エンタープライズICT総合誌 月刊ビジネスコミューニケーション(Webサイトへ) 国 内金融IT市場 最新予測を発表 IDC Japan ∼収益拡大に向けたI T支出の増加を予測∼ IT 専門調査会社 IDC Japan は、国内金融 IT 市場(銀行、保険、証券/その他金融の国内における IT 支出、ATM、営業店端末 の IT 支出分も含む)の 2019 年までの予測を発表した。 IDC では、国内経済は堅調に推移 ソリューション拡充といったサービ 融およびその関連サービス)を提供 しているが、2016 年の国内金融 IT ス/金融商品強化を目的に IT を積 するスタートアップ企業と連携する 市場は前年の大型案件の反動もあ 極的に活用する金融機関が増加して 取り組みが増えている。 り、市場規模は 2 兆 407 億円で、前 いる。特にメガバンクの IT 支出で すでに一部の金融機関では 年比成長率は 0.6%を予測している。 は、2014 年∼ 2019 年の年間平均 「FinTech」を提供するスタートアッ 業態別にみると、メガバンク(前年 成長率(CAGR:Compound Annual プ企業と連携することで決済、個人 比成長率:3.0%) 、 カード(同:2.3%) 、 Growth Rate)において、チャネル 資産管理などの分野でサービス提供 生命保険(同:2.5%) 、大手証券会 系システム(4.5%)、顧客管理シス が始まっている。また、IT ベンダー 社(同:2.1%)では比較的高い成長 テム(4.3%)で、メガバンク全体 でもビジネスマッチングなどの支援 (3.4%)と比較して高い成長率を予 を行っている。2016 年以降も、金 国内金融機関では、企業の資金調 測している。IT ソリューションに 融機関とこれらのスタートアップ企 達方法の多様化、低金利の長期化、 おいても、これらの取り組みを支援 業との連携が進むとみており、さら 企業の海外シフト、人口減少などの するモバイル、クラウド、ビッグデー に現在検討されている規制緩和もこ 要因から、既存のビジネスが伸び悩 タ技術、コグニティブシステムの活 の動きを後押しするとみている。た んでいるため、新しい収益拡大施策 用が増えている。加えて、より革新 だし、金融機関とスタートアップ企 を模索している。また、オムニチャ 的なサービス提供を図るために 業との連携では企業文化の差異など ネル化、顧客管理/分析強化、決済 「FinTech」(IT を活用した新しい金 の課題もある。IDC Japan IT スペン 率で拡大するとみている。 ディングリサーチマネージャーの市 村仁氏は、「IT ベンダーが金融機関 とのスタートアップの連携をより円 滑なものとするためには、企業文化 の差異をカバーするなど中長期的な 視点での支援を行うことが重要にな る」と分析している。 ●お問い合せ先● IDC Japan 株式会社 セールス TEL:03-3556-4761 Note:上記数値には、ATM、営業店端末に関連するIT支出を含む。Sour ce:IDC 1/20 2016 図 国内金融 IT 市場システム別 IT 支出、2014 年∼ 2019 年の CAGR:メガバンク 66 E-mail:[email protected] URL:http://www.idcjapan.co.jp ビジネスコミュニケーション 2016 Vol.53 No.2
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