アーティクル中の CMR に対する REACH 第 68 条(2)適用の考え方 2016 年 2 月 5 日 2015 年 10 月 28 日に本情報機構 HP における公開情報として、 「消費者用アーティクル中の CMR に対する REACH 制限提案の現状」1) を報告しているが、この中で紹介した REACH 第 68 条(2)の下での消費者用のための織物性商品及び衣類の中の有害性物質(CMR 1A 及び 1B)の制限 に関するコンサルテーションは、その期限が延長されて 2016 年 3 月 22 日までとされた。2) 今回のコンサルテーションに直接、対象となる製品は織物性商品及び衣類であるが、欧州委員会 はアーティクルのカテゴリーのアプローチを使用して、第 68 条(2)の下における消費者用アーテ ィクル中の CMR のための制限の適用方法の検討作業を開始しており、今回のコンサルテーショ ンはその最初の試みに過ぎない。このアーティクルのカテゴリーのアプローチの考え方は今後、 繊維製品に限らず、広範囲なアーティクル中の有害物質の規制に影響を及ぼすことが予想される 重要な問題である。前回の私の報告においては、このアーティクルのカテゴリーのアプローチの 考え方を十分に説明していなかったため、改めてこの考え方をこの報告において紹介したい。 欧州委員会が提案している「アーティクルのカテゴリーのアプローチの考え方」は、 コンサルテーションの際に参考文献として引用されている 2014 年 11 月 10~11 日の第 16 回 CARACAL 会議の資料:「アーティクル中の CMR に対する第 68 条(2)の適用」に詳細に 説明されている。この考え方は資料の中でも参照されている米国カリフォルニア州の「より 安全な消費者製品規則(SCP)」におけるアプローチと共通点がある。こうした、アーティク ルカテゴリーを基にして、アーティクルと有害物質の組み合わせによる規制の考え方が 今後、グローバルな展開をしていくかどうか、関係者は注目すべきである。 より安全な消費者製品規則(SCP)における規制対象の優先製品を特定するのに使用された政策 目的と優先化の考え方は、その製品が、以下の性質を持つとして特定している:3) ・一つ以上の候補化学物質(Candidate Chemicals)へのばく露のための明確な経路を提供している ・バイオモニタリング調査において検出されている化学物質を含有する ・屋内空気及び粉塵調査で観測される化学物質を含有する ・子供及び作業者に影響を及ぼすことがある 又は ・水性資源に有害な影響を及ぼすこともある又は水質モニタリングによって観測されている化学 物質を含有する これに対して、欧州委員会が提案するアーティクルのカテゴリーのアプローチは、調査範囲 がより網羅的であり、ステップが段階的に定められており、公開諮問のタイミングも配慮さ れているように思える。 尚、上記 CARACAL 会議の資料:「アーティクル中の CMR に対する第 68 条(2)の適用」の 全文仮和訳を別紙として添付したので、詳細についてはそれを参照して頂きたい。 1 参考文献 1)「消費者用アーティクル中の CMR に対する REACH 制限提案の現状」 <http://www.johokiko.co.jp/seminar_chemical/New_REACH/CMR_REACH_20151030.pdf> 2) Consultation on a possible restriction of hazardous substances (CMR 1A and 1B) in textile articles and clothing for consumer use <http://ec.europa.eu/growth/tools-databases/newsroom/cf/itemdetail.cfm?item_id=8299&lang=de> 3) カリフォルニア州 「より安全な消費者製品規則(SCP)」における優先化のためのアプローチ <http://www.dtsc.ca.gov/SCP/PriorityProductPrioritization.cfm> 以上 2
© Copyright 2024 ExpyDoc