再生医療等製品評価のレギュラトリーサイエン スの動向

Disclaimer: 本発表は演者の個人的見解を示すものであり、所属する組織の公式な見解ではないことをご留意ください。
The contents of this presentation represent the view of this presenter only, and do not represent the views and/or policies of the PMDA
再生医療等製品評価のレギュラトリーサイエン
スの動向
February 2016
独立行政法人医薬品医療機器総合機構
再生医療製品等審査部長 佐藤大作
Daisaku Sato, Ph.D.
Director, Office of Cellular and Tissue-based Products,
Pharmaceuticals and Medical Devices Agency, Japan
Pharmaceuticals and Medical Devices Agency
1 1
薬事法等の一部を改正する法律の概要(平成25年法律第84号)
医薬品、医療機器等の安全かつ迅速な提供の確保を図るため、添付文書の届出義務の創設、
医療機器の登録認証機関による認証範囲の拡大、再生医療等製品の条件及び期限付承認制度の
創設等の所要の措置を講ずる。
Ⅰ 法律の概要
1 医薬品、医療機器等に係る安全対策の強化
(1) 薬事法の目的に、保健衛生上の危害の発生・拡大防止のため必要な規制を行うことを明示する。
(2) 医薬品等の品質、有効性及び安全性の確保等に係る責務を関係者に課す。
(3) 医薬品等の製造販売業者は、最新の知見に基づき添付文書を作成し、厚生労働大臣に届け出るものとする。
2 医療機器の特性を踏まえた規制の構築
(1)
(2)
(3)
(4)
(5)
医療機器の製造販売業・製造業について、医薬品等と章を区分して規定する。
医療機器の民間の第三者機関による認証制度を、基準を定めて高度管理医療機器にも拡大する。
診断等に用いる単体プログラムについて、医療機器として製造販売の承認・認証等の対象とする。
医療機器の製造業について、許可制から登録制に簡素化する。
医療機器の製造・品質管理方法の基準適合性調査について、合理化を図る。
3 再生医療等製品の特性を踏まえた規制の構築
(1) 「再生医療等製品」を新たに定義するとともに、その特性を踏まえた安全対策等の規制を設ける。
(2) 均質でない再生医療等製品について、有効性が推定され、安全性が認められれば、特別に早期に、
条件及び期限を付して製造販売承認を与えることを可能とする。
4 その他
薬事法の題名を「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」に改めるほか、
所要の改正を行う。
Ⅱ 施行期日
Pharmaceuticals and Medical Devices Agency
公布の日から1年を超えない範囲内において政令で定める日(公布日:平成25年11月27日)
2
改正の経緯
○
現在、国民が受ける医療の質の向上を図るため、革新的な医薬品・医
療機器の創出や再生医療の研究開発及び実用化を促進していくことが喫
緊の課題となっている。
併せて、医薬品等による健康被害の再発防止のため、安全対策の強化
が求められている。
○
このような取組を推進するため、平成25年通常国会において、議員立
法として、
「再生医療を国民が迅速かつ安全に受けられるようにするための施策
の総合的な推進に関する法律」(平成25年法律第13号)が成立し(平
成25年5月10日公布)、
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3
ベネフィット・リスク評価
• 許容出来る臨床的な有用性の水準と患者の新規治療ア
クセスのニーズへの対応とのバランス
• 期待される効果と受忍できるリスクとのバランス
• 安全性を犠牲にすることなく、保健衛生における社会的
な責任を果たすには、マクロスコピックなレギュラトリー・
サイエンスの推進による貢献。
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再生医療等製品の開発の迅速化と承認
審査の迅速化を果たすには
再生医療等製品の特性
• アンメット・メディカルニーズに対応した製品:
治験に登録できる患者数に制限がある。
• 移植等の手術を伴う場合に、対照群を置いた比較試験
が倫理的に難しい場合がある。
• 原材料の細胞の品質が不均一であることによる評価の
困難さ。
従来の医薬品規制をそのまま当てはめすぎること
により、治験や審査が長期化するリスクが高い。
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再生医療等製品の特性を踏まえた規制の構築
改正の内容
【条件及び期限付承認制度の導入】
(2) 均質でない再生医療等製品については、有効性が推定され、安全性が確認されれ
ば、条件及び期限付きで特別に早期に承認できる仕組みを導入する。
その場合、承認後に有効性・安全性を改めて検証する。
※
条件及び期限については、販売先を専門的な医師や設備を有する医療機関等
に限定する条件や、原則として7年を超えない範囲内の期限を想定。
また、承認を受けた者は、期限内に使用成績に関する資料等を添付して、再
度承認申請を行うことが必要。
6
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再生医療等製品の条件・期限付承認制度の導入
【従来の承認までの道筋】
<再生医療等製品に従来の承認制度を適用する場合の問題点>
人の細胞を用いることから、個人差を反映して品質が不均一となるた
め、有効性を確認するためのデータの収集・評価に長時間を要する。
治験
臨床研究
(有効性、安全性の確認)
【再生医療等製品の早期の実用化に対応した承認制度】
市販
臨床研究
治験
(有効性の推定、
安全性の確認)
条件・期限
を
付して承認
<目標>
審査期間(行政側)9カ月
市
販
承認
市販後に有効性、
さらなる安全性を検証
※患者のアクセスを
より早く!
期
承認
承限
又は
認内
申 に 条件・期限
請 再 付承認の
度
失効
引き続き
市販
患者にリスクを説明し同意を得、
市販後の安全対策を講じる。
• 有効性については、一定数の限られた症例から、有効性の推定に必要な試験成績を
短期間で得る。
• 安全性については、急性期の副作用等は短期間で評価を行うことが可能。
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Evolving Early Access schemes of ICH founding 3 regions
Each agency has similar approaches to accommodate patient access demand.
Type
US
priority
Priority Review
Orphan Designation
Conditional
Accelerated approval for
serious or lifethreatening illnesses
EU
JAPAN
Orphan
Designation
Priority review
Orphan
Designation
Conditional MA
MA under
exceptional
circumstances
Pilot Project on
Adaptive path
(new)
Rolling
submission
Break through therapy
& Fast Track designation
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PRIME (new)
Approval for
Oncology drug,
Orphan drug
Conditional & Timelimited approval for
regenerative
medicine (new)
(先駆け)Forerunner
Review Assignment
(new)
生物由来製品と再生医療等製品に係る規制の違い
生物由来製品
再生医療等製品
なし
(市販後データに基づく通常
承認の取得とセット)
特定生物由来製品
全製品
(理解を得るよう努める)
(同意を得るよう努める)
製販業者が保管
製販業者が保管
(特定生物は医療機関で
患者使用記録の保管)
(指定再生医療等製品は医療機関で
患者使用記録の保管)
副作用被害救済制度の対象
医薬品としての
生物由来製品
全製品
感染被害救済制度の対象
全製品
全製品
製造販売業者の
医療機関等への販売
なし
可能
(卸売販売業者から販売)
(主に自己由来製品を想定)
条件及び期限付承認
使用時の説明努力義務
販売先記録の保管
医薬品
医療機器
生物由来製品
特定生物由来製品
再生医療等
製品
指定再生
医療等製品
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可能
 再生医療等製品:
人又は動物の生きている細胞や人の体内で発現す
る遺伝子を含む製品
 生物由来製品:
植物を除く生物原料を用いる医薬品、医療機器等
 特定生物由来製品:
生物由来製品のうち、保健衛生上の危害発生防止
9
措置等が必要な製品。主に血液製剤等。
新しい規制の下での2品目の新規承認 (Update)
• 平成26年9月と10月に新規の再生医療等製品の製造販売承認申請。
• 2品目とも、平成27年9月18日に承認。
• 審査事務処理期間は、10.9ヶ月と11.8ヶ月。
1.
2.
骨髄間葉系幹細胞(MSCs) の GVHD適応 (通常承認)
骨格筋芽細胞シートの重症心不全適応(条件及び期限付承
認 – 5年、市販後の有効性承認条件評価)
Conditional approval
in Canada
and New Zealand
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Note: Figures quoted from the company press release docs
レギュラトリーサイエンスに基づく、
再生医療等製品の審査
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承認審査のレギュラトリー・サイエンスの視点
• 目新しい科学的な発見を目指すものではない。
• 単に新しい試験の評価系を開発するためのものだけ
でもない。
• 科学から実用への橋渡しをするための地味な根拠
(想定されるリスクやハザード等を一つ一つ説明す
る)づくり、その評価まで合わせて考えるもの。
• 社会に対する説明責任。
• 確立された評価方法へのあてはめと異なる場合、評
価のフレキシビリティーを与える根拠。(医薬品・医療
機器カテゴリーからの分離)
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再生医療等製品の品質特性
評価項目の例
試験方法の例
(試験の位置づけに応じてケースバイケース)
確認試験
性状、細胞表現型、分化能、細胞種等
細胞の純度試験
細胞表現型、異常増殖等
製造工程由来不純物
製造工程由来物質(血清由来アルブミン、抗生物
質等)
目的外生理活性不純物
生理活性物質等
安全性
染色体異常、軟寒天コロニー形成能、ウイルス、
マイコプラズマ、エンドトキシン、無菌等
力価試験、効能効果試験、タンパク質発現、生理活性物質の分泌能、分化能、
力学的適合性
細胞表現型、細胞増殖能、耐久性等
含量
細胞数、細胞生存率等
 有効性及び安全性に関係のある品質特性が重要品質特性になりえるが、細胞を含む製品でどのような
品質特性が該当するのか、考え方の整理、議論が必要。
 特に、力価試験ではどのような品質特性の項目を設定し、規格値を設ければよいか、悩ましいところ。
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13
再生医療等製品の特徴





生きた細胞等を含む製品。
有効性及び安全性に関する品質特性が特定しづら
い。
不均一性が高い。
試験法のばらつきが大きい。
適切な標準品がない。
⇒
最終製品に対する試験で品質は確保できるか?
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14
品質のつくり込み
バイオ医薬品のイメージ
再生医療等製品のイメージ
原材料・工程変動
原材料・工程変動
工程内管理
特性解析
規格
工程内管理
特性解析
規格
 規格で品質をすべて把握することは困難。再生医療等製品ではその特徴から限られた情報しか得られない。
 製造工程のコントロールにより品質を管理する考え方が重要となる。
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15
再生医療等製品に特徴的な品質上の懸念
品質特性と有効性・安全性の関係が必ずしも明確ではない
製造工程の微妙な差異が品質特性に影響を及ぼす可能性が高い
製造工程で多様な生物由来原料、材料又は原材料を使用
製造工程中に病原体等の不活化/除去を行うことが困難
→感染性因子の混入リスクが高い
目的細胞の純化が困難
→製品中に目的外細胞や工程由来不純物が混入する可能
性
培養や保存時に細胞の特性が変化する可能性
など
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16
原料基準の取り扱い
平成26年9月26日厚生労働省告示第375号
○動物細胞組織原料
フィーダー細胞など、製品の材料を構成するものでセルバンクを構築しているものにつ
いては、使用実績とセルバンクの解析が目的に照らして十分に行われている場合には、
動物の飼育管理や細胞・組織を採取する作業の過程の確認や記録の保管を不要とする。
○反芻動物由来原料
従来は地理的BSEリスクに基づき原産国を規制してきたが、EU等の動向も踏まえ、国際
獣疫事務局(OIE)の評価に沿った見直しを行う。
ゼラチンについては、その高度処理工程を踏まえ、プリオンリスクは十分無視できると判
断。ウシ乳についても、海外の規制状況、最近の科学的知見等を踏まえ、原産国にかか
わらず使用可とする。
○承認された医薬品等の利用
再生医療等製品の原料若しくは材料又はそれらの原材料として、製造販売承認を受け
た医薬品等を適切に用いる場合には、当該原材料の使用については基準に適合している
ものとする。
○ヒト又は動物由来原料を作製する作業の記録
原材料を作製する作業の経過に関する記録はGMPの中で必要に応じて確認する。
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17
一般的な研究開発の全体像
【一般的な開発の道筋】
非臨床
試験
Phase 1
目的とする
製品の特性
臨床試験
Phase 2
Phase 3
承
認
市販後
設計品質と製品品質の確立が重要
CMC(chemistry, Manufacturing, and Control)
治験製品の管理戦略
治験製品の管理戦略
品質特性の抽出
治験製品の管理戦略
重要品質特性の決定
プロセスパラメーターの検討
製品品質の
管理戦略/
品質照査
重要パラメーターの決定
品質の一貫性
品質の同等性
知識管理/品質リスクマネジメント
治験製品の製造管理及び品質管理
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市販製品のGCTP
細胞製品の品質管理の基準GCTPのポイント
Quality System Requirement
再生医療等製品においては 原材料を決して無菌化できない特性を考慮
したQSRが必要:
• Quality Risk Management (QRM)
• 製造管理(無菌保証, 交差汚染の防止..)
• 品質管理(ベリフィケーション / バリデーション, 照査)
• 構造設備
QRMの活用により、製品と工程に関する理解を促進し、製造された製品の
品質を保証する能力に関してより強い確証を得ることができる。より強固な
品質保証につながる。
構造設備(ハード)、品質システム(ソフト)の両面から、個々の製品の品質
に対するどのようなリスクがあるか、そのリスクは管理可能か、受入れ可能
かという視点から達成レベルを設定し、継続的に管理し、改善していくことが
求められる。→個々の品質管理戦略の重要性
Pharmaceuticals and Medical Devices Agency
再生医療等製品のライフサイクル
被験者の保護
治験製品の保証レベル
治験製品の
ベリフィケーション
治験製品の
ベリフィケーション
治験製品の
ベリフィケーション
求められる
保証レベル
バリデーション
GCTP調査
再生医療等製品
医薬品
Phase 1
バリデーション
GCTP調査
Phase 2
市販後の継続した
ベリフィケーション
Phase 3
開発段階
 再生医療等製品の特性から、開発後期での大きな変更は同等性の観点から開発リスクが大きい。
 条件及び期限付承認の場合、通常承認までに管理戦略の妥当性の確認が求められることになり、通常の医薬品とは製品ライフサイクル
の対応の相場感が異なる。
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20
再生医療等製品の構成
• 本質成分
• 非細胞成分
• 製造工程由来不純物
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10
再生医療等製品の非臨床安全性評価項目
~細胞加工製品~
 目的外の形質転換を起こしていないこと
 細胞・組織が産生する生理活性物質による影響
 正常な細胞又は組織への影響
 異所性組織を形成する可能性
 望ましくない免疫反応が生じる可能性
 腫瘍形成及びがん化の可能性
 遺伝子導入が行われている場合には、遺伝子治療用製品指針に定める安
全性評価
 一般毒性試験 (リスク評価というより、ハザード評価)
 生命維持に係わる重要な器官・組織への影響
 製造工程由来不純物の安全性評価
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22
毒性評価(試験)実施の考え方
• 本質成分(細胞、遺伝子、ウイルス)
•
•
•
効力(Mode of Action)
産生する生理活性物質
悪性形質転換能
⇒合理的な毒性試験を実施
• 非細胞成分
• 製造工程由来不純物
⇒物性や薬理作用等から安全性を説明
⇒可能な限り理化学的分析法により評価
⇒説明が困難な場合:毒性試験の実施
Pharmaceuticals and Medical Devices Agency
2
一般毒性試験(試験デザイン)
細胞加工製品
遺伝子治療用
製品
腫瘍溶解性
ウイルス
被験品
 ヒトへ投与される最終製品を使用
投与量
 ハザード評価の観点 ⇒最大耐量(MTD)、投与可能量(MFD)
 効力が最大となる量
 リスク評価の観点
注1)
 用量反応性
 増殖許容性 注2)
⇒十分な安全倍率
⇒毒性が見込まれる量
~想定無毒性量
投与
 ヒト投与
 治験におけるヒトへの安全性を担保
回数・期間
 単回
⇒
単回
 反復
⇒
反復
 反復
⇒
単回
参考となるガイドライン:ICH-S6、ICH-S9
 腫瘍溶解性ウイルス
増殖許容性の種差等を考慮(ケースバイケース)
(蓄積性なし)
注1)対象となる疾患に応じて評価
注2)投与された動物の生体内における被験製品の増殖性
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24
造腫瘍性と免疫原性
同種由来細胞製品(allogenic)
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免疫原性のリスク
幹細胞
悪性形質転換のリスク
自家由来細胞製品(autologous)
ヒト細胞加工製品の造腫瘍性の懸念
ES細胞
奇形腫形成
最終製品
・iPS細胞
iPS細胞
遺伝子導入
・体性幹細胞
例:間葉系幹細胞
最終製品
・体細胞
Pharmaceuticals and Medical Devices Agency
最終製品
悪性形質転換
加工方法、類似品の使用実績等により変動
・ES細胞
細胞加工製品の造腫瘍性試験
主な試験
製品ごとに必要な試験は異なる
in vitro 試験 ・核型分析試験
⇒ 遺伝的安定性
・軟寒天コロニー形成試験
⇒ 足場非依存的な増殖能
in vivo 試験 ・免疫不全動物を用いた試験
⇒ 生体内での腫瘍形成能
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27
臨床
臨床試験(治験)の位置付け
• 探索的治験
将来実施する治験の目標を設定(仮説を立てる)た
めに実施される治験
• 検証的治験
事前に定められた仮説を評価するために計画・実
施される治験
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再生医療等製品の条件及び期限付承認と従来の承認の関係
Pharmaceuticals and Medical Devices Agency
29
H26.10.8 中医協資料
27
再生医療等製品の条件・期限付承認と通常の
承認における有効性の水準(イメージ)
【医薬品・医療機器】
通
常
の
承
認
通
常
の
承
認
承条
認件
期
限
付
オーファンでは
許容されること
がある水準
・
有
効
性
の
確
か
ら
し
さ
の
水
準
【再生医療等製品】
承認
(他に有効な治療法がない疾患を想定した場合)
Pharmaceuticals and Medical Devices Agency
治験
テムセルHS注 用法及び用量又は使用方法
通常、体重1kg当たりヒト間葉系幹細胞として1回2×106個を、1バッグ当たり生理
食塩液18mLで希釈して、4mL/分を目安に緩徐に点滴静注する。1週間に2回、投
与間隔は3日以上とし、4週間投与する。なお、症状の程度に応じて、さらに1週間
に1回、4週間投与することができる。
Pharmaceuticals and Medical Devices Agency
中央社会保険医療協議会 総会(第313回 H.27.11.18)資料
http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000104129.html
平成27年9月2日開催 薬事食品衛生審議会
生物由来技術・再生医療等製品部会(公表資料)
一般的名称
販売名
申請者名
ヒト(同種)骨髄由来間葉系幹細胞
テムセルHS注
JCRファーマ株式会社
品目の概要
健康成人骨髄液から分離した有核細胞を拡大培養して得られるヒト間葉系幹細
胞からなる再生医療等製品。同種異系間の免疫反応を抑制する免疫調節作用
により、急性移植片対宿主病(急性GVHD)に対して治療効果を有することが期
待される。
条件及び期限付承認 非該当
有効性評価の概要
次に掲げる点を踏まえ、本品の一定の有効性が示されたと判断された。
・急性GVHDに対する初期治療薬は、副腎皮質ステロイド剤とされているが、副腎
皮質ステロイド剤で治療効果が得られない急性GVHDに対する治療選択肢が
限られていること。
・副腎皮質ステロイド剤で治療効果が得られない急性GVHD患者25例を対象とし
た国内治験において、本品を投与することで、主要評価項目とされた「28日間
以上継続するCR」は12/25例(48.0[95%信頼区間: 27.8, 68.7]%)に認められ、
海外の二次治療薬による治療成績の文献報告値(抗ヒト胸腺細胞ウサギ免疫
グロブリン;20.3%(16/79例)、ミコフェノール酸モフェチル;15.4%(2/13例))に劣
らない成績を示していること。
なお、国内治験の主要評価項目の結果(48.0%)は、本品と類似の成分からな
る製品Prochymalの海外治験にて対照群とした既存の二次治療群(国内治験と
急性GVHDの重症度が同様となるように抽出)の達成率21.6%(11/51例)を上
回っている。
Pharmaceuticals ※CR(Complete
and Medical response):完全反応(すべての臓器障害が消失)
Devices Agency
32
ハートシート 用法及び用量又は使用方法の概略
大腿四頭筋から生検により、細胞を採取
Pharmaceuticals and Medical Devices Agency
中央社会保険医療協議会 総会(第313回 H.27.11.18)資料
http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000104129.html
平成27年9月2日開催 薬事食品衛生審議会
生物由来技術・再生医療等製品部会(公表資料)
一般的名称
販売名
申請者名
ヒト(自己)骨格筋由来細胞シート
ハートシート
テルモ株式会社
品目の概要
本品は、虚血性心疾患で重症心不全となった患者の治療を目的として、医療機
関において患者自身から採取した骨格筋に含まれる骨格筋芽細胞を製造所に
おいて培養して増殖させた後に、専用容器に充てんして凍結保存したものを医
療機関においてシート状に調製し、患者の心臓表面に5枚を移植して使用する再
生医療等製品である。
条件及び期限付承 該当(承認の期限:5年)
認への該当性
有効性評価の概要 現時点では情報が限られていることから、有効性を確認するため、製造販売承
認後も継続して本品の有効性を評価することが適切とされた。
・ 国内治験において心機能の指標(左室駆出率)が悪化しなかった事例が7例
中5例あり、進行的な心不全の悪化が危惧される重症心不全患者が対象であ
ることを考慮すると、臨床的に有効である可能性を示唆する成績であったと考
えられること
・ 心エコーによる左室駆出率の改善傾向や運動耐容能等の患者の状態を総合
的に評価して、少なくとも7例中4例では本品のメリットがデメリットを上回ると判
断し、本品を臨床現場に提供する意義を支持するものと考えられること
・参考として、約2年後の心臓死では国内治験対象者では死亡例はなく、同様の
疾患背景を有する重症心不全患者のデータベース群では33%の死亡が確認さ
れていたこと
Pharmaceuticals and Medical Devices Agency
34
ハートシート 臨床試験成績に関する資料(2)
【医薬品・医療機器】
通
常
の
承
認
通
常
の
承
認
市販後
承条
認件
M-51073-21
期
限
付
オーファンでは
許容されること
がある水準
・
有
効
性
の
確
か
ら
し
さ
の
水
準
【再生医療等製品】
承認
(他に有効な治療法がない疾患を想定した場合)
Pharmaceuticals and Medical Devices Agency
治験
平成27年9月2日開催 薬事食品衛生審議会
生物由来技術・再生医療等製品部会(公表資料)
本品の使用患者(目標解析対象症例数60例)における有効性に
関する情報(心臓疾患に関連する死亡、心血管イベントによる入
院率等)及び本品の適応対象になるような重症心不全患者で
あって本品を使用しなかった患者(対照群)の臨床経過に関する
情報を収集し、事前に設定した条件(心臓疾患に関連する死亡
製造販売後の について有意差が確認されること等)に基づきそれらを比較する
評価の
ことにより、本品の有効性評価を行う。
計画の概要
あわせて、本品の使用患者全例における安全性に関する情報
(不具合、感染症等)を収集し、評価を行うとともに医療機関に対
して適切に情報提供を行う。
評価期間は、準備期間を含め、5年。
Pharmaceuticals and Medical Devices Agency
36
リスクとベネフィットのバランス
「有効性の推定」の定義については
議論がつきないところですが…
承認において大事なことはリスクとベネフィットのバランス
そのバランスは品目ごとに個別評価
リスク
安全性
対象疾患の重篤性
なお残る未知のリスク
ベネフィット
有効性や性能
開発している製品の臨床的位置付けに対し
どの程度の有効性/性能を示せばリスクが忍容でき
再生医療等製品として成立するか
医薬品・医療機器と同様の基本に立って考える
Pharmaceuticals and Medical Devices Agency
まとめ

品質
2品目共通の論点
ベリフィケーションの実施について(管理戦略の設定
の妥当性)
品目特有の論点
 ヒト(同種)由来細胞加工製品のウイルス安全性
 医療機関において調製される骨格筋芽シートの評価


臨床
品目特有の論点
 有効性の評価について
 条件・期限付き承認/製造販売後承認条件評価計画
Pharmaceuticals and Medical Devices Agency
死の谷(Death Valley)へのPMDAの取組
-薬事戦略相談の実施-
日本発の革新的な医薬品・医療機器・再生医療等製品の創出に向け、有望な
シーズを持つ大学・研究機関、ベンチャー企業を主な対象として、開発初期から必
要な試験・治験に関する指導・助言を実施するものとして、H23年7月1日より開始
基礎研究から実用化に向けては様々な課題があり、課題解決に向けた審査当局との早期相談が重要
である。
例えば、品質や毒性データ等を適切に収集しておらず、臨床試験が実施できないというケース、革新的
な医薬品・医療機器・再生医療等製品で、品質・安全性・有効性の評価方法が確立しておらず、開発者
等で検討した独自の評価方法を用いて臨床試験等を実施しても、品質・安全性・有効性が十分に確保
ができたか、評価ができないことから、承認審査が迅速に行えないケースなどがある。
実用化
基礎研究
日本発の
創薬シーズ
疑
問
点
の
例
品質試験
再生医療等に用いる細胞・
組織やバイオ医薬品に関
する品質・毒性試験法に関
する疑問
非臨床試験
臨床試験
初期段階での評価項
目の決定や必要な被
験者数に疑問
Pharmaceuticals and Medical Devices Agency
革新的
医薬品・医療機器
再生医療等製品
着実な開発に向けては、
このような疑問を放置せず
できるだけ早い段階から
PMDAと相談し、確認して
おくことが重要
39
Pharmaceutical Affairs Consultation on R&D Strategy
(category)
N of consultation
160
120
Regenerative
再生医療製品※
medicine
Medical Devices
医療機器
医薬品
Drugs
80
40
0
FY2011
FY2012
FY2013
FY2014
66 consultations come under
regenerative category in FY2015
Pharmaceuticals and Medical Devices Agency
40
http://www.pmda.go.jp/
Pharmaceuticals and Medical Devices Agency
ご清聴ありがとうございました
Thanks to my colleagues of Office of Cellular and Tissue-based Products
Pharmaceuticals and Medical Devices Agency