社会からの期待に応える社会福祉法人になるために

資料 2
社会からの期待に応える社会福祉法人になるために
~地域公益活動・財務規律・情報開示への戦略的取組み~
平成28年2月2日
独立行政法人福祉医療機構
経営サポートセンター・リサーチグループリーダー
千葉 正展
主な内容
1.
2.
3.
4.
5.
社会福祉法人に対する指摘
社会福祉法人の位置づけ
社会福祉法人制度の見直し
社会福祉法人の経営対応
まとめ
2
1.社会福祉法人に対する指摘
社会福祉法人制度を巡る状況
平成25年6月
■「規制改革実施計画」閣議決定
・ 全社会福祉法人の平成25年度以降の財務諸表の公表、保育所の第三者評価受審率目標の策定 等
■「日本再興戦略」閣議決定
8月
・ 財務諸表の公表推進による透明性の確保、法人規模拡大の推進 等
■「社会保障制度改革国民会議報告書」公表
・ 非課税扱いにふさわしい地域貢献 等
平成26年6月
■経済財政運営と改革の基本方針2014
・ 平成27年度介護報酬改定等における社会福祉法人の内部留保の状況を踏まえた適正化等
■「日本再興戦略改訂2014」閣議決定
・ 医療・介護等を一体的に提供する非営利ホールディングカンパニー型法人制度(仮称)の創設
■「規制改革実施計画」閣議決定
「介護・保育事業等における経営管理の強化とイコールフッティング確立」
・ 社会福祉法人の財務諸表等の開示義務付け、社会福祉法人の内部留保の位置付けの明確化・福祉サービスへの再投資・社会貢献で
の活用、社会福祉法人の経営管理体制の強化、所轄庁による指導・監督の強化、社会福祉法人に対する社会貢献活動の義務化 等
■「政府税制調査会」とりまとめ
「公益法人課税等の見直し」
・ 収益事業の範疇であっても、特定の事業者が行う場合に非課税とされている事業で、民間と競合しているもの(例えば社会福祉法
人が実施する介護事業)は、その取扱いについて見直しが必要 等
7月
12月
■「社会福祉法人の在り方等に関する検討会」報告書
・ 地域における公益的な活動の推進、法人組織の体制強化、法人運営の透明性の確保 等
■平成27年度税制改正大綱
・ 公益法人等については、非収益事業について民間競合が生じていないか、収益事業への課税について軽減税率とみなし寄附
金制度がともに適用されることが過剰な支援となっていないかといった点について実態を丁寧に検証しつつ、その課税のあり
方について引き続き検討を行う。
平成27年1月
■「社会福祉法人改革に関する提言」(自由民主党 社会福祉法人改革プロジェクトチーム)
・ 法人運営におけるガバナンスの強化、法人運営における透明性の確保、内部留保の明確化と福祉サービスへの再投下、地域における
公益的な活動、適切かつ効果的な行政の関与、職員処遇の改善 等
2月
■「社会保障審議会福祉部会」報告書
・ 経営組織の在り方の見直し、運営の透明性の確保、適正かつ公正な支出管理、地域における公益的な取組の責務、内部留保の明確
化と福祉サービスへの再投下、行政の役割と関与の在り方、社会福祉施設職員等退職手当共済制度の見直し 等
4
社会福祉法人に係る課題
社会福祉事業以外へ
の取り組みの不十分さ
経営開示関係
不適正性な財務諸表
法制度的な制約
公益性関係
経営開示の不十分さ
多額な内部留保批判
内部留保、経営成績・財政状
態の説明責任の不十分さ
事業化手法の未開発
イコールフッティング
組織ミッションの
曖昧さ
小規模組織ゆえの
非効率さ
経営ガバナンスの
不十分さ
財務管理関係
個人経営型
5
政府税調における議論
税制調査会 取りまとめ(抄) 平成26年6月27日
7 公益法人課税の見直し
特に介護事業のように民間事業者との競合が発生している分野においては、経
営形態間での課税の公平性を確保していく必要がある。 こうした観点から、公
益法人等の成り立ちや果たしている役割も踏まえながら、公益法人等の範囲や
収益事業の範囲を見直すべきである。特に収益事業の範疇であっても、特定の
事業者が行う場合に非課税とされている事業で、民間と競合しているもの(例え
ば社会福祉法人が実施する介護事業)については、その取扱いについて見直し
が必要である。
収益事業の規定方法については、従来から、現行の限定列挙方式ではなく、対
価を得て行う事業は原則課税とし、一定の要件に該当する事業を非課税とすべ
きとの指摘があり、このような方向での見直しも検討すべきである。
また、公益法人等の収益事業からの所得には、軽減税率とみなし寄附金制度
が適用されている。公益目的事業への所得の活用を促す措置ではあるが、みな
し寄附金制度の適用を受けた上に、軽減税率の適用も受けることは過大な対応
であり、見直しが必要である。
なお、公益法人等のガバナンスの強化や、対象法人が実際に公益目的事業を
行っているかを確認する仕組みが必要であるとの意見もあった。
6
党税調における議論
平成27年度税制改正大綱(抄) (自民党・公明党)平成26年12月30日
第1 平成27年度税制改正の基本的な考え方
Ⅰ.デフレ脱却・経済再生に向けた税制措置
1.成長志向に重点を置いた法人税改革
(2)改革の枠組み
平成27年度を初年度とし、以降数年で、法人実効税率を20%台まで
引き下げることを目指す。その際、2020年度の基礎的財政収支黒字化
目標との整合性を確保するため、制度改正を通じた課税ベースの拡大等
により、恒久財源をしっかりと確保する。
④ 公益法人等については、非課税事業について民間競合が生じていな
いか、収益事業への課税において軽減税率とみなし寄附金制度がともに
適用されることが過剰な支援となっていないかといった点について実態を
丁寧に検証しつつ、その課税のあり方について引き続き検討を行う。
7
公益法人課税のしくみ
ここに課税
軽減税率
公益法人
収益事業以外
営利法人
収益事業
(特掲34業種)
ここに課税
課税なし
みなし寄付
収益
費用
収益
費用
収益
費用
8
社会福祉事業の課税関係
• 介護保険事業①
– 居宅サービス(用具貸与を除く)、施設サービスは収益事業(医療保健業)に該当
– 法人税法施行令において、社会福祉法人等が除外されている
• 介護保険事業②
– 福祉用具貸与(物品貸付業)、特定福祉用具販売(物品販売業)、住宅改修(請負
業)⇒社会福祉法人が実施する場合であっても課税
• 障がい福祉サービス
– 介護保険事業と同様
• 措置事業
– 法人税法上は明文の規定なし。一般に収益事業(請負業)の可能性が疑われる
– 法令の規定に基づき国または地方公共団体の事務処理を委託された法人の行う
その委託に係るもので、その委託の対価がその事務処理のために必要な費用を
超えない等一定の要件を満たすもの⇒不課税
• 保育事業
– 証明施設が行う認可外保育事業は、認可保育事業と同様に、収益事業に該当し
ない
9
社会福祉法人に対する指摘も
社会福祉法人の課税問題も
その問題の根っこは・・・
社会福祉法人が社会から期待される
公益的役割を果たせているか?
が問われているのではないか。
2.社会福祉法人の位置づけ
社会福祉事業はソーシャルワークの手段
• 社会福祉法第22条(社会福祉法人)
– 社会福祉事業を行うことを目的にこの法律の定めるところにより設立され
た法人
• 福祉サービスと社会福祉事業
– 福祉サービス・・・広くソーシャルワークとしてなすべきもの(制度・制度外)
– 社会福祉事業・・・第一種社会福祉事業、第二種社会福祉事業(制度)
• 社会福祉法人に期待される役割は
福祉サービスか?
社会福祉事業か?
12
(昭和28年8月6日参議院厚生委員会議事録より)
社会福祉事業振興会法案の審議(抜粋)
青柳一郎(衆議院議員) 民間の社会事業家は尊い経験と非常な熱意を持っておられます。この経験と
熱意を活かして、その創意を本当に現実のものとし、民間社会事業の持ち味を持ち続けて行くこ
とを私も期待いたしております。
山下義信(参議院厚生委員会) 日本のようにいつまでも民間社会事業に孤児院をやらせたり、政府が
なすべきところのそれらの保護施設をやらしているというようなことは、私は非常に時代遅れだ
と思う。民間社会事業家はこれを政府の責任に譲って、公けの、公共団体の責任にこの種の仕事
は譲って、私は民間社会事業の大いに力を尽してもらわなければならん分野は、この最近の経済
困難なる日本の社会情勢等から行きましても、私はもっともっと期待すべき分野があるのではな
いかという考えを持つのであります。(中略)
私はこれらの民間社会事業が画一的に或いは公的施設に準ずるようなことになって、その創意
も工夫も熱意も漸次影が薄くなって行くという姿は妥当でないという提案者の御答弁であります
から、それで了承いたしておくわけでありますが十分政府当局におきましても御考慮を願いたい
と考えるのであります。
上記の審議は、社会福祉事業法が制定されてから2年。
社会福祉法人の認可を受けた法人が徐々に出てきた時代。
社会福祉事業法に日本の福祉の将来を託した先達たちの思いがつづられている。
爾後、半世紀を超える時間を経た現在に立つと、歴史的な現実は、
措置制度の発展充実のなかで民間社会事業がますます政府の行う事業の
担い手に特化していった。
彼らが憂いた民間の事業主体としての創意・工夫・熱意の希薄化は大丈夫だろうか?
13
福祉サービスの拡大と供給主体の多様化
救貧政策
福祉制
度の
充実
福祉の
普遍化
福祉基
盤の
加速化
3プラン
企業等との
違いが問わ
れる時代
社会福
祉構造
改革
福祉サービスニーズ
企業その他
社会福祉法人
セーフティー
ネット
1950年代
1960~70
年代
1980年代 1990年代
行政・社福法人による供給
セーフティーネット
としてのサービス
2000年~
市場によるニーズに応じた供給
市民一般を対象としたサービス
14
社会福祉法人は不要と言われないために
みなさんの法人では、次の2つの質問にどのように答えますか?
• 企業ではできないサービスは何ですか?
• 企業でもできること「しか」していないのではダメ
• 法律や行政の予算措置がなくてもやっているサービスは何ですか?
• 行政での実施が難しい制度の谷間への取組みが必要
ぜひ皆様の法人職員と一緒にこの答えを考えて、見える化し、実践し
てください
15
3.社会福祉法人制度の見直し
社会福祉法人制度の見直しの経緯
• 規制改革会議、産業成長力会議、予算執行調査など
• 社会福祉法人の在り方等に関する検討会(2014.7.4)
• 社会保障審議会福祉部会(2015.2/12)
• 改正法案閣議決定(2015.4/3)
2015.4/3
• 189通常国会:改正法案の審議(2015.7:衆議院可決)
• 189通常国会閉会
• 190通常国会(1/4~6/1):継続審議
• 改正法施行(H28、H29)
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社会福祉法人のあり方等に関する検討会
社会福祉法人の今日的役割
社会福祉のセーフティネット
措置受託者
地域における公的法人
地域における公益的活動の推進
●枠組み:内容、法律明記、決定、地域福祉計画
●実施方法:複数法人の協働、財源拠出義務化
●実施促進:資金使途、自己財源、法令等の緩和
●住民の理解促進:活動の公表、会計区分
法人の組織
●権限・責任の明確化:機関の責任・権限法定
●本部機能の強化:経営管理の機関・資質
●評議員会:必置義務、選任方法
●理事の責任:職員登用、損害賠償、報酬、監事要件
●理事長権限の補佐:経営委員会、執行役員
規模拡大・協働化
●組織体制整備:役員・管理者の資質向上、合併・譲
渡・分割手続
●事業協働化:共同事業、社団的な連携、環境整備:
資金使途・管理柔軟化
透明性の確保
●財務諸表等の公表:義務化、様式統一化
●地域における公益的活動の公表
●都道府県・国での情報集約
●経営診断の仕組み
法人の監督
●法人監査方法の見直し
●財務に係る外部監査活用
●所轄庁の連携・監督能力
●第三者評価の受審促進
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社会保障審議会・福祉部会報告
「社会福祉法人制度改革について」
経営組織の在り
方の見直し
運営の透明性
の確保
• 理事会:責任、権限、義務
• 評議員会:必置、議決機関、諮問機関として運営協議会
• 監事、会計監査人:責任権限義務、一定規模以上の会計監査
• 定款、事業計画、役員報酬基準の開示
• 定款、財務諸表、役員報酬基準開示の法令明記
適正かつ公正は
支出管理
• 適正な役員報酬
• 関連当事者取引の範囲拡大
地域における公
益的取り組みの
責務
• 社会福祉事業の中心的担い手
• 既存制度の対象とならないニーズへの対応の法令明記
内部留保の明
確化と福祉
サービスへの再
投下
• 内部留保の明確化(控除対象財産、再投下対象財産:ガイドライン)
行政の役割と
関与の在り方
•再投下計画、所轄庁承認、ガイドライン準拠性について公認会計士による確認
• 地域協議会による地域福祉ニーズ把握、地域公益活動の特定・調整
• 財務規律
• 指導監督機能の強化、国・都道府県・使途の役割・連携、
19
社会福祉法等の一部を改正する法律案
福祉サービスの供給体制の整備及び充実を図るため、
・社会福祉法人制度について経営組織のガバナンスの強化、事業運営の透明性の向上等の改革を進めるとともに、
・介護人材の確保を推進するための措置、社会福祉施設職員等退職手当共済制度の見直しの措置を講ずる。
1.社会福祉法人制度の改革
(1)経営組織のガバナンスの強化
○ 議決機関としての評議員会を必置(小規模法人について評議員定数の経過措置)、一定規模以上の法人への会計監査人の導入 等
(2)事業運営の透明性の向上
○ 財務諸表・現況報告書・役員報酬基準等の公表に係る規定の整備 等
(3)財務規律の強化(適正かつ公正な支出管理・いわゆる内部留保の明確化・社会福祉事業等への計画的な再投資)
○ 役員報酬基準の作成と公表、役員等関係者への特別の利益供与の禁止 等
○ 「社会福祉充実残額(再投下財産額)」(純資産の額から事業の継続に必要な財産額(※)を控除等した額)の明確化
※①事業に活用する土地、建物等 ②建物の建替、修繕に要する資金 ③必要な運転資金 ④基本金及び国庫補助等特別積立金
○ 「社会福祉充実残額」を保有する法人に対して、社会福祉事業又は公益事業の新規実施・拡充に係る計画の作成を義務付け 等
(4)地域における公益的な取組を実施する責務
○ 社会福祉事業及び公益事業を行うに当たって、無料又は低額な料金で福祉サービスを提供することを責務として規定
(5) 行政の関与の在り方
○ 所轄庁による指導監督の機能強化、国・都道府県・市の連携 等
2.福祉人材の確保の促進
(1)介護人材確保に向けた取組の拡大
○ 福祉人材の確保等に関する基本的な指針の対象者の範囲を拡大(社会福祉事業と密接に関連する介護サービス従事者を追加)
(2)福祉人材センターの機能強化
○ 離職した介護福祉士の届出制度の創設、就業の促進、ハローワークとの連携強化 等
(3) 介護福祉士の国家資格取得方法の見直しによる資質の向上等
○ 平成29年度から養成施設卒業者に受験資格を付与し、5年間をかけて国家試験の義務付けを漸進的に導入 等
(4)社会福祉施設職員等退職手当共済制度の見直し
○ 退職手当金の支給乗率を長期加入者に配慮したものに見直し
○ 被共済職員が退職し、再び被共済職員となった場合に共済加入期間の合算が認められる期間を2年以内から3年以内に延長
○ 障害者支援施設等に係る公費助成を介護保険施設等と同様の取扱いに見直し
【施行期日】平成29年4月1日(1の(2)と(3)の一部,(4),(5)の一部,2の(1),(4)は平成28年4月1日、2の(3)は公布の日)
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社会福祉法人制度の改革(主な内容)
○ 公益性・非営利性を確保する観点から制度を見直し、国民に対する説明責任を果たし、地域社会に貢献する
法人の在り方を徹底する。
○ 議決機関としての評議員会を必置
1.経営組織のガバナンスの強化
□ 理事・理事長に対する牽制機能の発揮
□ 財務会計に係るチェック体制の整備
2.事業運営の透明性の向上
□ 財務諸表の公表等について法律上明記
3.財務規律の強化
① 適正かつ公正な支出管理の確保
② いわゆる内部留保の明確化
③ 社会福祉事業等への計画的な再投資
4.地域における公益的な取組を
実施する責務
□ 社会福祉法人の本旨に従い他の主体で
は困難な福祉ニーズへの対応を求める
5.行政の関与の在り方
□ 所轄庁による指導監督の機能強化
□ 国・都道府県・市の連携を推進
※理事等の選任・解任や役員報酬の決定など重要事項を決議
(注)小規模法人について評議員定数に係る経過措置を設ける。
○ 役員・理事会・評議員会の権限・責任に係る規定の整備
○ 親族等特殊関係者の理事等への選任の制限に係る規定の整備
○ 一定規模以上の法人への会計監査人の導入
等
○ 閲覧対象書類の拡大と閲覧請求者の国民一般への拡大
○ 財務諸表、現況報告書(役員報酬総額、役員等関係者との取引内容を含む。)、
役員報酬基準の公表に係る規定の整備
等
① 役員報酬基準の作成と公表、役員等関係者への特別の利益供与を禁止 等
② 純資産から事業継続に必要な財産(※)の額を控除し、福祉サービスに再投下可能
な財産額(「社会福祉充実残額」)を明確化
※①事業に活用する土地、建物等 ②建物の建替、修繕に必要な資金 ③必要な運転資金 ④基本金、
国庫補助等特別積立金
③ 再投下可能な財産額がある社会福祉法人に対して、社会福祉事業又は公益事業の新
規実施・拡充に係る計画の作成を義務づけ(①社会福祉事業、②地域公益事業、③その他公益
事業の順に検討)
等
○ 社会福祉事業又は公益事業を行うに当たり、日常生活又は社会生活上支援を
要する者に対する無料又は低額の料金で福祉サービスを提供することを責務として規定
※利用者負担の軽減、無料又は低額による高齢者の生活支援等
○ 都道府県の役割として、市による指導監督の支援を位置づけ
○ 経営改善や法令遵守について、柔軟に指導監督する仕組み(勧告等)に関する
規定を整備
○ 都道府県による財務諸表等の収集・分析・活用、国による全国的なデータベース
の整備
等
21
4.社会福祉法人の経営対応
21
4-1 経営組織の見直しについて
23
評議員・評議員会
•
•
•
•
評議員、評議員会、理事、理事会の設置義務(36条)
理事・監事・職員との兼務禁止(40条第2項)
理事・監事・会計監査人の選任(43条第1項)
重要事項の決議(45条の9第7項)
–
–
–
–
–
–
監事の解任
定款変更
吸収合併契約の承認
損害賠償責任の一部免除
解散
新規合併契約の承認
24
理事・理事会
•
•
•
•
•
評議員会の議決による選任(43条第1項)
親族等の制限(44条第6項)
法人の業務執行の決定(45条の13第2項)
理事長の選任
理事会の専決事項
–
–
–
–
–
–
重要な財産の処分及び譲受け
多額の借財
重要な役割を担う職員の選任及び解任
従たる事務所その他の重要な組織の設置、変更および廃止
法人の体制整備
損害賠償の免除
25
4-2 地域公益活動について
26
公益的取組みの責務
• 社会福祉法人は、社会福祉事業及び第26条第1項に規定す
る公益事業を行うに当たっては、日常生活又は社会生活上
の支援を必要とする者に対して、無料又は低額な料金で、福
祉サービスを積極的に提供するよう努めなければならない。
(第24条第2項)
27
社会福祉法人の実施する事業
現行
改正案
• 必須事業
• 必須事業
– 社会福祉事業
• オプション
– 公益事業
– 収益事業
– 社会福祉事業
– 公益的取組みの責務
• オプション
– 公益事業(社会福祉充実事
業以外のもの)
– 収益事業
28
社会福祉充実事業のイメージ
~それぞれの地域コミュニティが抱える福祉課題への対応~
•
大阪府社協「レスキュー事業」をはじめ、各地で始まっている困窮者支援・貧困の連鎖防止 等
•
地域包括ケアシステムにおける「住まい」、「生活支援」
•
子育てに悩む専業主婦等の親に対する保育所の地域支援
•
重度障がい者や社会適合困窮者に対するケア付き就労
•
児童養護施設「卒業者」に対する進学・就職・結婚等のライフステージにおけるアフターフォロー
•
刑余者、外国籍者、シングルマザー等の社会的包摂活動
「地域協議会」が地域ニーズを発掘 ⇒ 社会福祉法人が実施(単独/協業)
29
複数法人連携による公益的取り組み
• 実施
–
–
–
–
–
–
–
–
–
–
–
–
栃木県:セーフティネット拠点事業
埼玉県:彩の国あんしんセーフティネット事業
神奈川県:ライフサポート事業
長野県:信州あんしんセーフティネット事業
滋賀県:滋賀の縁(えにし)創造実践センター
京都府:京都地域福祉創生事業(わっかプロジェクト)
大阪府:大阪しあわせネットワーク
兵庫県:市区町社会福祉法人連携協議会
香川県:香川おもいやりネットワーク事業
福岡県:ふくおかライフレスキュー事業
熊本県:生活困難者レスキュー事業
大分県:おおいた“くらしサポート”事業
• 検討中
– 岩手県、宮城県、福島県、東京都、山梨県、静岡県、石川県、三重県、奈良
県、和歌山県、岡山県、鳥取県、島根県、山口県、佐賀県、長崎県、宮崎県
資料:全国社会福祉法人経営者協議会(2015年7月調査)
30
福祉援助技術を用いた地域福祉ニーズへの対応
就労支援事業所
フォーマル、インフォーマル
の地域包括ケア
社会福祉施設
コミュニティ再生
困難者の雇用+S/W
31
ソーシャルワーク・社会福祉事業・経営
社会福祉を目的とする事業
(社会福祉充実事業)
自主財源
社会福祉事業
ソーシャルワーク
公的財源
(援助技術)
経営管理
法令通知
(提供体制)
配分ルール
自律的永続的
実施の確保
適正な実施
これまでの経営
32
新たな時代に対応した福祉の提供ビジョン
• 厚労省
– 新たな福祉サービスのシステム等のあり方検討プロジェクトチーム
(H27/9/17)
• キーポイント
–
–
–
–
–
–
全世代・全対象型地域包括支援
複数分野・複雑に絡む問題への包括的な相談支援
日常生活拠点をベース(アウトリーチ型ニーズの把握)
複合的ニーズに対するアセスメント、コーディネイト
伴走型支援
新たな地域資源の創造・開発
33
34
35
36
福祉サービスは、これまで、基本的には対象者ごとに整備されてきた。こ
れは、とりわけ各制度の発展過程においては、典型的と考えられるニーズ
に専門的なサービスを提供するという点で、日本の福祉施策の充実・発展
に寄与してきたと考えられ、今日においても、こうした構造を全面的に見直
す必要性は見いだしがたい。
しかしながら、制度が成熟化する一方で、少子高齢化、単身世帯の増加、
地縁・血縁の希薄化などが進み、ニーズが多様化、複雑化する現代社会
においては、既存の制度の対応では複合的なニーズを持つ者などが適切
な支援を受けられないという課題が提起されている。
複合的な課題を抱えた対象者の多くが地域から孤立し、あるいは複合的
な課題ゆえにどこにどう相談して良いかすら分からないという状況にあるこ
とも踏まえ、新しい包括的な相談支援システムは、「待ちの姿勢」ではなく、
対象者を早期に、かつ積極的に把握すること、すなわち「アウトリーチ」とい
う考え方に立って運営することが重要である
育児、介護、障害、貧困など世帯全体の複合的・複雑化したニーズを捉え、
解きほぐし、生育歴などの背景も勘案した本質的な課題の見立てを行うと
ともに(アセスメント)、複合的なニーズに対応する様々な支援をコーディ
ネートすることが求められる。
37
様々なニーズに対し、既存資源のネットワーク強化だけで不足する場合に
は、積極的に必要な社会資源を創造・開発していくことが求められる。
複数課題を有する世帯全体に様々な機関・人による総合的な支援や関わ
りが実現され、個別の取組の積み重ねがやがて大きな潮流となって地域
を変えていく。
現在国会に提出されている社会福祉法等の一部を改正する法律案におい
て、地域における公益的な取組の実施が責務とされ、地域の幅広い福祉
ニーズに対応していく法人として位置づけられる社会福祉法人にも、支援
体制の担い手として重要な役割が期待される。社会福祉法人がこうした地
域福祉の主要な担い手としての役割を果たすことができるよう、経営組織
のガバナンスの強化、事業運営の透明性の向上、財務規律の強化等の改
革を確実に実施するための支援が重要である。
多世代交流・多機能型の取組に際し障壁となっている各制度の人員配置
基準、施設基準の改善について検討する必要がある。
38
4-3 財務規律・財務諸表開示について
39
社会福祉法人の会計処理①
第6章 第4節 計算
第1款 会計の原則等
• 社会福祉法人は、厚生労働省令で定める基準に従い、会計処理
を行わなければならない。 (第45条の23)
• 社会福祉法人の会計年度は、四月一日に始まり、翌年三月三十
一日に終わるものとする。 (第45条の23 第2項)
第2款 会計帳簿
• 社会福祉法人は、厚生労働省令で定めるところにより、適時に、
正確な会計帳簿を作成しなければならない。(第45条の24)
40
社会福祉法人の会計処理②
第3款 計算書類等
• 社会福祉法人は、毎会計年度終了後三月以内に、厚生労働省令
で定めるところにより、各会計年度に係る計算書類(貸借対照表
及び収支計算書をいう。以下この款において同じ。)及び事業報告
並びにこれらの附属明細書を作成しなければならない。 (第45条
の27 第2項)
• 計算書類及び事業報告並びにこれらの附属明細書は、電磁的記
録をもつて作成することができる。 (第45条の27 第3項)
41
社会福祉法人の財務規律について
公益性を担保する財務規律
Ⅰ 適正かつ公正
な支出管理
適正な役員報酬
・法人による役員報酬
基準の設定と公表
・役員区分毎の報酬
総額の公表
利益供与の禁止
・親族等関係者への
特別の利益供与を
法律上禁止
・関係者との取引内容
の公表
(対象範囲の拡大)
Ⅰ 適正かつ公正な支出管理
Ⅱ 余裕財産の明確化
Ⅲ 福祉サービスへの再投下
社会福祉法人の事業
社会福祉事業
利
益
公益事業
Ⅱ 余裕財産の明確化
・会計制度の整備(新会計基準の導入)
・評議員会による内部牽制
・外部監査(会計監査人)の導入
・財務諸表の公表
等
いわゆる内部留保
「日常生活・社会生活上の支援を必要とす
る者に対して無料又は低額な料金により
福祉サービスを提供する責務」
事業継続に必要な財産
・事業に活用する土地、建物等
・建物の建替、修繕
・手元流動資金
Ⅲ 福祉サービスへの再投下
①社会福祉事業等投資額
会計監査人
・一定規模以上の
法人に会計監査人
の設置義務化
「社会福祉充実計画」(再投下計画)
○ 地域のニーズに対応した新しいサービスの展開、人材への投資
○ 無料又は低額な料金による福祉サービスの提供等
・公認会計士又は税理士による計画の記載内容の確認
・「地域協議会」による地域の福祉ニーズの反映
・所轄庁による計画の承認
・実績の所轄庁への報告と公表
等
社会福祉事業等に関する
・施設の新設・増設
・新たなサービスの展開
・人材への投資
② 「地域公益事業」投資額
・無料又は低額の料金により行う公益事
業
③公益事業投資額
42
財務規律の強化
• 評議員、理事等の関係者に対する特別な利益供与の禁止(26条
の2)
• 理事、監事及び評議員への報酬等の基準を定め公表(45条の35
第1項、59条の2第1項)
• 毎会計年度、純資産の額が事業の継続に必要な額を超える法人
について、社会福祉事業又は公益事業の既存事業の充実又は新
規事業の実施に関する計画(社会福祉充実計画)を作成し、所轄
庁の承認を受けなければならない(55条の2第1項)
• 社会福祉充実計画
– 社会福祉事業 地域公益事業 その他の公益事業の順(55条の2第4項)
– 公認会計士・税理士等財務に関する専門知識を有する者と事業区域の住民
等の意見を聴かなければならない(55条の2第6・6項)
43
これまで、その他の積立金
は計上しても、しなくても
良かったが
今後は、積立てをしないと
施設再生産ができなくなる
地域公益活動
貸借対照表
負 債
資 産
基本金
国庫補助金等特別積立金
その他の積立金
次期繰越活動増減差額
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「公益的な取組み責務」と「地域公益活動」
公益的な取組み責務
地域公益活動
事業の範囲
日常/社会生活困難者に対
する社会福祉事業、公益事
業の無料低額での実施
社会福祉事業、公益事業の
充実または新規事業の実施
財源の考え方
フロー
ストック
社会福祉充実残額
有無を問わない
有る場合のみ
費用
費用の有無を問わない
社会福祉充実残額の充当
所轄庁
現況報告書による報告
社会福祉充実計画の承認
「地域協議会」
不要
要
根拠条文
改正社会福祉法
第24条第2項
同
第55条の2第1項
施行期日
平成28年4月1日
(付則第1条第2号)
平成29年4月1日
(付則第23条)
資料:全国社会福祉法人経営者協議会に基づき筆者作成
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事業運営の透明性の向上
• 何人も閲覧の請求ができることとする等、定款、計算書類、
事業の概要を記載した書類等の備置き及び閲覧等に関する
規定を整備すること(59条の2等)
• 定款、計算書類、事業の概要を記載した書類等を公表しな
ければならないこととすること(59条の2第1項)
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経営情報の公開(H28)
(情報の公開)
• 社会福祉法人は、次の各号に掲げる場合の区分に応じ、遅滞なく、
厚生労働省令で定めるところにより、当該各号に定める事項を公
表しなければならない。 (第59条の2 第2項)
一
第三十一条第一項若しくは第四十三条第一項の認可を受
けたとき、又は同条第三項の規定による届出をしたとき 定款
の内容
二
前条の規定による届出をしたとき 前項第二号に掲げる書
類のうち厚生労働省令で定める書類の内容
47
経営情報の公開(H29~)
(情報の公開等)
• 社会福祉法人は、次の各号に掲げる場合の区分に応じ、遅滞なく、厚生
労働省令で定めるところにより、当該各号に定める事項を公表しなけれ
ばならない。 (第59条の2 第1項)
一
第三十一条第一項若しくは第四十五条の三十六第二項の認可を受けた
とき、又は同条第四項の規定による届出をしたとき・・・定款の内容
二 第四十五条の三十五第二項の承認を受けたとき・・・当該承認を受けた報酬
等の支給の基準
三
前条の規定による届出をしたとき・・・同条各号に掲げる書類のうち厚生
労働省令で定める書類の内容
(※定款、計算書類、事業の概要を記載した書類等 )
• 都道府県知事は、当該都道府県の区域内に主たる事務所を有する社会
福祉法人(厚生労働大臣が所轄庁であるものを除く。)の活動の状況そ
の他の厚生労働省令で定める事項について、調査及び分析を行い、必
要な統計その他の資料を作成するものとする。この場合において、都道
府県知事は、その内容を公表するよう努めるとともに、厚生労働大臣に
対し、電磁的方法その他の厚生労働省令で定める方法により報告するも
のとする。 (第59条の2 第2項)
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社会福祉法人情報データベース
• 厚生労働大臣は、社会福祉法人に関する情報に係るデータベー
ス(情報の集合物であつて、それらの情報を電子計算機を用いて
検索することができるように体系的に構成したものをいう。)の整
備を図り、国民にインターネットその他の高度情報通信ネットワー
クの利用を通じて迅速に当該情報を提供できるよう必要な施策を
実施するものとする。 (第59条の2 第5項)
• 厚生労働大臣は、前項の施策を実施するため必要があると認め
るときは、都道府県知事に対し、当該都道府県の区域内に主たる
事務所を有する社会福祉法人の活動の状況その他の厚生労働
省令で定める事項に関する情報の提供を求めることができる。
(第59条の2 第6項)
49
財務諸表等の公表の範囲
資金収支計算書
法人全体
第1号の1様式
事業活動計算書
第2号の1様式
貸借対照表
第3号の1様式
財務諸表
の注記
全項目
集計
法人全体
○◎第1号の2様式
(事業区分別)
○◎第2号の2様式
○◎第3号の2様式
左記様式では
事業区分間の
内部取引消去
を行う
左記様式では
拠点区分間の
内部取引消去
を行う
集計
事業区分
(拠点区分別)
拠点区分
◎第1号の3様式
◎第2号の3様式
◎第3号の3様式
第1号の4様式
第2号の4様式
第3号の4様式
集計
(一つの拠点を表示)
一部項目は
記載不要
サービス区分別
(拠点区分の会計を
サービス別に区分表
示)
☆基準別紙3
備考
☆基準別紙4
(注1)法人の事務負荷軽減のため、以下の場合は財務諸表及び基準別紙の作成を省略できるものとする。
1.○印の様式は、事業区分が社会福祉事業のみの法人の場合省略できる。
2.◎印の様式は、拠点が1つの法人の場合省略できる。
3.☆印の様式は、附属明細書として作成するが、その拠点で実施する事業の必要に応じていずれか1つ
を省略できる。
(注2)第1号から第3号の1から4様式は、社会福祉法施行規則第9条第3項に定める書類とし、毎年度所
轄庁へ提出をする。
基準別紙3で
はサービス区
分間の内部取
引消去を行う
これらも
公表すべき
50
4-4 戦略的情報開示について
51
地域における公益的取組みにあたって
• 今回の法改正の発端は内部留保批判
• 地域公益活動は社会福祉法人として期待される役割であり、
内部留保の有無とは本来無縁のもの
• 内部留保を活用した地域公益活動の問題点
– 内部留保(ストック)使えば減る⇒なくなったっても公益活動は必要
– 公益活動(社会福祉充実計画)への充当⇔資金の使途制限等
• 内部留保を前提としない地域公益活動を考えるべきでは
– 自主財源の確保
– 人員配置
– 地域住民を巻き込んだ(資金的・人的)資源の確保努力が必要
• 地域をステークホルダーにした資源の獲得
ファンドレイジング
52
ファンドレイジング
• ファンドレイジングとは、非営利組織が活動のための資金を
個人、法人、政府などから集める行為の総称(日本ファンドレ
イジング協会)
• 「自らの事業による社会課題の解決」と「社会からの様々な
主体の参加による社会課題の解決」の両方を目指す
• 支援をした者との継続的関係の維持
• 潜在的な支援者との関係の構築
• 支援者とのコミュニケーション(情報)がキーポイント
53
戦略的情報開示
• 情報開示は利害関係者とのコミュニケーションです。
• 地域住民・企業との良好なコミュニケーションを通じて、市民
を巻き込んだ地域公益活動(社会福祉充実事業)の展開が
可能となります。
• 財務諸表の開示は良好なコミュニケーションの第一歩。
• さらに進んだコミュニケーションにより市民・企業のサポート
を目指す
– マイサポいこま(生駒市民が選択する市民活動団体支援制度)
• 他にも市川市、一宮市、八千代市、恵庭市、奥州市、佐賀市、大分市、和泉市な
どで1%支援制度
– 僕らのアトリエ(第4回読売プルデンシャル福祉賞)
– 広島県共同募金会(地域課題解決プロジェクト募金など)
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1%支援制度
• 市民税の1%を納税者が選択する市民活動団体等の活動
資金として支援する制度
• 基本的な目的は「納税者の意識高揚」と「市民活動の活性
化」
• 実施する中で「プラス1の効果」。
– 「プレゼンテーションを通じて市民が地域社会の課題に関心を持ち、
それに取り組む事業者・団体・グループの認知が高まったこと」
– 「事業者の情報発信の機会が高まり、また事業者相互間での情報交
流も広がったこと」
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誰も損をしない福祉の構造
情報編
作業所に協力していただいている企業(人)の取材
マスメディア
報道(広告)
障害者理解
話題提供
話題提供
支援
企業
福祉団体
引用:森浩昭氏「誰も損をしない福祉の構造」(H25年・福祉医療機構・障がい福祉サービス経営セミナー)56
広島県共同募金会の新たな取組み①
地域テーマ募金
○地域の「新たな支え合い」を確立する取り組みとして各地域の社会福祉協議会
等の主導のもと「地域テーマ募金」を展開している。寄付者が使い道を指定
できる使途選択募金(ドナーチョイス)を活用
○参加団体は、その活動資金を調達するため、地域課題を広くアピールしながら
活動の必要性を訴えるとともに赤い羽根募金への協力を呼びかける。この使
途選択募金などが共同募金会を通じて各団体の活動資金として助成
社会課題解決プロジェクト募金
○喫緊に解決しなければならない社会的な課題の解決のための支援活動などを進
めている団体の参加のもと「社会的な課題解決プロジェクト」を実施
○参加団体は社会的な課題解決の必要性を広くにアピールしながら、活動の必要
性を訴えるとともに赤い羽根募金への協力を呼びかける。この使途選択募金
などが共同募金会を通じて各団体の活動資金として助成
○なお、二つの募金では、各団体が集めた募金と合わせて共同募金会からも助成
するマッチングギフトの仕組みとなっている。
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広島県共同募金会の新たな取組み②
新たな取り組みの意義
○地域の住民にとって必要なサービスを継続的実施するためには、その財源も、
公的な助成だけでなく、地域住民が主体的に確保することが不可欠である。
また、地域ごとの課題に柔軟かつ迅速に対応するサービスを維持するために
は、地域の課題を共有し、それに賛同する仕組みを構築することが重要であ
り、公費や利用料等と効果的に組み合わせて運用するとことが求められてい
る。
○この募金の仕組みは、10 月1 日から12 月31 日までの共同募金に加え、新
たな募金財源が確保されるとともに、地域課題の発見や地域で活動している
団体など資源を把握・活用し、地域活性化等も視野に入れた財源づくりに取
り組むことができる事例である。
○共同募金が財源確保の手法だけでなく、地域課題を社会にアピールする場であ
り、共感する人々が寄付により参加できる仕組み。また、活動する団体間の
連携が生まれる
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広島県共募の事例から読み取るべきこと
事例のポイント
コミュニティーの新たな福祉課題が発見されること
福祉課題に対する市民の認識形成がされること
福祉課題に取組む事業者の存在が認知されること
新たな福祉課題解決に公費でない財源確保がされること
課題解決についての成果報告がされること
社会福祉法人経営として・・・
地域の福祉課題と市民の善意をつなぐ役割
社会福祉法人の自主的な資源獲得努力
寄付⇔成果報告という説明責任・信頼関係の醸成
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社会福祉法人制度改革という波が迫る今
求められること
• 法律制度の改正は最低限の歯止めでしかありません。
• 改正への対応に目を奪われてしまっては、「波にのまれ
る」だけで、社会福祉法人につきつけられた課題は解決し
ません。
• 社会が法人に求めるもの。それは地域における安心の拠
点としての公益的役割を果たすこと。
• その思いは、かつての社会事業家たちが追い求めていた
ものだったでしょうし、
• そして、皆様方の法人の設立の思いだったに他ならない
はずです。
• そうした福祉の王道を再確認し、戦略的情報開示のように
制度改革を法人の発展の好機として「改革の波を乗りこな
すこと」こそが今日の法人制度改革へのもっとも重要な取
り組みだと考えます。
60
ご清聴ありがとうございました。
独立行政法人 福祉医療機構
経営サポートセンター 千葉正展
〒105-8486
東京都港区虎ノ門4-3-13
Tel 03-3438-9932
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