工場ルポ №226 ガスメーターの塗装 長野県度量衡㈱ 〒394-0024 長野県岡谷市堀ノ内 2-10-7 TEL(0266)23-2646 (1) 会社の沿革 長野県度量衡株式会社の創業は、昭和 18 年 5 月。当時、長野県内にて計量器の製作・修理を営む岡 谷度量衡(合)、信濃度量衡㈱、長野瓦斯㈱、田中敬三郎氏、田辺弥一郎氏の 5 名が企業合同を行い、 度量衡器販売業者有志の出資を合わせて創立したもので、社名を長野県当局の指導により、現社名に 命名した。 現在は、ガスメーターの組み立て,製造が約 9 割、その他水道メーターの製造を行っている。 (2) 製造工程 ガスメーターの製造工程は、各種素材パーツが組み立て工場で、80∼100 にも及ぶ工程を経て組み 立てられる。素材は、アルミニウム,鉄,合成ゴム,樹脂,ガラス等。 組み立てが終了したガスメーターは、機能チェックが行われる「検査室」へと移行する。 検査室では、次の工程で各性能チェックが行われる。 ① 外部漏れ検査 自動外部漏れ検査機によって、ガス漏れの有無を検査している。 ② 予備検査 メーターの性能検査が行われる。 ③ 器差検査 メーターの指示量と機能の誤差をチェックする。 ④ 外部漏れ検査 計量法に合致しているかどうか、再度の漏れ検査が行われている。 機能検査をパスした製品は、いよいよ塗装工程に搬入される。 (3) 塗装の工程と設備概要 塗装ラインに入る前に重要なのがマスキング作業。メーター部のガラス板やキャップなど入念なマ スキングが施され、前処理装置に移行される。 《前処理の工程》 前処理は、前処理装置に二つのワークが同時にかけられ、蒸気洗浄で全工程、約 20 秒で行わ れる。洗浄液は塩化メチレンを使用し、乾燥温度は約 40℃。 《塗装の工程》 前処理を終えたワークは、塗装ラインへと移行する。 ハンガー掛け→前補正塗り(水洗ブース)→下・上塗り(乾式ブース)→セッティング→赤外 線硬化乾燥→取り外し→検査 組み立てられたガスメーターは、接続部分など狭隘(きょうあい)部に一部塗料が入り込まな い箇所があるため、前補正を行っている。 塗装は、2 コート 2 ベークスタイルで、乾式ブースが設置されている箇所で、下塗り(プライ マー)と上塗り(超速乾性合成樹脂塗料)が行われている。 塗装システムは、本年 6 月に老朽化した従来設備を更新し、高速回転式低圧霧化静電塗装シス テム「エスポターボ ESA87」(旭サナック㈱)を導入している(固定式 2 ガン)。 《設備の概要》 コンベヤー全長:48m(同速度:1.0m/min)、ハンガーピッチ:30 ㎝,161 本、塗装装置:高 速回転式低圧霧化静電塗装システム 2 ガン、前補正用固定ガン 8 ガン、赤外線硬化ランプ(50℃ で運転している。ガスメーター内のグリースを溶融させないため)、膜厚:下塗り、上塗りトー タルで 40μ以上。塗色はアイボリー1 色。 (4) 工場の特長と塗装のポイント 同所で製造されているガスメーターのほとんどは一般家庭用。このため、外観イメージがユーザー の評価にすぐ反映されてしまう塗装仕上げは特に重要視されている。 特に取り外し後の検査工程では、入念なチェックが行われている。たとえば、マスキングの除去、 外観検査、ネジ曲り検査、カウンターの汚れチェックなど、品質管理が徹底している。 また、新しい設備の導入により、塗装の自動制御が行えるようになったため、塗料の吐出量の調整 や塗装の運営が数値で管理できることで、品質の向上に寄与している。 現在、一般家庭用の他に一部工場用の特注品として、溶量が 90m3 の 638W×518L×720Hmm の大型ガ スメーターを扱っている。 この他、ガスメーターの性能の検定有効期限は 10 年であるため、再検査および塗り替え業務を行っ ている。 今回の取材に当たっては、同社技術課 早出 稔課長をはじめ、現場スタッフの方々にたいへんお世話 になりました。御礼申し上げます。
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