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古紙パルプ繊維の微粒子化
○ 島 田 勝 広 *1)、 戸 田 直 子 *2 )、 岡 山 隆 之 *2 )、 小 名 俊 博 *3 )
1.はじめに
リサイクルにより劣化、短小化した古紙パルプ繊維は、古紙再生および抄紙の工程で大
量 に 除 去 さ れ 、 ペ ー パ ー ス ラ ッ ジ ( 有 機 性 汚 泥 ) と 呼 ば れ る 廃 棄 物 と し て 約 500 万 ト ン が
焼却されている。そのため、これら低級な古紙パルプの新規用途開拓が求められている。
本研究では、低級な古紙パルプ繊維を微粒子化することにより成型用材料として活用す
ることを目的に、遊星型ボールミルによる破砕条件と粒子形状について検討した。
2.実験方法
古紙パルプの機械的破砕法として、乾式ジェット粉砕機、磨砕機および遊星型ボールミ
ルを用い、パルプ繊維を破砕しその形状を観察した。その結果、遊星型ボールミルがパル
プ繊維の破砕にもっとも有効であった。そこで、機械的破砕法として遊星型ボールミルを
採用した。
新聞古紙およびろ紙を試料とし、遊星型ボールミルを用いて各種破砕条件で破砕し、得
られた粒子の形状は粒度分布で評価した。粒度分布測定は粒径の大きい側では篩い分け、
粒径の小さい側では光散乱法とした。破砕条件としては、破砕時間、ボール径および試料
の含水率を取り上げた。
50
30
20
粒度(μm)
50
25<
25-45
45-75
75-180
180>
40
頻度(%)
40
頻度(%)
3.結果と考察
図 1,2 に 篩 い 分 け に よ る 破 砕 時 間
と粒度の分布を示す。破砕時間の増
加 に よ り 、 25μ m 以 下 で の 粒 子 が 増
加 し た 。 図 3 に 新 聞 古 紙 60 分 破 砕
で 、 粒 子 径 25μ m 以 下 で の 光 散 乱
法による粒度分布を示す。平均的
な 粒 子 径 は 約 10μ m で あ る が 、 ナ ノ
領域での粒子も認められた。また、
最 適 な ボ ー ル 径 は 10mm で あ っ た 。
試料の含水率が低下することにより
粒子径も低下した。これは、試料の
乾燥により、粒子間の水素結合が
阻害され、粒子同士の凝集が減少
したためと、乾燥による試料の脆化
により、機械的衝撃力により破砕さ
れやすくなったためと推察された。
粒度(μm)
25<
25-45
45-75
75-180
180>
30
20
10
10
0
0
60分
90分
120分 180分
粉砕条件(10φ)
図1 粉砕時間による違い(新聞紙)
60分
90分 120分 180分
粉砕条件(10φ)
図2 粉砕時間による違い(ろ紙)
4.まとめ
古紙パルプ繊維の機械的破砕にはい
遊星型ボールミルが有効であった。
微 細 径 側 で の 平 均 粒 子 径 は 約 10μ m
図 3 破砕新聞古紙の粒度分布
m程度であるが、微粒子の凝集体であった。
粒子間での凝集の阻止によりナノ領域での粒子化に期待がもてた。
*1)
製 品 科 学 グ ル ー プ 、 *2)
東 京 農 工 大 学 、 *3)
九州大学