認定看護師だより 平成28年1⽉発⾏ 25号 冬季は感染症の流行シーズンです。今回は、感染管理認定看護師が担当します。 1月・2月は、空気が乾燥し、気温が低くなるため感染症がピークを迎える季節です。 冬季に問題となる感染症にはかぜ症候群、インフルエンザ、肺炎などの呼吸器感染症とノロウイルス、 ロタウイルスなどのウイルス性の感染性胃腸炎があります。昨年、ノロウイルスの新型GII・17が発見され ました。新型のノロウイルスであっても感染対策は、例年のノロウイルスの対策と同じです。しかし、新型 のノロウイルスは迅速診断キットでは検出されません。嘔吐下痢の症状がある方への対応は感染性胃腸炎と して、接触感染予防・飛沫感染予防を行いましょう。また、インフルエンザも流行シーズンに入っています。 インフルエンザ様の症状がある方への対応は、インフルエンザを疑い、接触感染予防・飛沫感染予防を行い ましょう。 ノロウイルスは、 手洗いが不十分だと 器具や環境を介して 感染が広がります 1月 月・2月 月に感染症が 感染症が流行する 流行する理由 する理由 1)ウイルス 1)ウイルスの伝播性・感染力の ウイルスの伝播性・感染力の増強 の伝播性・感染力の増強 冬季は、感染した人の分泌物に含まれるウイルスが乾燥するため、空中 に浮遊しやすい状態になります。また、低温・低湿度下ではウイルスが 体外でより長く安定して存在することが可能となります。 *インフルエンザは、環境中に2~8時間生存できませんが、ノロウイルスは、 約8時間~乾燥表面上では7 7日間生存できるという報告があります。 日間 免疫力を高める食材 2)人の免疫力低下 体温が低下すると代謝活動が低下し、免疫を担う細胞の働きも低下しま す。また、乾燥により喉・鼻腔・気管支の粘膜が乾いた状態となります。 本来粘液でウイルスの侵入を防いでいるのですがウイルスが粘膜内に侵入 しやすくなり、感染を起こしやすくなります。湿度は、約50~60%でコ ントロールすることでインフルエンザウイルスの生存率が約3~5%へ下 がります。 そこで、マスクを正しく着用することは飛沫感染予防のみならず、ドラ イノーズ(鼻や粘膜の乾燥)を防ぎ喉・鼻腔・気管支の粘膜の湿度を保つ ことができます。また、免疫力を高めるには、適度な睡眠と運動・ストレ スを溜めない・バランスの良い食事が大切です。 ニンニクには、殺菌成分 アリシンがふくまれます。 アリシン 小松菜には、ビタミンA・ ビタミンA・ C・E、葉酸などの抗酸化 C・E、葉酸 成分がたっぷり含まれます。 大根の辛味成分ジアスターゼ ジアスターゼ にも抗酸化作用があります。 ヨーグルトの乳酸菌 乳酸菌は腸内 乳酸菌 環境と整えてくれます。 バナナは白血球の働きを 高めてくれます。 感染症名 主な原因ウイルス 原因ウイルス 症状・ 症状・特徴など 特徴など 感染予防策 インフルエンザ インフルエンザウイルス A・B・C 潜伏期間平均2日(1~4日)。上気道炎症状に加えて高熱(3 8℃以上)、頭痛、筋肉痛を伴う。消化器症状が出現することもあ る。 接触・飛沫 ウイルス性胃腸炎 ノロウイルス 潜伏期間12~48時間、嘔吐と下痢が突然始まることが特徴で ある。嘔吐又は下痢のみの場合など症状には個人差がある。3 7~38℃の発熱がみられることがある。 接触・飛沫 ウイルス性胃腸炎 ロタウイルス 潜伏期間1~3日。症状はノロウイルス同様である。ロタウイルス は、5歳までに90%以上の幼児が感染し、年長以降では不顕性 感染となることが多い。 接触・飛沫 RSウイルス 潜伏期間4~6日。冬季を中心に流行し、主に乳児期の発症が 多く、気管支炎、肺炎、発熱、鼻汁、咳嗽である。成人では軽い 風邪症状で済む場合が多い。乳幼児では突然死症候群の原因 の一部である。 接触・飛沫 RSウイルス感染症 ※職員が罹患した場合、就業制限が必要な感染症もあります。詳しくは感染対策マニュアルをご参照ください。 担当:感染管理認定看護師 折田 富之 Kagoshima Medical Association Hospital 参考文献 ① インフルエンザウイルスと湿度と温度の関係:1961G.Jharper ② 感染対策ポケットガイド第4版SARAYA 一山 智 監修P162 ③ インフルエンザイラスト・ノロウイルスイラスト サラヤ株式会社 http://image.search.yahoo.co.jp/search
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