 2
はじめに........................................................................................................................................ 3
IT 部門の課題-インフラストラクチャの変革 .................................................................... 4
インフラストラクチャをコードとして処理することで、IT 部門の課題に対応 .......... 5
HPE コンポーサブル・インフラストラクチャ....................................................................... 6
開発サイクルの短縮と簡素化 ........................................................................ 6
構築および統合作業の迅速化と自動化 ........................................................ 7
日常的なアップデート作業の迅速化 .............................................................. 7
テストの迅速化と自動化 ................................................................................. 7
コンポーザブル・インフラストラクチャの未来 ................................................. 7
Infrastructure-as-Code とコンポーザブル・インフラストラクチャ ..................... 8
HPE における DevOps コミュニティのニーズへの対応 ................................... 8
迅速な価値の創出 ........................................................................................ 10
スタッフの生産性の向上 ............................................................................... 10
柔軟性とアジリティ ........................................................................................ 10
コストの削減 .................................................................................................. 10
ActualTech Media について ................................................................................................ 12
HPE について ........................................................................................................................... 12
ActualTech Media © 2015. All rights reserved.
書面による許可がない限り、いかなる場合においても、一切の方法で本書を販売、
コピー、または複製することはできません。
本書に含まれる情報は善意で提供されており、提供の時点で正確かつ適切な信頼
できるものであると考えられていますが、正確性、適切性、または信頼性を保証す
るものではありません。
法律の範囲内において、読者がアドバイス、推奨事項、情報、支援、またはサービ
スを利用したことで被ったあらゆる損失に対し、著者は一切の義務あるいは責任を
負わないものとします。
DevOps 向けのアジャイルインフラストラクチャの構築
2
はじめに
企
業の IT 部門の役割は、核となるエンタープライズアプリ
ケーションに対応したインフラストラクチャをしっかりと構築
することから、インフラストラクチャによって支えられるビジ
ネスを促進するためのアプリケーションを、効率的かつ精力的に
開発することへと抜本的に変化しつつあり、こうした体制はバイ
モーダル IT と呼ばれています。このような IT 部門の変革は、ソ
フトウェアベースの自動化とプログラムで制御可能なインフラスト
ラクチャの要素を活用することで実現されます。
こうした変革は、すべてとは言わないまでも大多数の組織で進められており、今後
数か月から数年のうちに、企業の IT 部門は変革を全面的に受け入れて、ビジネス
側のニーズにより的確に対応できる方法を把握し、IT 組織の将来に向けた計画を
立てなければなりません。
しかし、こうした変革は一体どのような理由から、そしてなぜ今進められようとしてい
るのでしょうか。
著者について
ActualTech Media の共同経営者兼共同創業者である Scott Lowe は、 IT 分野で 20
年近くのキャリアを持ち、そのうちの 10 年間をさまざまな組織の CIO として過ごし
てきました。長年にわたって数千の記事やブログを執筆してきた Scott は、お客様
向けの魅力ある新しいコンテンツを定期的に作成しています。
ActualTech Media の共同経営者である David Davis は、魅力的なエンタープライズテ
クノロジーコンテンツの作成、オンラインイベントの司会、業界有数のテクノロジー企
業とエンドユーザーコミュニティの交流支援などに携わっています。エンタープライズ
テクノロジーに関して 20 年以上の経験を有し、IT マネージャーとして、仮想化とクラ
ウドコンピューティングを中心に、数百のドキュメント、電子書籍、およびビデオトレー
ニングコースを執筆/作成してきました。
vExpert を 6 回受賞し、VCP、VCAP、および CCIE# 9369 を取得している David のブログ
とビデオトレーニングはそれぞれ、VirtualizationSoftware.com (英語)、Pluralsight.com
(英語) でご覧いただけます。また、Twitter は HYPERLINK
"http://twitter.com/davidmdavis" @DavidMDavis
DevOps 向けのアジャイルインフラストラクチャの構築
3
IT 部門の課題-インフラストラクチャの変革
I
T 部門は、10 年ごとに何らかの抜本的な変革を経験しており、
およそ 10 年前には、サーバー仮想化によって IT 組織に変化
がもたらされました。サーバー仮想化は多くの IT 組織を混乱させ
るものでしたが、賢明な組織はこれを新たな機会と捉えて導入し、
効率を大幅に向上させることに成功しました。そしてこのような IT
組織は現在、仮想化がもたらす多くのメリットにより、かつてない
レベルの効率とアジリティ (俊敏性) を実現しています。これと同
様に、DevOps への移行に伴う変革も、同じような革新と混乱の道
をたどることになるのは間違いないでしょう。
今日の DevOps への移行は、すべての企業に影響を与えている多くの課題が原動
力となっています。
Meg Whitman が述べているように、個人と企業はいずれもイノベーションによって定
義されています。『It’s Not the BIG That Eat the SMALL… It’s the FAST That Eat the SLOW』と
いう、かなり前に出版された Jason Jennings の著書をご存知の方もいらっしゃるかと
思いますが、この本のタイトルは、アイデアから迅速に価値を創出できる能力が企
業の成功と失敗を分ける、今日のビジネス環境に非常に当てはまります。
「私たちは今、競合他社に先駆けてアイデア
から価値を創出できる能力が成功へとつなが
る、アイデアエコノミーの時代を生きています」
この「アイデアエコノミー」の時代において、
IT 部門は、すべての企業の製品やサー
ビスで利用される、迅速なイノベーション
プロセスの一部となることを求められ、ま
た競争力を維持するためには、イノベー
ションを継続、さらには牽引する存在でな
ければなりません。
- HPE CEO Meg Whitman
こうしたイノベーションに対するプレッ
シャーから、現在 IT 環境を大きく変えつ
つある DevOps の文化が広まり、これを受け入れようとする組織では、コラボレー
ションが文化的規範となっています。開発と運用は、もはや別の指揮系統で隔てら
れたものではなく、DevOps 環境においては、開発スタッフと運用スタッフが連携し、
最初のアイデアの段階から本番環境での支援に至るまで、ライフサイクル全体に
わたってソフトウェアをサポートします。
DevOps グループが必要とする IT インフラストラクチャを DevOps グループが求める
スピードで提供するため、企業の IT 部門はスピード、アジリティ、および柔軟性を
高めなければなりません。企業の IT 部門は競争を避けては通れず、これらを向上
できなければ、DevOps グループが IT 部門を介さずに直接パブリッククラウドを利
用してしまい、インフラストラクチャのプロビジョニングを主導できなくなる可能性が
あります (実際、パブリッククラウドを直接利用しているケースは多く見られます)。
こうした状況を理解している IT リーダーは、IT インフラストラクチャの制御とセキュ
リティをパブリッククラウドに奪われることはなく、一歩先を行く IT 組織は、DevOps
への移行、あるいは Gartner 社がバイモーダル IT と呼ぶ体制の確立に向けた準備
を進めているか、それらに伴う多くの要件への対応に着手し始めています。
DevOps 向けのアジャイルインフラストラクチャの構築
4
インフラストラクチャをコードとして処理するこ
とで、IT 部門の課題に対応
ソ
フトウェア・デファインド・データセンター (SDDC) に関して、
ベンダーがさまざまな取り組みを進めてきたことをご存知の
方も多いかと思いますが、こうした取り組みの多くが頓挫した結
果、複数のソフトウェアレイヤー、アプリケーションプログラミング
インターフェイス (API)、および管理のパラダイムが生まれました。
そこで今、開発/テスト/本番環境にわたる、共通のポリシーに基
づいた迅速なアプリケーションおよびインフラストラクチャの自動
化が必要とされています。
インフラストラクチャを迅速に配備するため、 DevOps の実践者はインフラストラク
チャをコードとして処理しようとしています。このような処理が可能になれば、開発し
たアプリケーションソフトウェアを管理する場合と同じように、インフラストラクチャを
配備してバージョンコントロールを行い、停止させることができます。この強力な共
通のソフトウェアレイヤーはその後、データセンターのすべてのリソースをカバーす
る、構成およびプログラム可能な包括的な抽象化レイヤーとなります。
抽象化は仮想化の基礎を成すものであるため、ユビキタスコンピューティングのハ
イパーバイザーは重要な役割を果たしますが、すべてのリソース (コンピューティン
グ、ストレージ、ネットワーク) を包括的に配備すると、競合が発生してしまいます。
一方、DevOps においては、すべてのリソースをソフトウェアの要素として仮想的に
管理することでインフラストラクチャを制御し、わずか数年前までは不可能だった方
法でビジネスを促進できます。そしてインフラストラクチャのさまざまな要素は、単な
るソフトウェアレイヤーの拡張機能となり、コードとして処理されます。
このようにインフラストラクチャをコードとしてソフトウェアで制御したいというニーズ
を考えると、「なぜ企業の IT 部門はパブリッククラウドを導入しないのか」という疑
問が生じますが、多くのメリットをもたらすパブリッククラウドを利用するのではなく、
企業が独自のプライベートクラウド環境を構築しているのには大きな理由がありま
す。その最たる理由が、データセキュリティに関する懸念であると考えられ、オンプ
レミスのインフラストラクチャでは、コンプライアンスの維持が非常に容易である一
方、パブリッククラウドに移行すれば確実に制御が難しくなり、多くの企業はそうし
た状況を許容できません。
DevOps 向けのアジャイルインフラストラクチャの構築
5
HPE コンポーサブル・インフラストラクチャ
D
evOps に基づいた原則を取り入れる企業の IT 部門を支援す
るため、Hewlett Packard Enterprise では、コンポーザブル・イ
ンフラストラクチャと呼ばれるアプローチを生み出し、その概念を
ベースとするツールスイートとサーバーハードウェアを開発してい
ます。
可変的リソースプール
ソフトウエア・デファインド・インテリジェンス
ユニファイド API
ソフトウエア・デファインド・インテリジェンス
ユニファイド API
出典:
Hewlett Packard Enterprise
コンポーザブル・インフラストラクチャは、運用に関して次のような数多くのメリットを
実現することにより、DevOps コミュニティのニーズに確実に対応します。
開発サイクルの短縮と簡素化
新しいコードを作成してテストを行った後に、手動で環境を再構築する必要がなくな
るため、開発期間が大幅に短縮されます。実際、簡素化はコストの削減と俊敏性の
実現に貢献するため、IT のほとんどの領域で新たな動向となりつつあります。
たとえば、開発者が昼食中に新しいアプリケーションのアイデアを思いついた場合、
コンポーザブル・インフラストラクチャなら、デスクに戻ったときに新たな開発環境
(さらには必要に応じて本番環境のクローン) を立ち上げ、そのアプリケーションの
開発を即座に開始できます。
単一のコード行を実行することにより、多階層の複雑な環境をオンデマンドで構築
することが可能で、こうしたインフラストラクチャ環境は、少数の仮想マシンだけでな
く、物理的なサーバー、ネットワーク、そして開発者が (構成、分解、さらには必要に
応じて別のプールへの再構成が迅速に行えるよう分散された) コンピューティング、
ストレージ、および迅速かつ柔軟なファブリックからなる可変的なプールを活用でき
るストレージハードウェアで構成されます。この構成可能なインフラストラクチャの
プールは、ビジネス上の優先事項に基づき、必要に応じて何度でも構成/再構成で
きます。
DevOps 向けのアジャイルインフラストラクチャの構築
6
構築および統合作業の迅速化と自動化
開発者は、テストを効果的に実施するため、継続的に構築作業を行い、一貫した構
成を実現する必要があります。組織は開発を行う中で、開発/テスト/本番環境の基
盤となる運用環境を継続的に構築および再構築しなければならず、また、アプリ
ケーションを機能させるには、ほとんどの場合、基盤となる複数のインフラストラク
チャの要素が必要となります。これらの要素には、データベースサーバー、Web
サーバー、ネットワークデバイス、ロードバランサーなどが含まれますが、 DevOps
チームは、HPE コンポーザブル・インフラストラクチャにより、これらすべての作成を
完全に自動化できるため、インフラストラクチャではなく、コードの作成に注力するこ
とが可能です。
コンポーザブル・インフラストラクチャでは、基盤となるインフラストラクチャの動的か
つ柔軟な特性により、コストのかかる複雑な開発サイクルを短縮でき、インフラスト
ラクチャが開発の推進、またはイノベーションの妨げとなることがなくなります。
日常的なアップデート作業の迅速化
ソフトウェア開発プロジェクトでは、日常的に構築作業を行うのが一般的で、自動化
を導入しなければ、毎日のようにソフトウェアを再構築するのは困難です。コンポー
ザブル・インフラストラクチャは、組織がこうしたプロセスを短縮し、日常的な構築の
プロセスを改善するうえで大きな効果を発揮します。
コンポーザブル・インフラストラクチャでは、インフラストラクチャのリソースを必要に
応じて動的にプールに追加 (そして不要になれば動的に削除) できるため、開発に
おける日常的なアップデート作業を迅速化し、開発者のニーズに最適なインフラス
トラクチャを構築することが可能です。
テストの迅速化と自動化
品質保証およびテストチームは、最大限の効果が得られるよう常に最新のコードを
使用する必要があります。
コンポーザブル・インフラストラクチャでは、本番環境と同じインフラストラクチャでテ
ストが行えるうえ、テストの実行時にそのインフラストラクチャを動的に割り当て、テ
ストが完了した時点で割り当てを解除することが可能です。
コンポーザブル・インフラストラクチャの未来
アプリケーションそのものが、それぞれのインフラストラクチャを実質的に管理し、
必要に応じてリソースを構成、分解、再構成できるとしたらどうでしょうか。コンポー
ザブル・インフラストラクチャでは、想像しているほど遠くない未来にこうした環境が
実現します。必要に応じてインフラストラクチャを管理できる、よりインテリジェントな
設計のアプリケーションがあれば、今日のインフラストラクチャ管理者は、企業にお
けるイノベーションの推進と競争力の強化に貢献するテクノロジープロジェクトに再
び注力することが可能になります。
DevOps 向けのアジャイルインフラストラクチャの構築
7
Infrastructure-as-Code とコンポーザブル・インフラストラク
チャ
Infrastructure as code は、HPE のコンポーザブル・インフラストラク
チャの最も重要な要素です。コンポーザブル・インフラストラク
チャは、コンピューティング、ストレージ、およびファブリックの柔
軟なプールとテンプレートベースのアプローチによって、継続的
デリバリへの移行を促進するとともに、オープンな統合 RESTful
API と HPE OneView に備わる反復可能なテンプレートを組み合
わせて使用することにより、高度なオーケストレーションツール
向けのプログラムインターフェイスを提供し、DevOps への道を切
り開きます。この継続的デリバリが実現することで、ビジネスの
スピードとアジリティが向上し、競争力が強化されます。
ユニファイド API
ソフトウエア・デファインド・インテリジェンス
可変的リソースプール
Infrastructure as code では、きめ細かいリソースの要素 (コン
ピューティング、ストレージ、ネットワーク/ストレージファブリック)
を構成、分解、再構築できる可変的なリソースプールで 物理/
仮想両方のインフラストラクチャの要素が構成されます。
このアプローチでは、単一のコード行であらゆるインフラストラク
チャの要素を抽象化できるユニファイド API が中心的な役割を
果たします。適切なインフラストラクチャを組み合わせれば、ユ
ニファイド API により、任意の物理/仮想リソースを抽象化および自動化することが
可能です。
HPE における DevOps コミュニティのニーズへの対応
コンポーザブル・インフラスト
ラクチャをサポートする要素
Chef とは
Chef の目的は、コンピューティン
グ、ストレージ、ネットワーク/ス
トレージファブリックを含む個別
のインフラストラクチャの要素の
作成と削除、およびデバイスの
負荷分散を完全に自動化し、イ
ンフラストラクチャをコードに変
換することにあります。
この目的は、Chef のレシピ (イン
フラストラクチャの要素をインス
トール、または構成する Ruby
スクリプト) とクックブック (複数
の命令を実行するレシピや他の
要素をまとめたもの) を使用す
ることで達成されます。
DevOps における運用の課題は、開発と運用の両方で使用できる Chef 、 Docker 、
OpenStack などの数多くのイニシアチブにより解決することが可能です。これらのイ
ニシアチブは、大幅な自動化に貢献するだけでなく、完全に API 主導のインフラス
トラクチャ環境を実現します。こうしたイニシアチブはすべて、データセンターインフ
ラストラクチャ環境をコードとして処理するという概念に基づいているため、インフラ
ストラクチャ全体の柔軟性が向上します。
現在では、API を使用してインフラストラクチャを構築/解体できるため、開発/ステー
ジング/本番環境へのアプリケーションの配備が容易に行えます。開発者は、ソフト
ウェア開発のイテレーションごとに個別の環境を手動で構築したり、システム管理者
からのサービスの提供を待ったりする必要がなくなります。また、開発者が作成する
コードは、オンデマンドでリソースをプロビジョニングするように設計可能です。
このような状況の中、Chef は構成を自動化してプロビジョニングを行いたいと考え
ているユーザーの支持を集めています。一方、OpenStack は、プライベートクラウド
ベースの Infrastructure as a Service (IaaS) プラットフォームを提供し、Docker は、アプリ
ケーションの開発と本番環境への移行を変更を伴わずにスムーズに行って、あら
ゆる場所で構築、出荷、実行することを可能にします。
これらのツール (やその他のツール) を組み合わせて使用すれば、開発サイクルが
大幅に短縮されるため、新たに開発したアプリケーションの価値を迅速に創出する
ことが可能になります。一例として、開発者は、アプリケーションの構築時に Chef の
レシピに配備プロセスを組み込んで配備を自動化し、多階層の継続的配備プロセ
スを構築できます。
DevOps 向けのアジャイルインフラストラクチャの構築
8
Docker とは
Docker は、分散アプリケーショ
ンを構築、出荷、実行するため
のオープンプラットフォームで
す。Docker のコンテナーは短時
間で構築され、コンテナー内で
実行されている他のサービスか
ら隔離されたレイヤーを提供し
ます。また Docker では、どのよ
うな環境でもアプリケーションが
常に同じように動作するよう、ア
プリケーションとその依存関係
のすべてをソフトウェア開発用
に標準化されたユニットにパッ
ケージ化できます。Docker のコ
ンテナーは、ソフトウェアの実行
に必要なすべての要素 (コー
ド、ランタイム、システムツー
ル、システムライブラリなど、
サーバーにインストール可能な
あらゆる要素) を含む包括的な
ファイルシステムにソフトウェア
をまとめることにより、実行環境
を問わず、ソフトウェアが常に同
じように動作することを保証しま
す。Docker は、分散型のネット
ワーク化された先進的なアプリ
ケーションを活用するのに必要
な共通のツールボックスを、プロ
グラマー、開発チーム、および
運用エンジニアに提供します。
OpenStack とは
OpenStack は、パブリック/プライ
ベートクラウドを構築するため
のオープンソースのソフトウェア
で 、 主 に Infrastructure as a
Service (IaaS) の配備に使用され
ます。複数のリソースを管理す
る一連のプロジェクトで構成され
る OpenStack は、Web ベースの
インターフェイスを備え、すべて
を RESTful API で制御することが
可能です。OpenStack プロジェク
トにはこれまで、HPE をはじめと
する 500 超の企業が参加し、そ
の発展を支えてきました。その
柔軟性の高さから急速に普及し
た OpenStack のエコシステムと
コミュニティは、現在も拡大を続
けています。
HPE は、Chef Software、Docker、OpenStack など、業界をリードする DevOps の組織と
連携し、コンポーザブル・インフラストラクチャのビジョンを実現させています。たとえ
ば、HPE では、拡張性に優れた迅速かつ柔軟なエンドツーエンドのアプリケーション
自動化機能を提供する、業界屈指の構成/管理ツールである Chef と HPE OneView を
統合することにより、お客様が Chef のレシピを使用して、ベアメタルからのアプリ
ケーションスタック全体のプロビジョニングを数分で自動的に行えるようにしています。
一方、コンテナーに対する Docker のアプローチは、「あらゆる場所での構築、出荷、
実行」を可能にしますが、この「あらゆる場所」が、ベアメタルサーバーを配備した
ローカルのプライベートクラウドであっても、お客様は Docker と HPE OneView を組
み合わせることにより、ベアメタルサーバーから開始して、配備プロセス全体を自動
化し、アプリケーションを迅速かつ容易に配備できます。
最後に、HPE OneView の自動化ハブとの統合ポイントとなる OpenStack ですが、企
業は OpenStack を活用することにより、パブリック/プライベートクラウドにわたるイン
フラストラクチャの配備を完全に自動化することが可能です。
HPE OneView
HPE OneView は、物理/仮想環境におけるサーバー、ストレージ、ネットワークリソー
スのデリバリと運用を自動化する自動化する管理ツールで、 HPE サーバー、スト
レージ、およびネットワークリソースの管理を統合することにより、IT 管理者の効率
を向上させます。また、自動化によってヒューマンエラーに起因するダウンタイムの
回 避 を 支 援 し ま す 。 HPE OneView は 、 HPE CloudSystem 、 HPE Business Service
Management、VMware® vCenter、Microsoft® System Center、さらには Chef、Docker、お
よび OpenStack と緊密に連携します。
HPE OneView は、ハードウェアリソースを統合し、データセンターのソフトウェアベー
スの要素として管理および利用できるようにするユニファイド API です。
DevOps 向けのアジャイルインフラストラクチャの構築
9
コンポーザブル・インフラストラクチャの
ビジネスメリット
HPE コンポーザブル・インフラストラクチャは、次のような数多くの
重要な成果を実現します。
迅速な価値の創出
手動による煩雑な購買/構築プロセスが完全に排除されるため、開発者と運用担
当者は開発に集中し、これまでよりはるかに短期間でプロジェクトを完了できます。
迅速に価値を創出できれば、開発プロセスの運用および経済面のメリットをさらに
早期に実現することが可能です。
スタッフの生産性の向上
DevOps は、生産性の向上に主眼を置いた文化的な考え方で、インフラストラクチャ
を手動で構築する必要がなくなるため、開発者と運用担当者の生産性がこれまで
になく向上します。また、各チームが連携するプロセスに基づいたインフラストラク
チャにより、他のアーキテクチャーでは得られない相乗効果がもたらされます。
柔軟性と俊敏性
コンポーザブル・インフラストラクチャを使用することにより、組織はソフトウェアを通
じて現在のニーズに基づいた独自の運用環境を構築できます。DevOps とコンポー
ザブル・インフラストラクチャでは、開発だけでなく、本番環境の動向にも目が向け
られ、たとえば、Web サーバーファームの容量が上限に近づいていることを本番ア
プリケーションが検知すると、開発者や運用担当者が一切関与しなくても、Web
サーバーの追加配備がプロアクティブに行われ、それらの新しいリソースが集約さ
れるよう、ロードバランサーが再構成されます。コンポーザブル・インフラストラク
チャなら、こうしたメリットを完全に実現可能です。
コストの削減
コンポーザブル・インフラストラクチャは、次のようなさまざまな方法で組織のコスト
構造にプラスの効果をもたらします。
•
スタッフの配置に伴うコストの削減、または振り向け。 DevOps モデルの導
入でスタッフが削減されなくても、面倒な手動のタスクではなく、付加価値の
高い作業にはるかに多くの労力を投入できます。
•
インフラストラクチャの使用率の向上。リソースのオーバープロビジョニング
が不要になり、ソフトウェアの開発において、既存のインフラストラクチャを
最大限に活用できます。また、インフラストラクチャの要素を隔てていたサイ
ロが解消されます。
•
不具合の削減。ソフトウェアに不具合が生じると、膨大なコストが必要にな
る場合があります。従来の開発環境と開発プロセスでは、手動による作業
が非常に多く、エラーが発生しがちですが、自動化によってエラーの発生を
減らし、プロアクティブに回避できるようになるため、潜在的な不具合に伴う
影響が軽減されます。
DevOps 向けのアジャイルインフラストラクチャの構築
10
最後に、DevOps コミュニティのニーズに最適なコンポーザブル・インフラストラクチャ
は、次のようなメリットをもたらします。
•
あらゆる処理が可能: あらゆるアプリケーションを最適化し、すべてのデー
タを保存
•
迅速な対応が可能: アプリケーションとサービスのデリバリが迅速化
•
効率的な作業が可能: 運用の手間とコストを削減
•
価値の創出が可能: 生産性と制御性が向上
HPE では、コンポーザブル・インフラストラクチャへの移行に着手するお客様のため
に、さまざまなツールやサービスを用意しています。エンタープライズクラスのグ
ローバルな技術的専門知識を有する HPE は、適切なソリューションの設計、既存の
インフラストラクチャへのソリューションの統合、プロアクティブな環境のサポート、そ
してインフラストラクチャのさらなる自動化においてお客様を支援することが可能で
す。
従来の IT 環境からコンポーザブル・インフラストラクチャへの移行の詳細について
は、こちらをご覧ください。
4AA6-2192JPN
DevOps 向けのアジャイルインフラストラクチャの構築
11
ActualTech Media について
ActualTech Media は、世界中の大手 IT 企業に信頼性の高いコ
ンテンツサービスおよびアセットを提供しています。 IT 業界に大
きな影響力を持つ Scott D. Lowe 、David M. Davis およびパート
ナーが開発する、信頼性の高いサードパーティコンテンツは、IT
部門の購買担当者に質の高い情報を提供し、有効な投資をサ
ポートします。ActualTech Media は、技術/ビジネス分野の読者
に役立つ最適なコンテンツを提供できるよう、お客様を支援して
います。
HPE について
HPE は、人、企業、行政、社会に役立つテクノロジーの新たな可
能性を創造する企業です。 ソフトウェア、サービス、および IT イ
ンフラストラクチャにわたる、業界屈指の広範なテクノロジーポー
トフォリオを有する HPE は、世界中のお客様が抱える非常に複
雑な課題を解決するソリューションを提供しています。 HPE
(NYSE: HPE) の詳細は、http://www.hpe.com/info/composable.
(英語) でご覧いただけます。
DevOps 向けのアジャイルインフラストラクチャの構築
12