GBRC Vol.41 No.1 2016.1 GBRC ニュース コンクリート強度試験の試験申込・速報クラウドシステム（CTP）を始めました １．はじめに 建築・建設プロジェクトにおける工事管理は、コンクリートに代表されるような使用材料の検査や工程に関わる配筋 検査など、設計どおりの品質や性能を担保するために重要な行為です。 近年、構造体コンクリートの品質管理は、現場作業所が契約した試験代行者が、工事管理者に代わって一連の検査作 業を行うことが多くなっています。このような現場においては、供試体製作、初期養生、試験機関への持込み・試験申 込手続き、報告書の受取り等の作業をアウトソースすることで経費的にも合理化が図れていますが、一方では、工事管 理者（監理者）として試験結果を得て、評価や判定することについては、試験代行者が介在するため、FAXや電話に よる「速報」が頻繁に飛び交っているのが現状です。試験代行者としても複数の契約作業所を巡り、供試体の各種処理 を行いながら「速報」にも対応しなければならないため煩雑になりがちです。また、試験機関の立場としても、ひと月 に千件近くもの速報FAXを発信するのに手間がかかることの他に、FAX受取希望者に無事に届いているのか、すべて を確認できないリスクが常にあります。 そこでGBRCでは、コンクリート強度試験の依頼者や工事関係者を対象として、新しいクラウドサービスの提供を開 始いたしました。現場作業所の関係者なら、「いつでも・どこでも・最速で・正確な」試験内容の諸情報や試験結果が Web上で確認できるシステムです（図-1参照）。 特長は、 試験の申込み手続き、速報の受信や試験結果の履歴確認など、Web上でほぼすべての手続きが行えるシステム です。 24時間いつでも、PC、スマートフォン、タブレットで諸情報入力・修正・変更（受付終了まで）、発注書の 印刷や試験結果が閲覧できます。 依頼者情報の保護・セキュリティーを強固にしたうえで、コンクリート強度試験結果の速報を必要とする、工 事関係者などの方々に、Ｅメール（スマートフォンにも対応）で試験完了の通知と結果数値の速報を配信しま す（午前1回、午後2回の頻度で試験結果をアップロードし、事前登録していただいているEメールアドレス に、通知・配信を自動で行います）。 施工会社、作業所、試験代行者のそれぞれの立場（関わっている範囲）で、クラウドに登録し稼働中にある現 場の試験結果（終了分も含めて）の閲覧・ダウンロードが行えます。 このシステム利用によって、ペーパーレスでトレ―サブルな情報管理が実現できます。 現在、ご利用できる試験項目は、コンクリートの圧縮強度（テストピース）・曲げ強度・引張強度試験（割裂 法）ですが、グラウト・無収縮モルタル・根固め液・杭周固定液等の圧縮強度試験については、平成28年3月 頃に運用開始予定です。 詳しくは、GBRCのホームページで、試験事業＞工事用材料試験＞試験業務案内 をご覧ください。 https://www.gbrc-ctp.jp/info/index.html ２．代表的な運用例（試験代行者がクラウド利用申込者である場合） 1）新しい作業所が開設され、生コン工場（一般には複数工場）が確定した後に、試験代行者は作業所単位でクラ ウド登録を申し込みます。 2）コ ンクリート打設計画が決まれば、生コン工場・配合・打設日を事前入力しておきます。この登録作業は、 GBRCに対してクラウド利用申込者（試験費用納入者）の立場になる方が行います（この運用例では、試験代行 者）。 3）試験予定日（指定材齢）の数日前に、供試体と発注書（クラウド上で入力を完了・登録し、当該シートを印刷 65 GBRC Vol.41 No.1 2016.1 したもの）をGBRCに搬入・試験申込手続きを行います。この時点で、クラウド上では、「受付済」となりま す。 4）試験日当日、申込諸情報と供試体現物の一致を再確認した後、GBRCが試験結果をクラウド上にアップロードし ます。アップロードすると同時に、事前に登録していただいているEメールアドレスに試験終了の通知と結果数 値の速報を自動配信します。 5）速報配信を受ける方は、原則として現場作業所の指示や了承を経て、5～10個のアドレスを登録していただけま す。施工会社の本店・母店、工事監理者、施主、もちろんクラウド利用申込者である試験代行者の内部でも複 数のアドレス登録が可能です。 6）正式な報告書は、これまでどおりGBRCが試験申込者へ手渡しするか、郵送する方法で発行します。 7）試験が終了した打設分についても、作業所がクラウド登録中にあれば、遡って閲覧・ダウンロードすることが できます。 施 主 結果 報告 監 理 者 閲覧可 案内 mail 送信可 打込みの 情報 施工者 結果 報告 閲覧可 案内 mail 送信可 作業所 母店 結果 報告 案内 mail 送信 閲覧 試験申込者 (試験代行、 生コン) 案内 mail 送信 入力、印刷 閲覧 クラウド CTP 報告書 発行 供試体の搬入、 発注書の提出 依頼データと試験結果の連結。 申告情報誤り等の修正。 日総試 図-1 試験申込・速報クラウドシステム（CTP）の概念 ３．クラウド申込みの手順 本クラウドシステムは無料でご利用いただけます。DBシステムでクラウドをご利用されたい依頼者様は、材料部中 央試験室のDB担当までご連絡ください。 1）既にお取引契約がある（依頼者コード取得済み）依頼者様 材料部中央試験室の濱口または木村に、Ｅメールアドレスをお知らせ下さい。クラウドに登録するための案内を ご指定のＥメールアドレスに通知させていただきます。 2）これまでにお取引契約がない（依頼者コードがない）依頼者様 G BRCホームページで、試験事業＞工事用材料試験＞試験業務案内 に掲載しているフォームに諸情報を入力 し、印刷したシートを添えて、供試体をGBRC試験室（本部・支所）へ搬入・お申し込みください。 66
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